四大法律事務所とは、日本の企業法務事務所を牽引する4つの大手法律事務所の総称のことで、2022年5月段階で全国に1万9000以上の法律事務所が存在するなか、特に所属弁護士数が多い上位4事務所のことを指します。
具体的には、
- 西村あさひ法律事務所
- アンダーソン・毛利・友常法律事務所
- 長島・大野・常松法律事務所
- 森・濱田松本法律事務所
の4つです。
近年では、上記4事務所に加えて、急速に所属弁護士数を増やしているTMI総合法律事務所も合わせ、「五大法律事務所」と称されることもあります
順位 | 事務所名 | 地域 | 所属弁護士数 |
---|---|---|---|
1 | 西村あさひ法律事務所(弁護士法人西村あさひ法律事務所/弁護士法人 NISHIMURA & ASAHI 法律事務所、略称:NA法律事務所) | 東京都 | 650 |
2 | TMI総合法律事務所(弁護士法人TMIパートナーズ) | 東京都 | 567 |
3 | アンダーソン・毛利・友常法律事務所(弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所、略称:AMT法律事務所) | 東京都 | 559 |
4 | 森・濱田松本法律事務所(弁護士法人森・濱田松本法律事務所、略称:MHM法律事務所) | 東京都 | 557 |
5 | 長島・大野・常松法律事務所(弁護士法人長島・大野・常松法律事務所、略称:NOT法律事務所) | 東京都 | 532 |
6 | ベリーベスト法律事務所(ベリーベスト弁護士法人 /弁護士法人VERYBEST) | 東京都 | 381 |
7 | アディーレ法律事務所(弁護士法人アディーレ法律事務所/Adire法律事務所) | 東京都 | 235 |
8 | 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業(渥美坂井法律事務所弁護士法人) | 東京都 | 186 |
9 | シティユーワ法律事務所(弁護士法人シティユーワ法律事務所) | 東京都 | 179 |
10 | 弁護士法人大江橋法律事務所(弁護士法人大江橋法律事務所) | 大阪府 | 160 |
これらの大規模法律事務所が、四大法律事務所と業界内で呼ばれているのは、なぜなのでしょうか。また多くの弁護士が選ぶ理由も気になりますよね。
この記事では、弁護士業界で四大法律事務所が生まれた歴史や背景に加えて、それぞれの事務所の特徴について解説します。
また四大法律事務所の平均年収や働くメリット・デメリット、求める人材像などについて解説するので、入所を目指している方は参考にしてみてください。
目次
四大法律事務所とは
四大法律事務所とは、所属弁護士数が多い4つの大手法律事務所を指します。
五大法律事務所という場合には、上記4事務所にTMI総合法律事務所が加わります。
四大法律事務所はどこも所属弁護士数が500人を超えており、弁護士数1人~5人の事務所が大半の業界において、圧倒的な規模を誇ることがわかります。
事務所規模 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|---|
1人事務所 | 10,525 | 10,841 | 11,169 | 11,299 |
2人事務所 | 3,124 | 3,149 | 3,178 | 3,159 |
3~5人事務所 | 2,639 | 2,655 | 2,630 | 2,632 |
6~10人事務所 | 776 | 764 | 777 | 798 |
11~20人事務所 | 244 | 246 | 248 | 261 |
21~30人事務所 | 56 | 57 | 62 | 60 |
31~50人事務所 | 33 | 39 | 38 | 40 |
51~100人事務所 | 9 | 10 | 15 | 16 |
101人以上事務所 | 11 | 11 | 11 | 11 |
合計 | 17,417 | 17,772 | 18,128 | 18,276 |
参照:事務所の規模別に見た事務所数の推移|弁護士白書2023年版
なぜこれほどまでに規模の大きな事務所が生まれたのでしょうか。
この項目では四大法律事務所の生まれた歴史と背景について解説するとともに、近年の動向についても確認していきましょう。
四大事務所が生まれた歴史と背景
法律事務所の大規模化が進んだのは、意外にも比較的最近になります。
以前の法律事務所は大手といわれる事務所でも50名程度の規模感であり、所属弁護士数が3桁を超えるようになったのは2000年代に入ってからのことです。
当時の四大法律事務所の1つであった長島・大野法律事務所と常松簗瀬関根法律事務所の合併を皮切りに、大規模化に向けた動きは加速。
大手だけでなく準大手も含んだ事務所の合併・統合が進むと同時に、司法制度改革の影響で新人弁護士数が増加したことで、2010年には所属弁護士数が100名を超える法律事務所の数は7つにも増えました。
こうした大規模化が進んだ背景には弁護士業界を取りまくさまざまな事情が考えられますが、一番の理由は必要であったからの一言に尽きるでしょう。
大規模なM&A案件やその他の大型案件はどうしても人手が多くかかることから、大手法律事務所に集中しやすい傾向にあり、依頼の処理には規模の拡大が必須な状況であったといえます。
加えて、各事務所が合併によって、互いの得意・苦手とする分野を補い合うことで、より発展・拡大が期待できたのも大きいでしょう。
参考:「日本のロー・ファームの合併と大規模化について ―故田辺公二判事への報告」|長島・大野・常松法律事務所
近年の動向
2000年代初頭に急速な大規模化を遂げた四大法律事務所ですが、拡大は今もなお続いており、長年所属弁護士数で1位に位置する西村あさひ法律事務所に至っては、600人を突破しました。
【所属弁護士数の多い法律事務所ベスト5】
西村あさひ法律事務所 | 650 |
TMI総合法律事務所 | 567 |
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 | 559 |
森・濱田松本法律事務所 | 557 |
長島・大野・常松法律事務所 | 532 |
※2023年3月31日現在
参考:事務所における弁護士の人数|弁護士白書2023年版
司法制度改革による弁護士数の大幅な増加を受け、資格があっても食べていけないことが心配されているなかで、なぜ安定して拡大を続けられるのでしょうか。
まず要因の一つとして挙げられるのが、業界内外で響き渡るブランド力の高さでしょう。
一般の方からすると、専門性の高い弁護士の力量を判断するのは至難の業です。となると、ブランド力の高さが、事務所選びに与える影響は大きいでしょう。
二つ目の理由としては、海外特にアジア圏で業務展開を広げている点が挙げられます。人口が減少トレンドにある日本の市場が縮小するのは時間の問題です。
しかし、海外ではこれから成長のピークを迎える国も少なくありません。
そうした発展途上の国に業務を展開し、新規市場の開拓に力を入れているのが、近年特に四大法律事務所の動向としては顕著でしょう。
四大法律事務所の概要と特徴比較
四大法律事務所は一括りにして語られがちですが、当然それぞれ特徴も違えば、事務所内の雰囲気も異なります。
この項目では、四大法律事務所それぞれの簡単な概要・特徴を紹介するので参考にしてみてください。
西村あさひ法律事務所
「西村あさひ法律事務所」は、600人以上の弁護士が所属する国内最大手事務所です。
事務所のルーツは1966年に設立された「西村法律事務所」で、以降複数の法律事務所との統合を経たのち、2007年に「西村ときわ法律事務所」と「あさひ法律事務所(国際部門)」の統合によって、現在の体制に移行しています。
東京・大阪・名古屋・福岡の国内4拠点のほか、バンコクや北京をはじめとする海外に11の拠点があります。
得意領域は銀行・金融、不動産取引、M&A・コーポレートなどです。知的財産法・情報法、事業再生・倒産なども扱っています。
国内最大手だけあって所属する弁護士も多様で、元検事やほかの法律事務所からの転職組、元エンジニアなど、さまざまな経歴を持つ人材が活躍しています。
中途採用は随時おこなっており、現在はコーポレート分野や知財業務・IT分野に関心のある人材や都内以外の拠点で勤務ができる人材を求めているようです。
弁護士以外のスタッフも多数在籍しており、どの職種もプロ意識が高いとの声が目立ちます。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は1952年に設立されて以降、長年にわたり日本のリーディング・ファームとして実績を残してきた法律事務所です。
所属弁護士数は500人を超え、東京・大阪・名古屋の国内3拠点と北京・上海・シンガポールなど7つの海外拠点があります。
得意領域は銀行・金融、キャピタルマーケット、危機管理・不祥事対応などです。
フラット・フランクな組織体制を採用しており、職場環境の風通しがよく、また専門分野ごとにセクション分けをしていないため、多様な業務分野を経験しやすい点が大きな魅力といえます。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所では弁護士の採用にあたって、多様な人材を確保する目的から、求める人材像の固定はしていません。
「好奇心の旺盛さと主体性」という共通認識のもと、採用担当者が各々の基準に従って採用を行うため、事前の対策は容易ではありませんが、チャンスは多いといえるでしょう。
長島・大野・常松法律事務所
「長島・大野・常松法律事務所」は、1961年に弁護士4人で発足した法律事務所から歴史が始まり、2000年には日本の法律事務所で初の所属弁護士数が100人超え。
その後順調に拡大を続け、現在は約500人の弁護士が所属する大規模法事務所です。
東京オフィスのほかニューヨークやシンガポール、バンコクなど7つの拠点をもち、幅広い海外ネットワークを活かし、数々の大型案件を手掛けており、得意領域は銀行・金融、キャピタルマーケットなどがあります。
弁護士・スタッフを案件ごとに配置する機動的なチーム編成がなされ、それぞれの職種が高いプロ意識をもって案件に臨んでいます。
パートナーが若手アソシエイトのOJTをおこなう育成グループ制度など、教育体制が整っているのも特徴です。
中途採用の門戸も広く開かれており、実務5年未満の若手から経験豊富なベテランまで、長島・大野・常松法律事務所の事務所理念に理解ある方であれば誰でも応募することができます。
森・濱田松本法律事務所
「森・濱田松本法律事務所」は、1971年に森綜合法律事務所が設立され、2002年の「濱田松本法律事務所」との統合によってできた法律事務所です。
日本国内で職務を行える弁護士数では僅差ながら四大法律事務所のなかで下位ですが、外国弁護士を含めた数では、西村あさひ法律事務所に次いで2番目の多さを誇ります。
西村あさひ法律事務所 |
717人 |
森・濱田松本法律事務所 |
634人 |
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 |
543人 |
TMI総合法律事務所 |
531人 |
長島・大野・常松法律事務所 |
525人 |
※各事務所公式HPの情報を元に作成
東京・大阪・名古屋・福岡の国内4拠点と、北京・上海・シンガポールなどの海外7拠点。得意領域は銀行・金融、キャピタルマーケット、M&A・コーポレートです。
事務所としてITの活用や若手育成にも積極的で、文書管理システムやノウハウ蓄積サイト、判例検索システムなどの導入はもちろん、研修・教育プログラムも充実しており、働きやすい環境が整っています。
弁護士の中途採用が通年で行われており、年次や経歴を問わず、得意領域において高い専門性を発揮できる人材を求めています。
参考:https://www.mhmjapan.com/ja/
TMI総合法律事務所
近年、急速に規模を拡大している「TMI総合法律事務所」を含めて、『五大法律事務所』と呼ばれるようになりました。
「TMI総合法律事務所」は1990年設立と比較的に若い事務所でチャレンジ精神と活⼒に溢れており、他の五大法律事務所では少々趣きが異なるやもしれません。
歴史は浅いながら、急速に所属弁護士数を増やし、国内6拠点に加えて海外にも多数の拠点を展開。複数の外国大手法律事務所と対等な業務提携も実現させるなど、グローバルなニーズにも対応しています。
業務では企業法務全般を扱っていますが、とくに知的財産、M&A、ファイナンスなどの領域で高い実績・専門性を有しています。
弁護士の募集は随時おこなわれていますが、とくに司法修習修了後4年目までの若手弁護士積極的に採用しているため、69期以降の方はチャンスです。
69期以前の弁護士の募集も行っていますが、採用に至るためには実務年数相応の専門性やスキルの有無が重要となるでしょう。
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四大法律事務所勤務弁護士の平均年収・初任給
近年は減少傾向にあるとはいえ、弁護士は高い年収を誇る職業の一つです。
国内トップクラスの法律事務所ともなれば、かなりの年収額が期待できると考える人は少なくないでしょう。
実際、四大法律事務所の年収は高く、1年目の時点で1,000万円を超えます。特に何事もなければ年々給与は上がっていき、4~5年目には年収2,000万円に到達します。
パートナーになることができれば、億超えも夢ではありませんが、近年は所属弁護士数が増えた影響でパートナー昇格は狭き門。
業務の多忙さも相まって、パートナーとなる前に転職や独立をする人もそれなりにいるのが現状です。
四大法律事務所で働くメリットとは
四大法律事務所で働くにあたり、一般的な法律事務所との違いを踏まえたメリットを紹介します。
業務分野が幅広くスケールも大きい
小規模法律事務所ではマンパワーの関係から領域を限定せざるを得ませんが、大規模事務所ではさまざまな分野を扱えるという強みがあります。
その中で自分の得意分野を活かすことも、新しい分野へ挑戦することも可能です。
主にチーム制を採用してスケールの大きな案件に取り組むため、自身がもつ専門性を大型案件の中で活かすことができます。
プロフェッショナル集団の中で成長できる
業界トップクラスの法律事務所だけあって、優秀な弁護士が多数集まっているため、周囲からの刺激や影響によって、働くうちに自然と自身も成長していくことができます。
間近で業界屈指のパートナーの仕事ぶりを見られるのは、四大法律事務所の特権といっても過言ではないかもしれません。
業務に専念しやすい環境
四大法律事務所には弁護士以外にもパラリーガルや秘書、翻訳スタッフなど多数のスタッフが在籍しています。
小規模事務所では弁護士自らが事務作業に忙殺されがちですが、バックオフィスが充実している分、本来の業務に専念可能です。
また図書館やデータベースの構築にも力を入れているため、効率のよい情報収集ができるのも大きな魅力といえるでしょう。
福利厚生が充実している
年収ばかりに注目が集まりがちですが、四大法律事務所は福利厚生も大企業並みに充実しています。
加えて、当たり前となっている留学も小規模事務所では、まずサポートは行われないため、破格の待遇といえます。
産休・育休周りについては、企業と比べるとまだ遅れはあるものの、時代の流れを見るに今後更なる充実が図られる可能性は高いでしょう。
独立・起業を見据えているならやりがいのある環境
企業法務分野では国内トップの法律事務所ですので、弁護士としてのキャリアを積める環境という意味では最高峰と言えます。
また、四大法律事務所での経験を活かして独立をする弁護士も多く、著名な弁護士でいうと、『弁護士ドットコム』を立ち上げた元榮太一郎氏はアンダーソン・毛利・友常法律事務所出身の弁護士です。
現職中に『弁護士検索ポータル』のアイディアを思いつき独立・起業、紆余曲折足ながらも事業を伸ばしていった背景は有名ですね。
他には、日本経済新聞社が実施している「企業が選ぶ弁護士ランキング」の企業法務部門において、9年連続で第一位に輝いている中村直人氏(現:中村・角田・松本法律事務所)をご存知の方は多いかもしれません。
森・濱田松本法律事務所の前身である森綜合法律事務所出身で、日本の企業法務分野の第一線で長年にわたり活躍をされています。
また、森綜合法律事務所出身では、久保利英明氏(現:日比谷パーク法律事務所)も非常に名が知れ渡っている方です。ビジネス弁護士の草分け存在として、コンプライアンスやコーポレート・ガバナンスなどの考え方をいち早く提唱されていました。前述した元榮太一郎氏・中村直人氏双方とも深い関わりを持っています。
- 元榮氏との関係→弁護士ドットコムの顧問を務めている
- 中村氏との関係→日比谷パーク法律事務所を共に開設
前述の3名以外にも、企業法務業界で近年高い注目を得ている三浦法律事務所パートナーの三浦亮太氏、法律事務所ZeLo及び株式会社LegalForceの共同代表である小笠原匡隆氏、角田望氏など、四大法律事務所を経て独立・起業して活躍された方は多数いらっしゃいます。
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四大法律事務所で働くデメリット|働き方に関する考察
四大法律事務所で働くことは、必ずしもメリットばかりとは限りません。
働き方が合わないにもかかわらず、入所してしまえば短期での離職に繋がってしまいます。
この項目では、四大法律事務所で働くデメリットを確認していきましょう。
激務になりやすい
どうしても激務になりやすい点がデメリットです。業務の性質から労働時間に対する評価ではなく、定時という概念もありません。
1年目から深夜まで働くことは常態化しており、がむしゃらに頑張れる体力を持つ20代だからこそ働ける環境とも言えます。
ただ、無事に案件が収束したときの達成感があり、多忙ながらも充実しているという声は多く聞かれます。やりがいを感じられる環境や給与にも満足している人が多いようです。
女性のキャリア形成は難しい
前述した激務になりやすいと関連し、女性のキャリア形成に関してはいまだ難しい印象です。
女性であっても男性と同等の働きぶりを求められるため、結婚や出産、子育てのタイミングが訪れた際、キャリアと天秤にかけざるを得ません。
まれに四大法律事務所で働きながら仕事と子育てを両立させたという話も出てきますが、大抵は常人には真似できない働き方をされています。
女性の方は入所の際に今後のキャリアを含めよく検討したほうがよいでしょう。
自身の実力を誤解してしまいやすい
四大法律事務所のブランドは一般人でさえ、一目置くほどです。なので、自身に対する外部の評価が、事務所のブランド込みであることは認識しておく必要があるでしょう。
万が一、自身の実力を見誤ってしまうと、自己評価と外部評価のズレの影響で、転職や独立が円滑に進まなくなる恐れがあります。
四大法律事務所で求める人材像・スキルの特徴
四大法律事務所への転職・就職を希望する方に向けて、採用で重視される点を紹介します。
実務経験の有無や程度
弁護士に限りませんが、転職組は実務経験の有無や程度が問われます。
四大法律事務所においては、企業法務の取扱経験があるか、当該事務所で扱う案件と親和性の高い業務経験があるかどうかは重要なポイントでしょう。
とくにある程度の年次がある方は、専門性の高さや経験業務の幅広さなどが重視されるため、経験年数から想定される期待値に満たないとあっさりお見送りとなってしまいます。
多様性
新卒採用だけでも十分弁護士数を確保できている四大法律事務所が、中途採用者に何を期待しているかといえば、異なる視点や考えを取り入れることです。
基本的に新卒で採用した弁護士は他を知らないので、自然と事務所の考え方に同調していきます。
業務も当然同じようなことを行うので、能力・経験的にも似通ってしまいます。
似たような弁護士ばかりが集まれば、提供サービスに偏りが起こりかねません。
なので、異なる経歴を持った弁護士の中途採用を行うことで、事務所に違う視点や考えを入れたいわけです。
加えて、事務所で手薄な業務を扱える弁護士を加えることができれば、取り扱える業務の幅も増えるので一石二鳥です。
学歴・成績
司法修習生や経歴の浅い弁護士を採用する場合は、ポテンシャルで判断しなければなりません。
ポテンシャルの判断にあたり、一つの目安となるのが学歴や成績です。一概に言えるものではないものの、優秀な成果を出せたのは本人の日頃の努力や要領の良さがあってのこと。
そうした点が急に試験合格後に良くも悪くも変わるとは考えにくいので、採用の指標となるわけです。
なかなか納得しづらい部分はあるかもしれませんが、四大法律事務所で働くチャンスは後にもあり得ることなので、場合によっては諦めも肝心でしょう。
四大法律事務所へ入る転職する具体的な方法は大きく3つ
四大法律事務所に入所する方法について紹介します。
直接応募
四大法律事務所のホームページには、新卒採用・中途採用共に応募のお知らせが出ています。
たとえば、西村あさひ法律事務所の採用ページによると、新卒で応募したい場合には事務所訪問からまず始めます。
事務所訪問をしたい場合にはエントリーフォームに沿って必要書類をアップロードしてください。
中途採用は履歴書と職務経歴書を応募登録システムから登録します。
このように、ホームページ上から応募する場合には書類だけで面接に進めるかがジャッジされてしまうので、魅力的に見えるように作りこむことが大切です。
ヘッドハンティング
経験者の場合はヘッドハンティングされることもあるでしょう。
どの法律事務所も専門知識がある優れた人材を採用したいという気持ちがあるため、弁護士として実績があるのであれば知人経由などでアプローチがあるかもしれません。
ヘッドハンティングの場合は、通常の転職活動に比べて条件の交渉もしやすいのがメリットです。
弁護士の転職・求人案件を持つ専門転職エージェントを利用
弁護士の転職に特化した転職エージェントも存在します。
四大法律事務所では、学歴や経験を重視するので、その点が不十分だと判断されれば書類審査の段階で落ちてしまうこともあるでしょう。
転職エージェントを利用すると、履歴書や職務経歴書の添削や面接の指導をしてくれたり、転職者の良い点を伝えてくれたりするというメリットもあります。
特に中堅・中小の法律事務所からの転職の場合には、転職エージェントを利用した方が有利に進める可能性が高いです。
まとめ
四大法律事務所は企業法務系、渉外系の事務所が統合を繰り返し誕生しました。
M&Aや大規模企業法務案件などが増えニーズが高まっていたこと、業務を回すには人手を増やすことが不可欠であったことを考えると、大規模化は必要的であったといえます。
今日でも圧倒的なマンパワーや知見を活かしスケールが大きい案件を担っており、入所して得られる経験は大きいといえます。しかし、その分多忙を極めますし、転職のハードルも高めです。
ただどこの事務所も中途採用は常に行っているので、気になる方は応募してみるとよいかもしれません。