司法試験の合格を目指すにあたり、どれだけの勉強時間が必要か気になる人は多いのではないでしょうか。
やはり司法試験といえば数ある国家資格のなかでも、最難関ともいわれる試験なので、合格には相応の勉強時間が求められます。
一説では、10,0 00時間もの勉強時間が必要といわれることも…。
とはいえ、ただやみくもに時間をかければ合格できるものでもありません。試験までの道筋をしっかりと逆算したうえで、計画的に勉強を進めていく必要があります。
この記事では、受験ルート別の司法試験に合格に必要な勉強時間や効率のよい勉強をするためのポイント、スケジュールの組み方などについて解説します。
目次
司法試験の合格に必要な勉強時間
司法試験は受験資格がないと受けられない試験です。なので通常、司法試験の合格に必要な勉強時間を導きだす場合には、受験資格の取得も含め考えます。
司法試験の受験資格を取得する方法は2つ。
「予備試験に合格」または「法科大学院課程の修了」どちらかです。
この項目では、予備試験・法科大学院それぞれのルートにおいて、合格の目安となる勉強時間を確認していきましょう。
法科大学院経由の場合は6,000時間以上
司法試験の受験資格は、法科大学院課程を修了して得るのが原則です。
法科大学院ではさまざまなバックグラウンドを持つ人材を求めており、修業期間が2年の既修者コースと3年の未修者コースが用意されています。
法科大学院ルートでの受験資格取得を目指す場合、卒業してからでないと司法試験は受けられないので、勉強に費やせる時間は2年または3年あるということです。
仮に講義時間も含めて、1日8時間勉強したとすると、2年で約6,000時間。3年ならば9,000時間近くになります。
もちろん、必ずしも一度の受験で合格できるとは限りません。司法試験合格者の受験回数の割合は、1度目が多数を占めるものの、複数回受験者の数もそれなりです。
【令和元年司法試験合格者の受験回数】
1回目 |
884人 |
2回目 |
282人 |
3回目 |
139人 |
4回目 |
108人 |
5回目 |
89人 |
さらに、法科大学院入試は難関私大ともなると、合格には1,500時間ほどの勉強が必要ともいわれています。
そうなると、法科大学院ルートの場合、司法試験合格までに10,000時間以上、勉強に費やすことになってもおかしくないでしょう。
予備試験経由の場合は5,000時間以上
もう一つの受験資格の取得条件である予備試験の合格は、どちらかというと例外的な方法です。
経済的・時間的な理由により法科大学院に通えない人でも、司法試験を受験することができるよう、救済目的で予備試験は導入されました。
そのため、予備試験は年齢や最終学歴に関係なく誰でも受験することができます。
しかし、受験資格取得の正規ルートとはいえない分、予備試験の難易度はかなり高く、司法試験にも劣らないほどです。
【令和元年予備試験について】
受験者数 | 11,780 |
最終合格者数 | 476 |
合格率 | 4.04% |
一般に予備試験の合格には2,3年の準備が必要とされています。
前述した法科大学院の場合と同様に、1日8時間勉強したとすれば2年で約6,000時間。3年ならば9,000時間近くになります。
なかには、1年の準備期間(約3000時間)で合格できる人もいますが、実現できる人は限られているでしょう。
予備試験の最後に行われる口述試験が10月の下旬、最終合格発表が11月上旬ですので、5月の司法試験本番まではおよそ半年。
そこから逆算して計算すると、仮に最短の1年で予備試験を突破した場合で司法試験に合格するには、少なくとも5,000時間の勉強が必要となるでしょう。
司法試験の勉強を効率よく行うためのポイント
学生にしても社会人にしても、試験勉強だけに時間を費やせる人はそれほど多くはないでしょう。
他にもやらなければならないことがあるなかで、いかに効率よく勉強できるかが大事といえます。
この項目では、司法試験の勉強を効率よく行うためのポイントを解説します。
勉強計画・スケジュールを組み立てる
司法試験合格のような高い目標を達成するためには、ゴール(目標)から逆算して、そこに至るまでの道筋を明確にしておくべきといえます。
試験勉強は長期間に及び、身につけなければいけない知識は膨大です。
そんな過酷な試験に向かうにあたって、行き当たりばったりの勉強方法で挑めば、モチベーションは維持できないですし、学習進捗も思ったようにはいきません。
要は具体性に欠ける計画では、するべきこと・進む方向がわからず、自分の努力が正しいのか自信が持てないのです。
だからこそ、司法試験の合格に必要な知識をゴールから逆算して考え、勉強計画・スケジュールに落とし込むことが重要といえます。
そのうえで大事なのが、実際に司法試験を合格した人(優秀な人であれば尚よい)に話を聞くことです。
試験に合格できたということは、正しい努力ができていたということの証なので、合格者の話を参考にすれば、試験に向けて身につけるべきことの全体像が見えるとともに、効率のよい勉強の進め方がわかるでしょう。
すきま時間も活用する
何気ないすきま時間もできる限り勉強にまわしたほうがよいでしょう。
特に忙しくてまとまった時間がとれない人は、いかにすき間時間を有効活用かは非常に大事です。
たとえ、すきま時間での勉強が30分しかなかったとしても、1年積み重ねればおよそ200時間分にもなります。
また、科学的にも一度にまとめて勉強するよりも、コツコツと継続して勉強をするほうが知識は定着しやすいといわれています。
なので、平日が忙しい分、休日にまとめて勉強するのではなく、平日もすきま時間を活用して勉強時間を確保するとともに、休日もしっかりと勉強しましょう。
過去問で自身の学習状況を確かめる
効率よく司法試験に必要な知識を身につけるためには、自身の学習状況に合わせて、適した方法で勉強することが大事といえます。
では、どのように学習状況を確かめるのかというと、過去問を解くことです。
過去問を読んでも何を問われているかがわからないようであれば、基礎知識が不十分である可能性が高く、論点がわかっても答案が作成できないなら答練不足といえます。
得意分野をさらに確実にするという勉強も大事ではありますが、弱点を補うほうが得点への影響が大きく、合格の可能性がより高まるといえます。
そのため、勉強の節目で過去問を解くことで、自身の学習状況を確かめ、足りない部分を補うような勉強をしたほうが、効率よく知識が身につけられるでしょう。
むやみやたらに違う教材・講義に手を出さない
試験に挑むにあたって気をつけたいのが、むやみやたらに教材や講義を増やさないということです。
試験への不安から、さまざまな方法で知識を学びたくなるのはわかります。
ですが、教材や講義を不用意に増やすと、その分、無駄に勉強方法を考える時間が増えてしまいます。
限られた時間のなかで結果を出すためには、脇目を振らずにやりきることが大切です。
なので、現状のやり方だと合格水準に到底届かないようでもない限り、教材や講義を余計に増やさないほうがよいでしょう。
睡眠時間はしっかり確保する
司法試験に合格するうえで、勉強は質だけでなくある程度の量をこなすことは大事ですが、だからといって、徹夜をするのは避けたほうがよいでしょう。
睡眠時間を削ってまで勉強をしても、翌日以降の勉強に支障が出ては意味がありません。
しかも、一度寝不足になってしまうと、その解消には結構な時間がかかります。
個人差はありますが少なくとも6~7時間の睡眠時間は確保して、万全の体調で朝をスタートできるようにしましょう。
勉強に集中していると頭が冴えてしまってなかなか寝付けないこともあります。
そのときはストレッチやヨガなど、体が疲れすぎない適度にリラックスできる運動がおすすめです。
司法試験に最短合格にするのに必要な勉強スケジュールの組み方
前述したように司法試験の勉強をする際には、あらかじめ勉強スケジュールを組んでおくことが大切です。
スケジュールを組むにあたって、まずすべきなのが、自身の学習状況と合格ラインまでの距離を知ることです。司法試験経験者や法学既修者であれば、過去問や模試を活用して、現時点の学力を把握しましょう。
未修者の場合は特に何もしなくても問題ないですが、軽く過去問を眺めてみてもよいかもしれません。
次に大まかで構わないので長期的なスケジュールを組みます。理想は試験の直前期には、復習だけをすればよい状況です。
直前期にまだ新しく知識を身につけないといけないようなスケジューリングになるようであれば、受験を1年延ばしたほうがよいかもしれません。
長期的なスケジュールが組めたら、次は1日の勉強スケジュールを組みましょう。長期スケジュールをもとに、1日ですべき勉強の分量を割り出し落とし込んでください。ただ実際にスケジュールを作っても、その通りに勉強が進むことはまずないです。
なので、スケジュールに沿って勉強する際は、必ず1日の最後に進捗状況をまとめてください。
そして進捗状況に合わせて、スケジュールを細かく修正していきしょう。
まとめ
司法試験の合格には、2、3年かかるのは普通のことで、合計の勉強時間が4,000~5,000時間を超えることも少なくありません。
むしろ、4,000~5,000時間の勉強での合格は早いほうといえるでしょう。
ただ司法試験では、勉強時間の少なさや合格までの期間の短さを競っているわけではありません。
どれだけ勉強時間が少なかろうが多かろうが、受かってしまえば一緒です。
5回目にしてようやく試験に受かったという人も少なくないですし、その後、実務に出てから活躍されている人も多いので安心してください。
今回ご紹介した勉強時間はあくまでも目安であり、立場や勉強環境などによっても大きく変わってきますので、まずはご自身の状況や生活スケジュールを整理してみましょう。