一般的には弁護士というと一般民事と呼ばれる個人を依頼主とした民事事件が業務の中心になっている人をイメージするかもしれません。

しかし、企業法務という企業活動に関する法律事務を行うポジションもあります。専業の法律事務職が業務にあたるというより外部の弁護士の協力を得たり、代表者が勉強したりして事務を処理することが多いです。

企業法務は企業活動のアクセルとブレーキの役割を担います。企業として利益を上げるために売上を伸ばしたりコストを削減したりすることを目指しつつ、軋轢を生じさせずリスクヘッジの機能を果たす必要があります。

この記事では、主な仕事内容や年収、転職するときのコツなどをご紹介しましょう。企業法務に興味がある人はぜひ読んでみてください。

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企業法務案件を扱う法律事務所の主な仕事内容5つ

企業法務では、さまざまな業務を扱います。企業法務案件を扱う法律事務所の主な仕事内容を5つ解説しましょう。

契約・取引法務

国内外を問わずに取引先と結ぶ売買契約や秘密保持契約、業務委託契約などについて契約書を作成したり法的に不備がないかチェックしたりする役割を担います。日本語や英語などさまざまな言語で契約書は作成されるので、語学力が豊富である必要があります。

最近では、契約するときに「反社チェック」を行います。取引先が反社会勢力ではないかチェックするものです。

  • 会社情報の確認
  • インターネットによる検索
  • 風評の調査

これらを行って、取引先として問題ないか確認します。もし、反社会勢力とつながりを持ってしまったら、営業停止処分を受けるだけではなく、銀行から融資を受けられなくなることがあります。社会的信用を一気に落とすことになるので気を付けたいところです。

機関法務

取締役会や株主総会などの機関が合法的に行われるように運営します。会社の設立や組織の運営および管理について定めた会社法に従って行います。その他、株式の発行や分割子会社の設立などの業務にも携わります。

この仕事に関しては法律の知識が必須です。契約・取引法務と並んでメインの業務になるほどの仕事量です。

法務相談

社内から出た法律に関する相談の受け答えをすることもあります。法律のプロとして法律に詳しくない社員のサポートを行うのです。

もし、法律に関する知識がないためあいまいなまま仕事を進めてしまい、法的問題が生じてしまうと大変なことになるので、丁寧に対応する必要があります。

ただし、全ての法律に関係する相談を受けるかと言われればそうではありません。労働法律関係は人事部、税務関係は経理部や財務部、知財法関係は知財部が担当するといったイメージです。

反対にいうと、人事部や経理部・財務部・知財部などと連携を取り合う必要も出てきます。企業法務については、法律事務所内に留まらず多くの顧客企業社員と関わることになるのです。

紛争訴訟対応

自社と取引先との間でトラブルやクレームがあったときに対応することがあります。BtoCの企業におけるカスタマーセンターのようなポジションです。ただし、法的措置をとる場合のみに積極的な活動をとることがほとんどです。

まず、自社が訴訟によって達成したい目的は何かを意思決定します。そして、その目的を達成するためにどのように訴訟を遂行して、どのようなときに訴訟遂行を止めるのかを協議します。

コンプライアンス・社内規定

企業の信頼性を確立するためにコンプライアンスの周知徹底は必要不可欠です。コンプライアンス研修を実施したり相談窓口を設置したりする企業は少なくありません。また、社内規定を明文化して、社内の秩序を守るのは役割の一つです。

近年のコンプライアンス意識の高まりから、大きな企業だとコンプライアンス部が発足されるほどです。法令順守の考え方はどの企業でも浸透しつつあります。

企業法務を扱う法律事務所の弁護士年収はいくらか?

企業法務を扱う法律事務所の弁護士の年収はどのくらいか気になりませんか。大手4大法律事務所とその他の法律事務所に分けてご紹介します。

大手4大法律事務所の場合

まず、大手4大法律事務所とは、下記を指します。

いずれも400人を超える弁護士が在籍していて、主に企業を顧客としています。幅広いリーガルサービスを提供しているのが特徴的です。この大手4大法律事務所の年収の高い人を見てみると、年収2,000万円以上となっています。

4大法律事務所

参考:転職会議│弁護士の年収まとめ (給料/平均年収/企業名などを集計

大手4大法律事務所であれば、年収2,000万円を目指すことも夢ではありません。また、大手4大法律事務所であれば、入社1年目から1,000万円に到達するという話もあります。

さらに、企業を顧客としてしっかり抱えているので、年収が大きくダウンすることも少ないでしょう。大手4大法律事務所に在籍すると多忙ではあると思いますが、年収ダウンのリスクが少なく、すぐに年収2,000万円を実現できるかもしれません。

その他の企業法務事務所の場合

続いて、その他の企業法務事務所の場合を見ていきましょう。大手4大法律事務所よりかはやや年収が下がりますが、日本における平均年収を考えると十分高いと言えます。

引用元:求人ボックス

おおよそ500~1,000万円が目安となっていて、平均をとると500~700万円ほどだと言えます。まれに1,000万円以上の求人もありますが、珍しくそうあるものではありません。年収1,000万円で満足できるということであれば、大手4大法律事務所ではなくとも十分やっていけるでしょう。

【急募】《エンタメ系企業法務案件多数取り扱いあり》若手弁護士が活躍する都内の法律事務所

【東京・千葉】家事、外国人労務、中小企業法務の弁護士募集

法律事務所で企業法務に従事するやりがいとは

法律事務所で企業法務に従事するやりがいとしては、法的側面から企業の成長を牽引できるところです。

顧客となる企業の商品やサービスを理解して最適提案を行えると仕事が楽しくなります。ビジネスを成長させる情熱を持ち、真摯に顧客と向き合うと信頼を獲得できるので、やりがいを感じるでしょう。

とりわけ、複雑なM&Aや国際間取引は、難しいからこそやりがいを感じる人は少なくないと言います。企業にとって大きな前進になることが多いので、感謝されると喜びに変わります。

企業法務を扱う法律事務所へ転職するには

企業法務事務所に転職するには

一般民事と企業法務事務所の4つの違い

一般民事と呼ばれる個人を依頼主とする民事事件を取り扱ってきたけれども、これからは企業法務に携わっていきたいと考える人もいるかもしれません。

一般民事と企業法務は、4つの面で違いがあります。

  1. スピード感
  2. 過程や根拠
  3. 結論の即時性
  4. 顧客

企業法務ではスピード感を求められ、可能であれば1時間以内に遅くとも当日中に何らかのレスポンスを返す必要があります。そういったことから顧客との信頼関係を構築していくのです。

また、企業法務では過程や根拠がかなり重要で、しっかり提示しないことには意見が通りません。引用文献を見つけてくる作業にも手間がかかります。

一般民事とは違って企業法務はすぐには結論が分からないことがあります。早く白黒はっきりつけたいということであれば、企業法務より一般民事の方が向いているかもしれません。

顧客に関しては、一般民事はさまざまなケースがある一方、企業法務は企業が主で比較的ドライな関係だという傾向があります。とにかく弁護士をシビアな評価で見ていることが多くあるでしょう。

これらの違いを知った上で、自分は一般民事よりも企業法務に興味があるというケースも考えられます。そこで、企業法務を扱う法律事務所へ転職する際に求められる弁護士の特徴を3つ挙げてみましょう。具体的にどのように転職活動をしたらよいかもお伝えします。

求められる弁護士の特徴3つ

企業法務を扱う法律事務所で求められる弁護士の3つの特徴は以下の通りです。

全ての弁護士に共通して言えることもありますが、とりわけ3つの能力に優れていると企業法務に関わる弁護士として高評価を受けるでしょう。

即戦力である|契約書レビュー経験があること

未経験者は教育コストがかかるので、新卒でなるのは難しいかもしれません。弁護士になって実務経験を3年以上積んだ即戦力を期待しています。

そのため、最初は別の業務に携わって経験を積むという手段も考えられます。石の上にも三年ということわざがあるように、3年苦労すると初めて見えてくるものもあるでしょう。

コミュニケーション能力が優れている

顧客である企業の社内外の人とコミュニケーションをとることになるので、コミュニケーション能力に優れた人が求められます。さらにバランス感覚がよいと、軋轢を軽減させられるので重宝されます。

ちなみに、企業の法務担当者を採用する際に重視する能力として、新卒者・未経験配属者・中途採用者ともにコミュニケーション能力が第1位に挙げられています。

引用:経営法友会│11th法務部門実態調査

経験のある弁護士ではない限り、深い法律知識よりコミュニケーション能力の方が重要視されます。コミュニケーション能力については面接でチェックできるところです。

面接官との相性も大事ですが、常日頃からコミュニケーションの取り方を意識した方がよさそうですね。

コミュニケーション能力が高い人は以下の特徴があるようです。

  • 相手に興味・関心を強く持っている
  • 相手の心理を読み取っている
  • 相手との一体感を持っている
  • 分かりやすく伝える工夫をしている
  • うまい例え話が上手である

身近な人でも、「話をしていて心地良いな」と感じる人がいませんか。その人のリアクションや思考を真似してみるとよいかもしれません。

ビジネス英語を使いこなせる

国際取引も活発な顧客なら、当然のように英語力を求められます。英文契約書を読み解ける力がないと業務を遂行できません。英語のレベルの目安は、TOEICで800点以上か、英検で準1級以上でしょう。

「英語ができないとだめだ」というネガティブな発想ではなく、「英語ができると得をする」という考え方をしてみませんか。

事務所への直接応募

企業法務を扱う法律事務所に転職したいなら、直接応募するという方法があります。各法律事務所のホームページをチェックしてみるとよいでしょう。

目星を付けているなら直接応募で問い合わせしてみてください。仲介料がかからないので法律事務所にとっては採用するときに抵抗が少ないです。

ひまわり求人求職ナビで探す

日本弁護士連合会が運営している弁護士・修習生求人求職システム「ひまわり求人求職ナビ」を利用してみてもよいでしょう。

転職サイトと同じように企業法務を扱う法律事務所の求人を探せます。さらに、登録しておくと法律事務所からスカウトが来ることもあるので大変役立ちます。

しかし、あくまでも求人が掲載されているだけで応募はできなかったり、記載されている情報が少なかったり気になる点がいくつかあります。

弁護士専門の求人サイト・転職エージェントを活用する

弁護士専門の求人サイトや転職エージェントを使うのは大変おすすめです。私たちが運営する「NO-LIMIT」は弁護士専門の転職エージェントです。転職エージェントは、非公開求人情報を探し、求職者さまへの手厚いフォローを提供しております。

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  3. 弁護士業界に強いアドバイザーがいる など

非公開求人情報ですので、ぜひ無料登録をして、個別のアドバイスをさせていただければと思います。

まとめ

今でもあまり見えてきにくい企業法務の実態が見えてきたでしょうか。企業法務の経験がある人が採用されやすい傾向がありますが、これまでの経験が役立つこともあるでしょう。

コミュニケーション能力に優れていたり、英語力に自信があったりするなら、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。企業法務に携わるチャンスは多くあります。

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