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企業内弁護士とは|法律事務所勤務の弁護士との違いや増加背景・転職を成功させるコツまで

更新日: 公開日:

企業内弁護士とは、弁護士資格を保持しながら、企業の従業員の一人として働く弁護士のことをいい、インハウスローヤーという呼び方もします。

企業内では法務部の所属になりますが、弁護士資格を活かした働き方であることから、基本的には予防法務・経営管理に関する業務を行うことが一般的です。

具体例例を挙げると

  1. 契約書チェック・管理や審査
  2. 株主総会や取締役会の運営
  3. コンプライアンス体制の運用
  4. 社内の法務研修の実施など

いわゆるジェネラルコーポレート、一般的な社内の法律相談まで様々あります。

企業の規模によっては、これらに限られません。総合職採用で始めは営業を担当したり、規模の小さいベンチャー企業などでは、総務や財務との兼務をする場合もあります。

昨今、若手を中心に企業内弁護士を目指す方が増えており、企業内弁護士の人数は、2011年から2021年の10年にかけて、次のように推移しています。

弁護士の推移

参考:企業内弁護士数の推移|JILA

このグラフからわかる通り、2011年から2021年の10年間で、企業内弁護士の数は、2233人増加しています。年単位で見ると、1年ごとにおよそ200人から300人ずつ、定量的に増加しています。

企業内弁護士を目指すかたの主な理由としては

  • 「ワークライフバランスを優先したい」
  • 「より経営に近い場所で仕事をしたい」など

これ以外にもさまざまな理由により、企業内弁護士(インハウスローヤー)への転職を考えている人は増加傾向にあると言えます。

この記事にたどり着いたあなたも、これから企業内弁護士を目指していることと思います。

ただ、これまで法律事務所で勤務した経験がないなかで、企業内弁護士を目指すとなると、少し不安にもなりますよね。

自身の経験やスキルを活かせるのか、企業のなかでどういった役割を期待されているのかなど、気になることは尽きないかと思います。

またそもそも企業内弁護士になることはできるのか、なるにはどのような点を意識して、転職活動を行えばよいのでしょうか。

この記事では、企業内弁護士の業務内容や役割、求められるスキル、年収相場などについて紹介するとともに、近年の企業内弁護士の採用動向や転職活動のポイントを解説するので参考にしてみてください。

 

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目次

企業内弁護士の推移について

まず、企業内弁護士について、その数や、採用する企業に関するデータを分析しつつ、実態を見ていきましょう。

企業内弁護士の推移

冒頭でもご紹介しましたが、企業内弁護士の人数は、2011年から2021年の10年にかけて2233人増加しています。年単位で見ると、1年ごとにおよそ200人から300人ずつ、定量的に増加しています。

他方で、新規登録弁護士数が漸次減少傾向にあるにもかかわらず、企業内弁護士数が増加していることからして、新卒による就職だけでなく、経験弁護士(中途)による企業内弁護士への転職が増加していると考えられます

特に、増加の傾向として、60期から70期代が顕著です。これは、急激な弁護士数の増加に伴い、法律事務所における旧来の弁護士のあり方だけでは働き口がなく、幅を広げた選択が必要となったからであると考えられます。

なお、60期代の人数が極端に多いのは、新司法試験への移行に伴う合格者数の大幅な増加に伴うものであると考えられます

修習期別の企業内弁護士数の推移

参考:企業内弁護士数の推移|JILA

企業内弁護士が多い地域

企業内弁護士は、どの地域が多いのでしょうか。弁護士会別の企業内弁護士に関するこちらのデータを見ていきます。

2021年度の、弁護士会別の企業内弁護士数です。

地域 人数
東京 944
第一東京 697
第二東京 695
大阪 185
愛知 60
京都・兵庫 48+38
神奈川 23
福岡 15
静岡 13
札幌 8
広島 7

出典:企業内弁護士数の推移|JILA

この表からも、やはり東京、大阪、愛知(名古屋)などの三大都市圏には人数が集中していることが分かります。なぜ、こうした都市圏に集中しているのでしょうか。

都市ごとの企業内弁護士数と企業数の関係

出典:「企業内弁護士数の推移|JILA」(2016年)および「都道府県・大都市別企業数、常用雇用者数、従業員数(民営、非一次産業、2016年)|経産省」

このグラフから、大きな理由としては、都市ごとの企業の数と関係があると考えられます。また、企業の規模としても、大都市圏では法務の専門部署を設置する必要性が高い、大企業が集中していると考えられる一方、地方都市では、顧問をはじめ、外部委託で法務を任せていることが多いことも理由として考えられます。

他方で、いずれの都市も、企業数に対して企業内弁護士の数が圧倒的に不足しています。

したがって、企業内弁護士は、大都市もさることながら、特に地方都市において、企業側の需要に対して企業内弁護士の数が不足している可能性があると考えられます。

企業内弁護士と法律事務所勤務の弁護士との主な違い

企業内弁護士は具体的にどのような業務を行うのでしょうか。また法律事務所で働く場合との違いも気になる方は少なくないかもしれません。

業界では企業内弁護士という呼び方をしていますが、社内で何か特別な業務を与えられるわけではなく、行う業務は基本的に他社員と同様です。

業務内容の違いについて

大抵は法務部配属で採用されることが多いので、企業内弁護士の主な業務は法務関連となります。

  • 契約書のチェック
  • 株主総会・取締役会の運営
  • コンプライアンス・社内規定
  • 社内の法務相談窓口
  • 紛争対応 など

他方、こうした通常業務以外に、企業内弁護士だからこそ任せられる業務もあります。

代表的な例を挙げると訴訟対応です。無資格法務部員しかいなければ、訴訟対応は外部の法律事務所に任せるしかありませんが、企業内弁護士が在籍していれば内製化も可能です。

個人(場合によるが)か組織の一員かの違いもある

企業からの依頼を受け、法律事務所・顧問弁護士として外から関わるのと、企業の内部で働くことの違いとして、まず挙げられるのが組織の一員であるかどうかです。外部の弁護士の場合、基本的に相談・依頼を受けた範囲において対応するまでであり、法律の専門家としてのサービス提供を求められています

他方、企業内弁護士に求められるのは、組織の一員としてビジネスを成功させることです。

単に法的リスクを指摘するだけでなく、如何にしてビジネスを成立させるか、法律知識のみならず、さまざまなスキルを駆使して、貢献することが求められます。

また前述したように、顧問弁護士は相談・依頼を受けた範囲で対応を行うため、ビジネスに最初から最後まで関与するということはあまりありません。企業内弁護士の場合は、事業の立ち上げからリリースまで一貫して関与できるため、ビジネス全体を見渡すことができます。

業務内容や割合

業務内容は、法律事務所の取扱分野にもよりますが、一般の街弁事務所と比較すると、圧倒的に企業法務の割合が高い(個人受任が可とされていて、実際に一般民事や刑事事件の案件を受けているような場合と比較して高い)です。

例えば、一般の顧問業務でも契約書のチェックや作成といった業務もありますが、やはり企業内弁護士は、その量が圧倒的に多いです。また、株主総会運営などの経営管理、いわゆるジェネラルコーポレートに関する業務があるのも特徴的です。

そして、立場的な問題ですが、訴訟対応をする場合に、企業内弁護士は、社内の当事者として外部の弁護士などと相談や折衝をすることになります。そのため、法律の専門家である弁護士としての客観的な視点を持ちつつ、よりビジネス側の視点で有利になるように事を進めるような業務にあたることも、アドバイザー・コンサルタント的な立場の法律事務所と比較した場合における際たる違いです。

収入面の違い

収入面では、その額は、やはり法律事務所の場合と比較して、企業内弁護士は低いです。

法律事務所であれば、個人事業主であるがゆえに、顧客の獲得力(相談数ないし受任数)と、個々の案件によって数億ないし数十億、あるいはそれを超えるような報酬を獲得できる場合もあります。

他方、企業内弁護士は、年収が定まっているため、ボーナスや昇給も期待されますが、社内規程もあるのが通常ですから、自分の力で拡大できる給与の範囲には限りがあります。

詳しくは『企業内弁護士の年収』で解説します。

働き方(勤務形態、WLBなど)

法律事務所の場合は、働き方に制限がありません。若手でアソシエイトの時期には一定の制約があるとしても、法律事務所による違いはあるとしても、中堅クラスになれば、出勤時間や出勤日もある程度自由がきくようになります。

他方で、売上を獲得するにはとにかく自身が稼がなければならないので、安定的ではなく、不定期にクライアントの対応を求められることもあります。

企業内弁護士であれば、勤務形態は、上記のように基本的には雇用契約です。したがって、労働に関しては安定的で、労働法等の諸法令による保護があります。

給料も、企業の経営状態による側面はあるとしても、基本的には安定です。そのため、WLBでは、圧倒的に企業内弁護士が有利です。

企業内弁護士の平均年収は1,000万円程度

企業内弁護士が多い企業トップ20社

企業内弁護士を採用する企業は、どのような企業があるでしょうか。2021年6月時点での、企業内弁護士採用人数上位20社をご紹介します。

企業内弁護士を多く抱える企業上位20社

出典:企業内弁護士を多く抱える企業上位20社(2001年~2021年)

まず、企業内弁護士の採用企業数は、1324社あり、合計2820人の弁護士が採用されています。

そして、大手IT企業へと成長したヤフーを筆頭に、三井住友信託銀王、野村證券、三井住友銀行、三菱UFJなどの銀行や証券会社の大手、そして三菱商事などの大手総合商社があることが分かります

ほかにも、KDDIやNTTドコモといった通信会社のほか、パナソニックが多くの企業内弁護士を採用しています。もっとも、最大の人数を擁するヤフーでさえ42人ですから、全国的に点在しているものと考えられます。

企業内弁護士を採用する企業の業種

採用する企業の業種にはどのようなものがあるでしょうか。前掲の上位20社にあるような大手のIT企業、銀行や証券会社等の金融機関、総合商社のほか、次のような業種が挙げられます。

順位 業種 人数
1 製造業 629
2 証券・商品先物取引業その他金融業等 291
3 銀行・保険業 269
4 卸売・小売業 234
5 情報・通信業 231
6 サービス業 230
7 不動産業 60
8 建設業 44
9 運輸・郵便業 39
10 その他 134
 
合計 2161

出典:企業内弁護士とは|所属先企業の業種|日弁連(日弁連「弁護士白書」2018年版144頁による)

トップは製造業で629社あります。これには、メーカーにおける雑種雑多の取引が行われることから日常的な契約法務や管理業務に関する社内法務の需要が高いこと、訴訟対応に関する案件が多いことが理由として考えられます。

似たようなものとして、小売・卸売業のほか、情報・通信業も挙げられます。銀行のほか金融関係の業種も、様々な規制法令の存在や、近年ではフィンテック領域、とりわけ資金決済法周辺の法令への対応から、社内法務の体制強化の流れが加速しています。

サービス業は、多種多様のものがありますが、近年ではプラットフォーマー事業者の増加など、新しいビジネス形態のサービスが現れています。そうした社会動向の中で、社内法務の強化の流れもあります。

企業が弁護士の採用に積極的な理由

企業内弁護士が増えたのは、弁護士側のみならず、企業のニーズもあったが故です。企業のニーズを端的に表現すると、優秀な法務人材を確保するため。

近年は企業運営においてコンプライアンスやコーポレートガバナンスの重要性が増すとともに、グローバル化等の影響で事業の展開にスピード感が求められています。加えて上場を考えている企業は、法務部新設の必要性があることもあって、優秀な法務人材は引く手数多。

にもかかわらず、基本的に法務人材は良い待遇のなかで働いていることが多いために、優秀な人が市場に出てくる機会は少なめです。そのため、優秀な法務人材と同等の活躍が期待できる存在として、弁護士のインハウス活用に注目が高まっています。

企業内弁護士が増えている主な3つの要因

企業内弁護士が増えている主な3つの要因

法律事務所で働くのが弁護士のキャリアとしては当たり前であるなか、なぜインハウスローヤーの数は年々増加を続けているのか、疑問に思う方もいるかもしれません。

日本組織内弁護士協会が毎年会員に行っているアンケートによれば、現在の企業で働く理由に以下の回答を寄せています。

企業内弁護士理由2021年

引用元:企業内弁護士に関するアンケート集計結果|日本組織内弁護士協会

弁護士のワークライフバランスへの意識増

理由のなかで最も多いのが「ワークライフバランスの確保」です。

ご存知の通り、弁護士業は多忙を極め、満足に休めないことも少なくありません。そのため、労働環境の改善が弁護士業界と比べてはるかに進んでいる、一般企業への転職が増えているわけです。

また現場に近いところで仕事がしたいというのも、インハウスへの転職でよく挙げられる理由の一つ。社外の専門家として企業に関わることにも、もちろんやりがいはありますが、基本的に事業運営における一部分においての関与のみです。

事業運営の全体に法務として関わるためには、やはり組織内で働くしかなく、企業内弁護士への転職を考える方は少なくありません。他にもインハウスを目指す理由にはさまざまありますが、特に上記2点は当社にご相談された場合も良く挙げられます。

なぜWLB重視の弁護士が増加しているのか

社会全体としても、フリーランス時代・副業の促進など、働き方の多様化が高まっていますが、弁護士業でも例外ではありません。

すでに述べたように、弁護士数の増加から、弁護士も多種多様になっています。法律事務所に勤務あるいはこれを経営して、訴訟案件や顧問収入に頼るだけの働き方ではなくなりつつあります。

旧来は、弁護士は、仕事に次ぐ仕事で、およそプライベートな時間を確保することも困難で、プライベートといっても顧問先の社長との接待など、ほとんど仕事との境目がないような場合も多々ありました。

しかし、そうした激務で、様々な人の争いの中に身を置くという精神的にストレスフルな状況であることから、仕事が長く続かない、場合によっては自殺してしまうというケースもいまだにあります。

そのため、仕事から離れたプライベートとの両立を求める働き方を重視する弁護士が増加しています。

女性弁護士の増加

上記のWLB重視の働き方とも関連しますが、女性弁護士の増加も、大きな要因の1つです。

現代の女性は結婚や出産ないし育児との両立をしつつ、仕事も頑張りたいという人が多いといえます。その中で、やはり旧来の弁護士のように、土日も返上して依頼者と打ち合わせをしたり、夜も残業を重ねて書面を作成するという働き方では、肉体的・精神的な限界があります。

そのため、収入は弁護士としてはそこそこでも、土日は家庭の時間を取れるようにしたい、定時に帰れる安定的な働き方がいい、そういったニーズが生じます。

企業内弁護士であれば、雇用契約という形であれば、労働法により、土日祝日休み、法定残業時間による業務量の上限などがありますし、有給といった安定的な働き方も実現できます。

企業側の法務領域におけるニーズの高まり

前掲の表やグラフからも読み取れるように、企業の数に対して、企業内弁護士の数は圧倒的に不足しています。

他方で、現在、DXを基盤とする社会・産業構造の変革、SDGsに掲げられるような事業活動における適正さや人権尊重への意識の高まりなどから、企業経営において、法務は切っても切り離せない要素となっています。

しかも、単に個別の案件に対応することだけでなく、日常の業務執行の中で生ずる課題への迅速な対応が求められます。そのため、法務を外注するだけでなく、内制化していくことが重要視されています。

そのため、企業側が、企業内弁護士を必要とする流れが高まっています。

【インタビュー】近年若手弁護士を中心に企業内弁護士を目指す人が多い理由

近年、60期から70期代の若手の弁護士を中心に、企業内弁護士への興味関心が高まっていますが、その実態や考え方について、NO-LIMIT運営事務局が現役の修習生にインタビューしましたので、ご紹介します。

Q:なぜ企業内弁護士を目指すのでしょうか?

A:ワークライフバランスの充実

1つは、やはりワークライフバランスへの比重ですね。司法試験に合格するまでの過程で、様々な弁護士と接する機会がありますが、現代の弁護士の働き方は、実に多種多様です。単に法廷の場に立って業務をするだけでなく、むしろ法廷に立たない仕事を選択して働くことができます。

様々な人間関係の中で、ストレスフルな業務に従事し続けることは、必ずしも容易ではありません。途中でキャリアチェンジをすることも考えられますし、最初から自分には合わないと考える場合もあります。

企業側のニーズの高まりとも相まって、そのような選択が許される社会であるからこそ、選択の1つとして、企業内弁護士になるのが多いといえます。

Q:企業内弁護士を選択肢に入れるきっかけは?

A:ビジネスにおける法務への関心

様々な先端ビジネスの勃興から、法務が重視されるようになっています。日々成長していく企業・事業の中での経営判断に際して、法務の立場からどのようにリスクテイクを合理化するかを考えることは、非常にやりがいのある仕事であるといえます。

とりわけ、これは、社外のアドバイザーとしての法律事務所での働き方では、実現できません。

 

企業内弁護士の平均年収は1,000万円程度

企業内弁護士の年収は、勤務先の規模や人事制度、本人の能力などによって変わるため、一概には言えませんが、一般社員として入社する場合は、500万円~1,000万円の範囲で落ち着くことが多いでしょう。

実際、組織内弁護士協会が会員に行ったアンケートからも、そうした傾向が見て取れます。なお当然ですが、弁護士としての経験年数が長い人ほど年収は高い傾向にあります

2020年2月にJILAが実施したアンケート調査(企業内弁護士に関するアンケート集計結果)によれば、まず年齢で見ると、30歳未満では、1000万円を超えている人はおらず、おおむね750万円未満の範囲です。

企業内弁護士の年収

参考:企業内弁護士に関するアンケート集計結果|日本組織内弁護士協会

年収中央値

以上を踏まえると、様々な要素によって異なりますが、概ね500万円から1000万円が、企業内弁護士の年収の中央値であると考えられます。

年齢や役職による年収の変化

30歳を超えても、1000万円を超える人は出てきますが、750万円から1000万円未満が多数です。

40歳を超えてくると、ばらつきはありますが、概ね1000万円から1500万円が多数です。役職でいえば、一般従業員だと500万円から1000万円未満、管理職クラスだと750万円から1250万円未満です。

他方、役員やジェネラルカウンセルクラスになれば、2000万円から5000万円未満という幅で集中しており、中には5000万円を超える人もいます。もっとも、これは17人という人数で、極めて少数派です。

企業内弁護士になるメリットデメリット

企業内弁護士になるには、どのようなメリットあるいはデメリットがあるでしょうか。

メリット

WLBがとれる

まず、働き方として、時間と業務内容的に、定量的な働き方が可能である点が挙げられます。プライベートの時間を十分に取ることができ、プライベートの時間で突発的な業務が舞い込んでくる可能性は、比較的少ないです。

安定的な収入が期待できる

固定的で安定した収入を得られることも、メリットの1つといえます。法律事務所の場合と比べて、業務量に比例した収入なので、業務へのコミットメントと収入のギャップは、比較的に生じにくいです。

デメリット

必ずしも高収入にはならない

これは一番のデメリットであるといえます。弁護士同等の収入を得たいのであれば、副業としての個人受任などの可否によってくるでしょう。

もう1つは、特に若手の場合、定型的で単調な契約書審査などの業務に飽きてしまい、変化に対する充実感などが得にくい場合がある点は、デメリットといえるでしょう。特に大企業で法務業務が定型化していることも少なくない上、後からキャリアチェンジする際に、スキルセット的に弁護士としてのスキルが得られず、転職で苦戦する可能性もあることには留意する必要があります。

そのほかのデメリット

  • 働き方に融通が利かなくなる
  • 年収が伸びづらい
  • 弁護士としての専門性を高めづらい
  • 仕事が単調になりやすい
  • 会社によっては法務部の地位が低い

法律事務所の場合、業務委託契約にしている手前、比較的働き方に融通が利きます。ですが、企業で働く場合は基本的に勤務時間が決まっているので、出勤時間を勝手にズラすのはもちろん、残業も自由にはできません。

また弁護士業の場合、個人受任ができることもあって、頑張った分だけ年収にも反映されやすいですが、企業は賃金テーブルがあるので、年収を急には上げづらいです。

さらに業務面では、法務部の社内での地位や事業内容などによっては、仕事が単調になりやすく、専門性が高めづらいといった弊害もあります。

転職・就職希望者も知っておくべき企業内弁護士を採用する企業の思惑

企業側が弁護士を採用する場合のメリットとデメリットは、どのようなものでしょうか。

メリット

1つは、法務を内制化できる点です。無資格の法務よりも、有資格者である弁護士の方が、社内法務としてできる幅が、対内的にも対外的にも多くあります。

もう1つは、高度に法律的な知見を迅速に得て、経営判断に反映できる点です。やはりほかに雑多の案件を抱えている顧問弁護士よりも、社内の事業にコミットしてくれる企業内弁護士の方が、レスポンスが早く、迅速な意思決定に資することが期待できます。

デメリット

大きなデメリットとしては、専門職である分、やはり人件費としてのコストが高くなる点が挙げられます。

また、法律事務所から中途採用した場合、事務所での業務のフロートの違いなどに苦労する可能性もあるため、カルチャーフィットの面で不一致が生じる可能性も挙げられます。

企業内弁護士の役割と求められるスキル

企業が弁護士の採用を行うのは、当然期待する役割があってのこと。そのため、企業内弁護士となるには、期待される役割を担えるだけのスキルや経験が必要となります。この項目では、企業内弁護士に期待される役割と求められるスキルについて解説します。

コミュニケーション能力

法務は業務内容的に社内外での対人折衝が求められる立場となります。そのため、業務を円滑に進めるためにはコミュニケーション能力は欠かせません。

他方で、会社が法的に問題のある契約や事業を進めようとする際には、周囲に吞まれず、意見を押し通さなくてはならないこともあります。

厳しすぎて周りから疎まれてしまっては仕事が回されず、かといって優しすぎて舐められてもマズいので、バランスの取れたコミュニケーションスキルが求められるといえるでしょう。

スキル面

スキル的には、いずれも高い交渉力・コミュニケーション力が問われることは共通しますし、雑多の書面を作成することなども必要です。もっとも、企業内弁護士においては、様々な事業部の人との関わり、ビジネスに対する理解に対するスキルが必要であるといえるでしょう。

また、独立して法律事務所を経営するのであれば、経営者としてのスキルも必須となります。

法律・関連業務に関する広い知識

企業内弁護士はあくまで会社員であるため、必ずしも専門家のような深い知識が求められるとは限りません

むしろ特定の分野に穿ちすぎてしまうと、逆に活躍の場が限られてしまい、企業としては活かしづらくなるといえます。

深い知識がなくとも、勘どころさえ押さえられれば、問題点やリスクを認識できるので、法務の役割を果たすうえでは広く浅くでも十分でしょう。

ビジネスへの理解

企業が企業内弁護士の採用を行うのは、身につけた法律知識や経験をビジネスに活かして欲しいと思っているからこそです。

決して社内に顧問弁護士を常駐させたいからではありません。

どういうことかといえば、企業は明らかに違法だという状況でもない限りは、事業や取引、契約を前向きに進めたいのです。

にもかかわらず、ビジネスであることを無視して、必ずしも重要とはいえない細かな法的なリスクや問題点の解消に拘れば、他部署からの信頼は得られないでしょう。

キャリアアップの方向性

キャリアアップの方向性は、いずれも昇進などが考えられることは共通します。もっとも、法律事務所の場合、独立という選択肢もあり、そうすると組織の一部の個人事業主というだけでなく、経営者として働くという選択肢もあります。

企業内弁護士になるには|具体的な3つの手段

企業内弁護士になるには、どのような手段があるでしょうか。3つご紹介します。

就活時なら新卒採用に応募

司法試験合格者の新卒で企業内弁護士になりたい場合は、新卒採用に応募することが必須です。

例えば、東京三会での合同就職説明会で、法律事務所のみならず、多くの大手企業が法務採用等で参加しているため、それに参加した上で、採用フローに臨むことが一般的です。

地方の場合でも、ひまわり求人で採用情報が掲載されている場合もあるため、活用するとよいです。ベンチャー企業であれば、Wantedlyを活用すると最適です。

法務求人の多い転職サイト

中途採用であれば、転職サイトを利用するのもよいでしょう。転職サイトは、法務職専門の情報サイトもあるため、有用です。

転職エージェントの利用

より最適な就職・転職を目指すのであれば、弁護士業界に特化したエージェントを利用することが一番おすすめです。

やはり、一般の就職・転職とは異なり、高度の専門性をどのように活かすか、最適な業界は何かなど、細かい考慮要素もあることから、業界に精通したエージェントによるアドバイスを受けることが最適であるといえるからです。

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企業内弁護士への転職を成功させるためのポイント3つ

いくら弁護士採用のニーズが企業にあるといっても、ただ資格を持っていれば内定が得られるほど甘くはありません。この項目では、企業内弁護士への転職を成功させるにあたって大事なポイントを解説します。

自己分析を行う

転職を行うにあたり、まずは自身について知ることが大切です。どういったスキルや経験を持っているのか、そもそもなぜ転職がしたいのかを明らかにしましょう。

自己分析ができていないと何が自身の強みなのかがわからず、また、転職の動機を上手く企業に説明できず、転職活動で苦戦しやすくなります。

【関連記事】【弁護士向け】法律事務所の転職面接マニュアル|よく聞かれる質問や効果的な逆質問例10選・質疑応答での注意点まで

企業・業界研究を行う

採用側からしてみると、なぜ数ある企業があるなかから、自社を選んだのかは気になるところです。というのも、採用するからには高いクオリティの発揮を望んでおり、そのためにはマッチング度合いが重要となります。

企業が求職者の望む環境を提供できれば、クオリティの高い仕事が期待できるはずです。

なので、企業は求職者が何を自社でしたいのかを見極めたいのですが、企業・業界研究なしには、事業内容や業務範囲がわからないので答えようがありません。

そのため、企業・業界研究をしっかりと行った上で、応募先企業で何に携わりたいのか、その実現のため自身のスキルや経験をどう活かせるのかを明確にする必要があります。

【関連記事】弁護士が転職の際に必要な5つの手続きと不手際があった場合の影響まとめ

転職エージェントを利用する

企業内弁護士の仕事についてなかなか具体的なイメージがわかず、自身のスキルや経験をどうアピールすべきかわからないという方もなかにはいるかもしれません。

であれば、転職活動に関するさまざまなサポートが受けられる転職エージェントの利用がおすすめです。

転職エージェントでは、キャリア相談から始まり、求人紹介や履歴書の添削、面接対策など、さまざまなサポートが得られます

加えて、大手企業のなかには転職エージェント経由でしか採用を行わないところもあるので、より多くの選択肢から検討したい人は登録しておいて損はないでしょう。

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企業内弁護士を目指して転職活動を行う際の注意点と課題

企業内弁護士の目指すにあたっての注意点として、まず挙げられるのが、事前にしっかりと検討しておくのが大事ということです。

企業内弁護士から法律事務所への転身は難しいケースが多い

というのも、企業内弁護士に転職したものの、自身が想像した仕事内容や環境と異なっていたことから、結局法律事務所に戻るケースが少なくないからです。短期での離職となると採用を躊躇される可能性があり、かといって長く在籍しすぎると、弁護士としての専門性を高める機会が失われてしまいます。

またもう一つ注意点として挙げておきたいのが、キャリアパスに不明瞭な部分が多いということです。冒頭でもお伝えしましたが、企業内弁護士が増加したのはここ十年ちょっとの話になります。

キャリアパスについては現在開拓中であるといっても過言ではありません。

有資格者だからといって、部門責任者の道が確約されているわけではなく、法務のスペシャリストを目指す場合は、外部の弁護士が競争相手になります。企業内弁護士となることで安定は得られるかもしれませんが、将来安泰とまでは言い切れないので注意が必要でしょう。

弁護士会費等の負担

弁護士会費については、誰が負担するのでしょうか。

出典:企業内弁護士に関するアンケート集計結果|JILA

JILAの調査では、所属先の企業が負担しているとの回答した弁護士が86%でした。そのため、おおよそ一般的には、企業側が負担するものと考えられます。他方で、弁護士側負担となるのは、資金力的に難しかったり、あるいは出向などのケースで在籍している法律事務所が負担することが考えられます。

個人受任(副業)等の許否

企業内の業務にコミットしながら、弁護士業務に取り組むことが許されるかどうかも、重要な点ですよね。

この点については、認められていない場合が64%と過半数を占めています。もっとも、制度自体認められている場合は、34%あり、決して少ないともいえません。

出典:企業内弁護士に関するアンケート集計結果|JILA

他方で、実際に受任したことがあるのは11%にとどまり、やはり会社の業務にフルコミットしつつ、片手間で弁護士業務を行うことは、やらないか、実際上容易ではないということが分かります。

出向の場合の出戻りや役員への昇進など

出向の場合、出戻りに関する問題もあります。一般的に、出向の場合には、契約期間が定められているので、期間ごとに判断するものと考えられます。

多くの場合、出向契約などで、引き抜きなどが行われないような形での条項などが置かれる場合もあります。役員への昇進に関しては、法律事務所に在籍しながら役員としての職務に従事するケースも考えられます。

まとめ

近年の採用市場動向を確認する限りでは、企業内弁護士の採用ニーズが低下している傾向は見られません。</

そのため、企業内弁護士となること自体は、そこまで難易度が高いものではないでしょう。

ですが、特定の企業を狙って転職を目指すとなると話は別です。弁護士の採用を考える企業は大手かベンチャー・スタートアップであることが多く、マッチング度合いをしっかりと吟味します。

そのため、志望度の高い企業への転職を成功させるためには、事前準備が大切です。自己分析はもちろんのこと、企業・業界研究をしっかりと行っておきましょう。

もし自己分析や企業・業界研究のやり方に不安があるようであれば、転職エージェントの活用をおすすめします。転職活動に役立つさまざまなサポートが受けられるでしょう。

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