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弁護士が独立開業した際の年収はいくら?独立弁護士が年収を上げる方法を徹底調査

更新日: 公開日:

弁護士過剰と言われ、収入面での不安や独立を検討する方も多いことでしょう。そこで知りたいのが、実際の独立弁護士の年収です。また、独立するとなると

  • 「費用はどのくらいかかるのか?」
  • 「どんな準備が必要か」

なども気になるところだと思います。

そこで今回は、独立した弁護士の年収、さらには高い年収を獲得するためには何が必要なのかといったことを詳しく調べてきました。

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 弁護士は独立開業すれば年収は上げられる

本記事を読んでいる方には「弁護士として独立することについての不安」を感じている方もいると思います。そこで単刀直入に、独立した場合の弁護士の想定年収について詳しくお話します。公的なデータを交えて迫りますので、ぜひ参考にしてください。

勤務型弁護士の年収は約766万

  所定内給与額(万円) 年間賞与その他特別給与額(万円)
弁護士(男) 50.5 159.5
弁護士(女) 57.0 73.3

 厚生労働省が発表した賃金基本構造統計調査によると、2018年の弁護士の年収は766万円とありました。ちなみにこのデータは、企業や法人のみを対象に行われたものですので、独立弁護士の年収は加味されておりません。

弁護士が1,000万プレイヤーと言われていましたが、法律事務所や企業内で働く勤務型弁護士の年収は下降傾向と言わざるを得ないでしょう。

独立弁護士を含めると年収は過半数1,000万円以上

では、独立弁護士の年収は一体いくらなのでしょうか。残念ながら、独立弁護士だけの年収を示した公的なデータはありませんが、おおよその金額を算出することはできます。

日弁連が発表している2018年版の弁護士白書の約2,500人の弁護士を対象とした調査によると、平均所得は約959万円とありました。先の勤務型弁護士の年収と比較すれば高い数値になりますので、企業に属さない独立弁護士がそれだけ数値を底上げしていると言えるのではないでしょうか。

また、同資料によると1,000万円の年収を稼ぎ出している弁護士は全体の約61%存在します。

収入(万円)

人数

~200

72

200~500

230

500~750

415

750~1,000

289

1,000~1,500

438

1,500~2,000

267

2,000~3,000

347

3,000~5,000

295

5,000~7,500

136

7,500~1億

42

1億~

53

つまり弁護士全体の年収も含めて見ると、独立弁護士は高年収の割合が高いと言えるでしょう。

弁護士は年齢が上がるにつれ独立する傾向がある

実は、弁護士はキャリアの最初の5年を過ぎると、独立開業する割合が飛躍的に高まります。

弁護士の就業形態

日弁連が公開している「弁護士白書」内の弁護士の就業形態を調べた2018年のデータによれば、キャリア5年未満の弁護士は66%が勤務型弁護士で、自ら事務所を経営する独立弁護士の割合は14%ほどでした。

ところが、これがキャリア5年〜10年の弁護士になるとその割合は逆転し、独立開業した弁護士が全体の51%、勤務型弁護士の割合が28%となっています。

弁護士が独立開業をする傾向はベテランになるほどより顕著になり、10年以上のキャリアを誇る弁護士のうち約86%が独立開業をしていると示されていました。つまり、独立開業することは弁護士業界全体から見てもトレンドであると言えるのではないでしょうか。

 独立したての弁護士の年収は300〜500万円

ここで、独立開業をしてしまうと一時的に収入がなくなることを不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

参考までに、東京弁護士会が2015年に行った開業してから半年以内の弁護士へのアンケート調査を参照すると、独立開業をした弁護士の年収は300〜500万円のラインであるということがわかります。

これは、テナント料金や事務用品などの諸経費を差し引いた額ですので、前述した勤務型弁護士の平均年収と比較すると、少ないように思われるかも知れません。しかし、独立をして年収1,000万以上まで上げていく事は不可能ではないと考えると、長期的にはプラスになる判断とも考えられます。

10億円稼ぐ開業弁護士もいる

勤務型弁護士のままですと、年収の上限はおおよそ決められていて、稼げる金額を上げるためには転職をしなくてはなりません。しかし、独立弁護士ならば裁量権は全て自分にありますので、収入額に上限がなくなります。

そんな独立弁護士の中には年収で10億円を稼ぐ人も存在します。フリーターから弁護士になったことでも有名な福永活也さんがその一人です。

福永さんは現在多岐に渡る事業を展開していますが、年収10億円を達成できたのは独立後に弁護士として、東日本大震災後の東京電力の事業再生案件や風評被害対策業務に携わったためでした。

国税庁の「統計年報」によると、2018年に年収10億円を超える人は約1,700人と、僅かな割合に留まっていますので、これがどれほどの偉業かよくわかります。

もちろん、弁護士としてこれほどの成功を収められるのは僅か一握りですが、独立開業をするとそれだけ年収が上がる可能性があるということは、大いに独立することの後押しになるのではないでしょうか。

年収を上げたい弁護士が独立前に準備しておくべきこと

実際に弁護士が独立するために準備しておくべき事柄は以下のようになります。

  • 資金
  • テナント
  • 事務員

それぞれについて具体的に説明していきますので、独立を考えている方は参考にしてください。

資金の準備

独立に際して自宅を事務所にする自宅開業であればそこまで資金は必要ありません。しかし、テナントを借りて開業をするとなるとまとまった資金が予め必要になります。

弁護士が開業資金を借り入れる場合、以下の方法が金利も安いため推奨されますので、参考にしてください。

  • 日弁連が行なっている「弁護士偏在解消のための経済的支援」制度
  • それぞれの弁護士協同組合で受けられる事業ローン
  • 日本政策金融公庫で受けられるローンや融資制度など
  • 各自治体が行なっている事業ローン

また、開業資金の借入額としては、日弁連が公開している「即時・早期独立経験談集」によると、300万円から500万円のラインが多くなっています。

テナントの準備

事務所として使用するテナントには、主に以下のような費用がかかります。

  • 保証金
  • 内装費
  • 事務用品

テナントを選ぶ際に裁判所への交通の便も考慮される方もいますが、日弁連によると開業当初は訴訟事件の数も多くはないとのことから、優先的に検討する必要はないとのことです。一方で、郵送で内容証明郵便を送ることが多くなる場合は、24時間対応の郵便本局に近い立地である方が便利あるとされています。

事業用物件を借りるデメリットとしては、使い勝手は良いものの保証金を10ヶ月分前後は納めなければならないということが挙げられます。その反面、住居用の物件の場合は、保証金は2ヶ月分前後でいいので、予算に応じて選択しましょう。

住居用の物件を事務所として利用する場合は、予め貸主の承諾を得る必要があるので注意が必要です。

事務員の採用

人件費は、開業すると最も負担額の大きい経費となるので、事務仕事を自分で担うことを検討する人もいます。しかし、日弁連では最低一人は事務員を採用することを推奨しています。

その理由は、事務員不在ですと弁護士が留守の間は誰も訪問客の応対が出来ず、事務所の電話も取れないため機会損失になるためです。電話に関しては転送対応が可能ではあるものの、別の依頼主への対応中に電話がなってしまっては、業務に支障をきたす可能性もありますので注意する必要があります。

特に、まだキャリアの浅いうちから独立をする場合は、事務員は業務内容を把握している弁護士事務所経験者が適切です。予算が厳しいうちは自分の配偶者や親族に頼むのも一つの手段ですので、こちらも検討しましょう。

弁護士が独立後、年収を上げるためにやるべきこと

独立後に弁護士が年収を上げる方法はどのようなものがあるのでしょうか。弁護士業務のみで年収をあげていくことを想定した場合、以下の3つが考えられます。

  1. 事務所を巨大化させる
  2. 専門性を深める
  3. 事務所をブランディングする

それぞれ解説していきます。

事務所の拡大

事務所の拡大に関しては二つの要素が考えられます。

  • テナントの移転
  • 事務員の拡充

テナントに関しては、独立当初は資金などの都合から自宅やアクセスの悪い場所での開業を余儀なくされるケースもあるでしょう。

しかし、予算に余裕が出始めたのなら、立地の良い場所に事務所を移転することで更なる集客が望めます。また、案件数が増えて来たなら、弁護士や事務員の増員も推奨されます。

業務を自動化することができれば、自分は経営の方により専念することができるためです。

専門に特化する

日弁連が発表した「弁護士人口の将来予測」のシミュレーションによると、弁護士人口は2050年までに増加の一途を辿ります。反面、日本の人口は減少し続けますので、弁護士一人あたりが受け持てる顧客の潜在的な人数は必然的に減っていくことになるのです。

そのため、独立後も長期的に高い年収を維持し続けたいなら、取り扱う案件をより専門的なものに特化し、確かな顧客を獲得し続けることが必要になります。

どういった内容に専門性を置くかは、弁護士自身の得意不得意もありますが、事務所を開業した地域のカラーや、時代のニーズを鑑みて決めるのが適切です。

ブランディングする

事務所を顧客に認知して貰うための広報活動も、独立後に年収を上げるために重要な要素です。看板や広告などの宣伝方法もありますが、最も推奨される広報のやり方としてH P制作などのWEB戦略があります。

ある事務所の事例では、HPを制作すると事務所の来る受任前の受任件数が以前よりも3倍に増えたとのこと。

Web制作を請け負っている会社の中には、企業のコンサルに特化し強みを適切にアピールしてくれる会社もありますので、事務所のブランディングをしたいと考えている場合はぜひ活用しましょう。

弁護士が独立するメリットデメリット

弁護士として独立することのメリットとデメリットとは一体何なのでしょうか。独立開業した後に年収をあげていくためには、このことについて把握しておく必要があります。

この項目では日弁連が公開している「即時・早期独立経験談集」をもとに、それぞれ紹介します。

弁護士が独立するメリット

弁護士が独立することのメリットとしては、以下のようになります。

  • 自由な働き方ができる
  • 定年退職がない
  • 自分のやりたいことができる
  • 小規模な事業から大規模なものまで、自分次第でビジネスの幅を拡大できる
  • 経営者の気持ちがわかるので、同じく経営に関する悩みを抱えた依頼主に踏み込んだアドバイスができるようになる

日弁連の資料では、全体的に自分の裁量で仕事をできることをメリットとして上げる弁護士が多く見受けられました。また、弁護士が数人集まって行う独立開業の場合は、弁護士間での意見交換が盛んになってとの声もあります。

弁護士が独立するデメリット

弁護士が独立することのデメリットとして良く挙げられているのは以下の要素です。

  • 初期は運転資金が必要
  • 独立後数年は年収が下がりがち
  • 責任や管理負担が重くなる
  • 勉強する時間が減る
  • 先輩の弁護士や同期の弁護士に質問する機会を作らないと、弁護士の方針やノウハ ウがガラパゴス化してしまう可能性がある

資料内の意見では「自由に働ける反面、責任が重くなる」ということをデメリットとして上げる独立弁護士が多い傾向でした。また、早期独立した弁護士を対象に行ったアンケートであることから「困ったときに周りに相談できる先輩弁護士がいない」という意見も、デメリットとして挙げられています。

このことからも、創業で失敗しないためには、ある程度のキャリアと人脈を形成してから行うのが望ましいと言えるのではないでしょうか。

弁護士は独立すれば年収アップの可能性がある!

独立弁護士の年収は、開業当初こそ勤務型弁護士よりも下がってしまうものの、軌道に乗れば年収1,000万を超える可能性が大いにあります。

キャリア5年以降は、独立する弁護士が一気に増える傾向があることからもわかる通り、弁護士になり立てで独立するのはリスキーであると言えます。

独立開業には、テナント費用などの資金の準備の他に、開業後も案件を獲得していけるだけの経験値や営業能力が必要になるからです。

独立後に年収をあげたいのであれば、テナントの移転や人員の拡充などをして事務所を成長させる、HP制作などをして事務所の広報に力を入れるといったことが考えられます。

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