法律事務所への転職活動時、面接が行われることがほとんどです。
司法試験という難関資格を取得していたとしても、人気の法律事務所では就職希望者が殺到するため、採用されないということもあるでしょう。
希望の法律事務所へ就職するためにはどうすれば良いのでしょうか。
採用試験の流れや面接で聞かれること、事前に準備しておいた方が良いことや面接で気をつけるべきことなどを紹介します。
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目次
面接前に知っておきたい法律事務所の種類別の特色
まず、法律事務所の種類について説明します。
四大法律事務所
四大法律事務所とは、以下の4つの法律事務所を指します。
これらの法律事務所では、主に大企業などの企業法務を専門的に行っています。また、日本国内にとどまらず外国拠点も持っているので、国際案件に携わることができますし、海外に赴任する可能性もあることが特徴です。
給与水準も高く、新人弁護士でも1,000万円ほどの年収を得ることができます。ただし、これらの大手法律事務所へ就職できるのは東京大学などの法科大学院でトップクラスの成績を有する人がほとんどとなります。
また、近年ではTMI総合法律事務所の弁護士数が急増しており、五大法律事務所と呼ばれることもあるようです。
ジュリナビが行った「71期司法修習終了者の就職状況」によると、TMI総合法律事務所を含めた五大法律事務所の採用人数は7年連続増加しているそうです。法律事務所就職者総数は1,199名に対して194名が五大法律事務所への就職となり、16%超(約6人に1人)の割合となっています。
準大手法律事務所
四大法律事務所に続く規模の法律事務所のことを準大手法律事務所といいます。四大法律事務所に比べると給与水準は若干劣りますが、四大法律事務所より採用の難易度は下がります。
また、四大法律事務所が企業法務メインの取り扱いに対し、準大手法律事務所では個人案件の取り扱いも行っています。
そのため、将来的に独立を目指していて大きな案件も小さな案件も横断的に体験したい人に向いています。
中堅法律事務所
中堅法律事務所では、企業法務を扱うところもありますし、一般民事などを扱うところもあります。大手法律事務所に比べるとパートナーの数が少ないので、アソシエイトの内からさまざまな案件に取り組むことができ、パートナーの座を狙いやすいという特徴もあります。
ブティック系法律事務所
ブティック系法律事務所とは、企業法務における金融法務・知的財産・倒産など特定の分野に特化した専門性の強い法律事務所のことを指します。
たとえば金融法務に携わりたいという強い希望があるのであれば、守備範囲が広くなる大手法律事務所よりブティック系法律事務所で経験を積んだ方が専門性を伸ばすことができます。
また、ブティック系法律事務所で専門性を磨いてから、大手法律事務所へ転職したり、インハウスローヤー(企業内弁護士)へしたりというキャリアパスを進むことも考えられます。
個人法律事務所
個人法律事務所とは、一人のパートナー弁護士と数人のアソシエイトで構成されるような規模の小さな法律事務所のことです。小さな組織であるがため、新人のうちから任されることも多くなり、自分も独立を考えて幅広い案件を経験したい人に向いています。
しかし、一般民事や刑事がメインで企業法務を扱う法律事務所は少ない傾向です。
法律事務所で募集する人材は弁護士だけではない
法律事務所では、弁護士だけではなく、弁護士業務をサポートするパラリーガルや弁護士秘書の募集も行われます。
パラリーガルと弁護士秘書の区別があまりない法律事務所もありますが、パラリーガルは法律知識を要し、弁護士秘書は法律知識を要しないという考えが一般的です。
法律事務所での面接採用の流れ
次に、大手法律事務所を参考に面接採用の流れについて説明します。
説明会参加
法律事務所にエントリーする前に、説明会への参加をします。事務所についての基本情報などを聞いたり、先輩弁護士との交流ができたりするようです。
事務所訪問
大手法律事務所では、エントリー前に事務所訪問をマストにしているところもあります。この事務所訪問に参加できないと選考に進めない場合もあるので、ホームページなどで日程や応募方法などをきちんと確認しておきましょう。
書類選考
書類選考のために、履歴書・司法試験成績表・法科大学院成績表(弁護士)などを送付するのが一般的なようです。書類審査に通れば面接に呼んでもらえます。
一次面接
一次面接は集団面接で行われることが多いようです。
適性検査
弁護士としての適性があるかというテストが筆記やwebで行われる法律事務所もあります。
最終面接
最終面談は個人で臨むことが多く、所属弁護士や人事部長などが面接官となります。
内定
最終面接に合格すると内定をもらうことができます。
web説明会も増えている
地方に住んでいると、説明会のために交通費がかかったり、数時間のために1日がかりで移動したりと負担も大きくなりやすいです。
最近では、遠方者向けにwebでの説明会を実施しているところもあるので、上手く活用するべきといえます。また、web説明会の参加だけではなく、web上で質疑応答に答えてくれる事務所もあります。
法律事務所での面接で聞かれやすい質問9つ|志望動機や思い描くキャリアプランなど
法律事務所での面接ではどんなことを質問されるのでしょうか。
志望動機
法律事務所での面接において、志望動機は必ず聞かれる質問といえます。この志望動機では、「なぜ他の法律事務所ではなくこの法律事務所で働きたいのか」という熱い思いを伝えましょう。そのためにも、事前によく法律事務所について研究しておくことが大切です。
自己PR
自己PRでは、自分が今まで頑張ってきたことなどをアピールします。ただ、過去の栄光をアピールするだけではなく、その経験が弁護士としてどのように発揮できるかを紐付けて話すようにしましょう。
また、大手法律事務所では海外案件に携わることもあるので、英語力がある場合は大きなアピールポイントとなります。語学力に自信があるならば、自己PRに盛り込むようにしましょう。
キャリアプラン
どのようにキャリアについて考えているのかもよく聞かれます。「パートナーになりたい」「海外で活躍するためにロースクールに留学したい」などの目標を伝えるようにしましょう。
特に女性の場合は、結婚や出産で辞めてしまわないかが採用する身としては不安です。
どのように育児とキャリアを両立しようとしているかなど具体的に説明できるようにしておきましょう。
なぜ弁護士になったのか
弁護士になった理由についても聞かれやすいので回答の準備をしておきましょう。弁護士を目指した理由は人それぞれなので、本音を話せば大丈夫です。簡潔にわかりやすく説明することが大切といえます。
なぜ前の事務所を辞めたのか
法律事務所から法律事務所に転職する場合は、辞めた理由について聞かれるでしょう。たとえ、「激務であった」「パートナー弁護士のパワハラがあった」などのネガティブな理由だったとしても、そのまま伝えないようにした方が無難です。
辞めた事務所より大きな事務所を目指すときは「より大きな案件を担当して仕事の幅を広げたい」「海外案件に挑戦したい」などのポジティブな理由にした方が印象は良くなるでしょう。
また、辞めた事務所より規模の小さい事務所を目指すときには「1人でカバーできる仕事が多く、若いうちから成長できそう」「顧客に寄り添った対応をしたい」などの前向きな理由が好まれます。
前の事務所での経験
前の事務所でどんなことを経験したのかということも聞かれやすいです。もし前の事務所でやってきた経験を活かせるポストがあれば、面接に受かる可能性が高くなるでしょう。
たとえば、準大手やブティック系の法律事務所から大手法律事務所を目指す場合、本来であれば難易度の高い転職となります。しかし、金融法務などの専門性が高い案件に従事していたことがアピールできると、そのポジションが空いていれば採用されやすくなります。
希望年収について
転職の場合、求人の段階では年収が未定になっており、多くの場合は本人の経験やスキルを鑑みて年収が決まります。
転職の際は少しでも年収アップしたいという気持ちになるかと思いますが、高く見積もりすぎると「そんなには出せないから採用しない」とされてしまう可能性もあります。
転職エージェントを活用しながら実際にその法律事務所で働いている人の年収相場を確認しておき、適正な年収を希望年収として伝えた方が良いでしょう。
どんな案件に興味があるのか
自分の得意分野をアピールできる質問です。どんな案件に興味があり、どのように活躍したいのかを説明しましょう。
たとえば企業法務の中の金融に興味があり、大学や法科大学院で重点的に勉強をしてきたならば、それをアピールしてください。
この面接が配属にも影響をもたらし、希望した仕事ができる可能性もあるからです。
なぜ一般企業ではなく法律事務所で働きたいのかなど
最近では、法律事務所ではなく一般企業のインハウスローヤーとして働く弁護士も増えています。そのため、法律事務所ではなぜ一般企業ではなく法律事務所を選んだのかと聞くと場合もあるようです。
弁護士が法律事務所の面接で気をつけること
次に法律事務所の面接で気をつけなければいけないことを紹介します。
法律事務所の他にはない強みを探す
法律事務所にはそれぞれの特徴・強みがあります。たとえば大手法律事務所は大手企業相手に企業法務を行うのがメインですが、進出している国が違ったり、得意領域が違ったりします。
法律事務所の強みを調べるのは、ホームページやインターネット上での口コミを調べたり、先輩弁護士に聞いてみたりという方法があります。
強みを理解して、それを志望動機に盛り込めると「なぜこの法律事務所に入りたいか」という理由に説得力が増すでしょう。
本気度をアピール
特に大手法律事務所は就職したい人も多く人気なので、面接を希望する人も多いです。せっかく面接まで漕ぎ着けたとしても、やる気を感じてもらえなければきっと落とされてしまうでしょう。
面接では「絶対にこの法律事務所で働きたい」という気持ちをアピールすることが大切です。
とくに弁護士の面接では、みんな司法試験に受かっており、能力自体に差はないので、熱い気持ちをぶつけることで面接官の心を響かせることができるのではないでしょうか。
親しみやすく清潔感のある見た目に
弁護士は多くの顧客と出会う仕事です。もし「この人には法律相談したくないな」と思われてしまえば相談してもらえないということもあります。
そのため、親しみやすく清潔感のある見た目にして、「この人は頼りになる」とファーストインプレッションで思わせることが大切です。
面接でも、このような視点で見られることを忘れずに笑顔を忘れずに、スーツや髪型に気をつけて望みましょう。
傾聴力をアピール
弁護士の仕事は「顧客がどのような問題で困っているか」ということを具体的に引き出すことから始めます。弁護士が横柄で話しにくい態度であれば、顧客も潜在的な問題を顕在化することが難しくなってしまいます。
そのため、人の話を聞く態度には気をつけるべきですし、間の良いタイミングで質問をするなどコミュニケーションが円滑にできるとポイントもあがります。
面接では一方的に自分の話をするばかりではなく、傾聴力もアピールしてください。
法律事務所の雰囲気を事前にリサーチしておく
法律事務所の雰囲気に合うかというのも審査の基準になり得ます。たとえば体育会系の法律事務所に、寡黙で黙々と仕事がしたい人は馴染むのが難しいですよね。
しかし、ホームページでだけでは実際の雰囲気はわかりにくいです。法律事務所の説明会で先輩弁護士と話したり、大学の先輩などの伝手からOB訪問をしたりなど、実際にそこで働く先輩弁護士に雰囲気を確認しておいた方が良いでしょう。
法律事務所での面接で聞くとよい逆質問の例10選
「何か質問はありますか?」と逆質問された際、何もありませんでは心象は悪いので、事前に質問事項は用意していくのが望ましいです。
本気でその事務所に入りたいのであれば質問事項は無限に出てくるとは思いますが、では何を聞けば相手に刺さるのか?という視点も大事なポイントです。
下記では有効な逆質問の例を10個に厳選しましたので、選んでご活用頂ければと思います。
- 事務所の今後の展望:支店展開を考えているのかや、案件拡大に当たっての取り組み
- 取扱い案件の比率:企業法務が何割、離婚が何割などが分かれば上記の質問と併せて何を目指しているのかが判断できます
- 相談案件の集客経路:広告経由が多いのか、紹介案件が多いのかなどがわかると、現状の課題感やどの集客経路に力を入れるべきかの判断も可能です
- 1日のスケジュール:WLBの実現性について判断できます。暗に残業時間も把握できますのでおすすめです。
もしエージェント経由であればすでに共有があるかと思うのでスルーでも大丈夫です - 個人受任の可否:できるならなぜOKにしておるのか、NGならなぜNGなのか聞きましょう。エージェント経由で共有があればスルーでOKです
- 内定者に求めるもの:なぜ弁護士を採用したいのか、その後内定者にどうなって欲しいのか。直接聞くことでまた温度感を感じることができます
- 弁護士1人あたりの月の案件処理件数:単純な忙しさの度合いを図る意味合いもありますが 、先輩弁護士の力量もこれでわかります。
- 事務所の売り上げ:法律事務所で売り上げを公開していることはほぼないので、このタイミングで聞きましょう。
事務所の年間売上を把握することで、先の案件処理数・事件の比率・集客経路から、先輩弁護士のリアルな年収予想、事務所の地盤、人件費意外にかけている費用などが予測できます。 - 入所までに勉強しておくと良いこと:内定が出た際のイメージを共有することができますので、「ひと押し」としては有効
- 担当事件への関わり方:ひとつの事件に関して、弁護士がどこからどこまで、どう関わっていくのかがわかります。
具体的な業務イメージも湧きやすいでしょう。
他にも『人間関係』『所内の雰囲気』『価値観』『やりがい』などは聞いても良いですが、あまり意味はない質問かと思います。
人間関係や雰囲気が良いのは中の方の主観ですので、あなたがどう思うかは別問題であり、やりがいに関しても個々人で何にやりがいを感じているのかも違います。
そのため、「事務所の雰囲気はが良い」という情報は、極力第三者の口から聞くことをおすすめします。弁護士の知り合いや私たちのような転職エージェントにはそういったリアルな情報がありますので、是非聞いていただければと思います。
その事務所の雰囲気がマッチしない方に対して、無理にご紹介や推薦をしてもお互いが幸せにはなれませんから、その点はご安心いただければと思います。もし興味がある事務所があって、所内の雰囲気を聞きたい方がいらっしゃいましたら、「無料登録」していただき、お気軽にご用命ください。
国内の事務所であれば、だいたいお答えできると思います。
法律事務所採用試験のエントリー方法
次に、法律事務所採用試験のエントリー方法について説明します。
法律事務所のホームページから直接エントリー
法律事務所のホームページには「採用情報」というコーナーがあって採用の流れや方法について説明があります。ここから直接エントリーできる場合もあり、募集開始になったらホームページ上から応募ができます。
新卒就職サイト
新卒就職サイトのリクナビやマイナビ経由でエントリーする方法もあります。法律事務所によっては、直接のエントリーはできず、このようなサイトに一本化しているところもあります。
転職サイト
転職の場合は転職サイトからエントリーすることも可能です。普通の転職サイトを利用するより弁護士や士業専門の転職サイトを利用した方が案件も豊富です。
一つの転職サイトにしか求人を出していない場合などもあるので、複数の転職サイトに登録しておくとより良い条件の法律事務所を見つけることができるでしょう。
転職エージェント
転職では転職エージェント経由でのエントリーすることも可能です。弁護士に特化した転職エージェントもあり、転職エージェントにしかない求人もあるので、転職サイトと併用して探すことをおすすめします。
転職エージェントを利用するメリットとしては、面接の日程を調整してくれたり、面接の対策をしてくれたりすることです。特に働きながらの転職で忙しい人は転職エージェントに頼ったほうがスムーズに転職できるでしょう。
知人の紹介
中小・個人法律事務所の場合は、大々的に採用情報を出さずに紹介による採用を行う場合もあります。求人広告には費用がかかりますし、紹介の場合は紹介者に迷惑がかからないようにときちんと働く可能性が高いからです。
もちろんこのような場合でも面接は設けられますし、どんなに紹介とはいえ目に余る態度なら落とされることもあるので、気を引き締めて臨むようにしましょう。
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まとめ
法律事務所にはさまざまな種類がありますが、どの法律事務所の採用にも面接はつきものです。特に人気な法律事務所の場合は就職希望者が殺到しますので、しっかり準備をして面接に挑むことが大切といえます。
採用試験を受ける法律事務所の特徴を調べておき、自分の経験やスキルをどのように活かせるかを売り込むことが大切です。
また、同じレベルの就職希望者がいる場合には本気度も重視されます。言葉や態度で「絶対にここで働きたい」という熱い気持ちをアピールしましょう。
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