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法務の志望動機の書き方|経験・立場別の例文8選とNG例を徹底解説

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法務部への転職で、志望動機の作り方に悩む人は多いです。「法務経験をどうアピールすればいいのか分からない」「未経験から法務を目指したいけど、何を書けば説得力が出るのか見当がつかない」といった声は、転職相談の現場でも頻繁に耳にします。

 

法務の志望動機は、ただ「法律に興味があります」と書くだけでは通りません。採用担当者が見ているのは、あなたが入社後にどんな貢献ができるか、そしてなぜ他社ではなくうちなのか、という2点です。ここが曖昧だと、どれだけ立派な経歴を持っていても書類選考で落とされます。

 

この記事では、法務の志望動機を作るうえで押さえておくべき基本構成から、経験・立場別の例文8パターン、やってしまいがちなNG例、さらに企業研究の具体的な進め方まで、まとめて解説しています。

 

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目次

法務の志望動機の基本構成と作り方4ステップ

法務の志望動機は、4つのパーツを順番に組み立てていくと、過不足のない内容に仕上がります。

いきなり全体を書こうとすると軸がブレやすいので、1つずつ固めていくのがおすすめです。

ステップ1:書き出しは結論から端的に伝える

志望動機の冒頭では、「なぜ応募したのか」を一文で言い切ってください

採用担当者は1日に何十通もの応募書類を読んでいます。最初の数行で「この人の話をもっと聞きたい」と思わせられなければ、その先を丁寧に読んでもらえる可能性は下がります。

よくある失敗が、自己紹介や経歴の説明から書き始めてしまうパターンです。「私は○○大学法学部を卒業後、△△株式会社で3年間営業を担当してまいりました」のような書き出しは、職務経歴書と内容が重複するだけで、志望動機としてのインパクトがありません。

書き出しの例としては、「貴社の海外事業拡大に法務の立場から貢献したいと考え、応募いたしました」のように、応募理由がひと目で伝わる一文を置くのが効果的です。結論を先に出すことで、その後の説明に読み手がついてきやすくなります。

ステップ2:応募企業を選んだ理由は「なぜ御社か」を明確に

志望動機のなかで最も重要なのが、「なぜこの会社の法務なのか」という部分です。

法務職の求人を出している企業は数多くあります。そのなかで「御社でなければならない理由」が書かれていなければ、採用担当者には「どこでもよかったのでは」と映ります。実際、ここが弱い志望動機はかなりの確率で落とされます。

具体的には、応募先企業の事業内容や業界の特性に触れたうえで、自分の経験やスキルがどう活かせるかをつなげてください。たとえば、SaaS企業の法務に応募するなら、「サブスクリプションモデル特有の利用規約や個人情報保護の課題に対して、前職でのSaaS事業者向け契約書レビューの経験が活かせると考えています」といった形です。

企業のホームページやIR情報、プレスリリースなどを読み込んでおくと、この部分に厚みが出ます。企業研究の具体的な方法は、記事の後半で詳しく触れています。

ステップ3:活かせる経験・スキルは採用ニーズに合わせる

自分が持っている経験やスキルをすべて並べるのではなく、応募先の採用ニーズに合ったものだけをピックアップして書いてください。

求人票には、募集背景や求める人物像が記載されています。たとえば「契約書レビューの実務経験がある方」と書かれているなら、契約書レビューの経験を中心に据えるべきです。そこにコンプライアンス体制の整備経験や訴訟対応の経験を長々と書いても、採用担当者の関心とはズレてしまいます。

未経験の場合は、法務の実務経験がない代わりに、前職で培った能力のなかから法務業務に転用できるものを選んでください。営業職の経験者なら、契約交渉の場面で培った交渉力や、取引先との利害調整の経験が法務でも活きるはずです。法学部出身者やビジネス実務法務検定の取得者であれば、法的素養があることも併せて伝えると説得力が増します。

大事なのは、「自分ができること」と「相手が求めていること」の共通点を見つけることです。

ステップ4:入社後に実現したいことは貢献イメージで締める

志望動機の締めには、入社後にどのような形で貢献したいかを書いてください。

ここで注意すべきなのは、「勉強させていただきたい」「スキルアップしたい」といった自分本位の表現で終わらないことです。企業が採用するのは、会社に利益をもたらしてくれる人材であって、学びの場を提供するためではありません。

「入社後は、契約書レビューの迅速化と品質向上に取り組み、事業部門がスピード感を持って案件を進められる法務体制づくりに貢献したいと考えています」のように、自分が入ることで会社がどう良くなるのかを具体的に書くと、採用担当者の印象に残りやすくなります。

ここまでの4つのパーツ、つまり結論、企業を選んだ理由、活かせる経験、入社後の貢献イメージをつなげれば、志望動機の骨格は完成です。文字数の目安は200〜400字程度。長すぎると焦点がぼやけるので、簡潔にまとめることを意識してください。

【OK例】法務部の転職でよくある志望動機

ここからは、採用担当者に好印象を与える志望動機のパターンを2つ紹介します。自分の状況に近いものを参考に、アレンジして使ってください。

法律に興味があり、会社内で役立てたい

法律への関心を起点にした志望動機は、特に未経験者や法学部出身者に多いパターンです。このタイプで評価されるポイントは、「法律が好き」で終わらず、それを会社の業務にどうつなげるかまで踏み込めているかどうかです。

【OK例】 大学で民法・商法を専攻するなかで、企業活動を法的にサポートする法務の仕事に強く惹かれました。貴社はBtoB向けのクラウドサービスを展開されており、急速な事業拡大のなかで契約書業務や個人情報管理の重要性が高まっていると理解しています。大学で培った法的分析力と、前職の営業事務で身につけた正確な書類作成スキルを活かし、貴社の法務部門で契約書レビュー業務を中心に貢献したいと考え、応募いたしました。


法律への関心だけでなく、応募先の事業内容に触れたうえで、自分のスキルとの接点を示しています。「法律が好きだから法務をやりたい」だけでは動機として弱いので、必ず企業側のメリットとセットで伝えてください

企業に興味があり、自分が得意な法律分野で関わりたい

応募先企業への関心を軸にした志望動機は、経験者に多いパターンです。このタイプでは、企業の事業や課題に対する理解の深さが評価を左右します。

【OK例】 貴社が推進するヘルスケア領域のM&A戦略に関心があり、応募いたしました。現職ではIT企業の法務部門でM&Aに伴うデューデリジェンスや契約交渉を3年間担当しており、直近ではクロスボーダー案件にも携わっています。ヘルスケア業界は薬機法や個人情報保護法など規制が多く、法務の果たす役割が大きい分野です。これまでのM&A実務経験を活かしつつ、業界特有の法規制についても早期にキャッチアップし、貴社の成長戦略を法務面から支えたいと考えています。


企業の具体的な事業戦略に言及し、自分の経験との接点を明示しています。「貴社の事業に興味があります」だけでは漠然としていて評価につながりにくいので、何にどう興味を持ったのかを具体的に書くことが大切です。

【NG例】マイナス印象を与える志望動機

ここからは、採用担当者にマイナス印象を与えてしまう志望動機の典型パターンを紹介します。意図せずやってしまっているケースが多いので、自分の志望動機に当てはまっていないか確認してみてください。

自分のスキルアップだけが強すぎて会社に興味がない

【NG例】 法務の専門知識を深め、将来的には弁護士資格の取得も視野に入れたいと考えています。貴社の法務部門は幅広い業務を経験できる環境と伺い、自身のキャリアアップに最適だと感じ応募いたしました。


この志望動機の問題点は、話の中心がすべて「自分の成長」になっていることです。企業が採用を行うのは事業上の課題を解決するためであって、応募者の成長を支援するためではありません。「貴社で何を学びたいか」ではなく「貴社に何を提供できるか」を軸に書き直す必要があります。

改善のポイントとしては、スキルアップへの意欲を伝えること自体は悪くないので、それを「会社への貢献」と結びつけてください。「契約法務の専門性をさらに高めることで、貴社の海外取引における法的リスクの低減に貢献したい」のように、自分の成長が会社の利益につながる形で書けば、印象はまったく変わります。

前職の不満が多く出てくる

【NG例】 現職では法務部門の人員が少なく、十分なサポートが受けられない環境です。上司との方針の違いもあり、自分の力を発揮できないと感じています。貴社であれば、より体制の整った環境で法務業務に集中できると考え、応募いたしました。


前職への不満が志望動機の中心になっていると、採用担当者は「うちに入っても同じように不満を感じるのでは」と考えます。環境が変わっても本人の姿勢が変わらなければ同じことが起きる、と判断されるからです。


転職理由にネガティブな要素があること自体は普通のことです。ただし、それを志望動機にそのまま持ち込むのは避けてください。「現職では経験できない領域にチャレンジしたい」「より大きな規模の案件に携わりたい」のように、前向きな表現に言い換えることで、同じ事実でも印象が大きく変わります。

給与面や労働時間など労働条件ばかりが理由になっている

【NG例】 貴社は年間休日が多く、リモートワーク制度も充実していると聞いています。ワークライフバランスを重視した働き方ができる環境に魅力を感じ、応募いたしました。


労働条件が転職先選びの重要な要素であることは当然ですが、それを志望動機の主軸にしてしまうと、「仕事の中身にはあまり興味がないのだな」という印象を与えます。法務という専門職への応募であれば、なおさら業務内容やキャリアビジョンに踏み込んだ動機が求められます。


労働条件への言及は、志望動機の中では触れないのが無難です。条件面の話は、面接の終盤や内定後の条件交渉の場で確認すれば十分です。

文章のミスや稚拙な表現がある

誤字脱字、主語と述語のねじれ、敬語の誤用といった文章上のミスは、法務職の応募では特に厳しく見られます。法務の仕事は契約書や社内規程など、一字一句の正確性が求められる文書を日常的に扱います。志望動機の段階で文章にミスがあると、「この人に重要な法的文書を任せられるのか」という疑問を持たれてしまいます。

よくあるミスとしては、「御社」と「貴社」の使い分けの誤り(書面では「貴社」、口頭では「御社」)、「させていただく」の過剰使用、一文が長すぎて意味が取りにくくなるケースなどがあります。

書き終えたら必ず声に出して読み返し、不自然な箇所がないか確認してください。可能であれば、第三者にも読んでもらうと、自分では気づけないミスを拾えます。

【例文8選】経験・立場別|法務部の志望動機サンプル集

志望動機は、自身のこれまでのキャリアや現在のスキルセットによって、強調すべきポイントが異なります。ここでは、それぞれの立場において、採用担当者が納得しやすい構成の作り方を紹介します。

ご自身の状況に近いサンプルを参考に、これまでの経験に基づいた独自の要素を加えて調整してください。

未経験(法学部・法務検定など学習あり)の例文

法務の実務経験を持たない場合、法科大学院での学習や資格試験に向けた勉強を通じて得たリーガルマインドを、いかにビジネスに応用しようとしているかを示すことが大切です。知識の豊富さだけでなく、それを実務へ転換する意欲と適性が評価の対象となります。

【例文】 私は司法試験に向けた学習を通じて、広範な法律知識と論理的な思考力を磨いてまいりました。この基盤を活かし、企業の成長を法的な側面から直接支える役割を担いたいと考え、貴社を志望いたしました。貴社は積極的な海外展開を推進されており、国際的なリーガルリスクへの対応が不可欠な段階にあると認識しております。私の強みである緻密なリサーチ能力を駆使し、現地の法令調査や規程整備において正確な情報提供を行うことで、円滑な事業展開を支援する所存です。まずは実務の基礎を迅速に吸収し、法務の専門家として貴社の発展に寄与したいと考えております。


未経験者に対しては、ポテンシャルと同時に、組織の文化に馴染み柔軟に学ぶ姿勢があるかどうかも注視される傾向にあります。

未経験(営業・事務など別職種から)の例文

法務とは異なる職種から転身を目指す場合、現場感覚や実務的な事務処理能力を「ビジネス上の強み」として構成します。法律知識の習得状況に加え、事業部門の論理を理解した上で法務実務に携われる適性をアピールすることが重要です。

【例文】 私はこれまで営業職として、契約締結の最前線で顧客との交渉に携わってまいりました。その中で、事業成長と表裏一体にあるリーガルリスクの重要性を実感し、現在は専門知識の習得に努めております。貴社を志望したのは、現場目線と法的な知見を融合させ、事業のスピードを落とさないリスク管理に貢献したいと考えたためです。営業経験で培った調整力や、現場の意図を正確に汲み取る能力を活かし、各部門から信頼されるパートナーを目指します。まずは実務を迅速に習得し、貴社の円滑な事業運営を支える力になりたいと考えております。


前職での実績が法務の実務にどのように活きるのかという「再現性」を示すことで、未経験という懸念を補う記述となります。

弁護士が法律事務所から法務部へ転職する場合の例文

弁護士や司法書士といった有資格者が企業へ転身する場合、資格そのもののアピール以上に、その専門性をいかにビジネスの成果に繋げるかという視点が不可欠です。外部の第三者としての助言ではなく、当事者として意思決定に深く関わりたいという意欲を示すことが有効です。

【例文】 私は現在、弁護士として主に企業法務案件に携わっております。外部アドバイザーとして法的助言を行う中で、より事業の初期段階から深く関わり、経営のスピード感を加速させる役割を担いたいと考えるようになりました。貴社は革新的なビジネスモデルを展開されており、法的な未開拓領域への挑戦が不可欠であると拝見しております。これまでの実務で培った高度な法的分析力と、リスクを単務に指摘するのではなく、適法に事業を推進するためのスキームを構築する知見を活かし、貴社の確かな成長に寄与する所存です。専門職としての矜持を持ちつつも、組織の一員として事業部門と連携し、付加価値を提供したいと考えております。


有資格者に対しては、組織への適応力や、ビジネスサイドの論理を汲み取る柔軟性も重視される傾向にあります。

経験者(契約書レビュー・ドラフト中心)の例文

契約実務の経験者は、単に「作成できる」という点を超え、事業への深い理解とリスク管理のバランス感覚を示すことが求められます。特に、取引のスピード感を損なわず、いかに法的な安全性を担保してきたかを整理することが評価に繋がります。

【例文】 私はこれまで、弁護士として主にサービス分野の契約実務に従事し、年間◯◯件を超えるドラフト作成やレビューを遂行してまいりました。常に事業部門の目的を深く理解し、単に法的リスクを指摘するだけでなく、取引を実現するための代替案を提示することを信条としております。貴社は新たなプラットフォーム事業の創出に積極的に取り組んでおり、契約スキームの構築が事業運営に大きな影響を与える時期にあると認識しております。私の培った実務経験と、複雑な要件を整理し契約に落とし込む知見を活かし、貴社の成長を法的な側面から強固に支えたいと考え、志望いたしました。法務業務の品質向上にも注力し、安定した事業展開に寄与する所存です。


過去の実績を数値や特定の業種と紐付けて語ることで、即戦力としての信頼性が高まります。

経験者(コンプライアンス・内部統制中心)の例文

コンプライアンスや内部統制の経験者は、守りの法務としての専門性だけでなく、いかに組織全体にガバナンスを浸透させ、持続可能な成長を支えてきたかを示すことが評価に直結します。

【例文】 私はこれまで弁護士として、企業の不祥事対応や内部通報制度の構築支援、コンプライアンス規定の策定などに注力してまいりました。単に法的リスクを特定するにとどまらず、現場の従業員が実行可能な運用ルールへと落とし込むプロセスを重視しております。貴社は現在、事業領域の拡大に伴いガバナンス体制の再構築が必要なフェーズにあると拝見しました。私の培ったリスクアセスメントの知見と、実効性のある管理体制を構築してきた経験を活かし、不測の事態を未然に防ぎつつ、健全な事業成長を支える基盤作りに貢献したいと考え、志望いたしました。経営層と現場の橋渡し役として、貴社の信頼性向上に寄与する所存です。


リスク管理の重要性が増す中で、自身の経験が企業の永続性にどう繋がるかを論理的に述べることが有効となります。

経験者(紛争・訴訟対応・クレーム対応中心)の例文

紛争解決や訴訟対応の経験は、企業にとって不測の事態における強固な守りとなるだけでなく、紛争の火種を未然に摘む予防法務の観点からも高く評価されます。事案の最終的な着地点を見極める洞察力を、ビジネスの現場でどのように活用できるかを伝えるのが有効です。

【例文】 私は弁護士としてこれまで、主に商事紛争や労働訴訟、ハードクレーム対応に従事し、数多くの事案を解決へと導いてまいりました。紛争の最前線で培った『事案が最終的にどのような法的判断を受けるか』という予測精度は、私の最大の強みであると自負しております。貴社は多様なユーザーを抱えるサービスを展開しており、権利関係の複雑化やトラブルへの迅速な対応が求められる環境にあると理解しております。私の経験を活かし、発生した紛争の早期沈静化を図ることはもちろん、過去の紛争事例を社内へ共有することで、トラブルを未然に防ぐ契約条項の整備や体制構築に寄与したいと考え、志望いたしました。法務の専門家として、貴社の安定した事業運営を支える所存です。


訴訟の経験を単なる事後処理に留めず、リスク管理という視点へ転換して示すことで、企業側にとっての採用メリットが明確になります。

機関法務(取締役会・株主総会・規程整備)の例文

機関法務の経験者は、会社法をはじめとする法令遵守だけでなく、経営の意思決定プロセスをいかに適正化、効率化できるかという視点が重視されます。実務上の正確性に加え、経営陣を支えるパートナーとしての意識を示すことが評価に繋がります。

【例文】 私はこれまで弁護士として、上場企業を含む複数のクライアントに対し、取締役会の運営支援や株主総会の指導、社内規程の整備を通じたガバナンス構築に携わってまいりました。法的な適正性を担保することはもちろん、企業の持続的な成長を支えるための柔軟な組織設計を提案することを大切にしています。貴社は現在、さらなる事業拡大を見据えた体制強化の段階にあると伺っております。これまでの実務で得た知見を活かし、透明性の高い経営体制の維持と、変化に強い組織基盤の構築に貢献したいと考え、志望いたしました。専門性を基軸に、貴社の価値向上に寄与する所存です。


単なる手続きの遂行に留まらず、ガバナンスが事業に与えるポジティブな影響を理解していることを伝えると、より説得力が増します。

M&A・新規事業・IPO等(体制構築含む)の例文

M&Aや新規事業、IPO準備といった成長フェーズの法務は、単なる法的チェックに留まらない推進力が求められます。不確実性の高い環境下で、リスクを特定しつつも事業の足止めをしないバランス感覚をアピールすることが大切です。

【例文】 私は弁護士として、IPO支援やM&Aにおける法務デューデリジェンスに従事してまいりました。法的リスクの指摘に留まらず、事業継続の観点から優先順位を整理し、実効性のある改善策を提示することを重視しております。貴社は現在、新規領域への参入や提携を加速されており、迅速かつ高度な判断が求められるフェーズにあると認識しております。私の実務経験を活かし、事業部門と密に連携しながら、適正なリスク管理と成長を両立させる体制構築に寄与したいと考え、志望いたしました。攻めと守りの調和を図り、貴社の企業価値向上に貢献する所存です。


成長を牽引するパートナーとしての姿勢を示すことで、挑戦的な企業からの信頼を得やすくなります。

 

「なぜその企業の法務か」を掘り下げる企業研究のコツ

志望動機のなかで最も差がつくのが、「なぜその企業の法務に応募したのか」という部分です。ここが薄いと、どの企業にも使い回せる汎用的な志望動機に見えてしまいます。


逆に言えば、企業研究を丁寧に行い、その結果を志望動機に反映できれば、それだけで他の応募者と大きな差をつけられます。

企業の事業内容・業界特性から法務課題を読み解く

まずは応募先企業の事業内容を正確に把握してください。何を売っているのか、どの市場で戦っているのか、競合はどこか。この基本情報を押さえたうえで、その事業にはどんな法的課題がありそうかを自分なりに考えてみてください

たとえば、ECプラットフォームを運営する企業であれば、特定商取引法や景品表示法への対応、出店者との契約管理、個人情報保護の問題が法務の主要テーマになるはずです。製薬企業であれば、薬機法への対応、治験に関する契約、特許戦略が中心になるでしょう。


業界が変われば法務の課題も変わります。応募先の業界特有の法規制や商慣習を調べておくだけで、志望動機に説得力のある具体性が加わります。業界団体のウェブサイトや専門メディアの記事も参考になります。

IR情報・有価証券報告書からリスク要因を把握する

応募先が上場企業であれば、有価証券報告書やIR資料に必ず目を通してください。特に「事業等のリスク」のセクションには、その企業が認識しているリスク要因が列挙されています。ここに書かれている内容は、法務部門が日常的に向き合っている課題そのものです。


たとえば、「海外事業の拡大に伴う各国の法規制への対応」がリスクとして記載されていれば、国際法務の経験をアピールする根拠になります。「知的財産権に関する紛争リスク」が記載されていれば、知財関連の知識や経験を志望動機に盛り込む判断ができます。


非上場企業の場合は、プレスリリースやニュース記事、採用ページの社員インタビューなどから情報を拾ってください。企業のSNSアカウントや経営者のインタビュー記事も、事業の方向性を知る手がかりになります。

事業課題→法務課題→自分の貢献に落とし込む手順

企業研究で集めた情報を志望動機に落とし込むには、「事業課題→法務課題→自分の貢献」の順番で考えると整理しやすくなります。


たとえば、ある企業がM&Aによる事業拡大を中期経営計画で掲げているとします。これが事業課題です。M&Aを推進するには、デューデリジェンスや株式譲渡契約の作成、PMIにおける法的統合など、法務面での対応が不可欠になります。これが法務課題です。そして、自分にM&A案件の実務経験があれば、その経験でこの法務課題に対応できるという形で貢献イメージを示せます。


この3段構成を意識するだけで、志望動機が「感想」から「提案」に変わります。「貴社に興味があります」ではなく「貴社のこの課題に、自分のこの経験で貢献できます」と伝えられるようになるからです。


求人票だけを読んで志望動機を書く人と、IR情報やプレスリリースまで読み込んで書く人では、志望動機の厚みがまったく違います。企業研究にかけた時間は、志望動機の質に直結すると考えてください。

 

まとめ

法務の志望動機で採用担当者が見ているのは、突き詰めると「この人はうちの法務部で活躍できるか」という一点です。そこに応えるには、自分の経験やスキルを並べるだけでは足りません。応募先企業の事業内容や法務課題を理解したうえで、自分がどう貢献できるかを具体的に示す必要があります。


この記事で紹介した4ステップの基本構成に沿って、まずは骨格を作ってみてください。8パターンの例文も、そのままコピーするのではなく、自分の経験や応募先の情報を当てはめてアレンジすることで、オリジナルの志望動機に仕上がります。


志望動機の完成度を上げたい場合は、書き終えた後に声に出して読み返すことをおすすめします。目で読むだけでは気づかない文章の不自然さやリズムの悪さが、音読すると浮かび上がってきます。法務職の選考では文章力そのものが評価対象になるため、最後のひと手間が結果を左右することも少なくありません。

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