今回は、弁護修習リポート後半と題して、刑事弁護の修習について、詳しくお話していきます。

また、修習を踏まえて、弁護修習にあたってのポイント、弁護修習全体の感想についてもお話します。

【前半はこちら】現役司法修習生が語る弁護修習のリアル|配属先事務所での修習前半の概要

【執筆者】かわしょー吉
NO-LIMITのインターンを経験。令和2年司法試験合格。
令和元年司法試験予備試験最終合格。平成30年度司法試験予備試験では、口述試験落ちを経験。
趣味は釣り。カラオケも好き。宇宙系のyoutubeを見ることがマイブーム。
Twitter:https://twitter.com/kshokichi_law

 

刑事弁護修習

刑事事件については、どのような修習を行うのでしょうか。配属先事務所によって扱う刑事事件の種類や内容は異なりますが、およそ4つあります。

初動対応相談

民事事件でいえば、最初の法律相談にあたるようなものです。

例えば、

  • 突然特に心当たりのないことに関してガサ入れ(捜索差押え)がされて困ってしまった
  • 任意取調べに応じるように求められているがどう対応していいか(何を話し、何を話したらまずいのかわからない)
  • 人を殴ってしまってその場では警察を呼ぶことなく終わったが今後どうなるか

などです。

相談者は、突然の事態であることに加え、相談者自身も自分に何があったのかわからない場合もあり、不安な状況にあります。こうした寝耳に水のように相談者に降りかかった事件への対処法などの教示が、いわゆる初動対応です。

中小企業等の顧問先の相談の一類型であったり、過去に取り扱った案件の依頼者の紹介で入ってくるケースが多いそうです。

修習生は、民事の法律相談と同様に、事務所で応接に同席します。民事の法律相談と異なるのは、とにかくスピーディーな対応が求められます

相談者の身に起きた事態の内容と経緯、現状の把握、捜査の状況などを、想像力豊かに、かつ多角的に分析することが求められることを学びました。

特に、例えば参考人取り調べを求められているケースで、相談者自身が犯罪に問われているか否かにかかわらず、迂闊に自分の思考と言葉で話してしまうと、捜査機関に揚げ足を取られ、思わぬ方向に進展してしまい取り返しがつかないことになりかねません。

そうならないように、捜査機関のことや刑事手続を熟知している弁護士の立場で、相談者の対処法を、言葉の選び方などを含めて詳細にアドバイスすることが重要になります。

国選事件

国選事件は、被疑者国選と被告人国選の2種類がありますよね。基本的には、いずれもやります。

弁護士会の事務局の計らいで、配属先事務所の担当弁護士の手元案件がない場合、他の弁護士の事件に同行する形で経験させてもらえることもあるようです。

被告人国選について

筆者の配属先事務所では、2日目に法テラスで被告人国選の案件を取りに行くところから始まり、案件の受任段階から、公判まで一通りの流れを体験することができました。

ただ、この事件は、特殊で、2回目以降筆者が接見に同席することができない状況でした。これ以降のお話は、印象に残った事件の方で、詳しくお伝えします。

被疑者国選について

筆者は、当番弁護士の事件を1件、体験しました。

当番弁護において、何を準備するのか、実際に自分が担当弁護士であるとして何を聴取し、どのような言葉で何を説明するのか、事前に担当弁護士の人と議論して準備しながら臨みました。

他方、実際には、限られた時間の中で、しかも被疑者の感じていること、不安なこと、聞きたいことが様々あり、準備している筋書き通りにいきにくい側面もあると感じました。

そんな中でも、質問で聴取すべきところは聴取し、被疑者自身が話したいところは話をさせて、適宜アドバイスなどをするという点が、参考になりました。

修習生は、接見で、場合によっては直接質問する機会もあります。筆者も、直接コミュニケーションをとる機会がありました

臆することなく、疑問に思っていることを率直に聞き、適宜必要事項を補充して説明することもありました。そうして接見を体験する中で、被疑者からの信頼を得て、心の内を話してもらうことが大切だと感じました。

刑事弁護に関しては、弁護士のコミュニケーション能力について考える機会となりました。

総じて、学んだ点が多かったと思います。

私選事件

筆者は、私選弁護事件は特にありませんでした。しかし、刑事事件を専門に多く取り扱う事務所などでは、一定数私選弁護事件を見ることができるでしょう。

少年事件付き添い

少年事件の付添人、国選の付添人は、少年法22条の3第1項あるいは2項等に基づいて選任されるものです。

付添人は、少年の言い分を聴取し、適正な処分に向けた活動を行います。ざっくり、国選弁護人のような立場で活動を行うものという理解になります。

筆者は、修習の中で少年の付添人の事件に遭遇することはありませんでしたが、少年事件に興味がある人は、ぜひ積極的に手を挙げてみてください。

証拠開示などの立会い

公判前整理手続はもちろん、通常の手続でも、証拠開示請求の制度がありますよね。

国選弁護事件であれば、被告人国選事件で証拠開示手続に立ち会う機会があります。証拠の謄写や閲覧を行います。

検察庁にある一室で行いますが、手続のやり方や、どのような書類を書いたり、事前準備が必要であるかは、ここで学ぶことになります

起案

刑事弁護での起案は、弁論要旨起案、被告人質問事項、証人尋問事項、場合によっては弁護人の冒頭陳述の起案がある場合もあるようです。

筆者は、弁論要旨起案と、被告人質問事項の起案をしました。いわゆるケースセオリーというものがあり、両者は、相互にリンクしているので、併せて起案することになるのが通常です。

ストーリーテリング方式で、弁護人側として、当該事案で主張するストーリーを作成することになります。それは、いわば立証目標です。

そのゴールから逆算して、証拠収集を行ったり証拠の検討をしていくことになります。なので、(想定)弁論要旨の起案は、弁護活動の肝であるといえます。

弁護修習でのお役立ち情報

弁護修習での経験を踏まえて、弁護修習にあたっての心構えやよくある疑問などについて、筆者なりの見解を7つ、まとめてみました。

修習前の手土産

修習前に、配属先事務所が決定次第、事前の連絡とともに、事務所訪問をするのが通常です。

事前にコミュニケーションを取り、少しでもなじむためです。連絡するのは、配属先事務所と、担当幹事の2人です。

また、儀礼的に、手土産を用意することが慣例とされている場合もあります。事務所によっては、事前に、手土産などは持ってこないように言われる場合もあります。

問題は、明言されない場合です。

結論的には、持って行っても、受け取ってはもらえると思います。

ただ、だからといて修習の成績が良くなるとか、そういうわけでは決してありませんし、持って行かなかったから不利益に扱われることもないでしょう。

気持ちよくランチを奢られるべし

ランチを中心に、指導担当の弁護士の方から食事をごちそうになる場合は、気持ちよく奢られましょう。遠慮なく、食べたいものを食べるようにしましょう。

奢られた分は、後輩弁護士に返していくことがしきたりのようなものだそうです。

積極的に指導担当弁護士に質問すべし

法律の業務に関することだけでなく、弁護士の法律事務所の経営のことであったり、仕事術であったり、メンタルヘルスの管理であったり、趣味であったり、とにかく色んなことを積極的に質問して、吸収しましょう。

ランチや裁判所への移動時間等は、時間があることから、質問の機会になります。

ロースクールなどでは、腰を据えて経営に関する勉強をする機会も少ないことから、弁護士の経営術を学ぶことは非常に有益です。

筆者がついていたのは、小規模事務所のボス弁だったことから、法律事務所の経営に関することも様々お話しする機会があり、大変勉強になりました。

応接では、臆さずにカットイン

民事弁護で、相談者や依頼者との応接では、修習生も主体的に質問をしましょう。

起案のために、必要に駆られて質問することがありますが、そうでない場合でも、記録を読み事案を把握して、相談者に自分の言葉で質問をなげかけることは、よいトレーニングになります。

WiFiなどは、事務所の環境を利用できるのが通常

筆者は、裁判所修習でWiFi難民になりました。しかし、弁護修習では、事務所のWiFiを使うことができたので、事なきを得ました。

通常の事務所であれば、事務所の通信環境を利用できるので、事務所内での修習の際は、特に心配する必要はありません。

USBを2つ用意

事務所でUSBを貸与される場合を除いて、USBは2個用意しておくと安心です。事務所に置き、事件関連情報を扱うものと、修習での書類などを保存しておくものの2種類があれば、足ります。

修習時間外の誘いも参加

修習時間外では、趣味が合う場合は、担当弁護士の先生から趣味に誘われることもあります。そのようなイベントには、可能な限り参加しましょう。

なぜなら、そこから、新たな人脈の構築などにつながるからです。

指導担当弁護士が指導した過去の修習生や、お世話になった弁護士とのつながりから、修習生にも知り合う機会ができます。

まとめ

いかがでしたか?

弁護修習は、裁判所や検察とは異なり、扱う業務の内容も多種多様です。定型的ではなく、配属先事務所ごとで、色濃く違いがあります。

また、業務以外で、経験できること、学べることも、裁判修習や検察修習と比べて多いと思います。ぜひ、弁護士の自由な働き方、仕事の多様性などを存分に楽しんでみてください!

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