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弁護士に仕事がない?稼げないとされる背景と弁護士の将来性|現役法学部生が思う法曹業界への意見とは

更新日: 公開日:

弁護士過剰による就職難と言われるようになって久しく、弁護士資格を持っているだけでは食べていけなくなっているとされていますが、実際のところはどうなのでしょうか。

この問題は、特に現在弁護士を目指している法学部生や修習生等にとって重大な関心事項でしょう。

ここでは、弁護士が儲からないと言われる背景やこれに対する法学部生等の意見、今後の対策について解説していきます。

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弁護士に仕事がない・儲からないと言われる理由

 まずは前提として弁護士がなぜ儲からないと言われているのかを確認しましょう。弁護士に仕事がない、儲からないと言われる理由に以下の原因が考えられます。

弁護士の過剰供給

近年行われた司法制度改革によって、弁護士の数が急増したことにより、仕事のパイを奪い合う状況になっているのが、弁護士に仕事がない、儲からない原因の一つとされています。

かつて司法試験合格者数は500~1000人規模でしたが、司法制度改革によって法曹人口の増加が図られ、例年の合格者数は1,500~2,000人程度となりました(後述)。

弁護士のニーズは少しずつ増えてきていますが、法曹人口の増加スピードに追いつけるものではなく、その結果、仕事を分け合い、年収が下がるという状況となっています。

弁護士には定年がない

弁護士に(もっと言えば士業に)定年がないのも弁護士の多寡の原因であり、その結果、弁護士1人あたりの仕事数、年収の低下につながります。

新司法試験制度が導入されてから、司法試験合格者数は大体1,500~2,000人程度であり、そのおよそ7割が弁護士になります。

司法試験合格者推移

参考:日弁連|弁護士白書(2019年版)『司法試験合格者数の状況』

表:司法修習終了者の進路別人数

期別
(終了年度)
終了者数(人) 裁判官(人) 検察官(人) 弁護士(人) その他(人)
総数
(内女性数)
女性割合 総数
(内女性数)
女性割合 総数
(内女性数)
女性割合 総数
(内女性数)
女性割合 総数
(内女性数)
女性割合
第 41 期(1989 年) 470 (57) 12.1% 58(10) 17.2% 51 (6) 11.8% 360 (40) 11.1% 1   (1) 100.0%
第 42 期(1990 年) 489 (63) 12.9% 81(16) 19.8% 28 (3) 10.7% 376 (44) 11.7% 4   (0) 0.0%
第 43 期(1991 年) 506 (58) 11.5% 96(20) 20.8% 46 (4) 8.7% 359 (34) 9.5% 5   (0) 0.0%
第 44 期(1992 年) 508 (70) 13.8% 65(16) 24.6% 50 (8) 16.0% 378 (45) 11.9% 15   (1) 6.7%
第 45 期(1993 年) 506 (72) 14.2% 98(20) 20.4% 49 (8) 16.3% 356 (44) 12.4% 3   (0) 0.0%
第 46 期(1994 年) 594 (84) 14.1% 104(18) 17.3% 75(11) 14.7% 406 (55) 13.5% 9   (0) 0.0%
第 47 期(1995 年) 633(123) 19.4% 99(34) 34.3% 86(16) 18.6% 438 (70) 16.0% 10   (3) 30.0%
第 48 期(1996 年) 699(142) 20.3% 99(26) 26.3% 71(12) 16.9% 521(102) 19.6% 8   (2) 25.0%
第 49 期(1997 年) 720(155) 21.5% 102(26) 25.5% 70(16) 22.9% 543(113) 20.8% 5   (0) 0.0%
第 50 期(1998 年) 726(144) 19.8% 93(21) 22.6% 73(11) 15.1% 553(110) 19.9% 7   (2) 28.6%
第 51 期(1999 年) 729(167) 22.9% 97(18) 18.6% 72(16) 22.2% 549(132) 24.0% 11   (1) 9.1%
第 52 期(2000 年) 742(202) 27.2% 87(22) 25.3% 69(16) 23.2% 579(164) 28.3% 7   (0) 0.0%
第 53 期(2000 年) 788(196) 24.9% 82(26) 31.7% 74(10) 13.5% 625(158) 25.3% 7   (2) 28.6%
第 54 期(2001 年) 975(281) 28.8% 112(31) 27.7% 76(20) 26.3% 774(225) 29.1% 13   (5) 38.5%
第 55 期(2002 年) 988(269) 27.2% 106(30) 28.3% 75(22) 29.3% 799(214) 26.8% 8   (3) 37.5%
第 56 期(2003 年) 1,005(225) 22.4% 101(29) 28.7% 75(19) 25.3% 822(175) 21.3% 7   (2) 28.6%
第 57 期(2004 年) 1,178(277) 23.5% 109(35) 32.1% 77(19) 24.7% 983(222) 22.6% 9   (1) 11.1%
第 58 期(2005 年) 1,187(279) 23.5% 124(34) 27.4% 96(30) 31.3% 954(213) 22.3% 13   (2) 15.4%
第 59 期(2006 年) 1,477(360) 24.4% 115(35) 30.4% 87(26) 29.9% 1,254(291) 23.2% 21   (8) 38.1%
第 60 期(2007 年) 2,376(568) 23.9% 118(43) 36.4% 113(39) 34.5% 2,043(457) 22.4% 102 (29) 28.4%
第 61 期(2008 年) 2,340(619) 26.5% 99(36) 36.4% 93(32) 34.4% 2,026(527) 26.0% 122 (24) 19.7%
第 62 期(2009 年) 2,346(635) 27.1% 106(34) 32.1% 78(31) 39.7% 1,978(523) 26.4% 184 (47) 25.5%
第 63 期(2010 年) 2,144(563) 26.3% 102(32) 31.4% 70(22) 31.4% 1,714(443) 25.8% 258 (66) 25.6%
第 64 期(2011 年) 2,152(597) 27.7% 102(34) 33.3% 71(24) 33.8% 1,515(418) 27.6% 464(121) 26.1%
第 65 期(2012 年) 2,080(479) 23.0% 92(28) 30.4% 72(22) 30.6% 1,370(316) 23.1% 546(113) 20.7%
第 66 期(2013 年) 2,034(528) 26.0% 96(38) 39.6% 82(31) 37.8% 1,286(336) 26.1% 570(123) 21.6%
第 67 期(2014 年) 1,973(443) 22.5% 101(29) 28.7% 74(29) 39.2% 1,248(269) 21.6% 550(116) 21.1%
第 68 期(2015 年) 1,766(418) 23.7% 91(38) 41.8% 76(25) 32.9% 1,131(239) 21.1% 468(116) 24.8%
第 69 期(2016 年) 1,762(371) 21.1% 78(30) 38.5% 70(26) 37.1% 1,198(228) 19.0% 416 (87) 20.9%
第 70 期(2017 年) 1,563(359) 23.0% 65(18) 27.7% 67(24) 35.8% 1,075(248) 23.1% 356 (69) 19.4%
第 71 期(2018 年) 1,517(319) 21.0% 82(21) 25.6% 69(21) 30.4% 1,032(226) 21.9% 334 (51) 15.3%

参考:同『司法修習修了者の進路別人数』
PDF版は『こちら

そのため、毎年千数百人が弁護士となりますが、他方で、辞職等で弁護士資格がなくなる者の人数は毎年600人程度です。

登録換え・弁護士登録取消し件数

参考:同『登録換え・弁護士登録取消し件数』

弁護士には定年がないため、新陳代謝が上手く行われておらず、弁護士全体の数は年々増加の一途をたどります。

弁護士数の推移

参考:同『弁護士人口』

他士業からの参入

これまでは行政書士なら契約書等の作成、司法書士なら登記手続きといったようにしっかりとした住み分けがなされていました。

しかし、近年はこれまで弁護士が行っていた業務を行政書士等も行うという業務範囲を拡大するケースが間々見られ、弁護士一人あたりが扱っている事件数が少なくなるということも背景にあるとされています。

弁護士をめざす法学部生はこの現状をどう思っているのか?

年々弁護士の人数は増加をし続け、弁護士間の競争がだんだん激しくなっている状況であるといえます。

そのような状況の中で、弁護士をめざしている法学部生は何を思っているでしょうか。実際にインタビューをしてみました。

Q:難関の司法試験を突破してまで弁護士になりたい?

意見①:「確かにかなりの時間を法律の勉強に費やし、またいわゆる予備試験に合格しなければ、法科大学院(ロースクール)に通わなくてはならないので、金銭的・時間的な負担は相当大きいものといえる。しかし、司法試験に合格して弁護士資格を取得すれば、他の士業(行政書士や司法書士等)とは異なり、扱える業務にほとんど制限がなく、得られるメリットは大きいと考えられるため、頑張ってやり通したい。」

意見②:「弁護士は『基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする』(弁護士法1条1項)重要な役割を担い、その業務は社会に大きな影響を及ぼすものであるから、その資格取得のための試験が難関となるのは仕方がないと考えているので、弁護士を志してから、『難関の司法試験を突破してまで弁護士にはなりたくない』とは特に考えたことはない。」

Q:業界で言われるように、本当に食えない職業だと思うか?

意見①:「司法試験の合格率が数%だった時代では、弁護士資格を持つだけで将来安泰といわれていたが、現在の新司法試験下では、弁護士資格は単なる『入場券』であり、司法試験合格後もさらなる研鑽をしていかなければ食べてはいけないとは思う。しかし、インターネットやSNSなどを使って情報を発信し、かつてよりも仕事を得るためのツールは増えたと思うので、工夫して活動していく限り、そこまで悲観的になる必要はないと思う。」

意見②:「個人情報の取扱いやコンプライアンス(法令遵守)、知的財産、予防法務・戦略法務など、弁護士に対する企業のニーズは高まっており、その他の分野でも弁護士の関与が期待されている(一例として、児童虐待防止策としての弁護士の関与)。過度に悲観的になる必要はなく、社会のニーズに合わせて柔軟な対応ができるように情報収集と知識の仕入れを怠らないことがなによりも重要だと思う。」

Q:事務所選びで将来は決まると思うか?

意見①:「弁護士は基本的に個人事業主であり、流動性が高く、どこかの事務所に所属していても一生その事務所にとどまっているということは少ない。自分のやりたいことが決まっており、その分野で生活していける自信があるなら、事務所選びが将来を左右するほどの決定的な要素とはならないと思う。しかし、自分の事務所を立ち上げる場合でも、いわゆるイソ弁時代に得た知識・経験は今後の活動に必ず役に立つと考えられるため、事務所選びは重要だとは思う。」

意見②:「事務所選びで将来が決まることはないと思う。個人の価値観によって、その事務所が合う、合わないがあるし、事務所ごとで得られるものは異なるから、積極的に移籍等をする方がよいと思う。所属する事務所を安易に選ぶべきではないとは思うが、安定志向になって言われた仕事を粛々と進めていくだけの方がダメだと思う。」

Q:顧客を求めた弁護士の転職はよくあること?

意見①:「やりたいことが決まっているなら、顧客を求めて転職するのもありだと思う。」

意見②:「固定観念に従った判断に依存するのでなく、自分のやりたいことを求めて仕事を探す限り、弁護士という肩書きだけにこだわる必要はないと思う。」

Q:弁護士過剰のなか裁判IT化をどう見ている?

意見①:「訴訟手続きほどIT化が遅れた分野はないと思う。オンライン提出やテレビ会議・ウェブ会議等を積極的に活用して、簡略できるところは簡略化し、弁護士などの負担を軽減する施策を導入すべきだと思う。」

意見②:「口頭弁論主義や直接主義等、訴訟における諸原則を無為にしない程度に導入するのはよいと思う。」

Q:稼げる弁護士になるために何が必要だと思いますか?

意見①:「積極的な情報収集・発信を行い、社会のニーズとしてどのようなものがあるかをしっかり見極めていくことが大切だと思う。」

意見②:「与えられた仕事を淡々とこなすのではなく、自分で考えて積極的な行動を行うことが重要だと思う。」

仕事がない弁護士の今後の対策

弁護士として生計を立ていくためには、どうすればよいのでしょうか。対策としては以下のものがあります。

広告営業を行う(規制緩和されて)

弁護士に関する広告規制が2,000年で緩和され(広告関連規制の緩和)、弁護士による広告営業は原則として認められることになりました。現在は、日弁連において業務広告に関する指針が定められており、これに反しない形であれば、広告営業を行うことが出来ます。

具体的には、弁護士ドットコムに代表されるような総合ポータルサイトを積極的に活用して、取扱い業務や料金等を明示することで、依頼しやすい環境を作るということが考えられます。

また、交通事故、離婚、相続などの分野特化型のポータルサイトへの出向も、弁護士として案件獲得のためには積極的に視野に入れるべきだと考えます。いくつか具体的なサービス名をご紹介します。

代表的な弁護士向けの広告出向媒体

分野 サイト名 概要
交通事故 交通事故弁護士ナビ 交通事故の案件特化型ポータルサイト。後遺障害、過失割合系の案件が多い。SEO検索からの流入と広告を活用した2本立ての集客経路が特徴。
交通事故弁護士相談広場 同じく交通事故特化型ポータルサイト。完全SEO集客のため、1都3県の掲載は厳選されているが、地方集客に強みがある。
離婚問題 離婚弁護士ナビ 離婚問題の案件特化型ポータルサイト。離婚慰謝料、親権、養育費問題の相談件数が多く集まっている。
離婚弁護士相談広場 交通事故弁護士相談広場と同様の集客モデル。『離婚 弁護士』など、より相談に近いSEO集客をしているため、相談数は多くないものの、早期に案件化する率が高い。
相続問題 相続弁護士ナビ 相続問題の案件特化型ポータルサイト。相続放棄、遺産分割、後見の相談件数が多く集まっている。
遺産相続弁護士相談広場 離婚・交通事故と同様の集客モデル。こちらも掲載数を制限しているため、多くの相談数は見込めないものの、掲載費用の面でとっつきやすい。
IT IT弁護士ナビ IT問題の案件特化型ポータルサイト、名誉毀損、誹謗中傷、知的財産問題などの相談が多く集まる。
ネット誹謗中傷弁護士相談Cafe インターネット上の誹謗中傷に特化した集客モデル。書き込みの削除や投稿者の身元特定、損害賠償・慰謝料請求に絞り込んでおり、早期の案件化が見込める。

また、プラットフォームを利用するだけでなく、自前の事務所ホームページを作成することも大事です。

どの分野に強みを持ち、どのような業績があるかなどを明らかにするのも有効です。近年は、SNSを活用して「目にとまりやすい弁護士」を目指している方も増えています。

事務所を転職する

待遇のよい事務所へ移籍することも年収アップの策の一つです。より待遇のよい事務所、例えば、四大法律事務所のような大手法律事務所に移籍するためには、これまでの業績等が見られることもあり、十分な対策を行う必要があります。

また、グローバル化の進行に伴い、英語力が求められる機会は多くなりました。特に大手法律事務所や渉外法律事務所では英語力は必須といってよいでしょう。英語系の資格をもつことも十分アピール材料になります。

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インハウスローヤーになる

インハウスロイヤーとは、いわゆる組織内弁護士・企業内弁護士を意味し、法律の専門家として特定の組織に所属することで安定的な収入を得ることができます。

独立・開業する

転職するのが難しい場合は、いっそのこと自分の事務所を独立・開業してしまうのも一つの手です。弁護士としての経験が浅い場合は危険な橋を渡ることになりますが、事務所の方針に縛られることなく活動することができます。

最近は、堅いイメージしかなかった弁護士もメディア等の露出を通してイメージの改善を図っていることもあり、様々な場面で目にすることができます。

固定観念にとらわれることなく、自由に活動を行うことで、仕事の確保につながる場合もあるでしょう。

資格を生かして別業種へチャレンジ

最近では弁護士資格だけでなく、他の資格を有している方もよく見受けられます。弁護士資格を持ちながら医師資格を持つかなり珍しい人もいますが、それだけではなく、ITに関する資格や、特許分野に関する資格を活用し、別の業種で活動を展開する方もたくさんいます。

特に、最難関の司法試験に合格した証拠である弁護士資格があれば、クライアントや雇い主等からの信頼が得られやすいといえるでしょう。

まとめ

以上、弁護士は就職難といわれていますが、実際のところ、能動的・積極的に活動を行えば、安定的な収入を得られるといえるでしょう。とはいえ、弁護士の人数は年々増加して競争が激化しているのは確かです。

昔と比べるとSNSなどアピールするための手段は増えています。弁護士の資格を取るだけで生活が安泰という考えはもう通用しません。

そこからどう考え、どう動くか、ここが重要になります。

今回の記事を通じて、発見したこと、参考になったことがあれば、今後の活動に役立てるようにしましょう。

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