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現役司法修習生が語る弁護修習のリアル|配属先事務所での修習前半の概要

更新日: 公開日:

今回は、弁護修習のリアル~前編~と題して、弁護修習の概要、配属先事務所での修習、集合起案などについて、お話していきます。

【執筆者】かわしょー吉
NO-LIMITのインターンを経験。令和2年司法試験合格。
令和元年司法試験予備試験最終合格。平成30年度司法試験予備試験では、口述試験落ちを経験。
趣味は釣り。カラオケも好き。宇宙系のyoutubeを見ることがマイブーム。
Twitter:https://twitter.com/kshokichi_law

 

【後半はこちら】刑事弁護修習のリアル【後半】|初動対応相談の所感や弁護修習でのお役立ち情報まとめ

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弁護修習の概要

弁護修習は、配属先の法律事務所において、担当弁護士の事件処理に同行し、あるいは書面作成(起案)等を通じて、弁護実務を学ぶ修習です。

裁判修習とは異なり、民事弁護と刑事弁護は分かれておらず、まとめて弁護修習として学んでいきます。

期間は、他の修習と同じく、2か月間です。

他方で、2か月という限られた時間の中では、体験できる案件にも限界がありますし、配属先事務所の取り扱う事件、担当弁護士の専門分野によって偏りが出てくる場合もあります。

その点については、配属先の弁護士会で、修習生に個別にヒアリングを行う機会があるので、その際に希望を伝えれば、他の弁護士からの案件が配点されることもあるそうなので、ご安心ください。

配属先事務所の通知

配属先事務所の決定ないしその通知は、配属先の弁護士会によります。

筆者の場合は、2週間前に通知されました。もっとも、早い人は3週間前や1か月前の場合もあるそうで、逆に1週間前程度の場合もあるそうです。

配属先事務所がどのように(どのような基準で)決まるかは、公開されておらず、また画一的な基準もないようです。ただ、修習前に提出する身上報告書等の書類の中で、様々な情報を記載しますが、特に喫煙の有無は考慮されます。これだけは、先輩や担当弁護士の方からも明確に聞きました。

また、性格や趣味なども考慮されているのではないかと感じました

特に趣味は、筆者の担当弁護士の方と一致しており、修習中、土日に趣味を楽しむ場に同行することもありました(修習中の密かな楽しみでした(笑))。

配属先事務所での修習前半の概要~ある弁護修習の一日

弁護修習の一日は、配属先事務所によって異なります。筆者の配属先の事務所では、9:30~17:30がコアタイムでした。

もっとも、この時間帯より長く修習業務をすることもありますし、逆に早く終わることもあります。

とりわけ、被疑者接見は、日中は捜査のため、初回接見でない限りは基本夜の時間帯にあります。

筆者の場合、19時を超えたことはありませんでしたが、同期の修習生の中には、20時を超える人もいました。

弁護修習において一日の中で何をやるか、全体のイメージを掴んでもらうために、ある弁護修習の一日のスケジュール表を公開します!

7:30 起床
7:30~8:30 朝食、身支度など
8:35~9:25 事務所へ通勤
9:30 事務所に到着
9:30~10:00 午前中1件目の応接前の記録読み→聴取内容の検討、争点の把握、事案の見通し検討、説明すべき内容の検討など
10:00~11:00 応接
11:00~11:30 フィードバックと期日経過報告書の起案
11:30~12:00 契約書のリーガルチェックの意見書の要旨作成→ビジネススキームの適法性検討、文言に疑義があるものや、追加・削除・修正すべき条項のコメント
12:00~13:00 担当弁護士の方とランチ
13:00~13:40 移動
14:00~15:30 被告人接見@小菅拘置所
15:30~16:20 移動
16:20~16:40 被告人接見のフィードバック
16:20~18:00 不動産仮差押命令申立書の起案

いかがでしょうか?

移動の時間にも相当のウェイトがあることがお分かりになるかと思います。

また、記録検討の時間も、裁判修習の場合と比べて格段に少なく、短時間の中で効率的に記録を検討する必要があります。

起案をする時間が取れない日もあります。筆者の場合は、上記のように移動を含めた過密スケジュールの日と、起案デーの両方があり、起案は起案デーに一気に終わらせるようにスケジューリングすることができました。

弁護修習では、タイムマネジメントのスキルが重要です。どうすれば可処分時間を最大化できるかを常に考えながら取り組むことを学びました。

また、移動時間には、担当弁護士の先生と積極的に会話することをおすすめします。

弁護士の事件処理のいろはから、マインドセット、マーケティング、収益化の仕方、良いクライアントと避けるべきクライアントの見分け方など、質問をして会話の中で吸収していきましょう。

筆者の場合、担当弁護士の方がボス弁の先生であるため、上記のような点を積極的に質問しました。

民事弁護

ここからは、民事と刑事とで、具体的にどのような業務をするのか、個別に解説していきます。今回の記事では、民事弁護について詳しく解説します。

法律相談・打合せ

民事弁護の中核は、やはり法律相談や依頼者との打合せです。

法律相談は、そもそもそこに法的な手段・手続を駆使して解決することができる問題であるかどうかの見極めをします。依頼者が求めていることと、事実関係を聴取し、それらを照らし合わせながら、検討していきます。

そして、事件の見通しを立て、過去に扱った事件のデータとも照らし合わせ利益相反の該当性などを考えながら、受任の可否を検討します。

これらは、修習生も、どのような流れで、何を相談者や依頼者から聴取していくのかを事前に検討して応接に臨みます。

法律相談の上で事件を受任する場合、弁護士費用の説明をすることになります。その際、自分がどのように説明をするか、考えつつ、実際に弁護士がどのように事件を受任するのか、学びます。

すでに事件を受任している依頼者との間では、期日間などに打合せをします。前の期日を踏まえて、次の期日に向けた準備書面や証拠収集、和解案の検討などをします。修習生としては、準備書面、陳述書、和解交渉など様々な書面を作成する上で、依頼者との応接で主体的に臨むことが必須です
(場合によっては、修習生から直接依頼者に質問する機会もあります。)

裁判期日の傍聴

期日の傍聴は、実際に弁護士の横について、物理的に弁護人の視点で傍聴します。

修習生として発言する機会はありませんが、最初に民裁修習だった筆者としては、やはり視点が違うだけで、当事者視点になることを感じました。

また、筆者は、ほとんど全ての期日で、終了後に、期日経過報告書というものを起案する機会がありました。期日経過報告書は、その日にあった期日での、裁判所や相手方とのやり取りの内容、次回期日に準備することの連絡、提出された書面の送付などをするものです。

何を伝え、どの程度具体的に記載するのか、考えながら記述することに難しさを感じました。

起案

起案は、すでに述べたように、準備書面や期日経過報告書の起案のほか、後述のような保全事件の仮差押命令申立書起案もしました。

起案は、フィードバックがあります。筆者の配属先事務所では、特にABCなどの評価は付さない運用だったそうですが、どこができてて何が足りないのか、明確に指導されました。分かりやすく親身に教えて頂きました。

インハウスの業務

筆者の配属先事務所には、ボス弁である担当弁護士の他に、もう一人イソ弁の方がおりました。その方は、非常勤でインハウス業務をしているとのことで、筆者自身、ビジネス法務を志向していたことから、インハウスの業務も体験させて頂きました。

内容は、契約書レビューと法務相談です。

実際に企業の事業部(営業部など)から投げられる契約書レビューや事業モデルの適法性などの法務相談に対して、アドバイスをしていくものです。

特に契約書のレビューに関しては、AI契約書レビューソフトなども浸透しています。そのため、筆者が実際に体験した業務では、一度ソフトによるチェックを受け、およそ定型的な部分については法的リスクの有無などの指摘が付された上でのものでした。

そのため、求められるレビューとしては、個別の事業形態や契約目的に応じた、リーガルリスクの検討でした。具体的には、契約の構造が収益構造としても合理的かどうかなどといった点でした。

ビジネスの視点で、単に法律的な検討に基づく解にとどまらない点に、非常に面白さを感じました。

その他

他には、法テラスにおける不服申し立て審査の同席なども体験しました。他の事務所では体験できない手続で、貴重な経験となりました。

集合起案について

例年,裁判修習や検察修習と同様に,民事・刑事ゼミナールという即日起案が行われます。

今年は,集合での即日起案が中止となり,自宅起案となりました。

方法は,民事と刑事で異なる形で実施されました。民事は手書きの起案、刑事はWordでのPC起案でした。

飲み会・イベントなど

筆者の場合、弁護修習の時期は、コロナ禍で、かつ緊急事態宣言中であったこともあり、飲み会などの各種イベントも全て中止となりました。

本来であれば、初日に歓迎イベントで飲み会があったり、冒頭合宿という熱海での1泊2日の研修があったり、夜の修習なるものがあったり、様々な交流の機会があります。

しかし、筆者の場合、お楽しみのイベントは、軒並みありませんでした。唯一の楽しみは、一人晩酌でした(泣。

筆者以降の弁護修習では、コロナ禍が収束し、楽しみなイベントで他の修習生や弁護士の先生と多くふれあい、交流の多いより充実したものになるよう、願ってやみません。

前半のまとめ

いかがでしたか?

弁護修習の全体像から、具体的な業務内容まで、イメージを掴んでもらえたかと思います。

ぜひ、修習に向けた準備などに役立てて下さい。次回は、後編ということで、刑事弁護に関して詳しく解説していきます。

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