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企業内弁理士へ転職するメリット・デメリットと転職成功のコツ・注意点まで

更新日: 公開日:

弁理士の転職先には、特許事務所のほかに「企業で働く」という選択肢もあります。組織の一員として自社の発展に貢献できる立場の企業内弁理士は人気の高いキャリアですが、企業内弁理士の割合は年々増加しており、特に近年では決して珍しいキャリアとはいえなくなりました。

日本弁理士会によれば、弁理士の就業形態のうち24%が会社勤務です(2021年3月31日現在)。経営・勤務を含めて特許事務所で働く弁理士が全体の半数と主流ではあるものの、企業で働く弁理士も少なくないことが分かります

弁理士の就業形態別
※参考:日本弁理士会|弁理士の就業形態別

しかし、これまで特許事務所で働いていた方にとっては転職に際して不安も大きいかもしれません。企業に転職するメリット・デメリットを整理しておくと不安の解消に役立つでしょう。

このコラムでは、企業への転職を考える弁理士の方に向けて、企業で働くメリット・デメリットや転職活動方法などについて解説します。


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目次

企業内弁理士の転職事情

最初に、企業内弁理士の転職事情を解説します。

弁理士数の推移と企業内弁理士への注目度

[参照]弁理士白書|就業形態別弁理士数の推移

企業内弁理士が増加した背景には企業のグローバル化や特許競争の激化などのほかに、企業側・弁理士側双方のメリットがあることも挙げられます。企業が自社で弁理士を雇えば、知財部や開発部と連携して出願業務を社内で完結させられるためスムーズです

特許事務所に依頼すると複雑な報酬体系にもとづき報酬を支払う必要がありますが、社内の弁理士がいれば固定給として給与を支払えば済むためコスト削減にもなります。弁理士側も企業で働くことで会社の内側から権利化に関われる、ワークライフバランスが取りやすいなどのメリットがあるため、企業内弁理士に魅力を感じる弁理士が増えてきました。

企業の知財部や法務部でニーズがある

弁理士を求めているのは主に企業の知財部や法務部です。したがって弁理士が企業へ転職する場合も知財部や法務部に所属し、ほかのメンバーと一緒に働くことになるでしょう。具体的な業務内容は企業ごとに異なりますが、一般にはほかのメンバーとともに以下のような業務を行います。

  1. 特許の権利化および出願業務、特許事務所への依頼
  2. 知財戦略の構築、権利活用
  3. 他社特許の監視、特許調査
  4. ライセンスの管理
  5. 知財侵害調査、侵害訴訟対応
  6. 経営陣や上層部へのプレゼン など

企業が弁理士を募集する目的は主に2つ
企業が弁理士を募集するのは主に欠員募集か事業拡大による人員補強です。欠員募集の場合は辞めた人の補填なので基本的に1名の募集になるでしょう。人員補強の場合も、知財部の人員を大幅に増やすのはあまり考えられないため、1名から数名程度の募集になると予想されます。

知財部がある企業の業種

知財部があるケースが多いのはメーカーです。商品の開発を行うメーカーでは特許や意匠などの知的財産権を守るために知財部を置いているケースが多くあります。商品開発の種類が多いと必要な知識も多くなるため求められるレベルは高いですが、弁理士の経験があれば採用される可能性はあるでしょう。

ほかに出版社や放送業界、音楽・映画といったエンタメ系の企業なども著作権保護や権利処理に専門的な知見が求められるため弁理士が転職するチャンスがあります。

求人は通年あるが決して多くない

弁理士の求人は通年ありますので、自身が転職を決意したとき転職のタイミングとして適切でしょう。ただし求人数は決して多くありません。弁理士に特化した求人サイトの存在が少ないことも関係していますが、軽く弁理士求人(企業の知財部求人)を調べたところ、公開されている求人数は下記の通りです。(2021/12/29時点)

  • 日本弁理士会:0件
  • SACT:0件
  • 知財お仕事ナビ!:79件
  • MS-Japan:0件
  • リーガルジョブボード:72件

ここまで紹介したとおり、募集目的や知財部を置く企業が限定的だからです。弁理士という難関資格を持っていても転職活動が難航するケースも想定されますので、特許事務所や法律特許事務所への転職も視野に入れた転職活動を進めるほうがよいでしょう。

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企業内弁理士に転職する7つのメリットとは?

企業への転職を迷っている弁理士の方は企業で働くことのメリット・デメリットを整理してみることをおすすめします。まずは企業へ転職するメリットを確認しましょう。

知的財産を守ることで自社に貢献できる

特許事務所では外部から顧客企業の権利保護や活用に関わりますが、企業では自社の一員として内部から関わることになります。弁理士としての知見や経験を用いて自社の発展に貢献できるためやりがいはひとしおです。

大規模なプロジェクトに関われる可能性がある

知財部や法務部があるのはそもそも資金力が豊富な大企業や上場企業が多いです。そのため弁理士も会社をあげた大規模プロジェクトに関わるなど、特許事務所にいたときにはできない経験ができるでしょう。

勉強会などスキルアップの機会が多い

知財部を置く企業では社内での知財勉強会や外部の業界団体が実施する研修への参加などスキルアップの機会が設けられているケースが多くあります。企業内弁理士の場合は企業が所属する業界内の知識も深めていく必要があるため、こうした勉強会や研修が有効です。

労働環境がよく働きやすい

知財部があるような大企業・上場企業では一般に法令遵守の意識が高く、労務管理体制も整っているため、労働環境がよいケースが多いでしょう。長時間労働になりにくい、有休も取得しやすいなど働きやすい環境に期待できます。

収入が安定する

特許事務所では売上に対して○%が弁理士の報酬になるというケースが多いですが、企業内弁理士は基本的に固定給です。月々の残業代が変動することはあっても固定給は保証されているため収入が安定します。

急に年収が上がることはありませんが、定期昇給などで緩やかに年収が上がりますし、賃金規定にもとづく昇給なので予測が立てやすく人生設計もしやすくなります。

管理職になれる可能性がある

弁理士資格がある社員は貴重な人材ですし、専門的な知識という点でも申し分ないため知財部長や法務部長など管理職になれる可能性は十分にあるといえます。管理職になれば企業にいながら大幅に年収が上がる可能性もあります。

もっとも、管理職になるにはマネジメント能力も求められますので、資格があれば必ず管理職になれるわけではありません。弁理士として専門性を磨く以外に、自社の事業を俯瞰的に見て成長させるという視点も持っておく必要があります。

特許事務所への再転職でも有利になる

特許事務所から企業へ転職し、さらに特許事務所へ転職する際に有利に働く可能性があります。企業経験がある弁理士は特許事務所で働く際に企業側の立場や考えが分かるため顧客との信頼関係を築きやすいからです。

以前に特許事務所で働いた経験もあるため特許事務所での実務面でも問題ないと判断されやすいでしょう。一般にパートナー弁理士になる人は特許事務所と企業の両方の経験を積んでいるケースが多いため、将来のキャリアアップにもつながる可能性があります。

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企業内弁理士に転職するデメリット

続いて企業へ転職するデメリットも解説します。特にデメリットをよく理解し、納得したうえで転職することが大切です。

扱う案件が自社の権利に限定される

特許事務所や法律事務所では多数のクライアントを相手にするので、さまざまなアイデアや創作物に関する権利を扱うことができます。多様な案件に一当事者として関われるのは喜び・やりがいのひとつでもあります。

一方、企業内弁理士は自社のために活動するため扱う案件は自社の権利に限定されます。出願にあたり他社の権利を調査するといったことはありますが、特許事務所と比べて物足りなさを感じる方はいるかもしれません

扱う権利が限定されるため、弁理士としての専門性を身に付けにくい面もあります。将来的に独立を目指す方は特許事務所での経験が不可欠なので、企業内弁理士としての経験を今後どのように活かしたいのかを考えておきましょう。

大幅な年収アップは見込めない

特許事務所で働く弁理士の年収と企業内弁理士の年収相場は大きくは変わりません。むしろ成果主義を採用する特許事務所に対し、企業は固定化された給与テーブルにもとづき支給されるため、年収がいきなり大きく上がるということはありません。そのため特許事務所から企業へ転職した場合、年収はダウンする可能性もあります

また企業へ転職した後も、年収が上がるタイミングは主に定期昇給のときであって、ほかの社員と同じ条件です。弁理士だからといって頑張ったらすぐに年収に反映されるということではありません。

弁理士の年収相場

弁理士会や国の『民間給与実態統計調査』『賃金構造基本統計調査』でも、弁理士単体の年収について触れている項目はありませんが、弁理士の年収相場は特許事務所が約700万円と言われています。成果主義のケースが多いため売上に貢献している方はさらに年収が高い場合があり、中には1000万円以上稼ぐ弁理士もいます。

企業内弁理士(知財部)の年収相場に関して、国内最大の転職サイトであるdodaによれば、知的財産/特許に関わる人の平均年収は656万という数字が出ています。

企業内弁理士の場合は企業規模や役職、資格手当の有無などによっても変わってきます。民間給与実態調査によると、会社員の平均給与は例年400万円台です。20代での平均年収が421万円と考えると、弁理士の年収はどこで働くにしても一般的な会社員と比較して高い部類に入るでしょう。

組織内で働くことに息苦しさを感じる人も

一般に企業内弁理士に求められるのは、企業人として、その担当業務と役職に応じた成果を出すことです。特許事務所のように裁量権はないため、上層部の理解が得られない、他部署との調整が必要になるなど組織ならではの悩みが発生します。

特に特許事務所から転職するケースでは組織内で働くことに息苦しさを感じる方も少なくないため自分の性格や考え方が組織にフィットするかどうかを自己分析しておいたほうがよいでしょう。

弁理士資格に対する優遇が受けられない場合がある

弁理士として活動するためには、登録初年度に登録料・登録月の会費・登録免許税、加えて毎月の会費も必要です。特許事務所の場合は弁理士資格が必須なのでこれらの費用を負担してくれるケースが多いのですが、企業だと会費等の取り扱いはまちまちです。

特に知財部や法務部の人員募集で、弁理士が歓迎資格にすぎない場合は優遇が受けられない可能性があります。企業規模や募集条件、弁理士限定募集なのかどうかによっても変わってくるため応募時に確認しておくようにしましょう。

求人が少なく倍率も高いので転職が難しい場合がある

知財部の人材を大量に採用することはほとんどないため求人自体が少なめです。また大手や上場企業であれば労働環境や待遇面で恵まれているため人気があり、倍率が高いのは必至企業内弁理士になりたい場合は直接応募ではハードルが高いため、転職エージェント経由の方が可能性があるといえます。

知財とは関係のない部署に配属・異動の可能性がある

大手企業では全社員を対象にジョブローテーションを採用しているケースがあります。知財部がある企業は大手も多いため、異動等により知財とは関係のない部署に異動になる可能性は否定できません。その場合は弁理士としての経験を活かしにくくなる可能性があるため他部署への配属・異動の有無については確認が必須です。

どのような人材を求めているのかよく確認を

もっとも、必須の応募条件として弁理士資格を掲げている場合や知財部強化のために知財に詳しい人材を募集している場合などでは異動になる可能性は低いでしょう。単に総合職としての募集なのか、弁理士資格保持者や知財部員の募集なのか、どのような人材を求めているのかをよく確認しておいてください。

企業が求めているのはどんな弁理士か?企業内弁理士になるためのスキル

特許事務所と企業では求められる人材像が異なります。企業では以下のような人材を求める傾向にあります。

企業の知財部での勤務経験がある人

できれば、企業の知財部や法務部、研究開発部等での勤務経験か、そうでなくても企業での勤務経験がある人を求めています。これは、企業では求職者が自社の組織風土にフィットするかどうかを重視するからです。

組織風土にあわないと退職の要因となるため、企業での勤務経験がなければ難しいと考える傾向にあります。社会人になって特許事務所での経験しかない方は企業への転職はハードルが高いと考えておくべきでしょう。

コミュニケーションスキルが高い人

企業内弁理士は企業内の開発部や発明者、提携先の特許事務所、特許庁などさまざまな人とのコミュニケーションをとる機会があるためコミュニケーションスキルが必須です。専門的知見を部署内に浸透させ、部署のメンバーを引っ張っていく役割も求められます。ほかのメンバーとコミュニケーションを取りながら良好な関係を築けるのか、リーダーシップを発揮できる人材かどうかも見られています。

またコミュニケーションスキルとは少し異なりますが、相手に対して専門用語を使わずに分かりやすく説明する能力という点ではプレゼンスキルも求められます。経営陣や上層部へのプレゼンによって組織内の知財に対する意識を向上させることができるため重要なスキルといえるでしょう。

実務経験が3年以上ある人

企業が中途で弁理士を採用するのは、社内の人材に対してゼロから特許出願業務などを覚えさせる余裕がないためです。したがって企業では実務経験がある人を求めています。求人情報を見ると、実務経験3年以上を求めているケースが多いようです。

明細書作成以外のスキルをもっていることが大事

特許事務所に勤務する弁理士と企業内弁理士に求められるスキルは共通する部分もありますが、自社の権利関係について調査や鑑定、発明発掘など幅広く対応するため明細書作成以外のスキルを持っていることが大切です。

企業固有の業務としては紛争業務や紛争防止、交渉経験もあると評価される可能性があります。そのためには会社法や独占禁止法などの法的知識、経営に関する知識なども深めておく必要があるでしょう。

年齢が30代くらいまでがベストではある

企業では比較的若手の人材を好む傾向にあります。年齢は30代くらいがひとつの目安になるでしょう。特に弁理士の経験が少ないなら若いほうが有利に働きます。

もっとも、年齢はそれほど気にされないケースも少なくありません。弁理士の資格取得に際して社会人受験が圧倒的に多く、働きながら資格を取得する人が多数派だからです。そもそも合格者の平均年齢がほかの士業と比べて高いため20代の若手でなければ採用されないということはないでしょう。

一般には転職が難しくなる30代後半でもチャンスは十分にあります。

職歴と募集ポジションが合えば40代以降でもチャンスがある

30代を超えても、募集ポジションと経験業務と照らしてフィットすればチャンスはあります。たとえば弁理士経験を活かして管理職になってほしいという求人であれば経験豊富な40代のほうが有利にはたらく可能性があります。

弁理士が企業へ転職する際の転職活動方法

企業内弁理士へ転職する方法は複数あります。特許事務所の求人なら弁理士会もありますが、知財部の求人がないため、下記のような方法が一般的です。

企業HPからの直接応募

働いてみたい企業のHPにある採用ページから直接応募する方法です。記載の方法に沿って応募し、採用担当者とのやり取りの中で募集の詳細を確認していくところから始めます。気になる企業で必ず募集をかけているとは限らないため、今すぐに転職できなくても問題ない方に限って使える方法です。

一般転職サイトの利用

転職サイトで「弁理士」や「知財部」などのキーワードで検索し、気になる企業があれば応募する方法です。ただし知財部の求人は件数が少ないため転職サイトにはなかなか掲載がありません。複数の転職サイトを併用して幅広く探すのがよいでしょう。

弁理士特化の転職エージェント[最もおすすめ]

転職エージェントに希望を伝え、希望に合致する求人を紹介してもらう方法です。応募書類の作成アドバイスや添削、面接対策や面接の日程調整など転職活動の各フェーズでサポートを受けることができます。弁理士が企業への転職を成功させる確率がもっとも高いのは転職エージェントを利用する方法です。

企業の知財求人はオープンにしないケースが多いから

知財を扱うという弁理士の職務の特性上、募集の事実や内容を他社に知られたくないと考える企業が多くあります。そのような企業は自社のHPや転職サイトで求人募集は行わず、転職エージェントの非公開求人を利用します。求職者は転職エージェントから紹介を受けた場合に限り非公開求人に応募できるため、知財求人にアクセスするには転職エージェントを使うのがもっとも近道なのです。

倍率が高くサポートが必須だから

企業の知財部への転職では、もともと少ない求人枠を弁理士資格保有者や知財部経験者で取り合うことになります。加えて弁理士の面接は論理的思考力を問われる質問が多く、適性試験もあるなど非常に難易度が高いです。自力で対策するのは難しいため転職エージェントのサポートを受けながら戦略的に応募する必要があります。

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企業内弁理士の転職におすすめの転職エージェント

NO-LIMIT弁理士エージェント

知財・特許業界特化型の転職エージェント。もともとは弁護士・インハウスローヤーを専門に扱っていたエージェントですので、特許法律事務所と企業案件を豊富に扱っているため、弁理士向け求人の情報も扱っています。業界特化型と企業とのコネクション、業務内容に詳しいアドバイザーが在籍しているためミスマッチが少ないのが強みです。

公式サイト:https://no-limit.careers/patent/

リーガルジョブボード

弁理士や弁護士などの士業に特化した転職エージェントです。弁理士の転職では知財分野専門の担当者がつくため専門的なアドバイスやサポートを受けられます。希望すれば労働条件の交渉や面接の同行もしてくれる心強いエージェントです。

公式サイト:リーガルジョブボード

PatentJob Agent

知財・特許業界特化型の転職エージェントです。弁理士業界の転職ではもっとも知名度が高いエージェントなので企業の知財部長クラスからの信頼も厚く、職場の雰囲気や求められる人材像などの情報も把握しています。求人がない場合でも企業へポジションを提案してくれるケースがあるため一度相談してみるとよいでしょう。

公式サイト:PatentJob Agent

まとめ

弁理士が企業内で働くキャリアはスタンダードになりつつあります。弁理士としての知見を企業の内側から活かせるなどやりがいが大きい職場なので気になる方は応募を検討してみましょう。特許事務所とは異なる見方や経験が求められるケースも多いため転職エージェントに相談しながら転職活動を進めることをおすすめします。

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