弁護士の方、あるいは修習生や社会人で弁護士を目指して勉強している方にとって、「弁護士の年収」は気になるトピックでしょう。
本記事では、弁護士を相手に調査したアンケート結果をもとに実際の年収相場のほか、独立開業弁護士と勤務弁護士の違い、勤務時間などの働き方についてもおまとめし、収入と働き方のバランスを調査しました。
弁護士を目指している方や、弁護士で今後のキャリアに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
弁護士の平均年収と働き方
弁護士は、職種別の年収ランキングで上位にランクインする高収入職種とされていますが、その分仕事量が多く、勤務時間が長いという現状があります。
実際の年収と労働時間を見比べて、自分が求める働き方と生活に合っているかどうかを考えましょう。
弁護士の平均年収
弁護士の平均年収は2,462万円、年収の中央値は1,330万円、所得の平均は1,106万円となっています。
弁護士は経験年数や、アソシエイトやパートナーなどの職位によって年収に大きく差があります。
経験年数が短い70期台の弁護士は平均年収768万円ですが、経験年数が15~20年を超えてくると、平均年収は3,000万円を超えてきます。
最も平均年収が高かったのは、経験年数が45~50年ほどの弁護士で、平均年収6,475万円でした。
修習期 | 平均年収 | 平均所得 |
---|---|---|
全体 | 2,462.6 | 1,106.4 |
70期~ | 768.5 | 519.3 |
66~69期 | 1,093.9 | 860.3 |
60~65期 | 1,886.1 | 955.0 |
55~59期 | 3,134.1 | 1,514.1 |
50~54期 | 3,666.0 | 1,621.5 |
45~49期 | 3,931.7 | 1,518.9 |
40~44期 | 5,756.1 | 1,863.2 |
35~39期 | 5,555.4 | 2,121.7 |
30~34期 | 3,636.4 | 1,298.8 |
25~29期 | 6,475.8 | 1,455.5 |
20~24期 | 2,658.7 | 578.8 |
15~19期 | 2,274.3 | 702.2 |
10~14期 | 1,446.8 | 469.4 |
1~9期 | 901.4 | 313.9 |
弁護士の働き方
弁護士の労働時間は、平均2,321時間となっており、調査時点の2020年から10年さかのぼった2010年調査の2,269時間から約52時間増加しています。
また、「業務時間が3,000時間を超える」と答えた弁護士の割合は2020年が16.7%、2010年は12.9%と10年で約3.8ポイント増加しており、弁護士の多忙さは年々増していることが見て取れます。
働いた分だけ報酬を得られる点が弁護士という仕事の良い点ではありますが、その分仕事に対してストレスを感じる人も多いようです。
弁護士という仕事は、生活のほとんどを労働時間で占めるため、体力や忍耐力がある人でなければ向かない仕事です。
独立開業した弁護士と勤務弁護士の違い
一般的に、弁護士が年収アップを狙う場合は、パートナーやオブカウンセル弁護士等を目指して事務所内で奮闘したり、他の事務所に転職する弁護士が多いことでしょう。
また、独立して個人の事務所を開業することで所得を増やすことも手段の一つです。
独立開業する場合と事務所に所属する場合、どちらの弁護士のほうが稼げるのでしょうか。
独立開業した弁護士の年収事情
独立開業すると、事務所の運営に必要な経費が減るため、所得の割合が増えるパターンがほとんどです。
ただし、個人の仕事量や営業力次第で獲得できる案件の数に差が生まれるため、相対的に売上の個人差が広がります。
独立開業した弁護士の年収は個人的な要素によって差が発生し、その額は数百万から億単位で異なるのです。
独立開業する弁護士の中には、単に年収アップを図るだけでなく、自分で自由に働き方を変えられる点にメリットを感じて独立開業する場合があります。
勤務弁護士の年収事情
アソシエイトやパートナーとして事務所に勤務する場合、個人の実力もありますが、事務所や契約条件によって年収に差が生じます。
年収が変化するポイントをいくつか解説します。
弁護士事務所の規模
法律事務所の中でも高収入とされる「四大(五大)法律事務所」の場合、新卒でも年収は1,000万円を超えるとされています。
その一方で、中堅の法律事務所の場合はほとんどの求人が700~800万円が上限となっており、小規模事務所や地方の事務所の場合は300~500万円の年収を提示されるケースも多々見られます。
また、事務所の規模は弁護士の数や拠点数に限った話ではなく、取扱業務の領域によって異なる案件の大きさによっても変化します。
四大法律事務所のような大手法律事務所の場合、案件規模が大きい企業の依頼を中心に取り扱うため、必然的に勤務弁護士に支払われる報酬額も大きくなります。
所属した事務所で経験する業務の幅や案件規模によって、その後の転職やキャリアに影響を与えるため、10年20年先を見据えて所属する事務所を選択しましょう。
個人受任の可否と経費負担
勤務弁護士が自力で年収アップを狙う場合、個人受任によって収入を得ることも一つの手段です。
ただし、契約条件によっては個人受任自体が禁止されている事務所もあるため、求人票や採用担当者への質問で事前に確認する必要があります。
また、個人受任の売上の一部を事務所に入れる「経費負担」の割合によって、得られる収入の幅に差が生じるため、経費負担の割合についても確認しましょう。
弁護士が年収アップする方法
現状の年収に満足していない場合は、いまの働き方と事務所の環境を見返して、今後のキャリアプランを立てたうえで転職や独立を検討しましょう。
弁護士が年収を上げるためには、知識や経験のほかに「能動性」がなければいけません。
独立するにしても、事務所に所属して年収アップを狙うにしても、自ら行動を起こすことが大切です。
また、行動を起こすためには今後のビジョンが見えていなければはじめの一歩を踏み出せません。
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いまの環境や今後のキャリアに迷っている弁護士の方は、ぜひ相談してみてください。
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