弁護士の転職ガイド


日々業務に追われながら、「このまま今の事務所にいていいのか?」と考え、求人を探してみると、「自分に見合った求人はどれなのか」と悩む。弁護士の転職は、情報があちこちに散らばっているせいで最初の一歩が重くなりがちです。
一方で、弁護士の転職先はこの10年で大きく広がりました。例えば企業内弁護士は2026年6月30日時点で3,756人いて、10年前の約2.2倍に増え、採用している企業も1,552社まで広がりました。
本記事では、初めて転職するときの進め方と手続きを整理し、2回目以降の転職、年代・修習期別、女性弁護士、未経験分野への転職まで、状況別のポイントを1ページにまとめました。転職するかどうかをまだ決めていない段階の情報収集にも使える内容です。
あなたの状況から読む(index)
- 初めての転職の方:基本の進め方|ベストな転職時期|手続き
- 転職回数が2回目以上の方
- 年代・修習期ごとの転職事情を知りたい方
- 出産・育児と両立できる職場を探している女性弁護士の方
- 企業法務やインハウスなど、未経験の分野に挑戦したい方
- 弁護士に転職エージェントの利用をおすすめする理由が知りたい方
- 今すぐ弁護士転職のプロに相談したい方は、こちらからご登録ください。
【はじめて転職する方へ】基本の5ステップ
弁護士が初めて転職するときは、転職理由と条件の整理、求人探し、応募書類の作成、面接、退所と案件の引継ぎの順で進めます。
一般企業の転職と比べて特殊なのは、取扱案件の書き方に守秘義務の配慮が要ることと、退所時に担当案件の引継ぎが発生することです。この2つを軽く見ると、内定後や退所の直前になって慌てることになります。
STEP1 転職理由と譲れない条件を整理する
最初にやるべきことは、なぜ転職したいのかを言葉にすることです。
年収を上げたい、扱う分野を変えたい、労働時間を減らしたい、ボス弁との関係がつらい。理由は1つとは限りません。
書き出してみると、本当に変えたいのは職場ではなく担当分野だった、と気づくこともあります。その場合は、事務所内で担当を変えてもらえないか相談するほうが早いかもしれません。
転職すると決めたら、条件に優先順位をつけます。年収、取扱分野、勤務時間、勤務地、個人事件の可否、パートナーへの昇格の見込み、リモート勤務。
希望条件をすべてを満たす職場はまずないので、譲れない条件を3つに絞っておくと、求人を比べるときに迷いません。
整理した転職理由は、そのまま面接でも聞かれます。前の事務所への不満をそのまま話すと印象が悪くなるので、これから何をしたいかという前向きな言葉に置き換えておきましょう。
転職理由の伝え方は、以下に詳しくまとめています。
弁護士のための転職理由の伝え方|面接官を納得させるロジカルな回答
希望する転職先がまだない場合は、以下の転職先ごとの主な仕事内容・働き方・向いている人をもとに、譲れない条件を実現できそうな転職先の検討をつけてみてください。
| 転職先 | 主な仕事 | 働き方 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 大手・準大手法律事務所 | M&A、ファイナンス、国際取引、大型紛争など | 報酬は高いが繁忙期の稼働が長い。チームで動くことが多い | 企業法務の専門性を短期間で高めたい人 |
| 中小・一般民事の法律事務所 | 離婚、相続、交通事故、債務整理、刑事など | 依頼者と直接やり取りする。個人事件を受けられる事務所が多い | 独立を視野に入れている人 |
| ブティック型・外資系法律事務所 | 知財、労働、倒産、税務、クロスボーダー案件など | 少人数で専門分野を深める。外資系は英語が必須 | 1つの分野を突き詰めたい人 |
| 企業内弁護士 | 契約審査、法律相談、コンプライアンス、紛争管理など | 勤務時間が読みやすい。給与は会社の給与体系 | ビジネスの当事者として関わりたい人、両立を重視する人 |
| 任期付公務員 | 法令の立案・改正、行政処分の審査、自治体の法務など | 2〜3年の任期制。任期後は事務所や企業へ | 行政分野の専門家になりたい人 |
| その他 | コンサル、M&Aアドバイザー、経営企画、起業など | 律の知識より論点整理力や文章力が生きる | 法律の枠を超えて事業に関わりたい人 |
STEP2 求人を探す|エージェント・ひまわりナビ・紹介の違いを解説
弁護士の求人を探す方法は、主に3つあります。
1つ目は、弁護士専門の転職エージェントです。一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえるほか、事務所の雰囲気や離職の多さ、パートナー昇格の実態など、求人票に書かれていない内部情報を聞けるのが強みです。求人探しから応募、日程調整、条件交渉まで代行してくれるメリットもあります。
2つ目は、日本弁護士連合会が運営するひまわり求人求職ナビです。法律事務所や企業が無料で求人を掲載でき、弁護士も無料で閲覧できます。掲載数が多く、地方の法律事務所の求人も見つかります。ただし、応募から条件交渉まで自分で進める必要があります。使い方と注意点は、以下で解説しています。
ひまわり求人求職ナビとは?弁護士の評判と使うべき人・避けるべき人
3つ目は、修習の同期や大学の先輩などからの紹介です。事務所の内情を知る人からの紹介なので、入所後のギャップは少なくなります。その反面、紹介者の顔を立てる必要があり、条件が合わなくても断りにくいのが難点です。
おすすめは、エージェントとひまわり求人求職ナビを並行して使う方法です。求人の幅を広げながら、気になる事務所や企業の内情はエージェントに確認できます。
STEP3 職務経歴書と取扱案件リストを作る
履歴書・職務経歴書の書き方は、以下で紹介しています。書類通過率を引き上げた実績のある職歴書テンプレートを無料ダウンロードできるので、活用してください。
【サンプル付き】弁護士の履歴書・職務経歴書の書き方とテンプレ
弁護士の応募書類で一番差がつくのは、取扱案件の書き方です。
守秘義務があるので、依頼者の名前や案件を特定できる情報は書けません。代わりに、分野、事件の類型、規模、自分の役割、件数で表現します。たとえば次のような書き方です。
- 企業間の売買代金請求訴訟(請求額約5,000万円)を主任として担当し、和解で解決
- 上場企業のM&A(株式取得)で法務デューデリジェンスを担当。チーム5名のうち契約書レビューを主に担当
- 相続事件を年間約20件受任。遺産分割調停が中心
主任として担当したのか、補助として関わったのかは、必ず書き分けてください。採用側は、入所後にどこまで任せられるかを判断したいので、役割がはっきりしない書き方だと評価のしようがありません。
取扱案件のほかに、論文や執筆、セミナーの講師経験、語学力、弁護士会での委員会活動も書いておきましょう。企業に応募するなら、法律用語は一般用語に言い換えると、伝わりやすくなります。
STEP4 面接対策|法律事務所とインハウスで評価される点の違い
面接で見られるポイントは、法律事務所と企業とで違います。
法律事務所の面接で重視されるのは、即戦力として扱える分野と、事務所の仕事量についていけるかどうかです。ボス弁やパートナーとの相性も、少人数の事務所ほど重く見られます。将来的に顧客を開拓していく意欲があるかを聞かれることもあります。
企業の面接では、ビジネスへの理解と社内での立ち回りを見られます。法律論だけで答えると、現場で使えない人という印象を与えかねません。事業部からの相談にどう答えるかを問われたら、法的なリスクを示したうえで、取りうる選択肢と自分ならどれを勧めるかまで話せると評価が上がります。
どちらの面接でも、逆質問の時間は情報収集の場として使ってください。法律事務所なら、1人あたりの手持ち件数、個人事件の可否、パートナー昇格の基準。企業なら、法務部の人数とそのうちの弁護士の数、顧問事務所との役割分担、残業時間の実態。入ってから知ったのでは遅いことばかりです。
面接対策と逆質問については、以下で詳しく解説しています。
法律事務所の面接対策|よくある質問と回答例
【弁護士向け】面接時に効果的な逆質問厳選11個|好まれる質問とNG質問・注意点も詳しく解説
STEP5 退所交渉と案件の引継ぎ|守秘義務・利益相反・個人事件の扱い
内定が出たら、所属事務所に退所を申し出ます。引継ぎにかかる期間を考えると、退所予定日の3か月ほど前に伝えると無理なく進みます。
事務所との契約が雇用契約か業務委託契約かによって、退所の手続きや予告の期間が変わるので、契約書を一度確認しておきましょう。
事務所として受任している案件は、事務所に残すのが基本です。依頼者には、担当が変わることを自分から説明し、後任の弁護士へ記録と進捗を引き継ぎます。
個人事件は、依頼者が引き続きあなたへの委任を望むかどうかを確認し、転職先が個人事件を認めているかもあわせて確かめてください。
見落とされやすいのが、利益相反です。弁護士法では、相手方から相談を受けて賛助した事件などについて、職務を行えないと定めています。前の事務所で関わった案件の相手方が、転職先の顧客になっているケースは珍しくありません。入所前に、自分が関わった案件のうち転職先と利害がぶつかりそうなものを洗い出し、転職先に申告しておくと安心です。
弁護士のベストな転職タイミングは?
転職のタイミングで考えたいのは、案件の区切りと自分の年次の2つです。
案件の区切りでいえば、主任として担当している訴訟の判決や和解の見込みが立ったころが動きやすい時期です。審理の途中で担当が変わると、依頼者の負担も大きくなります。
年次でいえば、一通りの案件を経験した3年目前後は、転職先でも即戦力として評価されやすくなる時期です。分野を変えたい場合は、専門性が固まりきる前のほうが受け入れ先を見つけやすくなります。
弁護士の転職と年齢の関係性については、以下で詳しく解説しています。
弁護士の転職に年齢の壁はない|年齢評価による転職への影響と20代・30代の転職市場
転職活動をスタートしてから内定が出るまで、最低1か月、平均して3か月程度かかります。内定後に引継ぎ期間が必要なことを考えると、希望する退所日から半年前には動き始めることをおすすめします。
スケジュールの組み方と活動期間の目安は、以下で詳しく紹介しています。
弁護士の転職に適した時期やタイミングとは|転職成功に向けた逆算スケジュールと組み方
弁護士の転職活動にかかる期間の目安は?準備から内定まで徹底解説
弁護士の転職に必要な手続き|企業内弁護士のケースも解説
弁護士が転職するときは、一般の会社員の転職にはない手続きが発生します。
所属事務所が変われば弁護士名簿の登録事項を変更し、別の地域へ移るなら所属弁護士会そのものを変えなければなりません。企業に入る場合は、弁護士会への届出と会費の扱いも決めておく必要があります。
手続きの漏れは、入社日や入所日に業務を始められない事態につながるので、内定が出た段階で一通り確認しておきましょう。No-Limit弁護士転職をご利用の方は、担当アドバイザーがサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
所属事務所が変わるときの「登録事項変更の届出」
弁護士名簿には、所属する法律事務所の名称や所在地が登録されています。転職して事務所が変われば、所属弁護士会を通じて登録事項の変更を届け出ます。書式や提出方法は弁護士会ごとに決まっているので、会員向けのサイトで確認してください。
注意したいのは、弁護士法で法律事務所は所属弁護士会の地域内に設けなければならないと定められている点です。同じ地域の中で事務所を移るなら登録事項の変更で済みますが、地域の外へ移るなら所属弁護士会を変える登録換えが必要になります。
企業内弁護士の場合は、勤務先の所在地を法律事務所として登録するのが通例です。日本組織内弁護士協会の統計でも、勤務先の所在地を法律事務所の所在地として登録している弁護士を企業内弁護士として数えています。
他の弁護士会へ移るときの「登録換え」
大阪の事務所から東京の企業へ移る場合のように、別の弁護士会の地域へ移るときは登録換えをします。弁護士法では、新しく入る弁護士会を経由して日本弁護士連合会に登録換えを請求し、あわせて今の所属弁護士会にもその旨を届け出ると定めています。
登録換えには、新しい弁護士会での審査があります。請求してすぐに完了するものではないので、転職先での勤務開始日から逆算して早めに書類を準備しましょう。
弁護士会によっては入会金がかかるため、費用を転職先が負担してくれるかどうかも確認しておくと安心です。
東京には東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会の3つがあります。東京の中で転職するなら、今の弁護士会に所属したまま移れます。わざわざ別の会へ移る必要はありません。
企業内弁護士に必要な届け出と確認事項
企業内弁護士として転職する場合、所属弁護士会への届け出と、健康保険・年金の切り替え手続きが必要になります。
所属弁護士会への届け出
企業に従業員として入る弁護士は、あらかじめ所属弁護士会に届け出る必要があります。弁護士法では、営利を目的とする業務を営む者の使用人になろうとするとき、勤務先の名称や所在地、業務の内容を届け出るよう定めています。届出の内容は営利業務従事弁護士名簿に載り、誰でも見られる状態になります。
ここで確認しておきたいのが、弁護士会費を誰が払うかです。会社が負担してくれる企業が多いものの、本人負担の企業もあります。日弁連と所属弁護士会の会費を合わせると年間で数十万円になるので、本人負担なら実質的な年収はそのぶん下がります。求人票に書かれていなければ、内定前に必ず確認してください。
また、弁護士会によっては国選弁護や委員会活動などの公益活動が義務になっていて、果たせなかった場合に負担金を納める仕組みがあります。会社勤めをしながら公益活動を続けられるか、会社が業務時間内の活動を認めてくれるかは、企業によって対応が分かれます。所属弁護士会の規程と、勤務先の考え方の両方を確認しておきましょう。
健康保険・年金の切り替え
法律事務所の勤務弁護士は、事務所と業務委託契約を結んでいるケースが多く、その場合は国民健康保険と国民年金に自分で加入しています。国民健康保険は、市区町村の国保のほか、東京都弁護士国民健康保険組合のような弁護士向けの国保組合に入っている人もいます。
企業に従業員として入ると、会社の健康保険と厚生年金に加入します。会社の保険に入ったら、それまで加入していた国保や国保組合の脱退手続きを自分で行ってください。脱退しないままだと、保険料を二重に払い続けることになります。
逆に、企業から法律事務所へ移って業務委託の勤務弁護士になる場合は、会社の健康保険をやめた後に国民健康保険へ加入します。市区町村の国保は、退職後14日以内に届け出るよう案内している自治体が多くあります。
事務所と雇用契約を結んでいる場合は、すでに会社員と同じ社会保険に入っているので、転職先でも同じように加入手続きを進めるだけです。今の契約がどちらなのか、契約書や給与明細で確かめておきましょう。
【転職回数が2回以上なら】転職理由の一貫性が最重要
2回目以降の転職で問われるのは、回数そのものより、転職の理由に一貫性があるかどうかです。
一般民事の事務所で労働事件を多く扱い、労働分野のブティックに移り、次は人事労務に強いインハウスを目指す。この流れなら、3社目でも専門性を深めてきたキャリアとして評価されます。反対に、移るたびに分野も働き方もばらばらだと、転職回数が少なくても不安を持たれます。
次いで重要なのは、在籍期間です。1つの職場に3年前後いて、主任として担当した案件があれば、短期で辞めたという印象は持たれにくくなります。1年未満の在籍が2~3回続いていると、書類通過率が格段に下がります。
2回目以降の面接では、今回の転職理由と過去の転職理由の両方を聞かれます。伝え方のポイントは、過去の転職を1本の流れとして説明することです。たとえば次のような言い方です。
1社目の一般民事の事務所で労働事件を多く担当するうちに、企業側の労務問題に関心を持ち、使用者側の労働事件を扱う事務所に移りました。そこで紛争対応の経験を積むなかで、紛争になる前の段階から企業の人事労務に関わりたいと考えるようになり、今回インハウスを志望しています。
前の職場への不満は、どれだけ正当な理由でも口にしないほうが無難です。採用側は、同じ不満が自社でも起きるのではないかと考えます。何から逃げたいかではなく、何をしたいから移るのかを軸に話してください。
弁護士の転職は年代・修習期で求められるものが変わる
弁護士の転職で年齢が問題になるのは、年齢そのものより、年齢に見合った経験があるかどうかです。
20代ならポテンシャルで採用されることもありますが、30代以降は専門分野や担当してきた案件の中身が問われます。修習期によっても、企業で働く弁護士の割合は大きく違います。
年代ごとの要点をまとめたので、詳しい解説は各記事もあわせて確認してください。
20代(修習後1〜5年目)は未経験分野に挑戦しやすい時期
20代の弁護士は、経験が浅いぶんポテンシャルを見て採用されます。これまでの分野と違う事務所や企業に移るなら、最も動きやすい時期です。
一方で、1年目や2年目での転職は、基本的な案件処理を身につける前に辞めたと見られることがあります。最初の事務所で主任として担当した案件が数件あると、次の職場での評価が大きく変わります。
30代は専門性と即戦力で選ばれる
30代は、法律事務所からも企業からも声がかかりやすい年代です。どちらも、すぐに一人で案件を回せる弁護士を求めています。
30代前半なら、分野を変える転職もまだ現実的です。30代後半になると、これまでの専門分野を生かせるかどうかが採否を大きく左右します。企業に移る場合も、法務部の中核として期待されるので、担当者ではなく課長やマネージャー候補として採用されるケースが増えます。
評価のされ方と成功のポイントは、以下で詳しく紹介しています。
30代の弁護士は転職市場の価値は高い!30代弁護士の評価軸と転職成功ポイントを解説
40代はマネジメント経験か深い専門性が必要
40代の弁護士に求められるのは、組織をまとめた経験か、ほかの弁護士にない深い専門性のどちらかです。
法律事務所への転職では、パートナーとして迎えられるケースもあり、その場合は自分の顧客をどれだけ持っているかが問われます。企業への転職では、法務部長や法務責任者として、法務部の体制づくりや経営陣への助言を期待されます。
事務所とインハウスのどちらを選ぶかで迷っているなら、以下が参考になります。
40代弁護士の転職成功ガイドをプロが解説|事務所・インハウスの選択と後悔しないポイントまで
50代以降はインハウスの管理職・顧問・独立
50代以降でも、弁護士の転職はできます。ただし、求人の数は少なくなり、選ばれるのは特定の分野で長い実績を持つ人です。
転職先として現実的なのは、企業の法務部門の責任者や、コンプライアンス部門の管理職、社外役員などです。法律事務所では、顧問やカウンセルといった立場で迎えられることもあります。独立して、これまでの顧客を中心に事務所を運営する道を選ぶ人も多くいます。
社外役員のキャリアを選ぶ場合は、以下のような弁護士の紹介を得意とするマッチングサービスへの登録をおすすめします。
社外役員経験のある弁護士選任サービス
女性弁護士の転職とライフステージ
女性弁護士の転職では、出産や育児、配偶者の転勤といったライフイベントとどう両立するかが大きなテーマになります。
法律事務所の働き方は事務所ごとの差が大きく、子育てをしながら同じペースで案件を受け続けるのが難しい職場もあります。一方で、企業内弁護士という選択肢が広がったことで、働き方を変えながら弁護士としてのキャリアを続けやすくなりました。
女性弁護士は全体の約2割、企業内弁護士では約4割
日本組織内弁護士協会の集計では、2026年6月時点の登録弁護士4万8,106人のうち、女性は1万73人で20.9%です。これに対して企業内弁護士3,756人のうち女性は1,537人で、40.9%を占めています。
女性弁護士の側から見ると、およそ6〜7人に1人が企業で働いている計算になります。男性弁護士では約17人に1人なので、女性のほうが企業を選ぶ割合がはっきり高いといえます。企業内弁護士に占める女性の割合は2012年に40%を超え、それ以降はずっと4割前後で推移しています。
勤務時間が読みやすいこと、産休や育休の制度が会社の規程として整っていること、復職後に時短勤務を選べること。企業を選ぶ女性弁護士が多い理由は、このあたりにあります。
出産・育児期間に使える弁護士会費の免除制度
弁護士会には、出産や育児の期間中に会費を免除する制度を設けているところがあります。
たとえば第二東京弁護士会では、2歳未満の子を育てる会員が、子の出生日から2年以内に申請すると、性別を問わず12か月分の会費が免除されます。双子など多胎出産の場合は18か月分です。出産で登録を外した人が産休・育休明けに再登録して復帰した場合に支援金を支給する制度もあります。
制度の内容や申請の期限は弁護士会ごとに違い、改定されることもあります。妊娠がわかった段階で、所属弁護士会の会員向けサイトで最新の内容を確認しておきましょう。休業中に登録を続けるか、いったん外すかを考えるときの判断材料にもなります。
仕事と育児を両立しやすい職場環境とは?
両立しやすさで選ぶなら、まず候補になるのは企業内弁護士です。勤務時間が会社の就業規則で決まっていて、裁判所の期日のように自分では動かせない予定がほとんどありません。
法律事務所にも事業会社にも当てはまる、ワークライフバランスが両立できる職場を見分けるポイントは、次の4つです。
- 子育て中の弁護士が実際に在籍しているか
- 案件を複数の弁護士で担当する体制があるか
- 時短勤務や在宅勤務の制度があり、実際に使われているか
- 報酬が売上連動ではなく、固定給の割合が大きいか
案件を1人で抱える体制だと、子どもの急な発熱で休んだときに代わりがいません。複数担当の体制があるかどうかは、面接で必ず聞いておきたい点です。
制度があっても使っている人がいなければ、実際には使いにくい職場だと考えたほうがいいでしょう。
育休明け・ブランク後に復職する方法
出産や育児でいったん仕事を離れた後の復職先は、元の職場に戻るか、新しい職場に移るかの2つです。
元の事務所に戻る場合は、休業前の担当案件をどう引き継ぎ、復帰後にどの程度の量から再開するかを、休業に入る前に話し合っておくとスムーズです。新しい職場を探す場合は、ブランクの期間よりも、休業前にどんな案件を担当していたかが評価されます。取扱案件のリストは、休業前の時点で作っておくと後で楽になります。
登録を外していた場合は、再登録の手続きが必要です。再登録にも審査と費用がかかるので、復職先が決まりそうな段階で弁護士会に相談しておくと、勤務開始日に間に合わせやすくなります。
女性弁護士の転職でよくある悩み|転勤・残業・時短の交渉
女性弁護士から多く聞かれる悩みは、配偶者の転勤・残業の多さ・時短勤務の交渉の3つです。
配偶者の転勤に合わせて地域を移る場合は、登録換えが必要になります。転勤先の地域では企業の求人が少ないことも多く、フルリモートで働けるインハウスの求人を探すのも1つの方法です。
残業や時短の条件は、内定前に確認するのが原則です。入所や入社の後で交渉するのは、立場上どうしても難しくなります。自分から切り出しにくい条件ほど、転職エージェントを通じて確認すると角が立ちません。
【未経験分野への転職】応募先ごとに活かせる経験を整理
弁護士が未経験の分野へ転職するときに鍵になるのは、これまでの経験を応募先が必要としている言葉に言い換えられるかどうかです。
弁護士として積んできた経験は、分野が変わってもすべてが無駄になるわけではありません。どの部分が生きるのかを自分で整理して示せる人ほど、未経験の分野でも採用されやすくなります。
「本当に今の経験が転職先に活かせるのか?」と不安や悩みがある方は、お気軽に弊社アドバイザーにご相談ください。
キャリアアドバイザー紹介
一般民事から企業法務へ|契約書審査・労務の経験を活かす
一般民事から企業法務への転職は、未経験分野への転職のなかでもよく見られるパターンです。
一般民事の事務所でも、顧問先の中小企業から契約書のチェックや労務の相談を受けている弁護士は少なくありません。売買契約、業務委託契約、賃貸借契約の審査や、残業代請求や解雇をめぐる対応の経験は、企業法務でもそのまま使えます。
職務経歴書では、個人の依頼者の案件と、法人の依頼者の案件を分けて書いてください。法人案件の件数と中身が見えるだけで、企業法務の事務所や企業の法務部からの評価は変わります。
年次が上がるほど分野の転換は難しくなるので、企業法務に移りたいなら早めに動くのが得策です。
法律事務所から初めてのインハウスへ|ビジネス視点を示す
インハウスの経験がない弁護士が企業に応募するとき、採用側が気にしているのは、事業部と一緒に仕事を進められるかどうかです。
法律事務所では、依頼者の質問に法的に正確な答えを返せば仕事は終わります。企業では、その答えをもとに事業をどう進めるかまで一緒に考えます。リスクがあるから止めるのではなく、どうすればリスクを抑えて進められるかを示すのが、企業内弁護士の役割です。
面接では、事務所時代に依頼者のビジネス上の目的を踏まえて提案した経験を話せるようにしておきましょう。契約交渉で、法的な有利不利だけでなく取引を成立させることを優先した場面などは、そのまま使えるエピソードです。
企業内弁護士の働き方の全体像は、以下で解説しています。
企業内弁護士とは|法律事務所勤務の弁護士との違いや増加背景・転職を成功させるコツまで
国内案件から渉外・外資系へ|英語力の目安
国内案件から渉外の事務所や外資系の事務所・企業へ移るには、英語で仕事ができることが前提になります。
目安になるのは、英文の契約書を読んで修正案を出せること、英語のメールで交渉できること、海外の弁護士やクライアントとの電話会議で議論についていけることです。TOEICのスコアも書類では見られますが、点数より英語で実務をこなした経験のほうが評価されます。
国内案件しか経験がない場合は、まず今の職場で英文契約や海外案件に関わる機会を増やしてから応募するのが近道です。海外のロースクールへの留学を経てから渉外の分野に移る弁護士もいます。
法律以外の仕事へ|コンサル・事業会社のビジネス職
コンサルティングファームや事業会社のビジネス職へ移る弁護士も増えています。
評価されるのは、論点を整理する力、大量の資料を読み込んで要点をつかむ力、文章で人を説得する力です。M&Aの法務デューデリジェンスや、企業の不祥事対応の経験があれば、M&Aアドバイザリーやリスクコンサルティングの分野で即戦力として見てもらえます。
注意したいのは、年収が下がるケースがあることです。ビジネス職としては未経験なので、職位が下がった状態からスタートすることもあります。弁護士の資格を生かせる仕事とそうでない仕事の差を理解したうえで、長い目で見て何を得たいのかを決めておきましょう。
転職先の選択肢を広く知りたい場合は、以下を参考にしてください。
弁護士の転職先7選|おすすめの業種・職種と選び方を解説
その他の評価につながる経験と資格
未経験の分野へ転職するときに評価されやすい経験と資格を挙げておきます。
- 法人の依頼者を担当した経験。とくに契約審査、労務、M&A、コンプライアンス
- 英語で実務をこなした経験。英文契約、海外とのやり取り
- 論文や執筆、セミナーの講師経験。特定分野への関心と専門性を示せる
- ニューヨーク州弁護士など海外の弁護士資格。渉外や外資系への転職で強みになる
- 弁理士、税理士、公認会計士など、ほかの士業の資格。知財、税務、M&Aの分野で評価される
経験や知識を身に着けるにあたって、どんな本を読み、どんなセミナーに参加したかを、面接で具体的に話せるようにしておきましょう。
弁護士の転職でありがちな後悔3選
弁護士の転職で後悔する人に共通するのは、入ってから知ったことが多すぎたというパターンです。年収の内訳、パートナーへの昇格の現実、ボス弁との相性。どれも求人票には書かれていませんが、入所後の満足度を大きく左右します。
目先の年収だけで判断してしまった
法律事務所の年収は、固定給、売上に応じた歩合、個人事件の売上の組み合わせで決まります。提示された年収が高くても、その大半が歩合だと、思ったほど稼げないことがあります。
比べるときは、固定でもらえる部分がいくらか、歩合はどんな条件で発生するか、個人事件の受任を認めているか、認めている場合に事務所へ納める経費はいくらかを確認してください。企業なら、基本給と賞与の割合、残業代の扱い、弁護士会費を会社が負担するかどうかで、実際の手取りが変わります。
昇格やボス弁との相性など、長く働くために必要な要素を見逃していた
法律事務所で長く働くつもりなら、パートナーに昇格できる見込みがあるかを確認しておきましょう。何年目くらいで、どんな基準で昇格するのか。実際にここ数年で昇格した人がいるのか。昇格の実績がない事務所では、何年いても立場が変わらない可能性があります。
少人数の事務所では、ボス弁との相性が働きやすさをほぼ決めます。面接だけでは人柄まではわかりません。可能なら、所属している弁護士と話す機会をもらう、事務所を訪問して雰囲気を見るなど、面接以外の接点をつくると判断の材料が増えます。
退所・退職を先走ってしまった
弁護士の転職活動は、在職中に進めるのが基本です。
先に辞めてしまうと、収入が途絶えるうえに、早く決めなければという焦りから条件を妥協しやすくなります。退所してから時間がたつと、面接でその期間に何をしていたのかを聞かれることにもなります。
在職中に活動すると、面接の日程調整が難しいという問題はあります。最近はオンライン面接に対応する事務所や企業も増えているので、日程を組みやすくなっています。
弁護士に転職エージェントの利用をおすすめする理由
弁護士の転職は、ひまわり求人求職ナビや知人の紹介でも進められます。それでも転職エージェントを使う価値があるのは、自分では手に入らない求人と情報があるからです。ここでは、弁護士専門の転職エージェントでできることと、No-Limitの特徴を紹介します。
非公開求人と、事務所・企業の内部情報が手に入る
法律事務所や企業の求人には、一般に公開されない非公開求人が少なくありません。採用していることを競合に知られたくない、応募が殺到しないよう候補者を絞りたい、といった理由で、エージェントにだけ求人を出すケースです。
エージェントは、求人を出している事務所や企業の担当者と直接やり取りしているので、求人票に書かれていない情報も持っています。事務所の雰囲気、離職の多さ、パートナー昇格の実績、法務部の体制。こうした内部情報を応募前に知れるのは、自分で探すときにはない利点です。
条件交渉や退所時期の相談ができる
年収や勤務条件の交渉、入所日の調整は、自分では切り出しにくいものです。エージェントを通せば、条件を伝えて調整を代わりに進めてもらえます。
今の事務所をいつ辞めるか、担当案件の引継ぎにどのくらいの期間を見ておくかといった退所に関する相談にも乗ってもらえます。弁護士の転職を多く扱っているエージェントなら、同じような状況の弁護士がどう進めたかという実例をもとに助言を受けられます。
No-Limit弁護士転職の特徴と利用の流れ
No-Limitは、弁護士に特化した転職エージェントです。弁護士業界に精通した専任のアドバイザーが、内定の数より、受かってその後も長く働ける転職を目指して支援します。
No-Limit弁護士転職の特徴
- 紹介できる求人は600件以上。保有求人の9割は非公開求人
- 法律事務所だけでなく、企業法務・インハウスの求人も豊富
- 書類通過率は80%(2026年2月時点)。書類の添削やスキルの棚卸しから面接対策まで支援
- 総合満足度は98%
- 登録している弁護士は3,300名以上
- 在籍先に知られないよう秘密厳守で対応。オンライン面談にも対応
サービス利用の流れ
- 無料登録:情報収集段階でのご登録も歓迎しております。
- アドバイザーとの面談:ご職歴と希望条件をお伝えください。
- 求人紹介
- 選考:面接の日程調整はアドバイザーが代行します。
- 内定:条件調整や退所に関する相談にも対応しています。
- 入社後のキャリア相談も承っております。
参照元
・企業内弁護士数の推移(2001年~2026年)|日本組織内弁護士協会
・企業内弁護士を多く抱える企業上位20社(2001年~2026年)|日本組織内弁護士協会
・弁護士法 | e-Gov 法令検索
・【資格】会社を辞めたので、国民健康保険の加入手続きをしたいのですが 江戸川区ホームページ
・企業内弁護士の男女別人数(2001年~2026年)|日本組織内弁護士協会
・NIBEN Frontier 2023年11月号|第二東京弁護士会







