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インハウスローヤー(企業内弁護士)のキャリアパスとは|法律事務所とは違うキャリアの描き方

更新日: 公開日:

法律事務所から企業側へのキャリアを考えるとき、次のような不安に襲われたりしませんか?

「実際の業務は何が中心?」
「どんなキャリアの伸び方をする?」
「年収や働き方はどう変わる?」

近年は企業内で法務人材を抱える流れが強まり、企業内弁護士数も増加傾向にあります。

この記事では、キャリアパスを見通せるように整理しつつ、転職時にミスマッチが起きやすい「業界との相性」や「個人受任・副業/兼業の可否」を、就業規則と利益相反の観点でチェックできるようにまとめています。

インハウスローヤーを目指す方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

インハウスローヤー(企業内弁護士)とは

インハウスローヤーとは、広い意味で言えば、組織内で働く弁護士のことをいいます。「組織内」というのは、企業、省庁、自治体などが挙げられます。 インハウスローヤーの最たるものは、企業内弁護士です。狭い意味では、特に企業内弁護士のことをインハウスローヤーと呼ぶ場合もあります。 インハウスローヤーは、年々増加しています。日本組織内弁護士協会による調査によれば、2011年6月末時点では587人(※)でしたが、2021年6月末時点では2,820人と4.8倍になっており、年々増加していることが分かります。 また、2025年6月末時点では3,596人、この人数は登録弁護士総数47,040人のうち約7.6%を占めており、今後も増え続ければ2,3年で全体の1割が企業内弁護士となる可能性があります。 (参考:JILA「企業内弁護士数の推移(2001年〜2025年)」)

弁護士の推移

詳しくは、こちらの記事でも解説しております。

インハウスローヤーのキャリアとしては、法務部の正社員スタートで昇進、キャリアゴールは執行役員やCLO・GCとなることが考えられますが、実際にはどうなのでしょうか。

今回は、インハウスローヤー、特に企業内弁護士のキャリアについて徹底解説していきます。

 

インハウスローヤーの代表的なキャリアパス4つ

インハウスローヤーには、具体的にどのようなキャリアパスが考えられるのか。

ここでは代表的なキャリアパスを4つ紹介します。

企業法務部門の中で(法務・知財・コンプライアンスなど)

企業内弁護士のキャリアパスとして最も一般的なのは、企業法務部門の中で担当領域を広げながら専門性とマネジメント力を積み上げていくルートです。

契約審査・法務相談・紛争対応といった基礎領域から始まり、事業部門の伴走(新規事業の適法性検討、取引スキーム設計)や、M&A・海外案件・個人情報保護などへ関与が広がります。

さらに知財(商標・特許・ライセンス)やコンプライアンス(内部通報、研修、規程整備)を横断できると、社内の意思決定に深く入りやすくなり、将来的な管理職・責任者ポジションにもつながります。

CLO(Chief Legal Officer)

CLO(最高法務責任者)は、法務部門の統括にとどまらず、経営戦略と法務戦略を結びつけて「会社としてどうリスクを取り、どう守るか」を設計する役割です。

重要な契約や訴訟対応の最終判断、ガバナンス体制の整備、規程・決裁プロセスの最適化などを通じて、企業の持続的成長を支える立場になります。

特に上場準備や海外展開、M&Aなど、意思決定のスピードと精度が求められる局面では、法務の視点から経営陣に具体的な選択肢を提示し、実行まで伴走できることが価値になります。

社内外の関係者を動かす調整力や、経営言語で説明する力が非常に重要となるでしょう。

GC(General Counsel:最高法務責任者)

GC(General Counsel)は、企業における法務のトップとして、日々の法務判断から組織づくりまでをリードする存在です。

社内の法務相談の最終判断者として機能しながら、案件の優先順位付け、外部弁護士(顧問・案件担当)の活用方針、法務チームの採用・育成・評価といった運営面も担います。

単に「法的にOKかNGか」を示すだけでなく、事業の目的を踏まえて実現可能な代替案を出し、リスクを可視化して意思決定を前に進めることが求められます。

社内の信頼を獲得しやすいポジションでもあるため、ビジネス理解と説明力を磨くほど、より大きな案件・領域へ広がっていきます。

経営層・社外役員へ

企業内弁護士として経験を積むと、法務の枠を超えて経営層(執行役員・CxO)や社外役員(社外取締役・監査役など)にキャリアが展開するケースもあります。

法務は企業活動のほぼ全ての意思決定に関わるため、事業・財務・人事・リスク管理を横断して理解しやすく、経営に近い視点が身につきやすいのが特徴です。

特にガバナンス、コンプライアンス、危機管理の経験は、社外役員として企業を監督・助言する立場でも活かされます。

将来的に経営ポジションを視野に入れるなら、案件処理だけでなく「仕組み化」「組織設計」「意思決定の質向上」まで踏み込む意識を持つと、キャリアの選択肢が一段広がります。

インハウスローヤーのキャリアの魅力6つ

インハウスローヤーのキャリアには、どのような魅力があるでしょうか。ビジネス全体への関わり、ワークライフバランス、チームワーク、経営との密な関わり、法律事務所で活かせる経験、幸福度といった観点から多角的に解説していきます。

ビジネスのプロセス全体に関わることができる

これは、法律事務所における働き方と決定的に異なるポイントであり、企業内弁護士の弁護士としてのリーガルサービスにおける固有の価値です。

通常、弁護士が顧問契約で関わる場合、法律相談から具体的な事件・案件として受任する場合を含めて、個別的な事案になります。

例えば、

  • 「B社がうちの会社の特許技術を使ったようなプロダクトを開発しているらしく、どうにか食い止めたい」
  • 「C社の売掛債権が支払われないが債権回収を考えたい」
  • 「自社の○○というサービスが業法に反しないか、レビューしてほしい」

といった形で、案件が舞い込んできます。

プロダクト・サービスの企画からローンチして、販促、そして契約した後のトラブルなど、スポット的に関わります。

他方で、企業内弁護士は、コーポレート業務で株主総会や取締役会の運営から携わり、事業活動の意思決定のプロセスから、実際のサービスの開発、ローンチとUI/UXの検討まで、あらゆるプロセスに法務としての立場で関わります

そして、顧問弁護士はあくまで「アドバイザー・コンサル」的立場であってビジネスの意思決定に関わりません。他方で、企業内弁護士は、まさに当事者として関わるのであって、ビジネスの意思決定に関わります。

それは、取りも直さず、リーガルの視点を踏まえ、リスクテイクの判断に関わることを意味します。

ビジネスを実際に動かす立場で法務の知見を活かす点で、インハウスローヤーは、非常にやりがいがあるといえます。

ワークライフバランスや福利厚生の充実

通常、正社員としての採用であれば、雇用契約となるため、働き方が安定します。残業代の発生もありますし、給与やボーナスも受け取ることもできます

土日祝日の休みや、有給休暇、産休・育休の取得も、制度として裏付けられます。その他、社会保険等の手当てもあります。

法律事務所での弁護士であれば、そうした枠組みがない場合もあり、自由である反面、自己責任となります。案件を処理するにあたり、自分の時間を犠牲にしなければならない時も少なくありません。

WLBと福利厚生の充実は、インハウスローヤーの魅力の柱です。

チーム・組織として1つの仕事を完成させる意識

インハウスローヤーは、常にチームワークが求められます。

社内の様々な部署と関わりをもち、コミュニケーションを取りながら仕事をするため、チームとして仕事をするのが通常です。

そのため、個々の法務の仕事としては個人の力量が試されますが、会社組織として1つの仕事を完成させることを目指すので、チームワークが好きな人には魅力的といえます。

組織経営を現場で学べる環境がある

企業の経営を学べることも、非常に魅力です。

法務は、「コーポレート」「管理部」といった名称で呼ばれることもあります。そのため、経営と密接に関わる仕事です。事業活動の上で、リスクテイクの判断をする際にも、法務によるチェックを度外視することはできないからです。

また、コーポレート・ガバナンスを通じた経営管理が必須ですから、これを担う法務と経営陣のかかわりは、切っても切り離せない関係にあります。

そのため、経営直下で学べることは、インハウスローヤーの魅力です。

法律事務所へ戻る際も活かせる経験はある

街弁事務所で勤務する弁護士でも、顧問先の中小企業で、社内での法務経験が効果的に活用できます。

例えば、法務部を置いていない中小企業では、コーポレート業務が行き届いているか客観的に評価できないため、社内のコーポレート業務のチェックできるとなれば、よりサービスの幅が広がります。

SaaS的に顧問サービスの体系を考えれば、報酬項目として追加することも考えられます。

このように、インハウスローヤーの働き方が法律事務所での出戻りや転職の際に活かせる幅は広いです。

「精神的幸福度」と「経済的幸福度」について

インハウスローヤーとしてのキャリアは、精神的幸福度が高まりやすい傾向にあります。

精神的幸福度は、自分の心、内面的な充実度をいいます。その尺度となる要素は、人によって異なりますが、経済的幸福度というお金の面ではない要素に基づくものとします。

他方で、経済的幸福度は、収入、つまりお金の充実度です。

インハウスローヤーは、経済的幸福度の面では、弁護士に比べて低くなる傾向にあります。上記のように、雇用契約という形態上、どうしても限界があるからです。また、非常勤的な働き方でも、企業内弁護士としてもらえる報酬は、工数や受託する業務内容の面から、やはり限りがあります。

他方で、精神的幸福度は、法律事務所での勤務弁護士に比べて休暇がとりやすいことから、高くなりやすいです。

また、通常の業務の中で関わりをもつ「仲間」が、法律事務所では通常数人程度であるのに対し、企業では数十人以上いるなど、人脈的な意味で、内面の充実度も高くなりうる要素です(もっとも、人脈の側面は、人によっては精神的幸福度を低める要素かもしれません)。外向的な人にとっては、適した環境といえるでしょう。

インハウスローヤー(企業内弁護士)のニーズが増える理由とキャリアとしておすすめの理由

インハウスローヤーは、具体的にどのような点にニーズがあるのでしょうか。様々考えられますが、ここでは3つご紹介します。

事業サイドにおけるリスクマネジメントの重要性が増加

企業が事業を行う上では、どのようにリスクをコントロールするかが非常に重要です。

リスクの「コントロール」には、1つには、発生しうるリスクを予測し、事業活動における位置づけを分析し、リスクが顕在化した場合の対処法を設定しておくリスクマネジメントがあります。

また、リスクマネジメントを踏まえて、事業によって得られる収益を最大化させるための合理的な仕組みを準備しつつ事業を実行するリスクテイクがあります。

いずれの側面でも、法的な知見が重要な位置を占めます。なぜなら、法務の知見によりリスクの所在を知ることにつながり、課題把握にあたり事実認定のスキルが活用できるほか、あるいは法的なロジックを組み立てることでリスクを乗り越える戦略を立てることができるからです。

契約法務の迅速な対応

法律事務所からインハウスローヤーへ転職された方の約8割は、各種契約のレビュー・ドラフトといった「契約法務」に従事しています。

業種や取引内容によって、契約種類は千差万別のため、売買契約などの基本契約から、ライセンス契約・共同開発契約、知的財産関連の契約まで多岐に渡ります

顧問弁護士にレビュー依頼をするよりも、社内弁護士に対応をお願いした方が、スピード面はもちろん、考えられるリスクに応じるため、自社の利益を守るフロントして関わってもらいたいと考えています。

そのため、一般民事を中心に扱ってきた弁護士よりも、企業法務系に携わってきた弁護士が優遇されるのは間違いありません。最も、不動産業界は一般民事と近い業務領域になりますので、マッチング精度とニーズは合致していると言えます。

また、海外へ進出、取引が多い企業の場合、英文契約を扱っていた経験を求める企業は多く、TOIEC900点以上や、ビジネス英語への理解は求められるでしょう。

顧問といった形態でのリーガルサービスの限界

顧問では、事業サイドのビジネスジャッジに関わることができない点で、限界があります。

弁護士の顧問業務は、いわば法務コンサルです。そして、それも日常的な事業活動のあらゆる場面で関わるのではなく、個別の案件レベルで、あるいは論点的に絞り込まれた内容の相談によって、必要に応じた知見の提供や書面等の作成というサービス形態になります。

そのため、顧問弁護士は、訴訟対応などの臨床的な法務のほか、受動的に、アドバイザーとしての立場で法務を行うことが求められ、それ以上のビジネスジャッジには踏み込まないのが通常です。

インハウスローヤーは、その上で、事業を実行する上でどのような判断をすべきか、という点に踏み込み業務を行います。なぜなら、インハウスローヤーは、社内のメンバー、すなわち当事者であるからです。

特に、役員になっていれば、より直接的に、ビジネスジャッジに関わることでしょう。このように、顧問弁護士では越えがたい立場として、インハウスローヤーが提供する法務には固有の価値があります。

弁護士のスキルと取引交渉でのスキルの互換性

そして、個別具体的な取引において、弁護士の交渉スキルが現場での交渉に還元される点も重要なポイントです。

法務部は、契約書の審査などで事業のフロントとなる営業部と密接に関わります。取引の内容は、日常の類型的な取引においては定型化されますが、新規事業や既存の案件にはない規模のものになると、法務部の対応が必要になることがあります。

その際に、契約を最適化するにあたっての交渉で、法務部が後ろ盾となります。上記のようなプロセスの中で、取引条件のまとめ方など、弁護士の契約・和解交渉のスキルなどが還元されていきます。

このように、弁護士のスキルは、ビジネススキルとの互換性が非常に高いのです。

コストファフォーマンス向上

企業にとって法律事務所へのフィーの支払いは高額になるケースは珍しくありません。

エンタープライズ企業は5大事務所に依頼することが多いですが、一回のレビューに数十万円〜数百万円かかっていることもあり、いかに無駄な部分を削減するか、また、いかに同じ報酬体系でもでもより質の高いリーガルサービスを受けられるかなど、コストパフォーマンスの向上が常に課題となっています。

インハウスローヤーの雇用はその課題解決に最も寄与する方法のひとつです。

例えば、5大法律事務所というプラクティスは素晴らしいものだと思いますが、自社の業界に精通する弁護士が一人いれば事足りるケースもあります。であれば、リーガルサービスの質を保ちながらも、個人の弁護士に依頼するという選択肢もありえます。

自社に合った弁護士を採用することは、コストパフォーマンスの向上に直結します。

クローバル化への対応

2019年から続く新型コロナウィルスの影響で鈍化した印象はありますが、国際取引への強化をしている企業は、弁護士の採用に積極的です。

欧州・米国などの諸外国企業において法務を担当するのは原則として弁護士です。 しかし、日本ではいまだ無資格の法務部員が多数を占めているのが現状です。

海外展開を推進する企業では、インハウスローヤーの比率を高めグローバル化へ対応していこうとする意図が強いため、無資格の法務部員が交渉に関わること自体がナンセンスであるという意識を強くもっています。

そのため、「法務は弁護士が担う」という世界標準に対応するため、インハウスローヤーの採用ニーズは今後も増していくはずです。

「アジャイル・ガバナンス」と法務の役割

「アジャイル・ガバナンス」とは、技術や市場の変化が速い領域において、最初から完璧なルールを固定するのではなく、実態(データ・事故やインシデント・現場の運用)を踏まえて見直しを繰り返しながら、最適なガバナンスへ更新していく考え方です。

経済産業省は「GOVERNANCE INNOVATION」シリーズの中で、このアプローチを提示し、概要や実装プロセスを整理した報告書も公表しています。 

 また、直近では「社会実装」に踏み込んだ論点整理(Ver.4)が公開されており、官民連携の前提としてガバナンスを動かしながら磨く方向性が強まっています。 

この文脈で企業法務に求められるのは、単なる「遵守チェック」ではなく、事業を止めない形でリスクを設計・可視化し、改善サイクルを回す中枢になることです。

重要となる役割は次のとおりです。

 

  1. 新規事業や新技術(AI・データ活用等)について、許容できるリスク水準と判断基準を言語化する
  2. 社内ルール(規程・ガイドライン・審査フロー)を暫定運用→検証→改定できる形にする
  3. インシデントや顧客影響が出た際のエスカレーション・再発防止まで含めて設計する

結果として法務は「ダメ出し役」ではなく、事業部門・セキュリティ・開発・広報などを横断して、説明責任(透明性)とスピードを両立させる伴走者として価値を発揮しやすくなります。

弁護士が新卒でインハウスローヤーになるべきかの判断基準

ファーストキャリアをインハウスにすべきかどうか、判断基準をご紹介するので、参考にしていただければ幸いです。日本組織内弁護士協会(JILA)のアンケート調査によれば、38%が法律事務所での業務経験がないと回答しています。

表:あなたは過去に法律事務所で弁護士としての執務経験がありますか。

選択肢 人数・割合 増減
2019年 2020年 2021年
ある 199 173 62.70% 244 62% -1.10%
ない 139 103 37.30% 152 38% 1.10%

インハウス業務と法律事務所業務との違い

まず考えるべきは、仕事内容の違いです。

インハウスローヤーの主な仕事内容10種

  1. 契約書チェック:最も多い法務部での仕事
  2. 経営法務:企業運営に関する法務全般。起業から上場、ルーティンの会社運営まで、企業運営ではシチュエーション毎にさまざまな法律を守らなくてはいけません。
  3. 債権回収:督促状や内容証明を何度も送付しているのにも関わらず、債権回収ができずに埒が明かない場合も企業法務弁護士の出番
  4. M&A:M&A、デューデリジェンス、買収先の財務諸表の把握や契約内容の精査など
  5. 倒産手続き:民事再生・会社更生手続といった再建型倒産手続と、清算型倒産手続である破産手続
  6. 知的財産対応:特許権・実用新案権・意匠権・商標権のように特許庁に出願して他社・他人に権利侵害、訴訟手続きのサポート
  7. 労務問題:会社のトラブルに対しても紛争解決や訴訟対応などを行う
  8. コンプライアンス対応:研修やセミナーを実施など、社員一人ひとりの法的知識・モラルの向上
  9. 株主総会対応:株主総会をスムーズに運営する為の準備、提出する議案の可決を促す動き
  10. 外部の法務相談対応:主に不動産や保険会社での窓口業務、法的見解を求められる際は弁護士資格が必須

法律事務所での仕事内容

法律事務所の主軸事業によってまちまちですので、ここで全てを語ることはできませんが、離婚問題や債務整理、交通事故と言った一般民事事件た、刑事事件、企業法務、場合によって国家賠償訴訟など、法的問題にお困りの方に対して、リーガルサービスを提供します。

業務領域の違いはもちろんですが、関わる相手の違うことが最も特筆すべきポイントかと思います。

インハウスは良くも悪くも企業内の仕事のみ

企業内弁護士は、当然のことですが所属する企業の仕事しかしません。弁護士として一人で全てを網羅する場合などは守備範囲も広くなりますし、仕事量が多ければ忙しくなります。

特に、弁護士の仕事についての理解がない場合は膨大な丸投げされる可能性もあるので、就職前に社会体制の確認は必ずすべきでしょう。

ワークライフバランスの実現はインハウスに軍配が上がる

また、企業内弁護士は、その他の社員と同じ待遇となるため、法律事務所勤務に比べると残業は少ない傾向にあります。

一般的に、法律事務所の弁護士は業務多忙であり、昼夜・週末を問わず働いているという状況になりがちです。

これに対してインハウスローヤーは、会社員として労働基準法で保護されるため、「定時」が存在します。そのため、昼夜問わず働くということにはならず、業務と生活にメリハリをつけやすいメリットがあります。

表:あなたが現在の勤務先を選んだのはなぜですか(複数回答可)

選択肢 人数・割合 増減
2019年 2020年 2021年
ワークライフバランスを確保したかったから 193 175 63.4% 249 63.0% -0.5%
現場に近いところで仕事がしたかったから 201 163 59.1% 217 55.0% -4.3%
その会社で働きたかったから 100 91 33.0% 151 38.0% 5.2%
その業界で働きたかったから 94 80 29.0% 135 34.0% 5.1%
収入を安定させたかったから 111 79 28.6% 127 32.0% 3.4%
提示された報酬が高額だったから 27 27 9.8% 33 8.0% -1.4%
所属事務所から出向を命じられたから 1 2 0.7% 1 0.0% -0.5%
ほかに就職先がなかったから 42 21 7.6% 29 7.0% -0.3%

参考:企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2021年3月実施)

産休や育休・時短勤務などの待遇も受けられるので、法律事務所勤務に比べると年収は低くなることが多いですが、ワークライフバランスを重視したい場合にはおすすめです。

インハウスローヤーの年収レンジ

インハウスローヤーの年収レンジについては、JILA(日本組織内弁護士協会)の2024年3月アンケート(有効回答277)では、1,000万〜1,250万円未満が23.5%で最多。次いで750万〜1,000万円未満が19.9%でした。(※)

インハウスローヤーの年収レンジは「経験年数・企業規模・担当領域」で大きく変わるため、平均より分布で捉えるほうが実態に近いです。



様々な要素での違いを抜きにした全体的な年収の平均は、一般社員であれば、1000万円であるといわれています。もっとも、ばらつきを考慮すると、おおむね500万円から1000万円の範囲です。

(※)出典:企業内弁護士に関するアンケート集計結果|日本組織内弁護士協会

新卒または中途による違い

基本的に、インハウスローヤーの年収を評価する要素として大きいのは、弁護士としての勤務経験の長さと専門分野の内容とその実質的な実績です。

勤務経験の側面で言えば、やはり新卒より中途の方が年収は高くなります。また、専門分野が当該業界の企業にマッチしている場合、そして実績の内容的に事業にアジャストしていれば、やはり年収に好評価されるでしょう。

他方で、新卒では、そうした経験や実績の幅がない分、年収は低く設定されます。

もっとも、他の一般社員と比べると、年収は高くなるのが通常です。弁護士資格を得るところまで行っている、すなわち司法修習を修了していることに対して専門性の高さが評価されるからです。

企業規模による違い

企業規模によっても異なります。やはり大企業であれば、法務に投資する重要性を認識していることから、弁護士に対する評価を年収に反映させることができます。

他方で、資金力が乏しいIPO前のベンチャー企業であれば、大企業のように一般社員というだけで600万円もペイすることはできません。新卒でおよそ300~500万円が相場というところでしょう。

インハウスローヤーキャリア実例と分析

インハウスローヤーにはどのようなキャリアがあるのか、ここでは具体的な実例をご紹介し、分析していきます。

インハウスローヤーの先駆けとも名高い、榊原美紀氏です。

榊原氏は、もともと大学時代はアメリカの大学に留学した経験から、英語好きも相まって、英会話講師をしていました。しかし、その後直感的に、思いつきで弁護士という職業に就くことを思い至ったそうです。司法試験に合格した後は、センチュリー法律事務所に就職し、企業法務を中心に経験を積まれました。その後、アメリカに留学し、ボストン大学のロースクールを修了しました。

ロースクール生との交流の中で、積極的に手を挙げて前に出る姿勢の大切さを学ぶとともに、当時日本ではほとんど例がなかったインハウスローヤーのことを知ります。ロースクール終了後は、外資系法律事務所で勤務した後帰国し、パナソニックに入社しました。その際、電機・自動車の業界であることを志向していたことに加え、学閥や中途への差別がないことを判断基準とされていたそうです。

当時は、インハウスローヤーが未知の世界であることもあり、ビジネスサイドに身を置くことにはどの程度の可能性があるか、分からないのが現状だったといいます。パナソニックでは、IT・著作権担当の部門での業務から始まり、企業内でのワークフローへのキャッチアップに苦労されました。

その後、ITや著作権、独禁法に関して、業界団体との意見交換や政府機関との折衝があり、法律の専門家として関わる中で、法務としての信頼やポジションを得ていきました。業界に関わるような案件として、著作権侵害に関する訴訟では最高裁まで戦い、弁護士としての価値を活かしながら、会社の事業に貢献されたそうです。

そうして、現在は、コンプライアンスの責任者として業務をされています

上記の実例から、やはりインハウスローヤーのキャリアには、責任者ポジションへのステップアップがあることがわかります。そして、そこに至るまでに、社内での業務フローへの適合への苦労があるとともに、弁護士としての法務の知見が客観的に評価されていくことで、キャリアの深みも増していくことがわかります。

インハウスローヤーへ転職するなら注目すべきポイント

インハウスローヤーへの転職の際は、どのような点に留意すればよいでしょうか。ここでは、3つご紹介します。

弁護士業務での経験とのマッチング

特に中途の場合は、もちろん弁護士としての業務をした年数も重要ですが、それ以上に、就職先として自己の経験とマッチするところを選ぶことが重要です。

弁護士としての業務経験が採用判断のポイントになるとしても、やはり企業側が欲している法務分野の種類があります。そのため、専門とする法務分野の観点から、具体的に自己分析を行い検討した上で、就職先を選定する必要があります。

他方で、新卒の場合は、業務内容として幅広い経験が積めることが重要なポイントになるでしょう。なぜなら、定型的で事務処理のような業務では、キャリアの幅を広げることが困難だからです。

可能なら個人受任可の企業を選ぶ

キャリアの拡大可能性という観点では、基本的な弁護士業務から離れすぎるのもリスクであると考えられます。なるべく、個人受任が可能であるような条件のところを選ぶとよいでしょう。

ただ個人受任を可能にしている企業は少なくいです。

表:あなたの会社では、個人事件の受任は認められていますか。

選択肢 人数 割合
認められている(実際に受任したことがある) 31 11.2%
認められている(実際に受任したことはない) 79 28.5%
認められていない 167 60.3%

表:あなたの会社では、副業/兼業は認められていますか。

選択肢 人数 割合
認められている(実際に副業/兼業している) 58 20.9%
認められている(副業/兼業はしていない) 58 20.9%
認められていない 107 38.6%

※実施期間:2024年3月15日〜3月31日/有効回答数:277人
(出典:日本組織内弁護士協会 企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2024年3月実施)

企業規模で言えばエンタープライズか、外資系企業と選択肢は少なくなっています。もちろん、コンフリクトの観点からも手放しで全てOKではありませんので、転職前にできるだけ確認しておくことは大事です。

業界とのマッチング

インハウスローヤーへの転職では、業界選びが仕事内容や成長機会を大きく左右します。IT系はスピード重視で事業理解が求められ、金融は規制・内部統制が中心、メーカーは知財・製造物責任、医療は薬機法など、業界ごとに扱う法領域が異なります。

求人選びでは「伸ばしたい専門領域」と「業界で頻出する論点」の一致を軸にするのが効率的です。また、企業フェーズ(スタートアップ/上場準備/上場企業)によっても役割は変わります。担当領域・チーム体制・外部弁護士の活用方法まで確認し、自分が価値を出せる環境かを見極めることで、入社後のミスマッチを防げます。

個人受任・副業の可否は就業規則と利益相反で最終確認

個人受任や副業は、社内方針だけでなく、就業規則・申請フロー・利益相反・情報管理の観点で確認が必要です。JILAのアンケートでは、個人受任が「認められていない」企業が60.3%、副業・兼業が38.6%と、制限のある企業が少なくありません。

 

検討する際は「会社の業務に影響しないこと」「利益相反がないこと」「情報管理が担保できること」の3点を軸に、事前に合意形成しておくのが現実的です。制度上は認められていても、運用では案件内容で判断が分かれることがあるため、入社後も案件ごとに相談できる窓口があるか確認しておくと安心です。

不明点は転職エージェントへの相談を

いずれにしても、やはりインハウスローヤーへの転職の際には、転職エージェントへの相談がおすすめです。とりわけ、弁護士業界に特化したエージェントにするのがポイントです。

弁護士の経験やスキルの活かし方、企業へのアピールの仕方なども、弁護士としての専門性の高さがゆえに、業界に精通した知見が効果的であるからです。

NO-LIMITでは、インハウスローヤーへの転職も、弁護士業界に精通したエージェントが徹底サポートしています。

インハウスローヤーへの転職相談はこちら

FAQ(よくある質問)

ここでは、インハウスローヤーへの転職を検討する方やキャリアパスに疑問をお持ちの方からよくある質問をまとめています。

気になる項目から確認してみてください。

Q1. インハウスローヤーへの転職で、最初につまずきやすいポイントは?

「想定していた業務領域と、実際の担当領域が違う」ことが多いです。

求人票の職務内容だけで判断せず、契約審査の比率や事業部門からの相談件数、外部弁護士の使い方、意思決定への関与度などを面接で具体的に確認するとミスマッチを減らせます。

Q2. 法律事務所の経験は、企業法務でどう活きますか?

法的論点の整理力や証拠・事実関係の把握、相手方との交渉設計などはそのまま強みになります。

加えて企業では「事業目的を踏まえて代替案を出す」「社内関係者を巻き込む」ことが求められるため、ビジネス理解と調整力を伸ばせると一段と活きます。

Q3. 新卒でインハウスローヤーを選ぶのはアリですか?

アリですが、成長環境の設計が重要です。

教育体制(OJTの担当、レビューの頻度、外部研修の利用)や法務チームの人数、外部弁護士への相談ルートが整っているかを必ず確認してください。

案件の幅が狭い職場だと、経験が偏るリスクがあります。

Q4. CLOとGCは何が違いますか?

会社によって定義は揺れますが、一般にGCは法務トップとして「法務機能の統括(判断・組織運営)」色が強いです。

CLOは経営により近い立場で「全社戦略と法務戦略を結びつける」色が強いことが多いです。

肩書よりも、権限範囲・レポートライン・意思決定への関与度を確認するのが確実です。

Q5. 企業法務部門でキャリアを伸ばすには、何を優先して経験すべき?

まずは契約・法務相談・紛争対応などの基礎を固めつつ、次に「事業伴走(新規事業、重要取引、M&Aなど)」へ関与できると伸びやすいです。

さらにコンプライアンス、個人情報、知財など横断領域を扱えると、マネジメントや経営寄りの役割につながりやすくなります。

Q6. 年収はどう見ればいいですか?

「平均」だけで判断すると誤解しやすいので、年収レンジ(分布)で捉えるのがおすすめです。

企業規模や担当領域、経験年数などで変動が大きく、同じインハウスでも条件差が出ます。

求人票では基本給・残業代・賞与・SOなどの内訳も確認してください。

 

Q7. ワークライフバランスは本当に良くなりますか?

良くなるケースは多い一方、業界やフェーズによって繁忙はあります(上場準備、M&A、重大インシデント対応など)。

残業時間だけでなく、緊急対応の頻度や休日連絡の有無、法務の人数と分担、外部弁護士の活用度をセットで確認すると現実に近い見立てができます。

 

Q8. 「業界とのマッチング」はどう判断すればいい?

伸ばしたい専門性と、業界の頻出論点が合うかで考えると判断しやすいです。

たとえば規制対応が中心の業界もあれば、スピード重視で新規事業が多い業界もあります。

同じ業界でも企業フェーズで役割は変わるので、「担当領域」「意思決定への距離」「チーム体制」を具体的に聞くのがポイントです。

 

Q9. 個人受任や副業・兼業は、どこまで可能ですか?

会社の方針次第で、禁止・許可制・届出制などさまざまです。

可否だけでなく次の項目も確認してください。

  • 利益相反チェック
  • 守秘義務
  • 情報管理
  • 社名・肩書の扱い
  • 申請フロー

口頭の説明だけでなく、就業規則・副業規程の運用実態まで確認できると安心です。

 

Q10. インハウスから法律事務所に戻るのは難しいですか?

不可能ではありません。

企業側で得た「事業理解」「ガバナンス」「組織横断の調整力」は評価されることも多いです。

一方で、訴訟・倒産・特定分野の専門性など、事務所での実務が重視される領域はブランクになり得ます。

将来戻る可能性があるなら、社外案件との接点や研修、継続学習の設計をしておくとスムーズでしょう。

まとめ

インハウスローヤーのキャリアには、ビジネスサイドで法務サービスを提供することでの可能性、ワークライフバランスの取れた安定的な働き方、法律事務所での弁護士業務への還元といった点で様々な魅力があります。

そのニーズとして、ビジネスサイドでの法務の重要性に対する考え方、コーポレート・ガバナンスの意識向上といった点が挙げられます。キャリアの拡げ方にも、単に社内での昇進のみならず、官への出向や、他社での社外取締役就任など多岐に渡り可能性は無限です。

ぜひ、インハウスローヤーのキャリアに挑戦してみてはいかがでしょうか。

監修者
川村 将輝

旭合同法律事務所/愛知県弁護士会所属

司法試験受験後、人材系ベンチャー企業でインターンを経験。2020年司法試験合格。現在は、家事・育児代行等のマッチングサービスを手掛ける企業において、規制対応・ルールメイキング、コーポレート、内部統制改善、危機管理対応などの法務に従事。

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