新卒で入所した法律事務所や企業が自分に合えば良いですが、「年収が低い」「労働条件が悪い」「もっと専門性を極めたい」などさまざまな理由で転職を考えることもあるでしょう。
弁護士の働き方は以前と比べて多様化してきています。法律事務所からインハウスローヤーなど一般企業への転職を検討している人も多いのではないでしょうか。
しかし、新型コロナのありいつにも増して転職にはリスクが大きくなっているという見方もできますし、弁護士の転職においては自身の年齢や、待遇面を含め慎重に行う必要があるといえます。近年の弁護士の需要の傾向はどうなっているのでしょうか。
本記事では、法律事務所・企業内弁護士別の傾向についての調査と転職で成功するために身につけたいスキルなどを紹介します。
目次
- 1 弁護士・法律事務所の現状把握|弁護士数の推移と需要
- 2 新型コロナによる弁護士転職市場への影響
- 3 弁護士が転職を考える主な理由として多いもの
- 4 弁護士が転職を考え始める年齢
- 5 法律事務所別の年収水準と転職事情
- 6 弁護士の年齢・職種別の平均年収
- 7 インハウスローヤー(企業内弁護士)の転職事情と年収水準
- 8 弁護士のキャリアパス|法律事務所への転職とインハウスローヤーの働き方
- 9 弁護士の転職成功事例
- 10 新人・中堅弁護士も弁護士特化型転職エージェントを利用するメリット
- 11 弁護士の転職ならNO-LINIT|弁護士業界に特化したアドバイザーがサポート
- 12 弁護士業界に特化した転職エージェント10選
- 13 弁護士が転職を成功させる内定率UPに寄与する6つのポイント
- 14 まとめ
弁護士・法律事務所の現状把握|弁護士数の推移と需要
2019年の弁護士数は41,118人となっています。過去5年間で見てみると、
- 2015年は36,415人
- 2016年は37,680人
- 2017年は38,980人
- 2018年は40,066人
と年々増えているのがわかります。
弁護士には定年がないため、日本人の平均寿命が伸びていることも影響し、弁護士の総数が増えていることが想像できます。
大手法律事務所の採用は増加傾向
業界大手の5大法律事務所の
は、平均年収も高く、就職希望者がとても多いです。
5つ合わせた採用者人数は64期の81人以降年々増え続けて、71期では194人が採用されたそうです。
71期の司法修習終了者は、1,517人の内、法律事務所に所属したのは1,199人なので、法律事務所勤務の約6人に1人が5大法律事務所に就職したことになります。
このように、大手法律事務所の採用は好調であることがわかりました。
法律事務所の規模別採用事情
法律事務所の規模で採用傾向は異なり、所属弁護士が50名以上、10〜49名以上の法律事務所は年々採用人数を増やしています。一方、3〜9人の規模の法律事務所では、65期の50.4%から年々採用人数を減らしており、71期は36%まで落ち込んでいます。
表:71期事務所採用人数別の分布割合
事務所規模 | 事務所数 | 71期採用人数 | ||
事務所数 | 構成比 | 人数 | 構成比 | |
50名以上 | 19 | 2.7% | 320(70) | 26.3% |
10~49名 | 191 | 27.4% | 346(67) | 28.5% |
3~9名 | 384 | 55.0% | 443(87) | 36.5% |
2名以下 | 104 | 14.9% | 106(13) | 8.7% |
総計 | 698 | 100.0% | 1,215(237) | 100.0% |
このように、規模が大きい法律事務所は採用を増やしていますが、小規模・個人事務所では新卒採用も少なくなっているのです。
採用を増やしている法律事務所は、ニーズの変化に合わせて企業法務をメインとする組織化された大規模事務所へ変化して行くでしょう。
各弁護士会に所属する弁護士数の推移
弁護士は各地方の弁護士会に所属しますが、71期の東京・大阪・名古屋の大都市圏での新規所属者が71.4%を占めます。そのうち東京弁護士会は22.7%、第一東京弁護士会は17.3%、第二東京弁護士会は16.6%と、東京だけに56.5%集中していることがわかりました。
都市部に弁護士が集中していることを見ると、人口減などの影響を受ける地方では案件が減るなどして弁護士のニーズは少なくなっていることが想像できます。
企業内弁護士も増えている
日本弁護士連合会の調査によると、企業内弁護士の数は年々増加しており、2009年には354人だったのが2019年には2,418人まで増えています。
企業内で不祥事や決算の不正が起これば、企業の価値を大きく揺るがす問題となり、上場企業であれば株価が暴落するなどして通常の企業活動ができなくなります。
顧問弁護士などをつけて都度相談をするという手もありますが、外部の人間なのでアドバイスはくれても意思決定には関与してくれません。また、案件が多い場合は顧問料や相談料が高額になるケースもあるでしょう。
そのため、不祥事を防ぐために社員へのコンプライアンスを強化、取引で不利になることや誤った手続きをしないかの確認、トラブル時の対応など、当事者として動いてくれる弁護士を社員として雇いたいという企業が増えているのです。
また、法律事務所に比べると、残業時間が短くワークライフバランスも取りやすいので、転職をしたり、法律事務所を経験せずに司法修習修了後に直で企業内弁護士になったりというケースも増えています。
需要と供給のニーズが伸びたことも相まって企業内弁護士の人数は増えているのです。
参照:日本弁護士連合会|弁護士白書 企業組織内弁護士数の現状推移
新型コロナによる弁護士転職市場への影響
昨今のコロナ渦で、一般転職市場における『有効求人倍率』は激的に下がったのは間違いありません。
では弁護士業界はどうか、専門特化エージェントの立場として回答させて頂きます。
法律事務所の中途採用
新型コロナによって弁護士の中途採用をストップした事務所は少数で、引き続き採用を続けている事務所が9割といった所感です。完全にストップした事務所に関してはもとより1名から2名体制で業務を行っていた事務所になり、急いで弁護士を採用するより、まずは足元の基盤を固める、調整といった対策を行っています。
一方で、債権回収をメインに行っていた事務所、企業法務をメインにしていた小規模事務所は経営的にも危機的状況に陥ってしまったケースもありますが、採用に限った話しでは全体に影響を及ぼす大事にはなっていないようです。
ご質問ありがとうございます!
— NO-LIMIT(ノーリミ)|弁護士専門の転職エージェント (@NO_LIMIT20XX) November 26, 2020
確かに、流行病が起因して、なるべく人件費を抑えるために採用を抑制する事務所もありますが、一方では、この状況下においても案件を多く獲得し、採用をさらに強化する事務所も一定…
続きは質問箱へ #Peing #質問箱 https://t.co/fzjGXaVm6m
弁護士の新卒採用に関して
新人弁護士の採用に関してですが、74期が司法試験延期の影響を受け、本来は春先から実施予定であった法律事務所の説明会や採用活動を延期する法律事務所は多数見られます。また、『東京三会修習生就職合同説明会』も新型コロナ感染予防の観点から、オンラインでの開催に切り替えている状況です。
東京三会修習生就職合同説明会
第74期司法修習予定者等東京三弁護士会就職合同説明会のご案内
(2021年2月4日~2月8日)
例年、会場で開催されていた修習予定者等向け就職合同説明会を、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、今年度はオンラインで開催いたします。
2020年11月11日より参加事務所・参加企業の募集を開始いたします。引用元:東京三会修習生就職合同説明会
内定取消にあった73期もいる
実際に、NO-LIMITに登録をして頂いた修習生の中にも、内定取消しあったという方も少数ながらおります。
NO-LIMITが独自に調査した73期向けの就職アンケートでは、内定取り消しがあったと回答した新人弁護士が20.6%(97名)存在。決定人数は57.9%(372名)で半数は就職先が決まっているものの、未だ就職が決まっていない方が35.3%(166名)もいるという結果に。
73期司法修習生向け:就職(進路)は
— NO-LIMIT(ノーリミ)|弁護士専門の転職エージェント (@NO_LIMIT20XX) November 30, 2020
未曾有の状況下で、売り手市場だった新人弁護士の就活事情も、転換の兆しがあります。しかし、まだまだ開拓の余地があります!決して悲観することはありません。NoLimitは新卒の方の就活もサポートさせて頂いておりますので、お気軽にご相談ください。 https://t.co/sjs6u3xOq3
— NO-LIMIT(ノーリミ)|弁護士専門の転職エージェント (@NO_LIMIT20XX) December 2, 2020
内定の取り消しを受けた方が入所予定であった事務所は、弊社とはお取引のなかった事務所でしたが、正直内情はかなりブラックであり、代表弁護士のワンマンとパワハラが横行していた事務所でしたので、特に意外性はありませんでしたが、顧問先がコロナの影響による縮小の煽りを受けているようです。
弁護士が転職を考える主な理由として多いもの
まず、どのような場合に弁護士の方は転職したいと考えることが多いのでしょうか?弁護士の転職としては、「弁護士は続けるけど今の職場から転職したい」「弁護士そのものから転職したい」と考える2パターンがあるかと思います。
それぞれよくある転職理由についてご紹介します。
事務所での人間関係
まず、弁護士は続けたいけど今いる職場から転職したいと考える方が圧倒的多数で、全体の約7割ほどという所感です。職場の環境がご自身の考えと一致していないことが主な理由になりますので、転職先のリサーチさえきちんとできれば、問題なく転職を済ませることができるでしょう。
一般的な会社員の転職理由でも多い内容が職場の人間関係が上手くいかないケースです。特に小規模な事務所で働かれている方は、人の入れ替わりもあまり起こりませんから、一度先輩や代表弁護士といざこざが起きてしまうと、働くことそのものが憂鬱になってしまいます…。
ちょっとしたすれ違いやご自身にも原因があって人間関係のトラブルになっている場合もありますので、一度客観的に解決の糸口を探ってみて、それでもこれ以上人間関係を良好にすることができないようであれば、十分な転職理由になるでしょう。
ただ、転職するとなっても転職先の人間関係が良いものだとは限りません。所属する弁護士のSNSや公式サイト、ブログなどを通してどのような弁護士が所属しているかをチェックする必要がありますね。
将来への不安
人間関係もそうですが、
- 仕事があまりない
- 所属する弁護士と考え方が違う
- 自分がやりたい分野の案件をもらえない
など、「このままこの事務所で働き続けて良いのだろうか?」と思って転職に踏み切るかたも多いです。事務所や働き先によって、方向性や待遇は大きく変わってくるため、転職によって将来性の不安が払拭できることも大いに期待できます。
やりたい業務ができていない
もともと「○○をしたいから」と弁護士を志したのにも関わらず、事務所が取り扱う案件や方針でなかなかやりたい分野の事件を担当できていない方もおられます。今いる事務所で弁護士の基本的な業務ができるようになってきたら、その分野に特化している弁護士事務所に転職したり、ご自身で独立を検討しても良いでしょう。
弁護士自体が辛い…
どの仕事でもそうですが、働き始めるイメージと実際に働いた後では、大変さや日々の業務に対する熱意などで差違が生まれることもあります。
特に弁護士は資格取得までに厳しい道のりがある職業なので、「合わなかったから他の職業に」と、気軽に職業まで変えられるものでもありませんが、弁護士資格を活かした働き方や企業内弁護士などのまた少し違った弁護士・専門家としての働き方などを検討してみても良いかもしれませんね。
過酷な労働環境|ワークライフバランスを求めて
弁護士は、一般的な会社員に比べると高収入の職業ではありますが、労働時間など度外視で働いている方も多いです。いくら良い待遇を受けていても、毎日遅くまで働き詰めでプライベートの時間が全く確保できない状態になると、漠然と不安や不満を覚える方も少なくないでしょう。
例えば、企業内弁護士に転職すれば、他の従業員と同じく労働基準法で保護された労働環境で働けて、仕事とプライベートのバランスを整えられるかもしれません。企業内弁護士を選ぶ理由の多くも、ワークライフバランスという回答が圧倒的ですね。
引用元:日弁連|第2回「企業内弁護士キャリアパス調査」に関する調査結果
仕事を獲得できない
一方、仕事が少なく収入が低いことに悩んで転職を考えている弁護士もいます。弁護士の数は年々増加しており、弁護士同士で案件を取り合っている状態にあります。事務所の状況によっては個人受任が不可で、時間と労力が見合っていない方も大勢いらっしゃいます。
また、数年前まで弁護士業界で盛んに取り扱われていた、過払い金請求の案件も時効成立によって数が大幅に減少してきたことも、大きな影響があるでしょう。
【参考】
一方で、依頼が途絶えない弁護士や事務所は必ず存在します。そのような波に乗っている事務所や企業に転職することも良い選択肢ですね。
また、近年は各企業コンプライアンスにも力を入れる傾向にあるため、企業で弁護士を採用するケースやコンサルタントを受ける企業も増えてきています。弁護士事務所に所属して、依頼者からの依頼を受けるという今までの当たり前の働き方から少しずらしてみることで、弁護士が活躍できる場面はまだまだ多くあると思えます。
クライアント対応に疲れた
個人を対象とした弁護士活動では、基本的に困っている人・悩んでいる人を助けるために法律という専門知識を交えながら解決に導いていきます。しかし、常に大変な思いをされている方の相手をしていることで、弁護士本人の精神的負担にもなる場合があります。
そのような依頼者に対して窮屈さを感じてしまった方は、企業法務やコンサルタント、企業内弁護士など、悩み解決よりも問題発生を防ぐような法律知識の活かし方ができる勤務先を探してみると良いかもしれません。
弁護士が転職を考え始める年齢
私たちの場合ですが、転職を希望する年代は20代後半〜30代前半(65期〜70期)の弁護士になります。ボリュームゾーンとして多いのは66期〜70期の方(約28%)、71期〜72期(36%)となっています。理由は上記のように様々ですが、事務所でのパワハラがやはり目立ちます。
インハウスを志望する弁護士も多く、ワークライフバランスを充実させたい人と年収を上げたいという理由で二極化が見られます。
弁護士の年齢と転職の成功率
あるの調査によれば、転職が成功した弁護士の年齢は30代が59%で最も多いです。企業や法律事務所の転職市場での採用は積極的にされており、希望に近い条件で転職活動ができていることがわかりました
転職活動を行っていた人は30代が中心のため、転職後の年収は400万円以上699万円以下が65%と一番多かったです。
しかし、メガベンチャー企業の法務部長や外資系法律事務所、大手生命保険会社などへ転職をした人は、30代以下でも年収1,000万円を超えるケースもあります。
弁護士の転職に高年齢でも成功するケース
一般的に転職では「35歳限界説」というものがあり、35歳を超えると好条件での転職が難しくなるといわれています。
しかし、弁護士の場合は弁護士資格に合格するのが30歳を超えてからという場合もあり、30代はまだまだ若手という位置づけになります。そのため、30代で転職する人も珍しくありませんし、転職に成功したというケースも多いのです。
40代を超えるとそれまで経験したことがない分野での転職は難しくなりますが、それまでの経験・スキル・専門性が評価されれば好条件で転職することも可能です。
たとえば、大手法律事務所勤務でアソシエイトとして働いていた弁護士に企業法務系弁護士事務所からパートナー待遇でオファーがあったとします。法律事務所のブランド的には劣るかもしれませんが、パートナーという役職は魅力的ですし、それまでより良い年収条件や待遇で迎えられることもあるでしょう。
稀なケースですが、役員待遇の企業内弁護士として迎えたいというオファーもあります。企業内弁護士でも数千万の年収になるケースもあるので、法律事務所勤務より高年収になる可能性もあります。
このように高年齢でも年収アップできるケースもあるので、少しでも転職を考えているのであれば日ごろから良い条件の求人がないかを探してみてください。
高年齢のために転職が失敗するケースもある
転職先のパートナーと相性が悪いという理由から転職に失敗したと感じることもあるでしょう。
若手の内は我慢したり周りのフォローがあったりするかもしれませんが、高年齢だと経験を重ねてプライドがあるため、意見が対立するなどして仕事がやりにくくなるという懸念をもたれる可能性も考えられます。
また、入所してみたら待遇や給与が入所前に思っていたものと違うというケースもあるかもしれません。若手なら転職もしやすいですが、高年齢の場合は家族もいて、また新しい環境に身を置くことを考えると気軽に転職はしにくいものです。
入所前になるべく情報を集めて、できれば働いている人から実情を聞き、ミスマッチを減らしていきましょう。
法律事務所別の年収水準と転職事情
法律事務所の特徴や年収水準について紹介します。
5大法律事務所
5大法律事務所は、上場企業など日本を代表する大手企業の企業法務を担当します。また、国際的なM&Aや金融法務など専門性が高く規模の大きな案件も得意なのが特徴です。
国際的に活躍するために若い時から海外のロースクールへ留学経験を積めるという可能性もあり、海外で活躍したい人には魅力的に映るでしょう。
ただし、5大法律事務所へ入所できるのは東京大学や慶応慶應大学・早稲田大学などの高学歴と言われる法科大学院を卒業した人ばかりで狭き門といえます。
5大法律事務所の年収は、入所1年目で既に1,000万円を超えて、5年目には1,500~2,000万程度と非常に高い年収水準です。また、パートナーになれば億単位で稼ぐ人もいます。また案件が多いので残業時間が多く、土日も出勤ということもあるので、知力だけではなく体力が伴わないと出世レースに勝ち残るのは難しいのが現状です。
しかし、5大法律事務所出身の弁護士の需要は非常に高く、引く手は数多です。特に西村あさひ出身の弁護士は企業内・企業法務事務所からの重宝される傾向にあり、活躍している弁護士も多くいらっしゃいます。
参考:大手法律事務所からZeLoに参画して見えてきたもの
企業法務系法律事務所
中小企業の顧問弁護士などをするための企業法務系の法律事務所も存在します。契約書のチェックや株主総会対応、M&A案件、各種訴訟対応など期待される業務は多義に渡りますが、5大法律事務所に比べると海外案件などは少ない傾向にあります。
ただし、担当する中小企業の動向によるので、中小企業の成長と共に案件の幅が広がるということもあるでしょう。
企業法務系法律事務所の年収は、事務所の規模にもよりますが入所1年目で500~800万ほどが相場です。5年目くらいで1,000万円を超える場合もあり、パートナーになることができれば数千万円の年収になる可能性もあります。
東証一部上場企業のインハウスローヤー|取締役会関連ほか法務業務の課長ポジション
企業法務を扱う法律事務所に転職するには【転職成功の無料相談実施】
一般民事法律事務所
一般民事を扱う法律事務所では、離婚・債務整理・事故など個人がクライアントになります。企業法務に比べて、トラブルに巻き込まれて本当に困っている人を助けることができるので、そのことにやりがいを感じられるという人もいるでしょう。
こちらも規模や地方により年収水準は大きく異なりますが、入社時の年収水準は300万円~500万円と一般企業の会社員と比べても少ない場合もあります。
しかし、歩合制を取っている場合では、案件を獲得することにより年収がどんどん上がっていくケースもあります。また、独立を見越している場合は、年収よりさまざまな経験を積めるので、年収だけではない魅力があります。
弁護士の年齢・職種別の平均年収
弁護士の平均年収は、年齢や職種ごとに異なります。自身の年収と比べて、転職やキャリアアップの参考に活用してみてください。
ここでは以下のような内容で、ご紹介していきます。
- 20代~30代前半の年収
- 30代後半~40代の年収
20代~30代前半の年収
弁護士の活動などをまとている「弁護士白書2018」における特集、『近年の弁護士の実勢について』によれば、平均年収は2,143万円という数字になっています。
2006年 | 2008年 | 2018年 | |
収 入 | 3,620万円 | 3,389万円 | 2,143万円 |
回答者 | 4,025人 | 4,021人 | 2,584人 |
所 得 | 1,748万円 | 1,667万円 | 959万円 |
回答者 | 3,978人 | 3,977人 | 2,490人 |
こちらは弁護士としての活動による収入・支出のみを対象にし、不動産収入などは省いた数字ではありますが、弁護士数約40,000人のうち、回答者が2584名である点、平均値の場合は回答弁護士の収入格差が激しいと正確なデータがとれないため、平均年収を産出することに、あまり意味はないものと思われます。
では、正確な若手弁護士層の年収はいくなのでしょうか?
『弁護士白書2018』には経験別の弁護士年収がありますので、こちらをご紹介します。
20代~30代前半の弁護士年収中央値
収入(万円) | 所得(万円) | ||||||||||
2006年 | 2008年 | 2014年 | 2018年 | 2006年 | 2008年 | 2014年 | 2018年 | ||||
5年未満 | 平均値 | 1,613 | 1,222 | 796 | 66-70期 | 735 | 770 | 795 | 448 | 66-70期 | 470 |
中央値 | 970 | 850 | 675 | 600 | 660 | 600 | 420 | 430 | |||
回答数 | 733件 | 934件 | 846件 | 660件 | 716件 | 916件 | 811件 | 636件 | |||
5年以上 10年未満 | 平均値 | 2,532 | 2,665 | 1,679 | 61-65期 | 1,550 | 1,419 | 1,554 | 742 | 61-65期 | 792 |
中央値 | 1,876 | 2,000 | 1,300 | 1,200 | 1,047 | 1,150 | 600 | 680 | |||
回答数 | 566件 | 564件 | 645件 | 619件 | 562件 | 558件 | 633件 | 605件 |
参考:弁護士白書2018
同年代の一般的なサラリーマンと比べて、弁護士の平均年収は高めです。司法試験に合格して、弁護士として働くまでの勉強期間や労力などを考慮すると、上記の平均年収が低いと感じる人もいるでしょう。
弁護士の年収には実務経験年数が大きく関わるので、一定の年齢を超えると、他の職種では実現しないような年収アップを期待できます。弁護士の年収には、他の業界にないような傾向があるので、理解しておきましょう。
30代後半~40代の年収
弁護士白書の同資料によると、30代後半~40代の平均年収は以下の通りです。
収入 | 所得 | ||||||||||
2006年 | 2008年 | 2014年 | 2018年 | 2006年 | 2008年 | 2014年 | 2018年 | ||||
10年以上 15年未満 |
平均値 | 3,335 | 3,464 | 2,285 | 56-60期 | 2,237 | 1,713 | 1,807 | 1,033 | 56-60期 | 1,078 |
中央値 | 2,800 | 2,800 | 1,800 | 1,900 | 1,400 | 1,500 | 800 | 900 | |||
回答数 | 433件 | 424件 | 306件 | 308件 | 431件 | 420件 | 303件 | 307件 | |||
15年以上 20年未満 |
平均値 | 4,656 | 5,022 | 2,971 | 51-55期 | 2,962 | 2,489 | 2,431 | 1,139 | 51-55期 | 1,334 |
中央値 | 3,600 | 3,200 | 2,350 | 2,078 | 1,800 | 1,600 | 900 | 1,000 | |||
回答数 | 335件 | 280件 | 203件 | 155件 | 332件 | 281件 | 203件 | 157件 | |||
20年以上 25年未満 |
平均値 | 5,340 | 5,066 | 4,101 | 46-50期 | 3,469 | 2,334 | 2,497 | 1,342 | 46-50期 | 1,307 |
中央値 | 3,840 | 4,000 | 2,697 | 2,760 | 1,800 | 1,995 | 840 | 1,006 | |||
回答数 | 396件 | 351件 | 160件 | 105件 | 396件 | 350件 | 159件 | 102件 |
弁護士の年収は実務経験年数が大きく影響するため、30代後半~40代から上昇する傾向があります。
特に40代後半で平均年収は2,000万円を超えて高額になり始めています。近年の弁護士の年収は、弁護士の数が増えてきて、訴訟の数が減ってきていることなどから全体的に減少しています。一時期よりは平均年収は下がっていても、40代後半で1,000万円を超えているので、まだまだ一般的な職種より待遇は良い傾向にあります。
インハウスローヤー(企業内弁護士)の転職事情と年収水準
年収中央値は500万円〜750万円
日本組織内弁護士協会の調査によると、企業内弁護士の年収のボリュームゾーンは500万円〜750万円未満で、37.9%の人がこのレンジ内です。
次に多いのが750万円〜1,000万円未満で35.2%となっています。大手法律事務所勤務の弁護士に比べると収入は少ないですが、一般的な会社員や一般民事法律事務所に比べると高い年収水準にあるといえます。
役員・ジェネラルカウンセルの年収は2000万円
役員など重要なポストに就くことにより年収5,000万円以上を手にしている人もいます。
企業勤務の場合法律事務所に比べると残業時間が少なく、ワークライフバランスも充実しやすいですし、会社としての制度があれば余裕を持って産休や育休も取ることもできます。
上場企業が企業内弁護士を採用するケースがほとんどなので、社内のルールが整備されている企業なら福利厚生などの恩恵を受けることもできるでしょう。
参考:日本組織内弁護士協会|組織内弁護士協会(JILA)の企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2020年)より
弁護士のキャリアパス|法律事務所への転職とインハウスローヤーの働き方
弁護士の転職には主に「法律事務所」か「インハウスローヤー」が選択肢として挙げられます。年収重視の方には法律事務所、ワークライフバランス重視の方にはインハウスローヤーが人気です。
それぞれに転職するうえで、メリットとデメリットをご紹介していきます。
一般民事法律事務所に転職する場合
一般民事系法律事務所では幅広い事件を扱いますが、特に刑事事件はのちに説明する企業法務系法律事務所やインハウスローヤーでは取り扱わないので、「さまざまな事件を経験してゆくゆくは独立したい」という場合に最適です。
一般民事法律事務所はクライアントからの依頼を受けて仕事を行うので、クライアントからの依頼が集中すれば忙しくなります。しかし、一般民事系法律事務所では、業務の分業が進んでいるところも多く、遅くとも21時くらいまでに終業される弁護士が多いようです。
業務内容
債権回収、交通事故、離婚、債務整理、過払金請求、労働事件、相続、不動産など、ありとあらゆる事件について対応します。弁護士が得意な事件内容に特化した事務所も、少ないですが存在します。
年収
一般民事系法律事務所の年収は、完全給与制か歩合制かなど報酬形態によってかなり幅があります。給与制の場合は500万円〜1,000万円がボリュームゾーンとなるのではないでしょうか。
企業法務・渉外系大手法律事務所に転職する場合
企業法務系法律事務所は、弁護士が300人から500人規模で所属する大手弁護士事務所です。国内大手企業をクライアントとして、弁護士一人ではなく数人のチームで担当することも多いようです。
業務内容
国内大手企業を顧客とする企業法務は、訴訟などが起こらないために契約書類の準備をきちんと行うような予防法務がメインです。しかし、何か事件が発生したら訴訟担当も当然行います。
また、M&Aや上場準備などクライアント企業の業務内容次第でさまざまな対応をしなくてはいけません。大手企業は海外進出や海外取引も多いので、それに対応して英文契約書の準備や英語でのトラブル対応なども求められます。
年収
企業法務系法律事務所の年収は、大手企業から安定した報酬を得られることもあり、一般民事系法律事務所に比べると高水準です。
デメリットもある
弁護士の業務は労働時間が長くなる傾向があり、勤務弁護士はサラリーマンのように労働基準法に該当しないため、長時間労働の規制がつきません。残業代もつかないので、労働時間が長くても給料が高くならないブラック気質の高い現場もあります。
インハウスローヤーに転職する場合
ワークライフバランスが保てる
インハウスローヤーに転職するメリットは、ワークライフバランスのとりやすさです。日本組織内弁護士協会による2020年2月に実施された企業弁護士に関するアンケート調査によると、1日の平均的な勤務時間について、約70%の人が10時間以内という結果がありました。
10時間から12時間と答えた人は、18.8%で、法律事務所で働く弁護士と比べると勤務時間は大幅に少ないでしょう。また、土日祝日の休日出勤について、「ほとんどない」と答えた人は全体の83%になります。
このように、プライベートの充実や、子育て、介護などに時間を割くことができるという点でも、インハウスローヤーの大きなメリットとなっています。
弁護士らしい業務が減る
一方、インハウスローヤーに転職するデメリットは、弁護士らしい業務が減る点です。インハウスローヤーの業務は、企業法務なので契約関連やコンプライアンスに関するものが多く、効率重視の業務となります。
また、法廷に立つ機会もほぼなく、一般的なイメージの弁護士らしい業務が行えません。弁護士のキャリアという点では、弁護士本来の経験が積めないというところが懸念事項です。
社内に弁護士がいない、または少ない
上記のような理由から、弁護士らしい業務が減ることは、インハウスローヤーへの転職のデメリットといえます。加えて、企業によってはインハウスローヤーが少ない現場もあります。その場合は、一人に任される業務が多くなりやすいので、激務になる可能性もあるでしょう。
大企業でインハウスローヤーが多く所属していれば、分業ができます。したがって、応募前に所属しているインハウスローヤーの数についても、確認するのがおすすめです。
一般企業への転職
弁護士資格を活かして、一般企業で特に弁護士としてではなく働く働き方もあります。弁護士資格を持っていることで、必要とされる場面は非常に高く、特に興味がある業界や職種がある場合には、思い切った転職をされても良いでしょう。
弁護士資格が活かせる会社としては、主に以下のものがあります。
コンサルティング会社
コンサルティング会社では、主に経営や利益向上のためにクライアントから依頼を受けますが、法整備を整えることも重要になってきます。
経営や企業法務に興味がある方には、非常に魅力的な仕事になるでしょうし、コンサルティングと弁護士資格を合わせて後々独立するためのステップにすることもできるでしょう。
M&A企業
会社の合併・買収の仲介やアドバイスを行うM&A企業でも多くの法律が関わってきます。また、後述する金融機関や不動産との関わりも多くなってくるため、幅広い法的知識が必要とされています。
金融機関
日々、お金の行き来がされる金融機関では、高い専門知識が求められます。また、顧客とのトラブルも起こりやすい業界でもあるため、法律の知識は大きな武器になるでしょう。
金融機関もM&Aや不動産など、様々な事業展開をしている会社も多いため、幅広い知識が活かせて、自分がやりたかった分野での仕事に就けるかもしれません。
不動産会社
不動産業界でも、売買や賃貸、相続など数多くの法律が関わってきます。契約書の作成ももちろんですが、登記、知財権、紛争の対応など多くの場面で法律知識が求められます。
弁護士の転職成功事例
キャリアと家庭のバランスを考え働きやすい事務所へ移籍
小規模法律事務所:年収600万円
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中堅法律事務所:年収600万円
子供が小学校に上がったタイミングで休職から復帰したいと思っておりましたが、子育てを考えると従来のフルタイムの働き方は難しいため、子育てとの両立に理解ある事務所への移籍を考えていた中でNO-LIMITに登録しました。求人票からはわからない各事務所の雰囲気までエージェントさんに丁寧に説明を受けられたおかげで、女性の働き方に理解ある事務所で育児と両立しながら現場復帰することができました。
上場企業での法務経験を活かし外資系金融機関へキャリアアップ
大手上場企業:年収1,500万円
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外資系金融機関:年収2,000万円
年間上場企業のインハウスとして企業法務経験を積んできましたが、日系企業の給与体系では早期のベースアップは難しいと判断し、外資系企業への転職を考えておりました。語学力や渉外経験を武器にエージェントから提案された某外資系金融機関へ転職し、いまは業務量や案件難易度に圧倒されながらも納得感のある給与と経験が得られる職場に満足しております。
今後のキャリアを見据え、一般民事専門からインハウスへ
総合法律事務所:年収500万円
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大手メガベンチャー:年収600万円
企業法務までまんべんなく経験できると聞いて入所したものの、9割以上が個人案件でスキルが偏ることに焦りを感じ、3年目で転職を決意しました。企業法務ほぼ未経験で職歴書の埋め方に苦労しておりましたが、エージェントにサポートしてもらいながら選考を進めることができ、ポテンシャル採用に積極的な大企業法務部への転職を果たすことができました。
将来の開業を目指し、一般民事まで幅広く対応していきたい
大手渉外系事務所:年収800万円
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一般民事事務所:年収600万円
大手渉外系事務所へ新卒入所しましたが、将来独立開業を志す中で一般民事事件の経験も積む必要があると感じたため、転職活動を始めました。
エージェントさんには私の希望を正しく理解してもらったため、小規模ながら所長含め雰囲気の良い街弁事務所を紹介してもらい、現在はそちらで幅広く業務にあたっております。
新人・中堅弁護士も弁護士特化型転職エージェントを利用するメリット
転職において、一般的に35歳が限界と見られる傾向があります。 弁護士の転職においても、年齢による限界説があてはまるとは限りませんが、より良いキャリアアップ転職をするために、専門的な知識のあるエージェントを使うことがおすすめです。
弁護士転職専門のエージェントなら成功率が上がる
弁護士の転職には「弁護士専門のエージェント」を利用するのがおすすめです。
- ・ 法律事務所の内情に詳しい
- ・ 年収交渉などが可能
- ・ スケジュール調整も代行
「何を持って転職成功とするか」は人それぞれ異なりますが「理想の転職を叶える」という点において転職エージェントはあなたの力になってくれます。
例えば、弁護士業界は転職によって「年収が大きく変わる業界」です。
どの事務所に入るか、あなたの経験をどの程度の年収で売り込めるかは重要です。また「働き方」や「ライフプラン」を重視するなら「弁護士業界のスタンダードな労働内容」「転職先の労働環境」などを熟知している必要があります。
そのため、弁護士業界への転職実績が多い「弁護士専門の転職エージェント」を利用して、理想の転職先が見つけましょう。登録は基本無料です。「年収を上げたい」「働き方を変えたい」などの理想のキャリアアップを考えているなら、弁護士業界に特化した転職エージェントに登録してみましょう。
年齢よりもキャリアや意欲を推薦できる
また、年齢があまり重視されないもう一つの理由が「これまでのキャリアが大きく評価される」ことです。 40代のミドル層の弁護士でも、これまでの実績と経験を上手に提案することで理想の職場へ転職できる可能はあります。
例えば、実務経験が長いと「ビジネスマナーや適応力に優れている」や「顧客からの信頼を得られる」「顧客の立場であらゆるリスクを想定できる」など、弁護士において重要な洞察力が備わっていることを評価してもらえます。
こうした企業との交渉を自身でやることもできますが、弁護士の転職サポート実績が豊富なエージェントに代行してもらうことで、スムーズに運びます。 自身の経験を上手くエージェントにヒアリングしてもらい、転職先へと伝えることで、良い評価を得られるでしょう。
弁護士の転職ならNO-LINIT|弁護士業界に特化したアドバイザーがサポート
弁護士の転職は、一般的に弁護士事務所へ転職するか、インハウスローヤーへ転職するかのどちらかになります。
当サイト「NO-LIMIT」は、弁護士専門の集客支援サービス企業から生まれた弁護士業界、法務人材専門の転職エージェントです。延べ500事務所様以上の取り組み実績を生かした豊富な人材紹介が可能となっています。
弁護士業界に特化したアドバイザーがサポートを行い、業界ならではの悩みや相談に対応ができます。「NO-LIMIT」には、以下のような特徴があります。
- ・各法律事務所の内情を考慮した提案
- ・大手企業、ITメガベンチャーも紹介できる
上記それぞれの詳細について、次項からご説明していきます。
各法律事務所の内情を考慮した提案
「NO-LIMIT」では、各法律事務所の態勢や、案件の獲得経路、所属弁護士の人間関係まで把握しています。
これは人間関係が理由で、転職する人が多い弁護士業界において重要な事項です。通常の転職では、転職先の人間関係について、転職後でないとわからない内容です。しかしNO-LIMITでは提案段階からお伝えできます。
また、弁護士業界は比較的閉鎖的で、売上などの情報を開示する必要がありません。「どの事務所が何をしているのか」「どのような特徴があるのか」などわかりにくい状況です。だからこそ、このような事務所や企業の内情を正確に把握し、最新の状況をお伝えしています。
つまり「NO-LIMIT」のメリットなら、転職先の所属弁護士の特徴や内情などを踏まえたうえで、それぞれの適正を考慮した転職先をご提案いたします。
大手企業、ITメガベンチャーも紹介可能
近年ではインハウスローヤーへの転職も人気のため、法律事務所以外の求人も豊富に取り揃えています。ワークライフバランス重視するだけでなく「大手企業」「ITメガベンチャー」などのハイキャリアを狙いたい方へもご紹介ができます。
万が一、希望する応募先がない場合は営、業担当が新規開拓まで行います。弁護士業界に特化した転職支援サービスで、転職先の新規開拓まで行えるのが「NO-LIMIT」の魅力だと思います。
希望にマッチする求人を提供することに対して、他社よりも熱のこもったサポートをさせていただきます。
法律事務所へ転職|おすすめの求人例
法律事務所へ転職を検討中の方へ、おすすめの求人をご紹介します。
- 年収が高めの法律事務所求人
- 年収が低めの法律事務所求人
- 勤務地が地方の法律事務所求人
年収が高めの法律事務所求人
年収が高めの法律事務所求人には、以下のような求人があります(2020年11月現在)。
- 職種:クロスボーダーM&A経験者歓迎
- 年収:800万円~1500万円
- 業務内容
- 1:国内企業法務全般
- 2:国際企業法務全般(東南アジア諸国向け)
- 3:その他(事業再生・行政・知財・国際案件など)
- 必須要件:
- 東京・大阪勤務の場合は日本法の弁護士資格
- 東南アジア諸国勤務の場合は海外弁護士資格のみでも可
クロスボーダーM&Aのご経験弁護士歓迎|都内の企業法務事務所
年収が高めの法律事務所求人には、専門性があり高度な経験が求められます。上記のケースだとクロスボーダーM&Aの経験者が、歓迎要件として挙げられています。また、弁護士経験としては5年目以降という点も想定年収が高い要因です。
年収が低めの法律事務所求人
年収が低めの法律事務所求人には、以下のような求人があります。
- 職種:刑事・少年事件のリーディングファーム|アソシエイト弁護士の募集
- 年収:600万円~
- 業務内容:
- 刑事事件、少年事件、外国人事件、犯罪被害者支援。
- 法律相談から捜査弁護活動を経て公判・審判における法廷弁護活動
- 刑事事件・少年事件の全過程における弁護活動
- 必須要件:弁護士資格
年収が低めの求人には、一般的な法律事務所の業務経験が求められます。また、経験年数の必須要件は、そこまで条件が厳しくない特徴があります。上記のケースでは、刑事、少年事件のみを専門的に扱う法律事務所なので、関連する経歴があれば待遇が良くなる可能性もあります。
勤務地が地方の法律事務所求人
勤務地が地方の法律事務所求人には、以下のような求人があります。
- 職種:事務所拡大に伴う弁護士募集
- 年収:500万円~700万円
- 業務内容:
- 交通事故・労災:5割
- 離婚・相続:4割
- 企業法務(主に中小企業の顧問):1割・必須要件
- 必須要件:弁護士経験3年以上
【香川県弁護士法人】事務所拡大に伴う弁護士募集
勤務地が地方の法律事務所求人の特徴は、少人数で地元に寄り添った体制です。したがって、協調性や同メンバーとのコミュニケーションが大切になってきます。自分が生まれ育った地元であれば、より働きやすいでしょう。
上記の求人の年収としては、地方だからといって都市の求人との大きな差はありません。しかし、全体の傾向としては地方の法律事務所の年収は、主要都市より下がる傾向にあるので、注意が必要です。
インハウスローヤーへ転職|おすすめの求人例
インハウスローヤーへ転職を検討中の弁護士におすすめの求人について、「NO-LIMIT」の求人例を元に、以下のようにご紹介します。
- 年収が高めのインハウス求人
- 年収が低めのインハウス求人
- 勤務地が地方のインハウス求人
年収が高めのインハウス求人
年収が高めのインハウス求人には、以下のような求人があります。
- 職種:弁護士資格保持者|法務部プレーヤー・マネージャー
- 年収:
統括責任者:~1,500万円
シニアプレーヤー:~1,200万円
ジュニアプレーヤー:~900万円 - 業務内容:
英文契約書のドラフト・レビュー
M&A
株主総会準備業務
データプライバシー等の規制対応
社内法律相談対応
社内向け法務セミナー 等 - 必須要件
- 英文契約書のレビュー経験
法律事務所および、事業会社における企業法務経験(3年程度)
- 英文契約書のレビュー経験
年収が高めのインハウス事務所求人では、専門性があり高度な経験が求められます。上記のケースだと、通常の法律事務所での3年以上の経験と、英文誓約書のレビュー経験が必須要件として挙げられています。また、ポジションとして統括責任者やシニアプレーヤーなどが提示されている点も、待遇が良い要因です。
年収が低めのインハウス求人
年収が低めのインハウス求人には、以下のような求人があります。
- 職種:企業法務担当者
- 年収:420万~700万円 ※固定残業代45時間分を含む
- 業務内容:
取引先ごとに合わせた契約書の作成、確認、申請
法改正に伴う各種規則の作成、変更(会社に不足部分があれば指摘し、改善案を提出)
各事業部門への法的アドバイス
許認可申請や定款作成・変更、企業登記
積極的な調査や報告、改善提案など
意匠、売買契約などの訴訟対策
景表法の調査業務 - 必須要件:弁護士資格
年収が低めのインハウス求人には、一般的な法律事務所の業務経験が求められます。また、必須要件も弁護士資格のみであることから、そこまで条件が厳しくない特徴があります。
しかし、固定残業代として45時間分が含まれています。法律事務所からワークライフバランスの改善を目的とした転職をする場合、上記のような求人では注意が必要です。他にも内部事情や、現場の状況について把握したうえで検討する必要があります。
勤務地が地方のインハウス求人
勤務地が地方のインハウス求人には、以下のような求人があります。
- 職種:海外展開を進めるゲームメーカーの法務部プレイヤー候補
- 年収:~800万円(前職給を考慮)
- 業務内容:
- 対外契約関連書類のドラフト・レビュー・管理
契約法務(商取引・著作権・版権許諾・受託)※英文契約が90%
工業所有権、著作権、商標の出願、管理
自社知的財産権の保護、侵害への対応(訴訟等)
係争、紛争対応
各種社内向け法律相談対応
他、ジェネラルコーポレート 等 - 勤務地:大阪府
地方のインハウス求人は、法律事務所の求人に比べて多くありません。一般企業は都市に多くある傾向が強いため、インハウス求人で都内以外の求人となると、大阪や名古屋などになるでしょう。待遇としては、通常のインハウス求人とそこまで差はありません。
弁護士業界に特化した転職エージェント10選
前述したように、転職には弁護士業界に特化した転職エージェントがおすすめです。NO-LIMIT意外にも素晴らしいエージェントはおりますので、あえて競合を載せるとしたら、良いと思われる10社をご紹介します。
弁護士ドットコムキャリア
弁護士ドットコムキャリアは、登録弁護士数17,000人を超える「弁護士ドットコム」の転職エージェントサービスです。
- 独自のネットワークを持ち、非公開求人を含む多数の求人がある
- 弁護士事務所の情報(代表弁護士の人柄や、弁護士事務所の特徴)も提供してくれる
「弁護士ドットコムキャリア」では、弁護士の働き方について専門のコンサルタントがヒアリングを通して、疑問や不明点を解消できるようサポートしてくれます。また転職先の選定だけでなく、書類の書き方や面談対策などについても、情報を公開しているので、弁護士の転職活動に活かせる点が多いです。
リーガルジョブボード
リーガルジョブボードは、ダイレクトリクルーティングと士業専門エージェントが融合した士業専門の求人サイトです。登録者数12,000人(2020年11月現在)と多くの士業者が登録しています。
- 弁護士を始めとした各士業専門のエージェントがサポート
- 内定でお祝い金10万円
直接採用担当者とやり取りを行うダイレクトリクルーティングか、専門エージェントを利用するか選ぶことができます。専門エージェントを利用すると、登録後2日以内にキャリアカウンセリングや求人紹介の案内が届きます。
また、リーガルジョブボードでは、求人に応募し内定をすると最大10万円のお祝い金がもらえるという制度です。エージェントサービスとしては、めずらしい特典なので利用を検討中の人はぜひ活用してみてください。
C&Rリーガル・エージェンシー
C&Rリーガル・エージェンシーは、法曹業界において14年以上の実績があり、登録者数は12,200人以上を突破。弁護士の約4人に1人が登録しているエージェントサービスです。
- 弁護士、法律分野専門のプロエージェントが多数在籍
- 海外企業への転職提案もできる
法曹関連の情報誌「Attorney’s MAGAZINE」を発行していることもあり、企業法務部をはじめインハウスローヤーについての知識も豊富です。全国の法律事務所、国内および海外企業とのネットワークを駆使し、C&Rリーガル・エージェンシー社だけが抱える求人情報を有しているのが特徴となります。
国内だけでなく海外企業へも転職の提案ができるため、幅広いキャリアアップも狙えます。
APASS
APASSは、法務、弁護士、コンプライアンスや知的財産分野に携わる人材の転職支援に特化した転職支援サービスです。
- ・マネージャーや部長執行役員クラスまでの幅広いポジションを取り扱っている
- ・経験年数が浅くても紹介できる求人を持っている
法律事務所に関しては、国内、外資系有力事務所から、国内案件を取り扱う中小規模の事務所や一般民事事務所まで紹介先としてカバーしています。
エージェントサービスとしては、それぞれの転職先の雰囲気や内部事情についても、詳細に情報提供ができます。上記のような点から、弁護士の転職としては信頼のおけるサービスです。
MS-Agent(Ms-japan)
『MS-Agent』は、管理部門に特化した転職エージェントとして25年の歴史を持ちます。また、弁護士・法律事務所に関する転職サービスは10年前から本格始動しており、25年間で培った転職サービスとしてのノウハウを十分に活かしてくれています。
もともと管理部門に力を入れている転職エージェントですので、企業内弁護士の求人が多くはなっていますが、法律事務所の求人も取り扱いがあります。
SAMURAIJOB
弁護士特化の転職エージェントというわけではありませんが、年収700万円以上のハイクラス求人に限定した転職エージェントが『SAMURAI JOB』です。
ハイクラス求人の中でも、特に管理部門や法務関係に限定すれば年収1,000万円以上の求人を紹介してもらえることは十分にあり得るでしょう。また、外資系の求人も多くあり、国際法務に携わりたい方にもおすすめです。
転職エージェントサービスは担当者によって転職の良し悪しが分かれる部分がありますが、ムーンコミュニケーションズとJACリクルートメントは一気通貫型のスタイルをとっており、求職者側と企業側を同じコンサルタントが担当するため、ミスマッチの少なさが特徴です。
企業内弁護士をお考えのお方であれば、弁護士専門の転職エージェントだけに限らず、このようなハイクラス向けの転職エージェントにも1~2つ登録してみることをおすすめします。
公式サイト:https://www.samuraijob.com/
法務・弁護士転職ナビ
法務・弁護士転職ナビは、国内最大級の求人数や登録者数を誇る求人サイトです。
- ・求人40,000件以上、登録者数50,000人以上(2020年11月現在)
- ・利用者満足度97%の転職サポート品質
登録者の7割が20代~40代。企業法務(インハウス)を目指す弁護士や、司法書士などの転職にも使えます。求人数が多いため、地方の方にもおすすめです。
実績やキャリアに不安がある方でも、エージェントたちが企業交渉を行ってくれるので、安心して採用まで進むことができるでしょう。
リーガルネット
リーガルネットは、厚生労働省より許可を受けた有料職業紹介事業所「MS-Japan」が運営する、法務・弁護士に特化した転職サイトです。
- 業界25年の実績があり、質の高いサービスが期待できる
- 転職セミナー、個別相談などを積極的に開催している
公開案件でも700件以上の求人を保有しています(2020年11月現在)。国内弁護士資格を所有する現役の弁護士だけでなく、法科大学終了者向けの求人や司法試験合格者向けの求人もあり、多くの方の転職サポートができるでしょう。
弁護士転職NAVI
弁護士転職NAVIは、インハウスから法律事務所まで多数の求人を保有し、弁護士の転職に特化した転職サイトです。
・法律事務所など、求人企業数約350社以上(2020年11月現在)
・レスポンスの速さに定評あり
弁護士の転職専門のエージェントが在籍していて、転職希望者のこれまでの経験や、今後の希望について、ヒアリングを通して最適な提案を行ってくれます。履歴書や職務経歴書、面接についてのアドバイスもしてもらえるので、一貫したサポートが充実しています。
求人紹介という点では、各業界のインハウスローヤーや、法律事務所のパートナーからアソシエイトまで様々な募集があります。各事務所の雰囲気や代表弁護士の考え方なども含め、応募要項に載らない情報についても提供してくれます。
SACTリーガルキャリアナビ
SACTリーガルキャリアナビは、弁護士転職のプロがサポートしてくれる転職サイトです。
・500社以上の求人企業・事務所が登録(2020年11月現在)
・1000人以上の士業転職支援をしてきたエージェントが在籍
各業界の最新情報を常に把握していて、豊富な経験を元に転職希望者一人一人に合った提案をしてくれます。
弁護士の転職活動は特に年収に影響を与えやすいので、エージェントの実力も転職活動の結果に大きく反映されます。実績のあるエージェントが求人の紹介から履歴書作成、面接対策、条件交渉まで一貫して行ってくれるのは大きなメリットです。
弁護士が転職を成功させる内定率UPに寄与する6つのポイント
こちらでは、弁護士が転職する時に気を付けるべきポイントをまとめました。転職したい気持ちで先走りするのではなく、一度状況を整理して転職活動に進むことが転職成功の秘訣です。
自分が転職して実現したいことを明確にする
転職を考えるということは、今の状況に不足や不満を感じているのだと思います。まずは、転職してどうしたいのかを明確にしておきましょう。分かりやすいものが給与面ですね。最低でもいくらは必要と決めていれば、それ以上の転職先しか候補にしないはずです。
転職前に考えておくこと
- 給与
- 労働時間・休日日数
- やりたい業務
- 勤務地・活動地域
- 将来性
- 一緒に働きたい人の人物像
主に上記のような項目で、自分の理想像と最低限妥協できるラインのイメージを作っておきましょう。一度紙などに書き出して、何度かにわけて考えをまとめてみることで、より明確な形になって出てくるでしょう。
転職先のリサーチ・事務所研究を徹底的に行う
ご自身の考えがまとまったのであれば、その条件に少しでも多く当てはまる転職先に絞っていきましょう。
幅広い選択肢の中から理想の転職先をさがし、さらに詳しく調べていきます。幅広く調べることで、「弁護士事務所への転職しかない」と考えていた方も、実は自分の理想通りの転職にするなら、別に企業内弁護士でも問題ないケースも出てくるでしょう。
もちろん一番は、条件に一致する項目が多い転職先ですが、なかなか見つからない場合、最低限これだけは妥協できない部分をクリアしつつ理想に近い転職先へと範囲を広げていきます。
弁護士業界の転職のプロからのサポートを受ける
日々の弁護士活動をしながら転職活動をしようとしても、とても時間が確保できるものではありません。特に企業からの求人にまで目を向ける場合、調べる転職先も莫大な数になってきます。
そこで、転職を少しでも良いものにしていきたいのであれば、転職エージェントなどの転職のプロからのアドバイス・紹介を上手く利用することをおすすめします。
こちらがどうしたいのかある程度の条件を持っていれば、その条件に合った転職先の中から紹介をしてくれるので、探す・調べる手間を大幅に減らすことができます。
弁護士が転職で求められるスキル
転職先では即戦力を必要としている場合が多いので、「自分はこの分野を専門にしている」と自信を持って言えると良いです。
また、法律事務所も待っているだけで仕事が来る時代は終わりました。そのため、自分で案件を取る営業力にも期待されています。そのようなエピソードがあると評価されやすいでしょう。
企業法務を取り扱う法律事務所では、海外案件も多いので、語学力も大きなアピールポイントになります。活躍できるフィールドも広がるので、TOEICで高得点を取るなどしておくと転職で有利になるでしょう。
履歴書・職務経歴書をできるだけ細かく書く
弁護士の転職では、履歴書や職務経歴書にきちんと自分のスキルをアピールすることが大切です。
ご質問ありがとうございます!
— NO-LIMIT(ノーリミ)|弁護士専門の転職エージェント (@NO_LIMIT20XX) November 26, 2020
はい、もちろん行っております。専属のエージェントが担当につきますので履歴書の添削・面接対策もご要望に合わせてご対応させていただきます。 #Peing #質問箱 https://t.co/rVyIIbIB7r
転職では即戦力が欲しいと思われるので、スキル不足で経験が足りないと評価されれば書類審査にも通らない場合もあります。嘘を書くことはできないので、現職で努力してスキルを伸ばすのがまず大切です。
その上で、わかりやすくその経験を書類に記載して、採用担当者に気にかけてもらえるようにしましょう。
魅力的に伝える履歴書の書き方
書類選考で残るためには下記のポイントを意識して履歴書、職務経歴書を準備しましょう。
- ・どんな能力・スキルがあるか
- ・いかに即戦力として活躍できるか
この2つを具体的に分かりやすく伝えること。ただし、応募先企業の求める人材を意識して、PRする内容を絞り込むこと。決して仕事に直結しないような自慢話は控えましょう。
[関連記事]弁護士が転職する際の効果的な自己PR内容
好感を持たれる面接のポイント
弁護士の転職における面接では、以下のような質問がよくあります。
- なぜ、弁護士になったのか
- なぜ、この法律事務所なのか
- 経験をどう仕事へ発揮できるか
これらの質問をどれだけ熱意を持って話ができるのかが、大きなポイントになるでしょう。NO-LIMITでは、あなたを担当するのは弁護士業界で長年仕事をしてきたキャリアアドバイザーたち。面接のポイントも熟知しています。
しっかり考えをまとめて、面接に備えましょう。
[関連記事]法律事務所の転職面接マニュアル
事務所・企業研究は徹底的に!
ご質問ありがとうございます!
— NO-LIMIT(ノーリミ)|弁護士専門の転職エージェント (@NO_LIMIT20XX) November 26, 2020
企業研究は必ずした方がいいと思いますね。「企業の法務部」といっても、求められることやその実態は企業ごとに違います。これは、企業のフェーズ(上場前、上場直後、一部上場企業…
続きは質問箱へ #Peing #質問箱 https://t.co/Pa8sbeGQsd
また、面接時にはコミュニケーションスキルをアピールしてください。弁護士の仕事は、相手がどんなことに悩んでいるのかを上手くヒアリングして、利害関係のバランスをとりながら最大の利益を獲得することです。面接時に面接官に「話しやすい人」という印象を与えることで、採用される可能性が上がるでしょう。
まとめ
弁護士の転職市場は法律事務所勤務・企業内弁護士ともに売り手市場で、スキルと経験を身につけた弁護士は好条件で転職することも可能です。30代で転職を考える人が多く、実際に30代での転職に成功したと感じている人も多いです。
弁護士の転職では、新たな分野に挑戦するよりそれまでの経験や専門性を生かせる転職を目指した方が成功しやすいです。嘘を付くことはできないので、転職前は「採用したい」と思われるような実績を作ることが大切になります。
書類審査で目に止まるように履歴書や職務経歴書にはわかりやすく実績を記載しましょう。
また、営業力があると採用する側としても心強いですし、語学力があると弁護士として活躍できるフィールドが広がります。自分の能力を最大限に発揮できるように準備して、よりよい転職活動にしていただければ幸いです。
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