法律事務所における中途採用の面接は、新卒のときとは違う難しさがあります。
スキルや実績が問われるのはもちろんですが、それ以上に「なぜこの事務所なのか」「前職で何を担ったのか」を自分の言葉で整理できるかどうかが、合否を左右します。にもかかわらず、経験があるからと準備なしで臨んでしまい、「意外と答えられない」と感じる人も多いのです。
この記事では、経験弁護士が法律事務所の面接で実際に聞かれやすい質問と、評価される答え方の考え方をまとめました。ぜひ事前に目を通し、面接準備にお使いください。
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目次
経験弁護士が法律事務所の面接で見られる4つのポイント
法律事務所の中途採用面接は、新卒採用とは評価の視点が違います。「経験があるのに落ちた」という話はめずらしくなく、その多くは準備不足というよりも、何を見られているかを把握していなかったことが原因です。
経験者の面接で軸になるのは、志望度・再現性・人間性・適応力の4点。スキルや案件数だけを整理しても、この4つの観点から準備できていなければ、面接官には刺さりません。それぞれが面接のどの場面で問われるのかを理解しておくと、回答の組み立て方が変わってきます。
志望度|なぜその事務所なのかを具体で語れるか
経験者の面接で最も差がつくのが、志望動機の解像度です。「御事務所の案件に興味があります」という答えは、面接官には「どこでも話せる話」と映ります。
選考の場で求められるのは、自分のキャリアの現在地とその事務所固有の強みを結びつけて語ることです。国内M&Aを主軸に経験を積んできた弁護士であれば、「クロスボーダー案件への展開を見据えており、その領域で実績を持つ貴所でキャリアを築きたい」という形で、現在地・課題・選択理由を一本の線でつなぐ必要があります。
事務所研究の材料は、公式サイトの案件実績、所属弁護士のプロフィール、外部メディアのインタビューなどが中心になります。それらを丁寧にリサーチし、面接前には「なぜここでなければならないか」を一文で言い切れる状態にしておきましょう。
再現性|担当案件・役割・成果を言語化できるか
経験者に対して面接官が確認したいのは、過去の実績そのものより、その実績を次の事務所でも出せるかどうかです。案件名や規模を羅列するだけでは、再現性の判断材料になりません。
問われるのは「その案件でどういう役割を担い、何を判断し、結果どうなったか」という構造です。たとえば「大型再編案件を担当した」ではなく、「クライアントの意思決定スケジュールに合わせて契約交渉を主導し、当初想定より2ヶ月早くクロージングまで完了させた」くらいの粒度が求められるでしょう。
役割と判断と結果が揃って初めて、面接官は「この人なら同じことをやってくれる」と判断できます。準備の段階で、直近3〜5件の案件について自分が果たした役割を動詞ベースで書き出しておくと、解像度が上がります。
人間性|人柄・誠実さ・協働性があるか
スキルと実績が水準を満たしていても、人間性の部分で採用を見送られるケースは少なくありません。法律事務所は少数精鋭の組織が多く、採用側は「一緒に働けるか」を面接の会話全体を通じて観察しているからです。
見られているのは、前職の話をするときの語り口、応答の誠実さ、意見が食い違う場面での態度といった細かい部分です。
特に、実績を語る際に「自分が〜した」で完結させないよう意識しておくのがポイントです。準備の段階で、自分の語りが一人称に偏っていないか確認しておくだけでも、面接本番での印象はかなり変わります。チームや先輩、クライアントとの関係性の中で役割を語れれば、協働性の高さが自然に伝わるでしょう。
適応力|事務所の方針や働き方に合うか
経験者の採用において、事務所側が密かに気にしているのが「前の環境のやり方を持ち込まないか」という点です。実力がある弁護士ほど自分のスタイルが確立されている分、事務所側から適応面で懸念を抱かれる場合があります。
面接で事務所の方針や業務スタイルについて質問される場合、実は本人の経験や希望だけでなく、相手の環境を理解しようとしているかも同時に見られています。たとえば「これまではこうしてきたが、貴所ではどのような進め方が主流ですか」という問い返しができると、柔軟性と主体性の両方が伝わるでしょう。
事前に事務所の規模感や案件の進め方をある程度調べておくと、この種の会話が自然にできます。準備の深さが、適応力の高さとして面接官に映ります。
面接前に知っておきたい法律事務所の種類別の特色
志望動機を語るにも、逆質問を考えるにも、前提として「どういう事務所か」を理解していなければ話になりません。法律事務所は規模や専門分野によって組織文化が大きく異なり、面接で重視される点も変わってきます。
大手に応募するのか、ブティック型の専門事務所を狙うのかによって、準備すべき内容は別物です。自分が受ける事務所の特色を正確に把握した上で面接に臨むことが、志望度の高さを伝えることにも直結します。
大手・準大手・中堅・ブティック・個人の違い
法律事務所の規模感は、おおむね以下のように分類されます。
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分類 |
規模の目安 |
特徴 |
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大手(四大法律事務所など) |
弁護士数200名超 |
外資系企業や上場企業が主なクライアント。M&Aやファイナンスなどハイエンドなビジネス法務を扱う。分業体制が整っており、特定分野の専門性を深めやすい。 |
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準大手・中堅 |
弁護士数 数十〜100名程度 |
ビジネス法務を幅広く手掛ける。大手ほどの規模はないが、若手のうちから案件に深く関われる機会が多い。 |
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ブティック |
少数精鋭 |
M&A、知的財産、労働など特定分野に特化。専門性の高さが売りで、経験者を即戦力として求めるケースが多い。 |
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個人・小規模 |
弁護士1〜数名 |
一般民事から企業法務まで幅広く対応。早期から多様な業務を担える半面、指導体制は事務所によって大きく異なる。 |
どの区分を志望するかによって、求められる経験の幅や専門性の深さが変わってきます。自分のキャリアの方向性と照らし合わせながら、応募先を選ぶ際の参考にしてください。
規模・分野による面接での見られ方の違い
事務所の規模や専門性によって、面接で重視されるポイントは変わります。同じ準備をして複数の事務所を受けるのは、効率が良いようで実は逆効果です。
大手・準大手では、分業体制の中で自分が何を担ってきたかが問われます。「案件全体に関わった」より「この局面でこの判断をした」という語り方が刺さります。
ブティック事務所は即戦力採用が前提です。案件経験の数より深さを見るため、面接も具体的な案件の中身に踏み込んだ質問が多くなります。抽象的な回答は評価されにくいでしょう。
中堅・個人事務所では、スキルより相性が採否を左右する場面が少なくありません。人間性や協働性の比重が、規模の大きな事務所より高くなります。
上記のように、志望先の区分によって、準備で力を入れるべき回答が変わります。この認識を持って準備するだけでも回答の質は上がりますので、まずは自身の志望する事務所がどこに該当するのかを明確にしておきましょう。
法律事務所の面接でよく聞かれる質問
法律事務所の面接で聞かれる質問は、事務所の規模や専門性によって細部は異なるものの、骨格となる質問はどこを受けても大きく変わりません。経験者の場合は回答の中身に具体性と一貫性が求められるため、「なんとなく答えられる」状態では準備不足です。
各質問の背景にある意図を踏まえた上で、自分の言葉で組み立てておく必要があります。回答例をそのまま使うのではなく、自分のキャリアに引き付けて考える素材として活用してください。
志望動機(転職先に選んだ理由)
志望動機は、面接の序盤に必ず聞かれる質問です。ここで事務所研究の深さと自分のキャリアの文脈が伝わらないと、その後の回答全体の説得力が落ちてしまいます。
面接官が見ているのは、「なぜ転職するのか」ではなく「なぜこの事務所なのか」です。この2つは似ているようで別の問いであり、前者だけを丁寧に答えても選考上のプラスにはなりません。志望動機では、キャリアの現在地と課題、そしてその事務所を選んだ理由を一本の線でつなげられるかどうかが問われていると覚えておきましょう。
転職理由と志望動機をあらかじめセットで整理しておくと、面接での回答に一貫性が生まれます。どちらか一方が薄いともう一方の説得力にも響くため、内容を考える際には両方同時に準備するのがおすすめです。
転職理由(前の事務所を辞めた理由)
転職理由は、志望動機と並んで必ず聞かれる質問です。面接官がこの質問で見ているのは、退職の経緯そのものより、その人が職場環境や人間関係をどうとらえ、どう言語化するかです。
前職への不満を正直に話すこと自体は問題ありません。ただ、不満の話で終わると「条件や環境への不平が多い人」という印象を与えるリスクがあります。「前職ではこういう限界があった。だからこそ、この事務所でこういうことに取り組みたい」という形で、転職理由を次のキャリアへの意欲につなげる構成が求められます。
ネガティブな理由を無理に隠そうとする必要はありません。それをどう前向きな文脈に乗せるかが、経験者の面接では問われています。
これまでの担当案件・得意分野
経験者の面接で最も時間が割かれる質問のひとつです。単なる案件リストの読み上げにならないよう、伝え方を整理しておく必要があります。
面接官が知りたいのは、案件の名称や規模より「その案件でどういう立場で何をしたか」です。関与した案件を羅列するより、代表的な2〜3件に絞り、自分の役割・判断・結果を具体的に語るほうが、実力の伝わり方としては確実です。得意分野については、経験の量だけでなく「なぜその分野に力を入れてきたか」という文脈を添えると、キャリアの一貫性として受け取られます。
準備の段階で、案件ごとに「自分が果たした役割を一文で表わすことができるか」を確認しておくと、本番での回答がまとまりやすくなります。
関心のある案件・分野
これまでの経験を聞かれた流れで、今後どういった案件や分野に関心があるかを問われることがあります。経験の棚卸しと似た質問に見えますが、面接官が確認したいのは応募者の方向性がその事務所の業務と合致しているかどうかであり、意図が異なります。
「○○分野に興味があります」で止めることは避けましょう。なぜその分野に関心を持つに至ったか、前職での経験とどうつながっているか、そしてその事務所でどう活かしたいかまで、一連の流れとして語れるようにしておいてください。この構成が崩れると、関心の話が「個人の希望」にしか聞こえなくなります。
事務所が注力していない分野への関心だけを強調するケースにも注意が必要です。事前に事務所の業務領域を調べ、自分の関心と重なる部分を軸に話すようにしてください。ここを外すと、熱意があっても面接官の印象には残りません。
今後のキャリアプラン
キャリアプランは、志望動機と表裏一体の質問です。面接官が確認したいのは、応募者がその事務所で何年後にどういう弁護士になりたいのかという展望であり、それがキャリアパスと整合しているかも見られています。
キャリアプランを答える際には、抽象的な理想像で終わらせないよう注意しましょう。「専門性を深めたい」「クライアントに貢献したい」という言葉は、どの事務所にも当てはまる表現にすぎません。
「この事務所でこの分野の経験を積み、3〜5年後にこういう役割を担いたい」という形で、時間軸と具体的な姿を示せると、現実的にどんなプランを抱いているのかが明確に伝わります。
パートナーを目指すのか、特定分野のスペシャリストとして深めるのか、方向性によって事務所側の受け取り方も変わります。自分のプランがその事務所の体制と合っているか、事前に確認しておいたほうが良いでしょう。
希望年収
希望年収は、答え方を誤ると選考に響く質問です。高すぎれば予算オーバーとして弾かれ、低すぎれば自己評価の低さや情報収集不足と見られかねません。
前提として、まずは自分の市場価値をある程度把握した上で臨む必要があります。現職の年収水準、経験年数、得意分野の希少性といった要素をもとに、合理的な根拠のある数字を提示できる状態にしておきましょう。
面接では、現職の年収を開示した上で「同水準以上を希望しています」と伝えるのが無難です。具体的な金額を求められた場合は、幅を持たせた形で答えると交渉の余地が生まれます。年収の話は条件交渉の入口でもあるため、強く主張しすぎず、柔軟な姿勢を見せながら話すのが得策です。
経験弁護士の面接で評価される回答のポイント
頻出質問への答えを用意するだけでは、面接の準備として十分とはいえません。同じ内容を話しても、伝え方ひとつで面接官の受け取り方は大きく変わります。
経験者として評価される回答には、実は共通するパターンがあります。ここからお伝えする2つの考え方を、ぜひ面接準備に取り入れてみてください。
質問に込められた意図を把握する
面接の質問には、表面上の問いと、その裏にある意図があります。そこを読み違えてしまうと、どれだけ丁寧に答えても良い評価は得られません。
たとえば「これまでの担当案件を教えてください」という質問。表面上は経験の確認ですが、面接官が本当に知りたいのは、その経験が自所の業務で再現できるかどうかです。案件名や規模を羅列しても、再現性は伝わりません。「この案件でこういう役割を担い、こういう判断をした」という語り方をして初めて、意図に答えたことになります。
ここまでに紹介した頻出質問について、「面接官はこの質問で何を知りたいのか」を意識しながら回答を準備するだけで、本番での受け答えは大きく変わります。
抽象→具体→抽象の構成で回答する
経験者の面接で評価される回答には、構成の型があります。それは、最初に結論や立場を示し、具体的なエピソードで裏付け、最後に自分のスタンスや学びで締めるという流れです。
たとえば「得意分野は何ですか」という質問に対して、「M&Aが得意です。前職では中堅企業の株式譲渡案件を複数担当し、デューデリジェンスから契約交渉まで一貫して関与しました。その経験から、スキームの選択段階でクライアントに選択肢を示す動き方が自分の強みだと認識しています」という形です。
エピソードだけ並べても実力の裏付けにはなりませんし、抽象的な自己評価だけでも説得力を欠きます。抽象→具体→抽象のセットを意識しておくだけで、回答の受け取られ方は大きく違ってくるでしょう。
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経験弁護士が法律事務所の面接で落ちやすいパターン
経験者の面接では、スキルや実績が水準を満たしていても選考を通過できないことがあります。その原因のほとんどは、内容ではなく答え方や面接時の立ち居振る舞いです。
ここからは、よくある落ち方のパターンを紹介します。自分が該当していないか、準備の段階でチェックしてみてください。
前職への不満や批判が強すぎる
転職理由を聞かれた際に、前職への不満や批判が前面に出すぎると、面接官の印象は一気に悪化します。不満そのものが問題なのではなく、それを語る比重と語り口の問題です。
面接官は、前職を強く批判する応募者を見ると「うちに来ても同じことを言うかもしれない」と考えてしまいます。どれだけ正当な不満であっても、そう受け取られた時点で評価は下がります。経験豊富な人ほど言語化が上手いケースも多く、よりリアルに相手も「良くない場面」を想像しやすくなってしまうのです。
前職の批判がNGというわけではありません。ただし不満を「出発点」として扱い、「到達点」には前向きな展望を置きましょう。前職でこういう限界を感じた、だから次はこういう環境で力を発揮したい、という構成にすれば、同じ内容でも前向きな文脈として伝わります。
志望動機が抽象的である
「貴所の多様な案件に携わりたい」「成長できる環境だと感じた」といった志望動機は、どの事務所にも使い回せる便利な言葉です。しかし面接官はこうした回答を日常的に耳にしているため、抽象的な志望動機では「この事務所でなくてもいいのかもしれない」と判断してしまいます。
特に経験者の場合、抽象的な志望動機は実力への疑念にもつながります。キャリアを積んでいるにもかかわらず志望理由が薄いと、本当にこの事務所を積極的に選んだのか、ほかに選択肢がなかったのではないかと受け取られかねません。
志望動機を具体化するには、深い事務所研究が必須です。準備にかけた時間は、志望動機の解像度にも正直に現れます。案件実績、所属弁護士のキャリア、事務所の方針といった情報を調べ、自分のキャリアの文脈と結びつけて語れる状態にしておきましょう。
条件面ばかりを重視している
年収や勤務時間、休暇制度への関心は自然なことです。ただ、面接の場でそれが前面に出すぎると、仕事の中身より待遇を優先する人材という印象を与えます。特に法律事務所の面接では業務への関心や専門性への意欲が期待されるため、条件面への言及が多いほど評価は下がりやすい傾向にあります。
条件に関する質問は、面接官から聞かれたタイミングで答えるのが基本です。こちらから積極的に持ち出すのは内定後の条件交渉まで控えてください。逆質問の場面で条件面ばかりを聞くのも同じ理由で避けたほうが良いでしょう。
業務への関心を軸に据え、条件の話は求められたときに誠実に答える姿勢が、結果として条件交渉の場でも信頼につながります。
担当案件や役割を具体的に説明できない
経験者の面接で意外と多いのが、自分の担当案件を具体的に説明できないケースです。実際に深く関与してきた案件であっても、言語化の準備をしていないと、面接の場では「なんとなく関わっていた」という印象を与えかねません。
面接官が聞きたいのは、案件の概要ではなく、その案件における自分の役割と判断です。「大型M&A案件を担当しました」という説明は出発点にすぎません。「どのフェーズで何を判断し、どういう結果につながったか」まで語れて初めて、実力の裏付けとして伝わります。
経験年数が長いほど案件数も増えるため、かえって何を話すべきか迷ってしまうかもしれません。そのような場合は、直近の代表的な案件を2〜3件に絞り、それぞれについて自分の役割を一段階深く言語化しておきましょう。
法律事務所の面接でおすすめの逆質問
逆質問は、志望度と入所後のイメージを伝えられる最後の機会です。「特にありません」で終わらせるのは避けたいですが、何でも聞けばいいわけでもありません。質問の内容と相手によって、使い分ける意識が必要です。
ここでは汎用的な逆質問から、面接官別の使い分け方、避けるべき質問まで順に整理します。
汎用性のある逆質問例
面接官の属性に関わらず使いやすい逆質問は、事務所の業務内容や組織の実態に踏み込んだものです。Webサイトで調べればわかる情報を聞いても意味がありません。公開情報だけではつかめない、現場の実感を引き出すような質問を意識してみてください。
- 貴事務所で活躍している弁護士に、共通するキャリアバックグラウンドはありますか
- 現在チームが抱えている課題や、入所者に期待したい役割があれば教えてください
- 案件の方針で迷ったとき、事務所内ではどのように意思決定されていますか
これらは事務所の文化や意思決定の実態に触れる質問です。面接官の回答から、組織の雰囲気や自分との相性を見極める材料にもなります。入所後のミスマッチを防ぐという意味でも、こうした質問を準備しておく価値があります。
面接官別に使い分ける逆質問(代表・現場弁護士・人事)
逆質問は、面接官の立場によって刺さる内容が変わります。同じ質問を誰にでもぶつけるのではなく、相手が答えやすく、かつ本音が引き出しやすい質問を選ぶほうが互いにとって有益です。
代表や共同経営者が面接官の場合は、事務所の方向性や経営判断に関わる質問が適しています。「今後3〜5年で事務所として強化していきたい領域はどこですか」といった質問は、相手の関心領域と自分のキャリアの重なりを確認する場にもなります。
現場の弁護士が面接官であれば、日常の業務実態に踏み込んだ質問が有効です。「案件のアサインはどのように決まりますか」「若手とシニアの役割分担はどういう形が多いですか」といった質問は、入所後のリアルなイメージをつかむ上で役立ちます。
人事が面接官の場合は、選考プロセスや入所後のオンボーディングについて聞くのが自然です。業務の深い話は現場弁護士に委ね、制度や手続きの確認に留めるほうが良いでしょう。
面接官が誰かを事前に把握できる場合は、それぞれに合った質問を1〜2個用意しておくと、逆質問の時間を有効に使えます。複数回の面接がある場合は、回ごとに質問の内容を変えることも意識しておくと良いでしょう。
避けたい逆質問とその理由
逆質問の内容によっては、それまでの面接で積み上げた印象を損なうことがあります。特に避けたいのは以下のような質問です。
「御所では弁護士同士の仲は良いですか」
職場環境への関心は自然ですが、この聞き方では前職で人間関係のトラブルがあったのではないかと受け取られかねません。組織の雰囲気を知りたいなら、「チームでの案件の進め方を教えてください」という形で聞くほうが、好印象を保てます。
「リモートワークはどの程度認められていますか」
働き方への関心自体は問題ありません。ただ、初回面接でこの質問が出ると、業務への関心より条件を優先しているように映ります。働き方の確認は、選考が進んだ段階で行うのが無難です。
「御所でうまくいかなかった弁護士はどういう方でしたか」
一見、自己分析に活かそうとする意欲的な質問に見えます。ただ面接官の立場からすると、答えにくい上に、ネガティブな情報を引き出そうとしている印象を受けます。場の空気を読んだ質問選びも、評価の一部です。
逆質問は、入所後に一緒に働くことを見据えた会話の場です。自分が知りたい情報を得ることと、相手に好印象を残すことの両立を意識できるかどうかが、選考結果にも影響することを覚えておきましょう。
法律事務所の面接前チェックリスト
回答の準備が整っていても、当日の立ち居振る舞いや基本的なマナーが印象を左右することがあります。法律事務所は特に、相手への配慮や誠実さが日常の業務でも求められる職場です。面接の場での振る舞いは、そのまま仕事上の姿勢として見られていると考えておいたほうが良いでしょう。
ここからは、服装や話し方といった当日の準備から、面接後のフォローまで注意すべき点をまとめました。当日の想定外を防ぐために、ぜひご活用ください。
服装・身だしなみ・話し方のポイント
服装はスーツが基本です。法律事務所の面接では、服装で個性を出す必要はありません。清潔感があり、相手に余計な印象を与えない服装を選ぶことが最低条件です。
話し方については、声の大きさとテンポを意識しておくと良いでしょう。質問を聞き終えてから一拍おいて答える習慣をつけておくと、落ち着いた印象を与えられます。
面接官が人事担当者の場合は、平易な言葉で話す意識が必要です。法律の専門用語を多用しすぎると、かえって「相手に伝える力」への疑念を持たれることがあります。
経験者ほど「話せる」という自信から準備を省きがちですが、意識しないと話し方には癖が出ます。想定質問への回答を考えたら、必ず一度は声に出して練習しておきましょう。
受付から退室までの基本マナー
面接の評価は、面接室に入る前から始まっています。受付での対応や待合室での振る舞いが、後で採用担当者に伝わることも珍しくありません。時間には余裕を持って到着し、待機中もスマートフォン等の操作は控えておくのが無難です。
入室時は、ドアをノックしてから入り、着席を促されてから座るのが基本です。こうした所作は社会人として当然のことですが、緊張した場面では意外と抜け落ちます。特に経験者の場合、「できて当然」という前提で見られているため、粗が目立ちやすい側面があります。
退室時は、面接の機会への感謝を一言添えてから辞去するのが自然です。面接室を出た後も、エレベーターや建物の外に出るまで気を抜かないよう意識してください。
面接後の連絡(お礼メールなど)の考え方
面接後のお礼メールが、採否を直接左右することはまずないでしょう。ただ、丁寧な対応が評価のプラスになることはあっても、マイナスになることはないため、送っておいて損はありません。
内容は簡潔で構いません。面接の機会への感謝と、改めて入所への意欲を一言添える程度で十分です。長々と書いても読まれない可能性が高く、かえって印象が散漫になります。送るタイミングは、当日中が理想です。翌日以降になると、印象が薄れます。
お礼メールで面接中に言えなかったことを補足しようとするのは避けましょう。追加のアピールは、採用担当者に対応の負担をかけるだけでなく、「面接までに準備できなかった人」という印象を与えてしまいます。伝えるべきことは面接の場で完結させておくのが前提です。
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2:コロナ禍における弁護士の生存戦略と市場価値の高いキャリアを築くポイント
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まとめ
経験弁護士の面接は、準備の質が結果に直結します。場数を踏んでいるからこそ、かえって準備を省いてしまうケースも多いですが、面接官が見ているのはキャリアの長さではなく、そのキャリアをどう語れるかです。
選考で希望の結果を得るためには、自分の経験を客観的に整理し、志望先の事務所に引き付けて語れる状態にしておくことが欠かせません。
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