難関資格を持つ弁護士の年収は、一般企業の会社員に比べるとかなり良いというイメージを持つかもしれません。しかし、実情はまさに「ピンキリ」で、入所する法律事務所の規模やこれまでの経験によって、年収が上がるか据置きになるかは大きく異なります。華やかな成功を収め高収入を得る弁護士がいる一方で、苦しい生活を送らざるを得ない弁護士も存在するのが現実なのです。
この記事では、弁護士の平均年収だけでなく、中央値や年収帯別の分布といったデータに基づき、弁護士の年収が二極化している実態を明らかにします。さらに、年収に影響を与える様々な要因、そして、あなたが弁護士として年収アップを実現するための具体的な方法まで、徹底的に解説します。
この記事を読めば、弁護士の年収に関する曖昧なイメージが払拭され、ご自身のキャリアプランをより現実的に、そして戦略的に描けるようになるはずです。ぜひ最後までお読みください。
目次
弁護士の年収は本当にピンキリなのか?平均値と中央値を算出
弁護士の年収について語られる際、「ピンキリ」という言葉がよく用いられます。この実態をデータで確認するため、まずは弁護士全体の平均年収と中央値を見ていきましょう。
弁護士の働き方は少々特殊で、法律事務所に勤務していても実質的には個人事業主であることが多いため、取り扱う事件の金額によって、1案件ごとの『成功報酬金』も違ってきます。
個人の弁護士であれば「案件を大量に受注した場合は年収にダイレクトに反映される」ので、年収が1,000万円を超える可能性も十分にあるでしょう。
日本すべての弁護士及び弁護士法人は、各地の弁護士会に入会すると同時に日本弁護士連合会に登録が必要です。この日本弁護士連合会では、弁護士の活動実態について「弁護士実勢調査(弁護士センサス)」を行っており、この中で弁護士の年収についても調査しています。
弁護士全体の平均年収
2006年 | 2008年 | 2014年 | 2018年 | 2023年 | |
収 入 | 3,620万円 | 3,389万円 | 2,402万円 | 2,143万円 | 2,082万円 |
回答者 | 4,025人 | 4,021人 | 3,199人 | 2,584人 | 1,954人 |
所 得 | 1,748万円 | 1,667万円 | 907万円 | 959万円 | 1,022万円 |
回答者 | 3,978人 | 3,977人 | 3,128人 | 2,490人 | 1,839人 |
2023年に行われた日本弁護士連合会の調査によると、弁護士全体の平均収入は2,082万円でした。過去の平均年収を見てみると、
- 2006年が3,620万円
- 2008年が3,389万円
- 2010年が3,304万円
- 2014年が2,402万円
- 2018年が2,143万円
- 2023年が2,082万円
と年々減少していることがわかりました。
年収の中央値
日本弁護士連合会の調査では、収入と所得の中央値についても調査をしています。中央値とは、回答を大きさの順に並べた時に全体の中央にくる値のことです。平均値は一部の高所得者が数値を引き上げてしまうことがあるので、中央値で見た方が実態に即しているといわれています。
2006年 | 2008年 | 2014年 | 2018年 | 2023年 | |
収 入 | 2,400万円 | 2,200万円 | 1,430万円 | 1,200万円 | 1,500万円 |
回答者 | 4,025人 | 4,021人 | 3,199人 | 2,584人 | 1,954人 |
所 得 | 1,200万円 | 1,100万円 | 600万円 | 650万円 | 800万円 |
回答者 | 3,978人 | 3,977人 | 3,128人 | 2,490人 | 1,839人 |
2023年の弁護士全体の収入の中央値は1,500万円でした。過去の平均年収を見てみると、
- 2006年が2,400万円
- 2008年が2,200万円
- 2010年が2,112万円
- 2014年が1,430万円
- 2018年が1,200万円
- 2023年が1,500万円
という結果でした。日本における一般労働者の平均年収が450万円程度と言われているため、それに比べると高い水準であることがわかります。
苦労して司法試験を突破した割には年収は低い傾向
弁護士資格を取るために何年も勉強をしてきて苦労して取得した結果と考えると、「思ったより少ない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
弁護士の合格者数は、2006年の新司法試験制度導入後から大きく人数を増やしました。弁護士は定年がないため、高齢化の進む日本では現役で働く弁護士が増えていくことになります。
しかし、人口減から訴訟数が増えたわけではないので、弁護士によるパイの奪い合いになっているようです。業界トップの法律事務所では、入所したばかりのアソシエイトが年収1,000万円を得ることができ、10年働けば年収5,000万円の年収、パートナーになれば年収数億円になる人もいるようです。
一方、地方や小規模の法律事務所では、パートナーなっても案件を取れないと年収数百万円~一千万円程度ということもあり、弁護士年収の二極化が進んでいます。
このように、弁護士という職業は、高い専門性と責任が求められる一方で、必ずしもその努力が収入に反映されるとは限らない厳しい側面も持ち合わせているのです。
弁護士の経験・年齢別の年収
経験年齢別の年収は、経験年数5年未満の弁護士の平均収入が575万円、収入中央値559万円でした。これだけで見ると上場企業勤務の会社員との収入差はあまりないように感じます。
収入 | |||||||
2006年 | 2008年 | 2014年 | 2018年 | 2023年 | |||
5年未満 | 平均値 | 1,613 | 1,222 | 796 | 735 | 71-74期 | 575 |
中央値 | 970 | 850 | 675 | 600 | 559 | ||
回答数 | 733件 | 934件 | 846件 | 660件 | 277件 |
ただし、弁護士の経験年数が上がるほど収入や所得は増えていく傾向です。弁護士経験年数別が20年以上25年未満の弁護士の平均収入が3,767万円、収入中央値2,950万円と、その他の経験年数のレンジに比べて一番高くなりました。
収入 | 所得 | ||||||||
2008年 | 2014年 | 2018年 | 2023年 | 2008年 | 2014年 | 2018年 | 2023年 | ||
20年以上 25年未満 |
平均値 | 5,066 | 4,101 | 3,469 | 3,767 | 2,497 | 1,342 | 1,307 | 1,692 |
中央値 | 4,000 | 2,697 | 2,760 | 2,950 | 1,995 | 840 | 1,006 | 1,215 | |
回答数 | 351件 | 160件 | 105件 | 90件 | 350件 | 159件 | 102件 | 88件 | |
25年以上 30年未満 |
平均値 | 4,991 | 4,290 | 4,699 | 3,220 | 2,218 | 1,460 | 1,601 | 1,298 |
中央値 | 3,937 | 3,000 | 3,000 | 2,689 | 1,800 | 1,000 | 1,100 | 1,000 | |
回答数 | 340件 | 187件 | 99件 | 79件 | 341件 | 185件 | 94件 | 74件 |
また、平均所得は1,692万円、所得の中央値は1,215万円です。それ以上の経験年齢で見てみると減少傾向にあるので、年齢や体力を考えて経験年数25〜30年くらいをピークに活動を控えめにしている可能性もあるでしょう。
男女弁護士の年収差
厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」では、法律事務所または企業に勤務している弁護士の平均年収の調査をしています。
こちらの調査によると、男性弁護士の平均年収は1,595万円、女性弁護士の平均年収は733万円でした。
独立して法律事務所を経営している人の年収は含まれていないので、それらを合わせると変動することも予想できますが、男女の年収差はかなり大きく開くということがわかります。
たとえば、大手法律事務所でキャリアを重ねる場合は、男女関係なく実力次第で年収が上がっていくことが想像できます。しかし、法律事務所の弁護士の仕事は非常に忙しく、出産後育児をしながらの勤務が難しいと感じる場合もあるでしょう。
このような場合、年収が低くても働き方の融通が効く小さな法律事務所や、企業内弁護士へ転職するという選択肢もあります。女性が働くためには「働きやすさ」が大切になるので、年収より残業時間の有無などを見ることもあるでしょう。
法律事務所の規模による年収差
法律事務所の規模でも年収差は生まれます。たとえば、『5大法律事務所』では入社時に年収1,000万円、パートナーになれば数千万円〜億になることもあるようです。
しかし、中小・個人の法律事務所の場合は入社時の年収が300万円〜500万円で、最高でも1,000万円代ということもあります。このように所属する法律事務所により、年収格差がかなり開いているのです。
企業内弁護士の年収の実態
企業内弁護士の年収は、最も多い層が750万円から1,000万円の範囲で、全体の28%を占めています。これは法律事務所に勤務する弁護士と比較するとやや低い水準となっています。
企業内弁護士の特徴として、法律事務所勤務と比べて労働時間が短く、ワークライフバランスを取りやすい環境があります。そのため、年収が比較的低くても、働きやすさを優先して企業内弁護士のキャリアを選択する方も少なくありません。
次に多い年収帯は1,000万円から1,250万円で、全体の23%を占めています。年収1,000万円以上の層を合計すると46%となり、その内訳は次の通りです。
- 2,000万円~3,000万円:4%
- 3,000万円~5,000万円:2%
- 5,000万円以上:1%
このように、一般企業の従業員としては非常に高水準の待遇を得ている方も存在します。また、専門性や経験が評価され、役員に就任するなどした場合には、法律事務所勤務の弁護士を上回る年収を得られるケースもあります。
参考:日本組織内弁護士協会|組織内弁護士協会(JILA)の企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2020年)より
独立して働く弁護士の年収水準は?
独立開業して働く弁護士の年収は、その弁護士の手がける案件数や地方などにより大きく異なります。そのため、年収300万円程度の場合もあれば年収数億円となることもあるのです。
勤務弁護士に比べて自由度は増しますが、その分稼げるかどうかは本人の努力やマーケティングの上手さなどに依存するようです。
なぜ弁護士の年収はピンキリなのか
前述の通り、弁護士の年収には大きな開きがあり、その実態は「ピンキリ」と表現されることがあります。では、一体なぜこのような年収格差が生じるのでしょうか。この章では、弁護士の年収が大きく変動する、主な5つの要因について詳しく解説していきます。
キャリアの積み重ねが年収に直結するため
弁護士の年収が大きく異なる要因の一つに、キャリアの積み重ねが挙げられます。一般的に、弁護士としての経験年数が長くなるほど、専門知識やスキルが向上し、複雑で高単価な案件を扱えるようになる傾向があります。
弁護士白書2023年版によると、経験年数別の収入中央値を見ると、5年未満では559万円であるのに対し、20年以上25年未満では2,950万円と、経験年数を重ねるごとに年収が大きく上昇していることがわかります。
これは、長年の経験を通じて顧客からの信頼を得たり、難易度の高い案件を成功させることで実績を積んだりすることが、高収入に繋がることを示しています。
一方で、経験の浅い若手弁護士は、十分な経験や実績がないため、どうしても年収が低くなる傾向があります。経験を積むためには時間がかかるため、どうしても年収に差が生じやすい構造となっています。
専門とする分野によっても案件数や質に差があるため
弁護士が専門とする分野によって、取り扱う案件の数や質、そして報酬水準が大きく異なることも、年収のピンキリを生む要因です。
例えば、企業法務、M&A、知的財産権などの分野は、専門性が高く、一件あたりの報酬が高額になる傾向があります。これらの分野で活躍する弁護士は、高い専門知識や交渉力、語学力などが求められるため、必然的に高収入を得やすくなります。
一方、個人向けの離婚、相続、債務整理などの分野は、比較的案件数は多いものの、一件あたりの報酬が低い傾向があります。これらの分野を専門とする弁護士は、多くの案件をこなすことで収入を確保する必要がありますが、高収入を得るのは容易ではありません。
このように、専門分野の選択は、弁護士の年収に大きな影響を与える重要な要素となります。
勤務先や勤務形態によっても大きく差があるため
弁護士が勤務する法律事務所の規模や種類、そして働き方(勤務形態)も、年収に大きな影響を与えます。
一般的に、大手法律事務所や外資系法律事務所は、高単価な企業法務案件を多く扱い、弁護士の給与水準も高い傾向にあります。これらの事務所では、高度な専門知識や語学力、そして激務をこなせる体力などが求められますが、その分、高収入を得ることが可能です。
一方、中小規模の法律事務所や個人事務所では、大手事務所と比較して給与水準が低い傾向があります。ただし、中小規模の事務所では、幅広い分野の案件に携わることができたり、独立開業への足掛かりにできたりするメリットもあります。
また、企業内弁護士として企業に所属する場合、法律事務所勤務の弁護士と比較して、安定した収入を得られる傾向があるものの、大幅な高収入は期待しにくいでしょう。独立開業した弁護士の場合は、成功すれば高収入も夢ではありませんが、顧客獲得や経営手腕など、年収が大きく変動するリスクも伴います。
このように、勤務先や勤務形態の選択は、弁護士の年収に大きな影響を与えるため、自身のキャリアプランに合わせて慎重に検討する必要があります。
都市部と地方でも案件数や競争環境が異なるため
弁護士が活動する地域によって、取り扱う案件数や競争環境が異なることも、年収の格差を生む要因の一つです。
東京や大阪などの大都市圏は、企業の数も多く経済活動も活発なため、企業法務関連の案件が多く、弁護士の需要も高い傾向にあります。しかし、その分、弁護士の数も多く、競争が激しいという側面もあります。
一方、地方都市や過疎地域では、弁護士の数が少なく、競争は比較的緩やかですが、案件数自体が少ないため、高収入を得るのが難しい場合があります。しかし、地域によっては、特定の分野に特化することで、安定した収入を得ている弁護士も存在します。
このように、活動する地域によって、弁護士の置かれる状況は大きく異なるため、年収にも差が生じやすくなります。
個人の営業力や集客力も問われるため
特に独立開業している弁護士や、中小規模の法律事務所に所属する弁護士にとって、個人の営業力や集客力は年収を大きく左右する重要な要素です。
弁護士の仕事は、質の高いリーガルサービスを提供するだけでなく、積極的に顧客を獲得することも重要です。そのため、コミュニケーション能力、交渉力、人脈形成力などが求められます。
効果的な広報活動やマーケティング戦略、そして顧客からの紹介などを通じて、安定的に案件を獲得できる弁護士は、高収入を得やすい傾向にあります。一方、営業や集客が苦手な弁護士は、案件の獲得に苦労し、年収が伸び悩む可能性があります。
近年では、インターネットを活用した集客方法も重要になってきており、ホームページの作成やSEO対策、SNSの活用なども、弁護士の営業力・集客力を高める上で重要な要素となっています。
弁護士が年収アップを叶える方法
弁護士として更なる年収アップを目指すためには、戦略的な行動が欠かせません。この章では、現状の年収から一段階ステップアップするための、具体的な5つの方法をご紹介します。自身のキャリアプランや強みに合わせて、積極的に取り入れてみましょう。
専門性を磨く
年収アップを実現するための最も重要な戦略の一つが、専門性を磨くことです。特定の分野における深い知識や経験は、他の弁護士との差別化を生み出し、高単価な案件を獲得する上で非常に有利に働きます。
例えば、M&A、知的財産、IT、国際取引など、専門性の高い分野は、企業のニーズも高く、比較的高額な顧問料や報酬が期待できます。これらの分野に特化し、セミナーや研修への参加、専門書籍の読破などを通じて常に最新の知識を習得することで、市場価値を高めることができます。また、専門分野に関する資格取得も、顧客からの信頼を得る上で有効な手段となります。
自身の興味や強みを考慮し、将来性のある専門分野を見つけることが、年収アップへの第一歩となるでしょう。
人脈を広げる
弁護士として成功するためには、法曹界内外を問わず、幅広い人脈を築くことが重要です。人脈は、新たな案件の紹介やビジネスチャンスに繋がるだけでなく、業界の最新情報を得る上でも貴重な情報源となります。
弁護士会や各種研究会、セミナーなどに積極的に参加し、他の弁護士や専門家との交流を深めましょう。また、異業種交流会に参加することで、潜在的な顧客層との接点を増やすことも可能です。日々の業務においても、関係者との良好なコミュニケーションを心がけ、信頼関係を構築することが、長期的な視点での人脈形成に繋がります。SNSなどを活用して情報発信を行い、自身の専門性をアピールすることも有効です。
質の高い人脈は、年収アップのための強力な武器となるでしょう。
営業力を高める
特に独立開業している弁護士や、中小規模の法律事務所に所属する弁護士にとって、営業力は年収を大きく左右する重要な要素です。弁護士としての専門知識やスキルはもちろん重要ですが、それらを必要とする顧客に効果的にアプローチし、案件を獲得する能力も不可欠です。
顧客のニーズを的確に把握し、自身の強みを効果的に伝えるプレゼンテーション能力を磨きましょう。また、潜在顧客との接点を増やすためのマーケティング戦略も重要です。ホームページやブログの作成、セミナー開催、SNSでの情報発信など、様々な手法を検討し、積極的に行動に移すことが求められます。紹介による案件獲得も非常に重要となるため、既存顧客との良好な関係を維持することも忘れてはなりません。
営業力は、経験を積むことで向上する部分もありますが、意識的にスキルアップを図ることで、より効率的に年収アップを目指すことができます。
独立開業を視野に入れる
より高い年収を目指す上で、独立開業は有力な選択肢の一つとなります。組織に属している場合、どうしても収入に上限がありますが、独立開業すれば、自身の裁量で業務を拡大し、収入を大きく伸ばす可能性があります。
ただし、独立開業にはリスクも伴います。顧客の獲得、事務所の運営、経費の管理など、全てを自分自身で行う必要があります。そのため、開業前には十分な準備と計画が不可欠です。綿密な事業計画の策定、資金調達、マーケティング戦略の構築など、クリアすべき課題は多く存在します。また、独立開業後も、継続的な努力と経営手腕が求められます。
独立開業は、大きなリターンが期待できる一方で、相応のリスクも伴うため、自身の状況や適性を慎重に判断する必要があります。
より年収が高い環境へ転職する
現在の勤務先での年収アップが見込めない場合、より高い給与水準の法律事務所や企業への転職を検討することも有効な手段です。大手法律事務所や外資系法律事務所、あるいは高待遇の企業内弁護士のポジションは、一般的に給与水準が高い傾向にあります。
転職を成功させるためには、自身のスキルや経験を客観的に分析し、市場価値を把握することが重要です。転職エージェントを活用することで、非公開の求人情報や、自身のキャリアに合った求人を紹介してもらえる可能性が高まります。また、面接対策や履歴書・職務経歴書の添削など、転職活動全般にわたるサポートを受けることもできます。
より高い年収を目指すだけでなく、自身のキャリアアップや専門性の向上に繋がる転職を検討することが重要です。
弁護士の転職方法
弁護士として年収アップを目指す上で、転職は有力な選択肢の一つです。しかし、いざ転職活動を始めようと思っても、どのように進めていけば良いのか迷う方もいるかもしれません。
この章では、弁護士が転職を成功させるための代表的な3つの方法について、具体的な手順やメリット・デメリットを解説します。
弁護士を募集している法律事務所へ直接応募する
希望する法律事務所が明確な場合、直接応募は有効な手段です。事務所のホームページや採用情報サイトなどで求人情報を探し、直接応募することができます。
手順:
- 興味のある法律事務所のホームページや採用情報を確認する。
- 募集要項を確認し、応募資格や応募書類を準備する。
- 履歴書、職務経歴書、自己PR書などの応募書類を作成する。
- 事務所の指示に従い、応募書類を郵送またはメールで送付する。
- 書類選考通過後、面接日程の調整を行い、面接に臨む。
直接応募のメリット・デメリット
法律事務所へ直接応募する際は、次のようなメリットとデメリットも覚えておきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
希望する事務所に直接アプローチできるため、熱意を伝えやすい。 | 求人情報の収集を自身で行う必要があるため、手間がかかる。 |
事務所の雰囲気や文化を直接感じることができる。 | 応募書類の作成や面接対策など、全てを自身で行う必要がある。 |
採用を行っていない事務所でも検討してもらえる可能性がある。 | 非公開求人には応募できない。 |
転職サイトや転職エージェントを利用する
効率的に転職活動を進めたい場合や、非公開求人を探したい場合は、弁護士専門の転職サイトや転職エージェントの利用がおすすめです。これらのサービスは、求人情報の提供だけでなく、キャリア相談や応募書類の添削、面接対策など、転職活動全般にわたるサポートを受けることができます。
手順:
- 弁護士専門の転職サイトに登録するか、転職エージェントに問い合わせる。
- キャリアカウンセリングを受け、希望条件やキャリアプランを伝える。
- エージェントから紹介された求人情報の中から、興味のあるものを選ぶ。
- 応募書類の作成支援や添削を受ける。
- エージェントを通じて応募し、面接日程の調整などを行う。
- 面接対策のサポートを受ける。
- 内定後、入社条件の交渉などをサポートしてもらう。
転職サイト・エージェント利用のメリット・デメリット
転職サイトや転職エージェントを利用する際は、次のようなメリットとデメリットも覚えておきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
多数の求人情報を効率的に収集できる。 | 担当のエージェントとの相性によって、サポートの質に差が出ることがある(※一般的に担当の変更は可能)。 |
非公開求人の紹介を受けられる可能性がある。 | 興味のない求人を提案されることもある。 |
キャリアアドバイザーによる専門的なサポートを受けられる。 | |
応募書類の作成や面接対策の負担を軽減できる。 | |
企業との条件交渉を代行してもらえる場合がある。 |
特に、多くの事務所は採用活動を競合に知られたくないため、非公開求人として転職エージェントにのみ求人情報を公開することが多いです。非公開求人の情報を知りたい場合も、転職エージェントに相談するのが得策といえるでしょう。弁護専門エージェント『NO-LIMIT』に登録する
紹介を依頼する
信頼できる知人や先輩弁護士に紹介を依頼する方法は、ミスマッチのリスクを減らし、スムーズな転職に繋がる可能性があります。
手順:
- 信頼できる弁護士や知人に、転職を考えていることを相談する。
- 希望する勤務先の条件やキャリアプランを具体的に伝える。
- 紹介可能な法律事務所がないか尋ねる。
- 紹介を受けられた場合、紹介者に感謝の意を伝える。
- 紹介先の事務所と連絡を取り、面談や面接の機会を設けてもらう。
紹介依頼のメリット・デメリット
紹介依頼で転職活動を進める際は、次のようなメリットとデメリットも覚えておきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
信頼できる情報源からの紹介のため、安心感がある。 | 紹介してくれる人がいない場合は利用できない。 |
事務所の内情や雰囲気を事前に知ることができる。 | 紹介者の顔を立てる必要があり、断りにくい場合がある。 |
採用担当者に推薦してもらえるため、選考が有利に進む可能性がある。 | 希望する条件に合致する紹介を受けられるとは限らない。 |
まとめ
この記事では、弁護士の年収に関する実態を詳細に解説してきました。弁護士の平均年収は決して低くはありませんが、その内訳を見ると、経験、専門分野、勤務先、地域、個人の営業力など、様々な要因によって年収に大きな格差が生じていることがお分かりいただけたかと思います。
苦労の末に司法試験を突破しても、必ずしも高収入が約束されているわけではありません。特に若手弁護士や、特定の分野を専門とする弁護士の中には、厳しい経済状況に置かれている方も存在します。しかし、年収アップを叶えるための道筋も存在します。専門性を磨き、人脈を広げ、営業力を高める努力を続けることで、現状を打破し、より良い待遇の環境へ転職したり、独立開業で成功を収めたりすることも可能です。
弁護士という職業は、社会正義の実現に貢献できるやりがいのある仕事である一方、経済的な側面においては、個人の努力や選択によって大きく左右される厳しい一面も持ち合わせています。この記事が、弁護士を目指す方、キャリアアップを考えている現役弁護士の方々にとって、自身のキャリアプランを考える上で少しでもお役に立てれば幸いです。
弁護士の年収は「ピンキリ」であるという現実を理解した上で、ご自身の目標とする年収、そして働き方を明確にし、戦略的なキャリア選択をしましょう。
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