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アソシエイト弁護士(イソ弁)とは?パートナーとの違いや年収・キャリアプランも解説

更新日: 公開日:

こんにちは。弁護士専門の転職支援を行う『NO-LIMIT』編集部です。

法律事務所の「アソシエイト弁護士(いわゆるイソ弁)」とは、「パートナー弁護士」のもとで案件実務を担う立場を指します。企業でいえば現場の実務担当に近い一方で、事務所によっては契約形態が雇用ではなく個人事業(業務委託)に近いケースもあり、待遇や税務の扱いが気になる方も多いはずです。

本記事では、アソシエイト弁護士の基本(パートナーとの違い/ジュニア・シニアの違い)に加えて、仕事内容の実態、年収の見方、雇用形態や社会保険・確定申告のポイント、キャリアの選択肢、転職時のチェック項目まで、まとめて整理します。

まずは「アソシエイトとは何か」から確認していきましょう。

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目次

アソシエイト弁護士とは|パートナー弁護士との違いは?

法律事務所における「アソシエイト弁護士」とは、パートナー(事務所の経営側・受任責任を負う弁護士)のもとで案件の実務を担う立場を指します。

 

依頼者対応や訴訟活動の最前線で経験を積みながら、将来的にパートナーや専門職(カウンセル等)、あるいはインハウス・独立といったキャリアへ進むための基盤になるポジションです。

 

ただし、アソシエイトという言葉は「役職名」でもあり、同時に「働き方」を含意することがあります。事務所によっては雇用契約ではなく、報酬の支払い方法や社会保険の扱いが異なるケースもあるため、肩書きだけで判断せず、契約形態や報酬体系まで含めて理解することが大切です。

 

ここからは、アソシエイトの立ち位置とパートナーとの違い、さらにジュニアとシニアの違いを整理していきます。

アソシエイト弁護士(イソ弁)の呼び方

「アソシエイト弁護士」は、一般的に法律事務所で経験を積む勤務弁護士(若手〜中堅)を指す呼び方です。一方で「イソ弁(居候弁護士)」は、もともと事務所に席を置いて事件を担当する弁護士を表す俗称として使われてきました。近年は大手・渉外系の事務所を中心に、役職としては「アソシエイト」という呼称が用いられることが多く、対外的にも丁寧な表現として定着しています。

 

ただし、呼び方が同じでも中身は事務所によって異なります。たとえば「アソシエイト」と呼ばれていても、雇用契約の給与制の事務所もあれば、業務委託に近い報酬制の事務所もあります。つまり、肩書きだけで待遇や働き方を決めつけず、契約形態・報酬体系・個人受任の可否までセットで確認するのが安心です。

 

なお、業界内では「ノキ弁」「タク弁」などの呼称も耳にしますが、これらは働き方や立場の特徴を表す言い回しです。ここではまず、検索意図の中心である「アソシエイト=事務所内で実務を担う立場」という理解を押さえたうえで、次に具体的な立ち位置(パートナーとの関係)を整理していきます。

法律事務所におけるアソシエイト弁護士の立ち位置

法律事務所の業務は、ざっくり説明すると下記の流れで進むことが多い傾向です。

 

  1. 受任(依頼を受ける)
  2. 案件を動かす
  3. 成果物を納品する or 問題を解決する

 

このうちアソシエイト弁護士は、パートナーの方針や監督のもと、案件を前に進める実務の中心を担う立場です。具体的には、法令・判例のリサーチ、書面(契約書・準備書面等)の作成、相手方との交渉、期日対応、依頼者との打ち合わせなど、案件の手を動かす部分を幅広く担当します。

 

また、事務所にもよりますが、パートナーからの仕事だけでなく、アソシエイトが個人で仕事を引き受ける場合があります。もちろん事務所からの仕事を優先することになり、さらに個人で請け負った仕事はサポート役である「パラリーガル」の協力を得られないことがほとんどです。

 

パートナーは依頼者を獲得し受任判断や案件方針の決定など事務所運営の業務を担い、アソシエイトはパートナーから任された業務を遂行して「経験を積み、専門性を磨きながら成果を出す」役割を担います。アソシエイトの評価は実務の正確さ・スピード・再現性に加えて、年次が上がるほど主体性(提案力)や依頼者対応力も見られるようになります。

 

この立ち位置を理解しておくと、「自分はどんな分野で経験を積むべきか」「今の事務所で伸びる余地があるか」「次に転職するなら何を条件に比較すべきか」が整理しやすくなります。

パートナーとアソシエイト弁護士の違い

パートナーとアソシエイトの違いは、単に「年次が上か下か」ではなく、責任の種類が異なります

 

アソシエイトは案件実務の遂行が中心で、成果は「調査の精度」「書面の品質」「期日対応の確実さ」「依頼者対応の丁寧さ」といった、目に見えるアウトプットで評価されます。パートナーの部下として業務をこなす、とイメージするのが良いでしょう。

 

一方でパートナーは、案件そのものに対する最終責任(品質・方針・リスク)を負い、さらに受任(売上)と組織運営(人・教育・稼働)も担います。言い換えると、アソシエイトが「案件を動かす人」なら、パートナーは「案件を取り、方向を決め、最終結果に責任を持つ人」です。

 

この違いは、働き方や報酬にも影響します。多くの場合、アソシエイトは固定給や一定のレンジの報酬体系であることが多いのに対し、パートナーは事務所の利益配分や成果連動が強くなりやすく、収入の上限が上がる一方で責任も重くなる傾向があります。

関連する役職:カウンセル・オブカウンセル

法律事務所では「アソシエイト→パートナー」という一本道だけではなく、専門職としての中間ポジションが置かれていることがあります。
その代表が「カウンセル」や「オブカウンセル」です(名称や位置づけは事務所によって異なります)。

 

一般的には、カウンセル・オブカウンセルは、アソシエイトよりも経験が深く、特定分野で強みを持ちながら、パートナーほどの経営責任を全面的には負わない立ち位置として扱われます。たとえば、難易度の高い論点の設計、重要局面の交渉、若手のレビューや育成などでチームを支え、案件の品質を底上げする役割です。

 

このポジションがある事務所では、キャリアの選択肢が広がります。パートナーとして受任・経営に踏み込む道だけでなく、専門性を磨いて「高度専門職」として価値を出す道も現実的になるためです。転職や入所を検討する際は、役職名の有無よりも、実際に「どんな役割・権限・評価・報酬体系なのか」を確認しておくとミスマッチを防げます。

ジュニアとシニアではなにが違う?

アソシエイトは同じ呼び方でも、実務上は「ジュニア(若手)」「シニア(中堅〜)」のように期待される役割が変わっていきます。
明確な線引きは事務所ごとに異なりますが、違いの本質は任される業務範囲と自走度です。

 

ジュニアは、リサーチやドラフティング、期日準備などパートナーやシニアの指示を受けながら成果物を積み上げ、レビューを通じて「なぜその結論になるのか」「どこがリスクなのか」を学びます。成果物の品質はもちろん、報連相の丁寧さや、締切管理などの基本動作も評価に直結します。

 

一方シニアになると、単に作業量をこなすだけでなく、案件設計(進め方・論点整理)や、依頼者・相手方とのコミュニケーションまで含めて期待されます。若手の成果物をレビューし、チームの生産性を上げる役割も増えます。さらに、事務所によっては「受任にどう貢献できるか」「専門性をどう打ち出すか」といった、次のステップ(カウンセル・パートナー・転職)を見据えた評価軸が強くなります。

 

この違いを理解しておくと、「いま自分はどのスキルを伸ばすべきか」「転職するならどのレベルの案件・裁量を求めるべきか」が整理できます。

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アソシエイト弁護士の主な5つの仕事内容

アソシエイト弁護士の仕事は、案件の種類によって細部は変わるものの、共通して「調査→方針整理→書面化→対応→振り返り」という流れで積み上がっていきます。

 

ここでは多くの事務所で共通しやすい業務を5つに分けて整理します。

リサーチ業務

アソシエイト弁護士が行う業務の一つは、リサーチ業務です。パートナー弁護士などが、日常において企業や個人などのクライアントから法律相談を受けた場合に、アソシエイトは必要な情報を整理し、以下のような点を中心に調査します。

 

  1. クライアントの持っている疑問がどの法令・どの論点との関係で問題になるのかを切り分ける
  2. 企業がやろうとしていることが適法なのか違法なのか(あるいはグレーなのか)を検討する
  3. 想定される選択肢ごとに結論がどう変わるか確認する
  4. 経営上のリーガルリスクがどれほど高いのか確認する

 

特にリーガルリスクを確認する際は、基本的に違反時の行政処分・損害賠償・刑事リスク・レピュテーションリスクなども含めて、影響度と発生可能性の観点から整理します。

 

調査にあたっては、条文だけでなくガイドラインや通達、最新の裁判例、実務上の運用(業界慣行)まで確認することも多く、必要に応じて「前提となる事実がどこまで確定しているか」「追加で確認すべき情報は何か」も併せてまとめます。

 

そして、調査結果は覚書(メモ)として簡潔にまとめ、パートナーへ報告。案件によっては、その内容をもとにクライアントへメールで回答し、次に取るべき対応(進め方、留意点、代替案)までを提示するのが、リサーチ業務においての一連の流れです。

ヒアリング

訴訟を起こすなど法律に関わる相談の場合、最初に行うことはクライアントへのヒアリングです。

 

関係者からお話を伺ったりしながら、問題となっている案件の概要や詳細を把握して、訴訟において必要となる証拠を探し、リーガルオピニオン(意見書)を書くための前提情報などを収集します。

 

ヒアリングでは、出来事の流れを時系列で整理し、「いつ・誰が・何を・どのように」行ったのかを具体的に確認します。あわせて、契約書や覚書、メール・チャットのやり取り、請求書、社内稟議、録音データなど、事実を裏付ける資料がどこにあるかを洗い出すことも重要です。クライアントの記憶だけに頼らず、客観資料と照らし合わせながら情報を固めていきます。

 

また、訴訟を見据える場合は「争点になりそうな点」「相手方が反論してきそうな点」も意識して質問します。たとえば、合意内容の変遷、交渉経緯、履行状況、損害の発生時期や金額など、結論を左右しやすい要素は早めに確認しておく必要があります。

 

こうして集めた情報をもとに、論点と不足資料を整理し、追加ヒアリングや証拠収集の方針をまとめて、パートナーの判断(訴訟提起・交渉方針など)につなげていきます。

ドラフティング

ドラフティングとは、契約書や意見書、訴状・準備書面など、法的な文書を作成する業務のことです。

 

リサーチやヒアリングで得た情報をもとに、依頼者の目的に沿って「何を主張し、何を根拠にし、どのような結論を目指すのか」を整理し、文章として形にしていきます。

 

訴訟案件であれば、事実関係を時系列でまとめたうえで、争点ごとに主張を組み立て、証拠と対応づけながら準備書面を作成します。企業法務であれば、取引条件やリスクを踏まえて契約条項を起案・修正し、想定されるトラブルを防ぐための文言(解除、損害賠償、秘密保持、準拠法・管轄など)を整えます。どの場合でも、読み手(裁判所・相手方・クライアント)が理解しやすいように、論理の筋道と表現の正確さが求められます。

 

作成した文書は、パートナー弁護士のレビューを受けて修正を重ね、最終的な方針・表現へ落とし込みます。ドラフティングは成果物がそのまま案件の進行や結果に影響するため、正確性はもちろん、「結論に必要な要素が漏れていないか」「相手の反論を見越せているか」といった視点で品質を高めていくことが重要です。

裁判期日への参加

裁判所で行われる期日(口頭弁論期日・弁論準備手続期日など)に参加することも、アソシエイト弁護士の重要な業務です。

 

期日は、提出した書面や証拠を前提に、裁判官と当事者が今後の進行や争点の整理、次回までの対応方針を確認する場であり、案件を前に進めるための節目になります。

 

アソシエイトは期日に向けて、事前に準備書面や証拠の内容を整理し、争点ごとのポイント(こちらの主張・相手の主張・裁判所の関心)を短時間で説明できる状態に整えます。あわせて、次に提出すべき資料や、追加で確認すべき事実関係がないかを洗い出し、期日後の動きまで見据えて準備します。

 

期日当日は、パートナー弁護士の補助として同席し、裁判官の発言や相手方の反応、進行に関する指示を正確にメモします。期日が終わった後は、内容を記録にまとめ、次回期日までのタスク(追加主張、証拠提出、和解検討など)を整理してチーム内で共有します。期日は情報が一気に更新される場でもあるため、「何が決まり、何が宿題になったか」を明確にすることが、アソシエイトの大事な役割です。

内部会議への参加

アソシエイト弁護士は、案件を進めるうえで行われる内部会議(打ち合わせ)に参加することも多くあります。

 

内部会議ではリサーチやヒアリングの結果をもとに、争点の整理や主張の組み立て、証拠の方針、交渉・訴訟の進め方などをチームで確認し、次に何をすべきかを決めていきます。

 

アソシエイトの役割は、会議の前に必要資料を準備し、論点を分かりやすく提示できる状態にしておくことです。たとえば、事実関係を時系列にまとめたメモ、論点ごとの争点表、相手方の主張の整理、証拠の一覧などを用意し、会議の意思決定が進みやすいように支えます。

 

会議中は、パートナーや先輩弁護士の方針を正確に理解し、決定事項と宿題(誰が・何を・いつまでに)を明確にして記録します。会議後は、議事メモを共有し、ドラフティングや追加リサーチ、証拠収集などのタスクに落とし込んで実行していきます。内部会議は案件の質を左右する重要な場なので、アソシエイトにとっては「論点整理力」と「段取り力」が鍛えられる機会にもなります。

仕事内容は事務所タイプでどう変わる?

アソシエイトの実際の働き方は、所属する事務所のタイプや取り扱う分野によって大きく変わります。

 

たとえば、企業法務中心の事務所では契約書レビューや社内規程の整備、M&A関連の対応などが増えやすい一方、一般民事中心の事務所では訴訟対応や交渉、家事事件・相続などの比重が高まる傾向があります。また、事務所によっては個人受任(個人事件)の扱いが異なり、キャリア形成や収入面にも影響します。

 

ここからは「事務所タイプ別の違い」「個人受任の扱い」「働き方のリアル」という3つの観点で、具体的に整理していきます。

 

企業法務・渉外と一般民事・家事・刑事での違い

企業法務・渉外系では、訴訟よりも「トラブル予防」の比重が高く、契約書レビューや契約交渉、社内規程整備、コンプライアンス対応、M&A関連などが中心になりがちです。
相手は企業の法務部・事業部で、スピード感と実務的な落としどころが求められます。

 

一方、一般民事・家事・刑事系では、紛争解決が前面に出やすく、訴訟・調停・交渉の比重が増えます。
事実関係の精査や証拠収集、期日対応の密度が上がり、書面も訴状・準備書面・申立書など裁判所提出を前提としたものが中心です。

 

どちらが良いのではなく、「伸ばしたい力」と「将来のキャリア」によって相性が分かれる、と捉えると選びやすくなります。

 

個人受任の扱い(可否・配分・ルール)

アソシエイトの働き方を左右しやすいのが、個人受任(個人事件)を認めるかという点です。

 

事務所の方針は「禁止」「許可制」「条件つきで自由」などさまざまで、認められる場合でも多くはルールがあります。

たとえば、受任前の承認、利益相反チェック、事務所設備を使う場合の費用負担、報酬の一定割合を事務所に入れる(または施設使用料を支払う)といった取り決めです。

 

個人受任は経験の幅や独立準備に役立つ一方、時間管理や優先順位、利益相反でトラブルになり得るため、「入所・転職前に 可否・承認フロー・報酬配分・禁止範囲」まで確認しておくと安心です。

 

働き方のリアル(繁忙期・学習量・チーム体制)

アソシエイトの働き方は、扱う分野だけでなく案件の回し方(体制)で体感が大きく変わります。

 

繁忙期は、訴訟なら期日や提出期限、企業法務なら大型案件の山場など、締切が重なるタイミングで稼働が一気に増えやすいです。

 

また、実務と並行して学習量も必要になります。新分野では条文・判例だけでなく実務書や過去案件の書式を吸収しながら進めるため、負荷はかかりますが、その分専門性が伸びやすい面もあります。

 

チーム体制も事務所により差があり、固定チームでレビューや教育が整っている場合は成長しやすい反面、裁量は段階的に広がる設計になりがちです。転職・入所時は、レビュー頻度・教育体制・アサイン方法・稼働の見通しまで確認しておくと安心です。

 

雇用形態・待遇の実態

アソシエイト弁護士を目指すのであれば、先に確認しておきたいのが「雇用形態」と「待遇の中身」です。

 

実は、同じ年収額に見えても雇用契約か業務委託に近い形かによって、社会保険や税務、手取り、働き方の自由度が変わることがあるからです。

 

ここでは、雇用契約と業務委託の違い、社会保険や弁護士会費など手取りに影響する項目、確定申告や源泉徴収の基本を、ポイントを絞って整理します。

 

雇用契約と業務委託の違い(残業代・有給・裁量・リスク)

アソシエイト弁護士の契約形態は事務所によって異なり、大きくは「雇用契約(給与)」と「業務委託に近い形(報酬)」に分かれます。

 

どちらが一般的かは事務所の規模や方針によって変わるため、肩書きや年収だけで判断せず、まず契約形態を確認するのが大切です。

 

雇用契約の場合は、給与として支払われ、社会保険の加入や就業規則の適用など、会社員に近い枠組みで働くことになります。一般的には有給休暇や労務管理の仕組みがあり、条件によっては残業代の考え方も関わってきます。一方、業務委託に近い形の場合は、報酬として支払われ、働き方の裁量が大きい反面、社会保険や税務(確定申告など)を自分で管理する必要が出てきます。

 

また、リスクの観点でも差が出ます。雇用契約は収入が安定しやすい一方、評価制度やルールに沿った働き方が求められます。業務委託型は成果や稼働に応じて変動しやすく、経費負担や責任範囲も含めて取り決めが重要になります。転職や入所前には、契約形態に加えて、報酬の決まり方、稼働の考え方、経費負担、個人受任との関係などもセットで確認しておくと安心です。

 

社会保険・厚生年金・弁護士会費など

年収額が同じでも、実際の「手取り」はどんな費用がどこまで差し引かれるかで大きく変わります。

 

アソシエイトの場合、特に影響が出やすいのが社会保険(健康保険・厚生年金)と弁護士会費、そして業務に必要な経費負担です。

 

まず、雇用契約で働く場合は、一般的に健康保険・厚生年金などの社会保険に加入し、保険料は給与から差し引かれます。保険料負担はあるものの、将来の年金や傷病手当金などの制度面でのメリットもあります。一方、業務委託に近い形の場合は、国民健康保険・国民年金となるケースが多く、保険料の支払い方法や負担感が変わります(収入や自治体によっても差が出ます)。

 

次に、弁護士として業務を行ううえで必要になる弁護士会費(弁護士会・日弁連の会費等)は、負担主体が事務所か本人かで手取りが変わります。事務所が負担してくれる場合もあれば、本人負担が原則のケースもあるため、入所前に確認しておきたいポイントです。

 

さらに、PC・書籍・判例DBなどの利用料、交通費、接待交際費の扱いなど、「経費をどこまで事務所が負担するか」も事務所ごとに差があります。年収の数字だけで比較するのではなく、保険・会費・経費の負担ルールまで含めて見ておくと、入所後のギャップを減らせます。

 

確定申告・源泉徴収の基礎

アソシエイトが確定申告をする必要があるかどうかは、「給与(雇用)」なのか「報酬(業務委託に近い形)」なのかで大きく変わります。
ここは誤解が起きやすいので、代表的なケースに分けて整理します。

 

①雇用契約で給与のみ(副収入がない)

一般的には、勤務先で年末調整が行われるため、原則として確定申告が不要になることが多いです。
ただし、医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税)など、控除を受けたい事情がある場合は確定申告をご自身で行う必要もあります。

 

②雇用契約でも副収入がある(個人受任・原稿料など)

給与以外の所得がある場合は、金額や内容によって確定申告が必要になる可能性があります。
個人受任を認める事務所では、報酬の受け取り方や経費計上の扱いも絡むため、「何が所得として計上されるのか」を早めに整理しておくと安心です。

 

③業務委託に近い形で報酬を受け取る

この場合は、原則として自分で収支を管理し、確定申告を行う前提になります。
報酬から源泉徴収(一定割合が天引き)されていることもありますが、源泉徴収=申告不要という意味ではありません。
必要経費(書籍・判例DB・通信費など)を整理し、最終的な税額を申告で確定させる流れになります。

 

いずれのケースでも、実際の要否は収入の種類や金額、契約条件で変わります。
転職・入所時は、雇用か報酬かの確認に加えて、報酬の支払い方法(源泉徴収の有無)・個人受任の扱い・経費負担までセットで把握しておくと、税務面の不安を減らせます。

アソシエイト弁護士の年収は中央値は600万円|5大法律事務所は新人でも1,000万円以上に

アソシエイト弁護士の年収は、所属する事務所の規模(大手・中小)、取り扱う分野(渉外・企業法務・一般民事など)、地域、そして年次や報酬体系によって幅があります。

 

そのため「平均いくら」と断定するよりも、年収が決まる要因を押さえたうえで、レンジ(幅)で把握するのが現実的です。

 

ここではまず、年収が変動する主な要因を整理したうえで、弁護士全体の目安、アソシエイトの目安、そして5大法律事務所の水準について見ていきます。

年収が決まる要因(地域・規模・分野・年次・報酬体系)

アソシエイト弁護士の年収は、単に「弁護士だからこのくらい」と一括りにはできず、いくつかの要因の組み合わせで決まります。

 

影響が大きいのは、事務所の規模と収益構造です。大手・準大手の事務所は高単価案件(企業法務・渉外、M&Aなど)を扱う比率が高く、報酬水準が上がりやすい傾向があります。一方で中小・地方の事務所は、地域の需要に根ざした案件が中心になり、レンジも現実的なラインに落ち着きやすいです。

 

次に、分野(取り扱い領域)も重要です。企業法務・渉外は単価が高い案件が多く、英語対応や専門性が求められる分、年収水準が上がりやすい傾向があります。逆に一般民事・家事事件などは案件単価の構造が異なるため、同じ年次でも収入に差が出ることがあります(ただし個人受任の可否などで逆転するケースもあります)。

 

さらに、地域差も無視できません。都市部は案件量・単価が高く、求人も多い一方、地方は生活コストが低いなど別のメリットがあり、年収だけで単純比較しにくい側面があります。

 

最後に、見落としやすいのが年次と報酬体系です。固定給中心か、成果連動・歩合要素があるか、個人受任がどの程度できるかで、同じ「アソシエイト」という肩書きでも年収の上限と伸び方が変わります。まずは自分が置かれている条件(規模・分野・地域・年次・報酬体系)を当てはめてレンジ感を掴むと、情報の見方がクリアになります

弁護士全体の年収中央値は650万円前後

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、弁護士の平均年収は1000万前後で推移しています。


参考:賃金構造基本統計調査

一方、日本弁護士連合会が行ったアンケート調査によると、回答者の過半数が年収750万円未満、所得の中央値は650万円でした。

引用元:近年の弁護士の実勢について|弁護士白書2018年版

回答者数や調査手法に違いはあるものの、弁護士の年収は減少傾向にあるといってよいでしょう。

アソシエイト弁護士の年収は概算中央値600万円

弁護士の年収は、勤務先(法律事務所・企業内弁護士など)や分野、地域、経験年数によって幅がありますが、全体像を把握するうえでは「中央値」を目安にするとイメージしやすくなります。中央値は、一部の高年収層に平均値が引っ張られにくく、「一般的な水準感」をつかむのに向いている指標です。

 

ただし、弁護士はキャリアの進み方が多様で、同じ年次でも収入差が出やすい職種です。たとえば、企業法務・渉外を中心に扱う都市部の大手事務所と、地域密着型の一般民事中心の事務所では、案件単価や働き方が異なるため、年収レンジも変わります。インハウス(企業内弁護士)の場合も、企業規模や役職、担当領域によって水準が変動します。

 

そのため、ここで示す弁護士全体の中央値はあくまで「全体の目安」として捉え、次の見出し以降で、アソシエイトという立場に絞ったレンジや、事務所タイプ別の違いを重ねて確認するのが確実です。

5大法律事務所は新人弁護士でも1,000万円以上

元4大法律事務所出身の弁護士にお伺いしたところ、国内大手の法律事務所の場合は新卒弁護士でも初年度の年収が1,000万円

 

3年目1500万円になったそうですので、この概算とは大きく外れることになりますが、一般民事を請け負う法律事務所のアソシエイト弁護士であれば、600万円前後だと考えて良いかと思います。

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事務所タイプ別のレンジ(大手・準大手・中小・地方)

アソシエイトの年収は、事務所タイプでレンジが変わります。

 

大手は企業法務・渉外やM&Aなど高単価案件が多く、高水準になりやすい傾向があります。準大手も専門性の高い案件を扱い、比較的高めのレンジになりがちです。

 

一方、中小・地方は一般民事や地域の企業法務が中心で、年収は落ち着く傾向があります。ただし、個人受任の自由度が高い事務所では、経験や営業力次第で収入が伸びるケースもあります。

年収を上げる具体策(専門性・英語・営業・個人受任・転職)

アソシエイトが年収を上げるには、まず市場価値を上げるのが大切です。

 

M&A・金融・労働・知財などで専門性を作ると、任される案件の難易度と単価が上がり、評価に反映されやすくなります。渉外や外資系の案件に関わりたい場合は、英文契約や英語コミュニケーションに対応できる英語力が強い差別化になります。

 

次に、事務所によっては受任への貢献(営業要素)が評価に影響します。クライアント対応の質を上げて継続依頼につなげる、セミナーや発信で問い合わせを増やすなど、アソシエイトでも取り組める範囲があります。

 

また、個人受任が可能な事務所なら、ルールの範囲内で個人受任を積み上げて収入を伸ばせることもあります(利益相反や配分、時間管理は必須)。

 

最後に大きく年収を動かしたいなら転職です。案件単価が高い分野・規模の事務所へ移る、報酬体系が合う環境を選ぶ、インハウスで年収と働き方のバランスを取るなど、目的に合わせて戦略を変えるのがポイントです。

状況別|アソシエイト弁護士のキャリアアッププランとは

アソシエイトのキャリアは、「年次が上がれば自動的に次のポジションへ進む」というより、どんな分野で経験を積むか、どんな環境で評価されるかによって分岐します。

一般民事中心の事務所、大手事務所、外資系事務所など、所属先の特徴によって伸びやすい方向が違うため、自分の志向と照らし合わせて考えるのが大切です。

ここでは状況別に、アソシエイトから先のキャリアアッププランを整理します。

一般民事事務所の場合|パートナーを目指す

一般民事事務所の場合は、法律事務所によって異なりますが、5年目など、新人弁護士として勤務を開始して数年が経過する場合には、パートナーに昇格していくことになります。

パートナーになるためには、弁護士としての実績の積み重ねは不可欠です。
まずは、先輩弁護士の経験や知識を吸収していくことで、弁護士として自分で案件を回せるようになることを目指してくことになります。


逆にアソシエイトの育成はパートナーの仕事の一つです。パートナーはどのアソシエイトに案件を任せるかを見極めています。様々な経験を得るためにも日頃の業務をしっかりこなしていくことがパートナーになるための一番の道だといえます。


基本的に、一般民事を中心に取り扱う法律事務所は少人数の法律事務所が多く、法律事務所によってバラバラといえ、一概にいつパートナーになるかはいえないでしょう。

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大手5大事務所の場合

大手5大法律事務所の場合、全てのアソシエイト弁護士がパートナーになれるわけでもありません。

特に大手事務所では、ジュニア・アソシエイトからスタートするため、シニア・アソシエイトになるまでに多くの経験と時間が必要です。そこからさらにパートナーへ上れるのは一部だけです。事務所の中で着実に成果をあげて、10年以上アソシエイト弁護士として勤務して、パートナーを目指すことができます。

また、パートナーではなく、カウンセルなどといった別の役職を目指すことや、インハウスやベンチャーのCLOなどを目指していくことも考えられます。

法律事務所に参画した新人弁護士がどの程度の経験を経てパートナー等に昇格しているかを確認するには、その法律事務所の所属弁護士の経歴などをWebサイトで確認すると分かることがあります。

新人弁護士として入所した後、十数年勤務した弁護士がおおよそパートナー弁護士になっているといえるでしょう。

参考:パートナーおよびカウンセル就任のお知らせ | 森・濱田松本法律事務所

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外資系法律事務所の場合

外資系法律事務所の場合、本国によるトップダウンの人事に左右される、管理職には外国人しかなれないなど、同じ外資系法律事務所に居続けるのは、大手事務所よりも困難である可能性もあります。

加えて、評価基準や昇進要件がグローバル基準で運用されやすく、成果や稼働の数字がよりシビアに見られる点も理解しておくことが大切です。

その外資系法律事務所でパートナーになるだけでなく、培った語学力を活かして他の事務所への移籍・独立、インハウスローヤーへの転職などを考えることになる場合もあります。

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カウンセル・オブカウンセルとして専門職路線を深める

パートナーを目指す以外にも、アソシエイトから先のキャリアとして「カウンセル・オブカウンセル」といった専門職路線を選ぶケースがあります。

 

これは、受任や事務所経営の比重を大きくするというより、特定分野の知見や高度な実務力で案件の品質を支える立ち位置です。

 

たとえば、難易度の高い論点設計、重要局面の交渉、複雑な契約条項の整理、若手のレビュー・育成などで、チームの成果を底上げします。案件の前線で価値を出し続けられるため、「専門性を武器にしたい」「マネジメントより実務で勝負したい」という志向の方に向きやすい選択肢です。

 

ただし、名称や役割、報酬体系は事務所によって差があるため、転職や昇格を検討する際は、役職名だけで判断せず、実際の権限・評価軸・稼働の期待値(どこまで案件を引っ張るか)を確認しておくとミスマッチを防げます。

インハウスローヤーを目指す場合

インハウスローヤーを目指す場合、法律の知識はもちろんとして、以下の能力や経験が求められます。

  1. 企業法務経験:インハウスローヤーは立場としては会社員のため、企業での勤務経験が多いほうがさらによい
  2. 英語能力:海外の企業などの取引には英語が必須
  3. 出向経験:官公庁や民間企業の法務部などに出向した経験

インハウスローヤーを目指す弁護士は、これらの経験が得られるような法律事務所に最初に勤務することをえらび、このような経験ができるように立ち回るようにキャリアプランを考えることになります。

転職サイトから、インハウスローヤーとして求められるものをみてみましょう。

企業

求められるもの

A社

<必須要件>

1)法務コンプライアンススタッフ

・ヘルスケア企業のコンプライアンス経験(規制業界であれば可)

・一般的な契約審査の経験

・一般的な法令コンプライアンスの経験

2)法務スタッフ

・法務実務経験

・弁護士資格者

・ビジネス上での英語使用経験(会話能力必須)

B社

<必須要件>

・法学系修士課程修了

・企業の法務部もしくは法律事務所での勤務経験3年以上

<求める人物像>

・コミュニケーションスキル(聴く、理解する、伝える、説得する)

・チームで仕事ができる

・学習意欲、向上心

C社

<必須要件>

・法科大学院修了者または企業法務経験3年以上

<歓迎要件>

・訴訟対応経験のある方

・司法書士資格、弁護士資格

・ビジネスレベルの英語や中国語の能力

D社

<必須要件>
・法科大学院修了生または企業の法務部経験者(企業ジャンル不問)
・TOEIC800以上

<歓迎要件>
・弁護士資格

(※ジュリナビキャリア参照)

多くのインハウスローヤーは、企業法務の経験や英語能力を求められていることが多いといえるでしょう。

インハウスローヤーの求人紹介を受ける

独立・開業を目指す場合

独立・開業を目指す場合、独立して開業してちゃんと顧客がついてくるために考えなければなりません。

弁護士としての基本的な能力を培うのみならず、事務所に所属しているときから積極的にクライアントに関わり、営業力を磨いていく必要があります。法律事務所によっては、アソシエイト弁護士が個別に案件を持つことを禁止しているところもあります。

独立・開業を考えている場合は所属する法律事務所に事前に確認しておくとよいでしょう。



キャリア形成の実務アクション(委員会活動・共同受任など)

アソシエイトのキャリアは、所属先や分野の選択だけでなく、「普段の実務の外で、どう価値を積み上げるか」でも差がつきます。

 

将来パートナーを目指すにせよ、専門職路線や転職・独立を選ぶにせよ、次のような実務アクションは再現性が高く、評価や市場価値につながりやすいです。

 

まず取り組みやすいのが、委員会活動です。弁護士会や各種団体の委員会に参加すると、分野の最新動向に触れられるだけでなく、先輩弁護士や他事務所とのネットワークが広がります。紹介や共同案件につながることもあり、長期的に効いてきます。

 

次に共同受任・共同研究です。先輩弁護士や他事務所と一緒に案件を扱うことで、実務の型を学びつつ、自分の実績としても積み上げられます。特に、企業法務・渉外では「チームで回す」案件が多いため、共同で成果を出した経験は強みになります。

 

さらに、発信(論文・ブログ・セミナー)も有効です。専門領域の知見をアウトプットすると、クライアントや紹介元からの認知が広がり、受任への貢献や転職時の評価材料になります。無理にバズを狙う必要はなく、「特定分野で継続的に出す」ほうが信頼が積み上がります。

 

こうした活動は、短期で直接収入が増えるというより、専門性・人脈・信用を蓄積して、転職・昇格・独立の選択肢を増やす打ち手です。どのキャリアを目指す場合でも、できる範囲で継続しておくと後から効いてきます。

いまアソシエイト弁護士が転職するなら狙い目の事務所や業界は?

アソシエイト弁護士が転職を考えるときは、「年収を上げたい」「専門性を作りたい」「働き方を整えたい」など、目的によって狙い目が変わります。
どこが良いかを一律に決めるのではなく、まずは自分の優先順位(報酬・分野・成長環境・稼働)を整理したうえで、マッチする事務所や業界を選ぶのが良いでしょう。

 

たとえば、企業法務の経験を伸ばしたいなら、企業法務・M&A・危機管理などを継続的に扱う事務所を選ぶのがおすすめです。
渉外・外資系案件に広げたい場合は、英文契約やクロスボーダー案件がある環境へ移ることで、市場価値が上がりやすくなります。

 

逆に、一般民事中心でも「個人受任の自由度が高い」「得意分野を作りやすい」「教育・レビュー体制が手厚い」事務所であれば、経験と収入の両面で伸ばせる可能性があります。

 

また、業界としてはインハウス(企業内弁護士)も有力な選択肢です。法務部での経験は、事業との距離が近く、長期的に専門性を積み上げやすい一方で、企業規模や担当領域によって年収・裁量・働き方のバランスが変わります。

一例として、企業法務系法律事務所の転職求人をみてみましょう。

募集職種

経験弁護士

仕事内容

・コーポレート関連
・契約・取引関連
・ビジネスモデル関連
・企業買収(M&A)
・紛争解決関連
・渉外企業法務関連

※半分はアジア案件

勤務地

東京都

給与

400~800万程度 ※個人受任可

選考プロセス

書類選考

面接(数回)

内定

応募条件

<必須要件>
・経験弁護士(企業法務系、一般民事系でも可能)
・書面起案は一人で完結できること

<歓迎要件>
・英語能力

※働き方は柔軟に対応可

この法律事務所は、半分がアジア案件となっており、英語能力が一定程度求められています。

今までの法律事務所の業務において、英語案件を一定程度扱っていれば、この法律事務所への転職は有利になるといえるでしょう。

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アソシエイトへの転職のタイミング

アソシエイトへの転職のタイミングは「何年目だから」と決め打ちするよりも、いまの環境で伸びる余地があるか・望む方向に近づけているかで判断するのがおすすめです。

 

特にアソシエイトは、経験の積み方で市場価値が大きく変わるため、早すぎても遅すぎても機会損失になり得ます。

 

まず、転職を検討し始めるサインの一つが伸び悩みです。案件の種類が固定化し、「新しい経験が積めない」「レビューが薄く学びも薄い」「希望分野に触れられない」といった状態が続く場合は、「環境を変えたほうが成長が早い」可能性があります。

 

次に、専門性の観点です。今の事務所で強みが作れるのか、それとも別の環境のほうが狙う分野の案件が豊富なのかを見極めます。たとえば、企業法務に寄せたいのに一般民事が中心であり、移行の見込みが薄いなら転職を考え始めるのも良いでしょう。逆に、希望分野の案件が増え始めているなら、もう少し残って実績を作ってから動くほうが有利になるという考え方も。

 

WLB(働き方)も重要な判断軸です。稼働が高い時期があるのは当然としても、体調や生活が崩れている状態が慢性的に続いているのであれば、長期戦は難しくなる可能性があります。短期の繁忙と、構造的な過重負担は分けて考えるのがポイントです。

 

最後に、評価・報酬の納得感です。「成果に対しての評価が不透明」「昇給や役割拡大の見通しが立たない」「契約形態や経費負担が不利に感じる」といった違和感が積み重なる場合も、転職を考え始めるタイミングになります。大切なのは、感情だけで動くのではなく「何が不満で、何を変えたいのか」を言語化してから求人を探すことです。

 

求人選びのチェックリスト

求人を選ぶときは、年収や知名度だけで決めるとミスマッチが起きやすいです。

 

アソシエイトの場合、入所後の伸びやすさは「どんな案件を、どんな体制で、どう評価されるか」で決まるため、面談や選考の段階でチェックすべき項目をあらかじめ持っておくのが有効です。

 

ここでは実務上使いやすい形で、主要ポイントをチェックリスト化します。

 

1.案件(経験が積める中身か)

主要分野は何か(企業法務・渉外・一般民事・家事・刑事など)

案件の規模・難易度・割合(スポット相談が多いのか、長期案件が多いのか)

自分が伸ばしたい分野に実際に触れられるか(希望配属・案件希望の通りやすさ)

 

2.教育・レビュー体制(伸びる仕組みがあるか)

レビュー頻度(毎回レビューされるのか、要所のみか)

OJTの設計(先輩がつくのか、案件ごとに放り込まれるのか)

ナレッジ(書式・過去案件・判例DB等)が整っているか

 

3.報酬・評価(納得して頑張れるか)

固定給か、成果連動(歩合要素)があるか

評価の軸(稼働・品質・受任貢献・専門性など)

昇給・昇格の目安(年次の目安、期待役割の変化)

 

4.契約・待遇(手取りとリスクを見落とさない)

雇用契約か、業務委託に近い形か

社会保険・会費・経費負担(PC、書籍、DB、交通費など)

稼働の考え方(忙しい時期の目安、休日対応の有無)

 

5.個人受任(可否・ルール)

原則可・許可制・禁止のどれか

利益相反チェック、報酬配分、禁止される案件類型

事務所設備の利用ルール(費用負担など)

 

6.カルチャー(続けられる環境か)

コミュニケーションのスタイル(レビューの丁寧さ、心理的安全性)

働き方の柔軟性(リモート可否、時間の裁量)

価値観(スピード重視・品質重視・営業重視など)

 

選考で見られるポイント(実績の言語化・英語・専門性など)

アソシエイトの選考では「何年目か」以上にどんな経験を、どのレベルで再現できるかが見られます。

 

そのため、実績を盛ることよりも、やってきたことを筋道立てて説明できるか(=言語化)が重要です。

 

まず評価されやすいのが実績の言語化です。担当した案件をただ列挙するのではなく、次の項目について守秘に配慮しながら具体的に語れると強いです。

 

  • どんな類型の案件で(分野・規模)
  • 自分の役割は何で(リサーチ・ドラフティング・期日・交渉など)
  • 何を工夫し(論点整理、証拠設計、条項設計、交渉戦略など)
  • どんな成果につながったか(解決・和解・リスク低減・クライアント満足など)

 

次に専門性。企業法務なら契約レビューのタイプ(業務委託、NDA、利用規約、M&A関連など)や危機管理・労務・知財などの経験が、一般民事なら訴訟・調停の経験値や得意領域(交通事故、労働、家事、相続など)が評価材料になります。「この分野なら任せられる」という安心感を作るイメージです。

 

さらに、渉外・外資系や企業法務寄りの事務所では英語も見られます。TOEIC等のスコアより、英文契約のレビュー経験、英語メールや会議対応の経験など、実務に則した形で語れるほうが評価されやすいです。

 

最後に、見落とされがちですが人物面(仕事の進め方)も重要です。

 

  • 締切を守る
  • 報連相が丁寧
  • レビューを素直に反映できる
  • チームで成果を出せる

 

これら基本動作は、どの事務所でも強い評価軸になります。

 

入所前に必ず確認したい条件(経費・税/社保・守秘/競業など)

転職で一番避けたいのは、「入ってから知って困る条件」があることです。

 

特にアソシエイトは、雇用・報酬・個人受任などが事務所ごとに違うため、入所前に聞きにくいことほど先に確認しておくのが安全です。

 

ここでは、最低限押さえたい項目をまとめます。

 

1.契約形態・報酬の前提

雇用契約か、業務委託に近い形か

報酬体系(固定給・賞与・歩合要素の有無)

評価・昇給の仕組み(目安でもよいので基準)

 

2.税務・社会保険(手取りと手続きに直結)

社会保険の加入(健康保険・厚生年金)

源泉徴収の有無(報酬の場合)

確定申告が必要になる前提か(必要経費の扱いも含め)

 

3.経費負担(地味に効く)

弁護士会費の負担主体(事務所/本人)

判例DB・書籍・研修費・PC等の負担

交通費・出張費・接待交際費の扱い

 

4.個人受任・副業のルール

個人受任の可否、許可制か

利益相反チェック、報酬配分、禁止範囲

発信(ブログ・SNS・セミナー)や副業の可否

 

5.守秘・競業・退所後の扱い

守秘義務の範囲(退所後も含む)

競業避止・顧客引抜きの制限(あるか/期間)

成果物やデータの取り扱い(テンプレ・書式など)

 

6.稼働・働き方の前提

忙しい時期の目安、休日対応の有無

リモート可否、裁量の範囲

チーム体制(レビュー頻度・教育体制)

 

これらは「入る前に聞きづらい」項目ほど、後から大きな差になります。
面談やオファー面談の段階で確認し、できれば書面(オファーレターや契約書、就業規則等)で整合しているかまで確認できると、ミスマッチをかなり減らせるでしょう。

アソシエイト弁護士になるには

アソシエイト弁護士になるためには、まず弁護士資格を取得し、そのうえで法律事務所に入所して実務経験を積むのが基本ルートです。

 

流れとしてはシンプルですが、学習段階から就職・入所までの道筋にはいくつか選択肢があるため、全体像を押さえておくと動きやすくなります。

 

ここでは、司法試験に至る代表的なルートと、法律事務所へ入所するまでの流れを整理します。

司法試験を受ける2つのルート

弁護士になるためには、司法試験に合格し、司法修習を経て弁護士登録を行う必要があります。


司法試験を受けるまでの代表的なルートは、大きく分けて次の2つです。


1つ目は、法科大学院(ロースクール)を修了して受験資格を得るルートです。体系的に法律を学びやすく、実務に近い教育を受けられるのが特徴で、法学部出身者だけでなく未修者として入学する道もあります。


2つ目は、予備試験に合格して受験資格を得るルートです。ロースクールを経ずに司法試験の受験資格を得られるため、時間や費用の面でメリットがありますが、その分、学習は自己管理が前提となり、難易度も高くなりやすいです。


どちらのルートにも特徴があるため、「学習環境を重視するか」「最短距離を狙うか」など、自分に合う進め方で選ぶことが大切です。

法律事務所へ入所

司法試験に合格し、司法修習を経て弁護士登録を行った後は、法律事務所へ入所して実務経験を積むのが一般的です。

 

入所先は、大手・準大手の法律事務所や地域密着型の中小事務所、企業法務を中心に扱う事務所などさまざまで、どこで経験を積むかによってその後の専門性やキャリアの方向性も変わってきます。

 

入所後は、アソシエイトとしてリサーチやドラフティング、依頼者対応、期日対応などの実務を通じてスキルを磨いていきます。早い段階で幅広い案件に触れられる環境もあれば、特定分野に集中して専門性を深める環境もあるため、希望するキャリアに合わせて事務所の特徴を見極めることが重要です。

 

また、就職・入所を考える段階では、業務内容だけでなく教育・レビュー体制、稼働の見通し、報酬体系や契約形態、個人受任の扱いなども含めて確認しておくと入所後のギャップを減らせます。

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アソシエイト弁護士についてよくある質問

アソシエイト弁護士について読者の方が不安に感じやすい点や、混同されやすい用語を「よくある質問」として整理します。

イソ弁は悪い意味?失礼にならない言い方は?

「イソ弁(居候弁護士)」は、もともと事務所に籍を置いて事件を扱う弁護士を指す俗称で、文脈によっては軽いニュアンスに受け取られることがあります。

 

対外的には「アソシエイト弁護士」「勤務弁護士」などの表現を使うほうが無難です。

 

事務所内や親しい間柄で使われることはありますが、初対面の相手やクライアントの前では避けるほうが良いでしょう。

 

確定申告は必要?(必要になるケースだけ知りたい)

雇用契約で給与のみの場合は、年末調整が行われるため確定申告が不要なことが多いです。

 

一方、業務委託に近い形で報酬を受け取る場合や、給与以外の収入(個人受任・原稿料など)がある場合は、確定申告が必要になる可能性があります。

 

自分の契約形態と副収入の有無で分岐すると理解しやすいです。

個人受任はどこまでOK?トラブルを避けるポイントは?

個人受任の可否は事務所ごとに異なり、許可制・条件付き・禁止などさまざまです。

 

トラブルを避けるには、受任前の承認や利益相反チェック、報酬配分や設備利用のルールを守ることが基本です。

 

特に「事務所案件との優先順位」と「利害衝突」は揉めやすいので、事前確認が重要です。

 

ノキ弁・タク弁・ブル弁など、業界用語の違いは?

これらは弁護士の働き方や立場を表す俗称です。

 

ノキ弁は事務所に所属せず実質的に間借りに近い状態、タク弁は自分の裁量で案件を受ける色合いが強い状態など、使われ方はさまざまです。

 

定義は厳密に統一されていないため、文脈で意味が変わる点に注意が必要です。

 

アソシエイトと勤務弁護士は同じ意味?

 

多くの場合、勤務弁護士=事務所に雇われて(またはそれに近い形で)働く弁護士を指し、その中の役職・呼称としてアソシエイトが使われます。

 

ただし事務所によって呼び方の運用が違うため、「契約形態」と「役割」を分けて確認すると混乱しません。

 

ジュニア/シニアの線引きは何年目?

 

事務所により違い、明確な年数基準がないこともあります。

 

一般には、任される範囲が「指示を受けて形にする段階」から「案件設計やレビューも担う段階」へ移るあたりがシニアの目安です。

 

年数よりも役割で判断されることが多いです。

 

アソシエイトの評価は何で決まる?

 

品質(正確さ)とスピードに加え、論点整理力、報連相、期限管理が基本です。

 

年次が上がるほど、依頼者対応や提案力、チームへの貢献(若手のレビューなど)も評価に入りやすくなります。

 

事務所ごとの評価軸は事前に確認すると安心です。

 

年収はいつ上がりやすい?

 

年次の節目に連動する場合もありますが、実務では「担当範囲が広がった」「専門性が評価された」「高単価案件に入れるようになった」タイミングで上がりやすい傾向があります。

 

報酬体系(固定給・成果連動)によって伸び方は変わります。

 

インハウス転職に有利な経験は?

 

契約レビューや社内調整、コンプライアンス、紛争対応など企業の意思決定に近い経験が評価されやすいです。

 

業界知識や英語対応が求められる企業もあるため、志望先の求人要件に合わせて「実績の見せ方」を整えるのがポイントです。

 

入所前に必ず確認すべき地雷条件は?

 

次の項目は必ず確認しておきましょう。

 

  • 契約形態(雇用か報酬か)
  • 社会保険の扱い
  • 弁護士会費・経費負担
  • 個人受任ルール
  • 稼働の見通し(休日対応含む)
  • 守秘・競業の制限

 

口頭だけでなく、できれば書面で整合を取ると安全です。

まとめ

アソシエイト弁護士とは、法律事務所におけるパートナーの部下にあたる弁護士です。

新人弁護士や若手弁護士がアソシエイト弁護士です。新人や若手として、積極的に案件に関わって業務に関わることが求められます。

中小規模の法律事務所では、パートナーから来る案件だけでなく、個人で仕事を引き受ける場合があります。

アソシエイト弁護士は、所属法律事務所のパートナーを目指す、他の事務所へ移籍する、インハウスローヤーになる、自分で独立するなど様々なキャリアプランが考えられます。

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