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ストックオプション導入企業へ転職する際のメリットと5つの注意点を解説

更新日: 公開日:

ベンチャー企業などへの転職を検討する中で「ストックオプション」という言葉を見聞した経験はないでしょうか。ベンチャー企業などの成長ステージにある企業では、将来の報酬への期待値をもとに優秀な人材を確保するため、ストックオプション制度を導入する場合があります。

転職希望者としては、ストックオプションの内容を理解し、導入企業へ転職するリスクがないのかを知っておく必要があるでしょう。

今回はストックオプションとは何かを解説するとともに、ストックオプション導入企業へ転職する際の注意点や、転職を成功させるポイントをお伝えします。

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ストックオプションとは

ストックオプションとは、あらかじめ定められた価格で会社から自社株を購入できる権利です。権利を付与されると、株価が上昇した際に有利な価格で株式を購入できるため、通常の給与や賞与では得られないような規模の大きい報酬を手にできる可能性があります。

ストックオプションはどんな仕組み?

ストックオプションは、「権利付与」「権利行使」「株価売却」という3つの段階があります。

権利付与

役員や社員などに、一定額で自社株を購入できる権利が与えられる段階です。転職の場面では、内定通知書などにストックオプションの条件について記載されている場合があります。

権利行使

株価が上がる前の安い価格(権利行使価格)で株を取得する段階です。購入資金は自分で用意する必要があります。多くの場合、権利付与には一定の条件が付されています。とくに多いのは、株式が上場したときです。

上場から行使できるまでの期間も設けられているケースが一般的です。たとえば上場した3年後から5年後の間に、安い価格で自社株を購入できるという条件が付与されています。

株式の売却

売買の制限が解除された後には、基本的にいつでも売却が可能です。売却するか否かの判断は個人がおこないます。株価がさらに上昇すると予想すれば引き続き保有してもよいですし、今後は下降すると予想すれば利益がでている時点で売却してもかまいません。

株価が上がった時点で売却すると、売却益が自身の利益となります。

具体例として、1株1,000円で自社株を購入できる権利を付与されたケースでみてみましょう。市場価格が1株5,000円になったときに1,000株購入して売却すると、次のようになります。

  • 取得価格:1,000円×1,000株=1,000,000円
  • 売却価格:5,000円×1,000株=5,000,000円
  • 利益:4,000,000円

ストックオプションの3つの種類

大きくわけて「通常型ストックオプション」と「株式報酬型ストックオプション」、そして「有償ストックオプション 」の3つがあります。

通常型ストックオプション

通常型ストックオプションは、会社の業績が向上したときのインセンティブの意味を持たせたストックもので、権利行使価格は、権利付与したときの株価以上に設定します。

株式報酬型ストックオプション

「1円ストックオプション」とも呼ばれており、権利行使価格を1円といったように低い価格に設定し、付与者は、実質的に権利を行使する時点での株価と同等分が利益となります。

有償ストックオプション

権利付与したときの株価でストックオプションを発行します。この時点で将来、新株を購入しなければならないという条件がつきます。権利行使をするときに価格が上がっていれば、その差額が利益となる形態です。

どのような企業で導入されているのか

ストックオプションは株式の購入と売却がスムーズにおこなえないとメリットを得にくい制度なので、株式を自由に売却できる上場企業か、これから株式公開を目指す企業で導入されています。少なくとも権利行使の時点では上場していることが前提となります。

厚生労働省の調査によれば、株式会社のうち、労働者に対するストックオプション制度がある企業の割合は1.7%となっています。この数字だけみると一般的な制度とはいえないように感じますが、企業規模別にみると、制度がある企業の割合がもっとも多いのは1000人以上規模の企業で9.8%です。大企業ではそれほど珍しい制度ではないことがわかります。

労働者の資産形成に関する援助制度の種類別企業割合

参考:厚生労働省|平成26年就労条件総合調査結果の概況

大企業においては、長らく日本で主流だった終身雇用制度が崩れ、従業員の忠誠心が薄れていることから、中長期的なモチベーションを上げるという意味で付与される場合があります。

ベンチャー企業に向いているといわれる理由

とくにストックオプションの恩恵を受けやすい企業は、株価が短期間で大きく上がる可能性がある企業です。そのためストックオプションは将来の成長に期待できるベンチャー企業に向いているといわれています。

またベンチャー企業の場合、設立当初は十分な資金がなく、現金報酬をもとに優秀な人材を採用することができません。ストックオプションを付与すれば現金を1円も使うことなく将来の報酬に期待させ、優秀な人材の獲得につなげられることもあり、活用されています。

ストックオプションの税制上の扱い

ストックオプションで得た利益は原則として給与所得として課税されます。ただし税制上の取扱いには「税制適格」と「税制非適格」の2つがあり、権利保有者にとって大きな違いがあります。

税制適格(優遇制度)

税制適格とは、租税特別措置法で定められる要件をすべて満たすことで、付与される役員や従業員に税務上のメリットが与えられるものです。

税制適格に該当すると、権利を行使するときには課税されず、売却したときにだけ課税されます。権利を行使したときの価格と、売却したときの価格の差額について、譲渡所得として税金がかかります。税率は20%という低さで抑えられます。

税制適格の主な要件

税制適格の要件は、租税特別措置法第29条の2に定められています。主な要件として以下のものがあります。

  • 権利行使期間が、権利付与決議の日から2年~10年までの間であること
  • 権利行使価格の合計額(年間)が1200万円を超えないこと
  • 権利行使価格が契約締結時の時価以上であること
  • 無償発行のものであること、譲渡禁止のものであること など

参考:租税特別措置法

税制適格でない場合

税制適格の要件を満たさない場合、権利を行使したときは給与所得として課税され、売却したときには譲渡所得として課税されます。累進課税制度の適用を受けるため税率は最高で55%にもなります。これではストックオプションのメリットが小さくなるため、税制適格の要件を満たすかどうかを確認することが大切です。

ストックオプションを導入する企業の目的は何か

ストックオプション導入企業への転職を考えている方は、希望する企業がなぜストックオプションを導入しているのかを理解しておく必要があります。それにより、企業の考え方やおかれている状況を知ることにつながります。

従業員のモチベーションアップのため

ストックオプション制度を利用すると、企業は高い報酬を与えられる資力がなくても、1円も報酬を払うことなく従業員に多額の報酬を期待させることができます。従業員は業績を上げて自社の価値を高めれば、自分の利益につながります。そのためモチベーションを高く保ち、業績アップに貢献してくれるでしょう。

従業員に企業経営の参画意識をもたせるため

取締役はともかくとして、一般の従業員はどうしても「雇われの身」という意識がはたらき、企業経営に参画している意識が低い場合があります。

しかしストックオプションの付与によって、企業経営にかかわる一人として企業の成長という共通の目的が生じます。どのようにすれば株価が上がるのかという経営者同様の意識をもたせることができるのです。

また口うるさく言わなくとも、必然的に従業員が株価を下げるような行動をしなくなります。株価が下がれば自分の利益に影響をおよぼすことになるからです。

優秀な人材を確保するため

優秀な人材を確保するための効果も期待できます。通常、優秀な人材を雇うには高額の報酬が必要ですが、ベンチャー企業のように成長ステージにある企業では多くの現金報酬を約束できません。

ストックオプション制度によって将来の報酬を期待させることができ、優秀な人材を集められます。ストックオプションは採用の切り札ともいわれています。

人材の流出を防ぐため

従業員はいったんストックオプションを付与されると会社を辞めにくくなります。権利を行使するまで頑張らなければ、これまで業績を上げるためにおこなった努力が無駄に終わるからです。従業員の流出を止める効果に期待できます。

ストックオプション導入企業へ転職するメリット

ストックオプションを導入する企業へ転職した場合、転職者自身にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

モチベーションを維持できる

多くの方にとって報酬はモチベーション維持の重要な要素です。転職した後に頑張って業績が上がれば自社の株価に反映され、権利行使によって利益を得ることができるため、モチベーションを保つことができます。

低いリスクで高いリターンを得る可能性がある

ストックオプションでは、あくまでも権利を付与されるにすぎないため、権利を行使するかどうかは自由です。株価が下がった場合には権利行使しなければよいため、その時点では損失をかぶらずに済みます。

通常の株取引と比較してリスクが極めて低く、それでいて高いリターンを得る可能性があります。

ストックオプション導入企業へ転職する際の注意点

ここまでストックオプションのメリットをお伝えしましたが、当然デメリットもあります。転職して後悔しないためには、とくにデメリットを理解しておくことが重要です。

年収が下がる可能性がある

ストックオプションには代替報酬的な意味があるため、そのぶん給与や賞与が低く設定されていると予想されます。大企業への転職であればあまり問題にならないでしょうが、大企業からベンチャー企業の転職を考えている方などは、年収が大幅にダウンする可能性があると理解しておかなければなりません。

単身者であればまだよいのですが、養うべき家族がいる場合には事前の家族の理解も得ておくことが大切です。生活水準を下げることは、ご自身にとっても家族にとっても、想像以上に難しいものです。

業績アップのためには努力が必要

ストックオプションは、その制度自体に利益を得られる保証があるものではありません。当たり前ですが、業績アップのために努力する必要があります。

とくにベンチャー企業の場合には現時点で大きな利益をだしているわけではないため、激務になるケースが大半です。労務管理も行き届いていないケースが多いため、残業や休日出勤を覚悟する必要があるでしょう。

場合によってはサービス残業となる可能性もあります。ワークライフバランスを大切にしたい、毎日定時帰りを実現させたいという方には不満の種となるはずです。

頑張っても利益を得られるとは限らない

現実問題として、どんなに頑張っても、業績が右肩上がりになったり株価が上がったりする保証はありません。世界的な不況などの外部要因で株価が下がるケースもあり得るでしょう。そもそも上場できない可能性や、企業が存続できない可能性もあります。

また何とか上場できたとしても、そのときの株価がいくらと予測することはできません。場合によってはわずかな利益しか得られず、ストックオプション制度はないが給与・賞与が高い企業へ転職したほうがよかったという事態にもなりかねません。

ストックオプションに過度な期待をして転職した場合には、努力を裏切られたような気持ちにすらなってしまい、精神的にストレスが大きくなります。ストックオプションは宝くじのようなもの、不確定なものだと思っておくのが無難です。

売却した後のモチベーション維持が難しい

売却して利益をだした後、モチベーションが下がってしまうケースがあります。もちろん自身のやりがいや人材価値の向上に重きをおいてきた方は、売却したからといってモチベーションが下がることはないでしょう。モチベーションの要因がお金ではないからです。

辞めたいときに辞めにくくなる可能性がある

たとえば再転職してキャリアアップする機会が巡ってきたときに、「権利を行使できるまでは在籍しよう」と思えば、せっかくのチャンスを逃すことになります。

あるいは人間関係やメンタルヘルスで退職を考えはじめたとき、ストックオプションが足かせになり我慢すれば、身体をこわしかねません。ベンチャー企業では最初から従業員を大勢雇うことはできないため、創業者や同僚と極めて近い距離感で仕事をすることになり、そのぶん相性が問題となるケースは多くみられます。

そのときには大企業のように部署異動を申し出るなどの手段がないため、我慢するか退職するかの2択になってしまう可能性があります。

ストックオプション導入企業への転職を成功させるポイント

ストックオプションと転職の関係で問題なのは、「ストックオプションで大きな報酬を得られるかもしれない」という点だけに着目し、転職先を決めることです。ストックオプション導入企業への転職を成功させるには次の点を意識しておきましょう。

ストックオプションに過度な期待をしないこと

ストックオプションを「億万長者になれるチャンス」とでも捉えてしまうと、転職しても「転職してよかった」といえなくなるリスクがあります。冷静に考えれば、転職で重要なのはストックオプションで利益をだすことではないとわかるはずです。

株取引で利益をだしたいのなら、余剰資金で購入できる株式を選び、コツコツと勉強しながら利益を狙うことも悪くはありません。

転職の目的を整理する

「そうはいってもお金は大事」と思うのなら、リスクが高いベンチャー企業ではなく、安定した業績をだし続けている企業を探したほうがよいでしょう。ストックオプション制度がなくても、そもそも給与が一定水準以上で賞与の実績もあれば、経済面での不安は解消されるはずです。

ベンチャー企業に転職して成功する人は、「社会や業界に影響をもたらしたい」「このビジネスを絶対に成功させてやろう」「転職して人材価値を上げられる経験をしたい」などの強い意志や情熱をもっています。損得勘定は抜きにして、仕事の内容からやりがいを感じられそうかという視点があるのです。

ストックオプションがうまくいこうがいくまいが、モチベーションが下がることはありません。結果として転職先から必要とされる人材となり、大きな報酬を手にする可能性も高まるでしょう。

転職エージェントに聞いてみるのもアリ

気になる企業について、転職の条件としてストックオプションが付与されるのかは転職エージェントに聞けばわかるでしょう。とくにベンチャー企業や大企業を多く扱っている転職エージェントであればストックオプションに関する知識にも期待できます。

ただしエージェントが「ストックオプションで億万長者も夢ではありませんよ」などと言ってくる場合は、転職を慎重に考えたほうがよいでしょう。

何のために転職したいのかをよく聞いてくれる転職エージェントであれば、本来の目的を逸脱することなく、納得のできる転職をサポートしてくれるでしょう。

まとめ

ストックオプションとは、あらかじめ決められた価格で自社株を購入できる権利です。上場企業やベンチャー企業を中心として、従業員のモチベーションアップや優秀な人材確保のために活用されています。

将来的に株価が大きく値上がりすれば利益を得られるメリットがある一方で、必ずしも株価が上昇するとは限らないというデメリットもあります。転職先を決める際にはストックオプションだけにとらわれず、多角的な視野をもつことが重要でしょう。

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