一度は社会人になったものの、「弁護士になりたいと」という気持ちがある方もいらっしゃると思います。
弁護士になるための司法試験は難関なので、生半可な気持ちでは合格できません。しかし、実際に社会人として働きながら勉強と両立させて弁護士になれた人もいるのです。
- 社会人から弁護士になるためにはどのような手段があるのでしょうか。
- 実際に司法試験に合格した人はどのように勉強していたのでしょうか?
弁護士になるために必要な勉強時間やコストについても紹介します。
目次
社会人から弁護士になる方法とは?
結論、社会人から弁護士になることは可能です。
弁護士になるためには、「法科大学院に通う」「予備試験を受ける」という2つの流れがあります。
法科大学院に通う
弁護士になるためには司法試験に合格する必要があります。司法試験の受験資格の一つのルートとして、法科大学院を卒業することが挙げられます。
ただし、法律事務所への就職を考えて学歴が高い法科大学院に入りたいのであれば、入学だけでも大変だということは覚えておきましょう。
法科大学院は、
- 大学時代に法学部だった場合には2年間
- それ以外の学部だった場合は3年間
通う必要があります。一旦一度仕事を辞めてから入学するか、夜間のコースに通う方法を選べます。
予備試験を受ける
司法試験を受けるためのもう一つのルートとして、司法試験予備試験に合格するという方法があります。
この予備試験は旧司法試験の廃止に伴い2011年から導入されました。学歴関係なく受けられるのが特徴で、受験料17,500円で受験することが可能です。
法科大学院へ進学せずに大学生のうちに司法試験に受かるために利用する人や法科大学院在学中に利用する人が多いですが、それ以外の人もこの制度を利用しています。
司法試験の合格率は?
2019年の司法試験は4,466人が受験しており、その中の合格者は1,502人で合格率は33.6%です。
法科大学院で勉強をしたり、予備試験を受けるなどして準備をしたりしている人が受けても30%程度の合格率ということで、非常に難易度が高いということがわかります。
令和元年 | 平成30年 | |
出願者数 | 4,930 | 5,811 |
受験予定者数 | 4,899 | 5,726 |
受験者数 | 4,466 | 5,238 |
短答式試験の合格に必要な成績を得た者の数 | 3,287 | 3,669 |
合格者数 | 1,502 | 1,525 |
受験者に対する合格率 | 33.6% | 29.1% |
また、選択科目については、労働法を選び合格した人が482人(32.09%)と一番高い結果でした。
合格者に関する情報 | 令和元年 | 平成30年 | ||
倒産法 | 230人 | (15.31) | 240人 | (15.74) |
租税法 | 97人 | (6.46) | 101人 | (6.62) |
経済法 | 273人 | (18.18) | 265人 | (17.38) |
知的財産法 | 194人 | (12.92) | 192人 | (12.59) |
労働法 | 482人 | (32.09) | 466人 | (30.56) |
環境法 | 72人 | (4.79) | 67人 | (4.39) |
国際関係法(公法系) | 13人 | (0.87) | 9人 | (0.59) |
国際関係法(私法系) | 141人 | (9.39) | 185人 | (12.13) |
予備試験合格者の司法試験合格率は非常に高い
令和元年の予備試験合格者で司法試験の受験者は385名ですが、このうち予備試験最終合格者の人数は315名でした。
公務員14名、会社員32名、法律事務所事務員5名、塾教師4名、自営業7名などの社会人も合格したとのことです。
この通り、社会人でも頑張って勉強すれば司法試験に合格できるということがわかります。
社会人を続けながら弁護士は目指す勉強方法とは?
上記の通り、社会人でも司法試験に合格している人も少数ながら存在します。具体的にはどのように勉強すれば良いのでしょうか。
夜間や土日に通える法科大学院へ通う
法科大学院の中には、夜間や土日に通えるコースを設定しており、会社員でも通いやすい時間に講義をしている学校もあります。
筑波大学の法科大学院は、平日18時から始まる夜間コースを受講することができ、立地も秋葉原駅から徒歩3分と便利なので社会人にとっては好条件といえるでしょう。
社会人が一度会社を辞めて数年のブランクを作るのは、司法試験に合格できなかったことを考えると非常にリスクが高いといえます。特に家庭がある場合などは家族から反対されるなどして弁護士への道を諦めなければいけないこともあるかもしれません。
一方、社会人として働きながら法科大学院に通うのは、体力面・精神面では大変かもしれませんが、キャリアの継続や収入を確保できるという点で安心できます。
残業が少なく早く帰ることができる環境や職場の理解がないと難しいかもしれませんが、会社員でも会社を辞めずに法科大学院へ通うという方法もあるのです。
参考:筑波大学|法科大学院
専門学校に通い効率的に勉強する
司法試験予備試験合格を目指す場合には法科大学院へ通う必要はありません。
そのため、専門学校に通い司法試験のポイントを効率的に勉強するという方法も良いでしょう。専門学校にはさまざまな学校やメニューがあるので、仕事しながらでも通いやすい場所や満足できるサポートがあるものを選ぶことをおすすめします。
また、法科大学院の場合は、弁護士になってからなどの講義もあるため、司法試験対策だけに集中できるわけではありません。その点、専門学校では試験突破で必要なことを集中的に勉強できることもメリットです。
オンライン予備校を利用する
最近では、オンライン完結の授業を提供する予備校も増えています。オンライン予備校を利用する場合、通学などの手間を省くことができます。
オンライン授業が開催される時間に間に合わなくても、後から自分の好きな時間や場所で授業を受けられるところがメリットですし、通学型の専門学校に比べてもオンライン予備校の方がさらに費用を抑えることができます。
オンライン予備校でも、必要に応じて講師とコミュニケーションが取れる環境もあるそうです。
また、難関の論文問題では自分の回答が正しいかを評価してもらわなければ合格に近いのかが分からないでしょう。オンライン予備校でも論文を添削してくれるようなサービスを提供している場合もあります。
独学で勉強する|ハードルはかなり高い
かなりハードルは高くなりますが、独学で予備試験を突破するという方法もあります。
独学のメリットは、参考書の購入くらいしかお金がかからないので大幅にコスト削減ができます。
しかし、独学で司法試験合格を目指す人が非常に少ないため、参考書もそこまで多くはありませんし、どの参考書が良いのかアドバイスを受ける機会もないでしょう。
また、論文問題の添削をしてもらえる人がいないと、「自分の回答が合っているのか」「何が足りないか」を理解することが難しいです。どうしてもお金をかけたくない場合は独学を選んでも良いですが、合格するまでの道のりが長くなることは覚悟しておきましょう。
社会人を続けながらどうやって勉強する場合の勉強時間は?
弁護士になるための最短ルートは予備試験に合格して、翌年に司法試験に合格することです。勉強時間としては短くても予備試験合格までに2,000時間〜3,000時間必要といわれています。
予備試験合格から司法試験合格までは1,000時間ほどなので、予備試験合格までの時間をいかに効率的に学習するかが大切です。
引用元:アガルート
社会人で働きながら予備試験に合格するには、学習期間2年で1週間あたり20時間以上の学習が目安となります。平日勤務後に毎日時間が取れるのであれば3時間ほど机に向かって勉強しても良いですし、土日に集中して勉強するのも良いでしょう。
また、通勤中や昼食時間などの隙間時間も上手く活用することが短期合格の鍵となります。
社会人から弁護士を目指す場合のコスト
上記の通り、社会人が弁護士を目指す道としては法科大学院に通うか、専門学校などで勉強して予備試験に合格して合格資格を取得する方法があります。
法科大学院の学費|80万円〜100万円/年
法科大学院の学費は、国立が1年あたり約80万円、私立が1年あたり約120万円ほどです。大学で法学部専攻だった場合には2年間、それ以外は3年間なのでそれぞれの勉強期間をかけて計算します。
専門学校では、法科大学院に比べると学費のコストを若干下げることができます。
しかし、少人数性のクラスで手厚い指導が受けられるような専門学校の場合は年間授業料が100万円を超えることもあり、法科大学院よりも高い場合もあります。
また、大学も法学部ではなく初心者の場合は何年も通う必要があるかもしれない点で覚悟は必要です。
オンライン予備校が注目|費用も50万円前後
好きな時間に受講できる点と費用の安さから最近注目されています。
たとえば、令和元年の司法試験合格者の34.8%が受講した『アガルート』の受講料は、予備試験最短合格カリキュラムが649,800円(税抜)です。
このようなオンライン予備校でも、必要に応じて講師とコミュニケーションが取れる環境や、論文を添削してくれるような指導を受けられます。
表:予備試験最短合格カリキュラムと各オプションの比較
オプション無し | マネージメントオプション |
||
通信指導 | ラウンジ指導 | ||
通信講座 | ○ | ○ | ○ |
音声ダウンロード | ○ | ○ | ○ |
質問制度 | ○ | ○ | ○ |
添削通数 | 100通程度 | 最大250通程度 | 最大250通程度 |
フォローアップ・指導の内容 | 月1回の定期カウンセリング (30分程度) |
講師による 週1回の通信指導 (1時間程度) |
講師による 週1回の通信指導 (1時間程度) |
講師による 進捗管理, 答案指導等 |
× | ○ | ○ |
ラウンジの利用 | × | × | ○ |
講座の視聴期限 | 2024年7月末まで | 2024年7月末まで | 2024年7月末まで |
講師による 指導の利用期間 |
2023年7月末まで | 2023年7月末まで | 2023年7月末まで |
価格(税抜) |
698,000円 |
1,258,600円 |
1,696,100円 |
参考:アガルート
授業料が安いからと選んでも、なかなか試験に合格できず何年も受講する必要があったり、途中で諦めたりということがあってはもったいないです。
さまざまな学校があるので、よく比べて自分が勉強しやすい環境のものを選ぶべきといえます。
【関連記事】アガルートアカデミーの予備試験講座は評判良い?講座内容や価格・おすすめポイントを解説
詳しくはこれから解説します。
司法試験・予備試験対策におすすめの予備校3選
アガルートアカデミー|資格予備校支持率・サポート体制NO.1
公式サイト:https://www.agaroot.jp/shiho/
アガルートアカデミーは、2015年1月と比較的最近に開設したオンライン資格予備校です。
司法試験の対策予備校のなかでは歴史が浅いものの、実績に関してはすでに目を見張るものがあります。
なんと令和3年司法試験合格者1421名のうち、669名がアガルートの講座利用者でした。
フルカラーで見やすい独自テキストに加えて、学習しやすさを追求した受講システム、プロ講師によるフォロー体制が充実しているなど、合格に欠かせない学習環境が揃ったサービスといえるでしょう。
特徴
- 学習のしやすさにこだわった多機能受講システム
- プロ講師による個別指導・フォロー体制が充実
- 司法試験合格者への受講料返金制度
公式サイト:https://www.agaroot.jp/shiho/cr/yobihoukaa/
スタディング(STUDYing)|コスパで選ぶならおすすめの予備校
スタディングは、KIYOラーニング株式会社の代表、綾部講師が立ち上げた通信講座です。通勤時間にも学習できるようなカリキュラムとなっており、スマホなどでも好きな時間に好きな場所で学習を進めることができます。
その手軽さから累計受講者数は80,0000人を超えているそうです。
特徴
- 1.受講料の安さ。難関資格で受講料10万円以下コースがあるのはスタディングだけ
- 2.スマホやタブレットだけで学習を進めていける
- 3.スキマ時間を活用して効率の良い勉強ができるように設計
- 4.勉強の息切れ・挫折を防ぐために、自身の学習状況が自動的に集計、グラフと数値で表示
公式サイト:https://studying.jp/shihou/
資格スクエア
資格スクエアは、近年注目を集めている司法試験予備校の一つです。他の予備校に比べて、受講料が比較的に安く、さまざまな受験生から人気です。
資格スクエアの予備試験講座は、情報の取捨選択を徹底して行い、重点分野は繰り返しアウトプットを行確実に合格点を取るというコンセプトとなっています。
最も重要なことは満点ではなく、合格点を目指すこと。というコンセプトのもと、7割合格を目標にした勉強を指導しています。
2013年弁護士の鬼頭政人講師に作られたサービスで、株式会社サイトビジットが運営しています。特に予備試験対策講座は2019年に司法試験の予備試験で論文1位の受講生を輩出したことでも話題に。
大きな特徴として、講座は全てオンラインに特化しており、大手予備校のような校舎を持っていないこと。広告費を削るなどして安価なサービス提供ができるように工夫されています。
そのおかげで司法試験対策講座は約15万円(税込)という、司法試験対策大手の5分の1程度に抑えられています。
特徴
- 1.出題分析にもとづくA~Cのランク付け
- 2.司法試験委員会の理解にそった解説
- 3.労働法1位、総合39位で合格した講師が解説
- 4.最新の出題傾向・判例学説を反映した解説
公式サイト:https://www.shikaku-square.com/
法科大学院より予備試験で弁護士を目指す方が良い?
特にオンライン予備校の授業料は安いので、短い勉強期間で予備試験に合格して司法試験受けられる資格を得ることができれば非常にコスパが良いといえます。
実際に、司法試験合格者は予備試験合格者が多いので、社会人がわざわざ法科大学院に通うメリットはあまりなさそうです。
しかし、大手法律事務所に勤務したい場合は学歴や職歴も重視されます。
そのため、高学歴といわれる大学を卒業して大手企業に就職している場合さほど問題ありませんが、そうではない場合は法科大学院で学歴を上方修正するというやり方もあるのです。
上記で紹介した筑波大学以外にも慶應義塾大学や早稲田大学で社会人向け夜間コースが受講できます。
実際に社会人から法科大学院に通い弁護士になった方の体験談
日本弁護士連合会では、実際に社会人から弁護士になった方へのインタビューをしています。こちらで紹介されている方は法科大学院をその方々がどのように勉強に臨んだかなど紹介します。
官僚から弁護士へ
下向智子さんは厚生労働省の官僚として働いていました。厚生労働省勤務中に法改正などに携わる中で弁護士という仕事に興味を持ったそうです。
29歳で早稲田大学の法科大学院(3年間の未修コース)へ入学して、そのうち1年3ヶ月をミシガンのロースクールへ交換留学。
帰国後は司法試験まで時間がなかったこともあり、食事の時間も削って黙々と勉強をして司法試験合格にたどり着きました。5大法律事務所の西村あさひ法律事務所に入所して、現在はバンコク事務所へ勤務しているとのことです。
西村あさひ法律事務所(東京弁護士会)
2006〜2009 早稲田大学法科大学院
2007〜2008 ミシガン大学ロースクール
2008 ニューヨーク州司法試験合格
2009 司法試験合格私は未修コース(3年間)だったのですが、そのうち1年3ヶ月間(2年次6月~3年次8月)早稲田大学法科大学院からアメリカのミシガンのロースクールに交換留学させてもらったことが大きな転機となりました。アメリカのロースクールへの留学は学費も高額で時間もとられるため、交換留学制度を利用させてもらえるこの機会が人生で最後のチャンスだと考え思い切って行ったのですが、これは自分が社会人を経験していて留学の機会がどれほど得難いかを認識していたからです。
この留学がきっかけとなり企業法務や海外での仕事に興味を持ち、現在タイで働くに至っています。人生、思わぬところに出会いや機会があるのだなと実感しています。
もっとも、3年次の秋に帰国しそこから司法試験まで9ヶ月ほどしかなかったため、司法試験前は物凄く大変な思いをしました。帰国直後はとにかく知識が足りていなかったので、授業に出る以外は自主ゼミもせずご飯の時間もなるべく節約して黙々と一人で勉強していました。
どのような勉強方法が合っているかは人によって違うと思いますが、私の場合は教科書と判例をできるだけ丁寧に読み、分からないところは教員に質問して潰すということを地道に進めました。
引用元:日本弁護士連合会|弁護士になろう 8人のチャレンジ
夜間法科大学院で勉強しながら企業内弁護士へ
笹川豪介さんは、三井住友信託銀行に入社し法務部に配属となり、筑波大学法科大学院の夜間コースに通いながら司法試験に合格しました。
平日火曜日から金曜日までが18:20〜21:00まで、土曜日が10:00〜18:00までが授業で、授業後や日曜日にも勉強を欠かせませんでした。
3年間の未修コースで、ほとんど知識はなかったとのことですが法律の勉強が苦痛ではなければ十分社会人でも合格できるとおっしゃっています。法律事務所への出向を経て現在は企業内弁護士として働いているそうです。
三井住友信託銀行株式会社(第一東京弁護士会)
2006〜2009 筑波大学法科大学院(夜間)
2010 司法試験合格働きながら夜間ロースクールへ
上記のとおり、私は信託銀行での勤務を前提として夜間のロースクールに入学しました。よって、平日の日中は同じ会社の他の社員と同様に法務部で勤務し、定時後の残業に関して一定の配慮をしてもらった上で(時にはそれでも残業が生じることはありましたが)、火曜日から金曜日は18時20分から21時まで、土曜日は10時頃から18時頃まで、ロースクールの授業を受ける生活をしていました。ロースクールの授業以外の勉強については、月曜日の勤務後、火曜日から金曜日の授業後と、土日の空き時間に行っていました。昼間のロースクール生と比較すると、授業以外の勉強時間が短くなりがちですので、その分意識して効率化を図っており、一方でなるべく睡眠時間は削らず、6時間程度は睡眠時間を確保するように努めていました。
なお、私は非法学部出身で未修コースでしたので、不動産鑑定士試験で若干かじった民法以外は完全に一から勉強を行いました。それでも法律の勉強が苦でなければ、司法試験の合格は決して困難なものではなく、十分に合格することができる試験であると考えています。
引用元:日本弁護士連合会|弁護士になろう 8人のチャレンジ
主婦から弁護士へ
法律事務所(埼玉弁護士会)
2008〜2011 日本大学法科大学院
2011 司法試験合格私は経済学部出身ですが、学生のころ憲法や民法の講義を受講することがあり、その講義の面白さに法学部に転部したいとさえ思いました。ただ、実際に転部には至らず、卒業後は銀行に勤め、結婚出産を経て、市役所やケアマネージャーとして働きました。
仕事をする中で、介護保険法など法律に触れる機会はありましたが、だからといってその時は本格的に勉強しようとは思いませんでした。 きっかけは、仕事を退職したころ、息子がロースクールに進学することになり、息子からは「お母さんも法律勉強したかったんでしょ、ロースクール受験してみたら」という冗談とも本気ともつかない言葉を投げかけられて、ふと勉強してみようかな、という気持ちが起こったことでした。
ですから、法科大学院を受験したときには、弁護士になりたいという強い希望があったわけではなく、漠然と法律を勉強したいという思いがあっただけでした。
ところが、法科大学院に通い、法律を勉強し始めると、日常生活の些細な出来事にも法的意味をもつ事実がたくさんあることに気づき、自分のこれまでの経験が誰かの役に立つのではないかと思うようになりました。日常生活に密着した弁護士を目指そう、と決意したのでした。
経済学部出身でしたので、法律の知識はほとんどもっていませんでしたから、往復の通学電車内では法律書や判例百選等を読み、学校にいる間は、昼食時間も外出することもなく、学校で与えられていた自習室の自席で、おにぎりやサンドイッチを食べながら勉強し、できるだけ効率的に勉強することを心がけていました。
また、学校の長期休暇中も、ほぼ、前記のスケジュールどおりに登校し、自主ゼミや自主学習を行っていました。
授業でわからないことや難解な法律概念等については、教員に個別に質問し、図書室の資料を利用するなどして、法科大学院が提供するサービスは最大限に活用しました。
引用元:日本弁護士連合会|弁護士になろう 8人のチャレンジ
実際に社会人から予備試験を受けて弁護士になった方の体験談
社会人で法科大学院に通わず、予備試験を受けて弁護士資格を取る人もいますが、まとまった勉強時間を確保できる学生に比べると合格率は低いです。
それでも難関の予備試験を合格して司法試験の受験資格を得る社会人も毎年います。社会人で予備試験に合格する人のほとんどは、線も学校などを利用していますが、特にオンライン予備校の授業を選ぶと場所や時間を選ばずに受講できるので便利とのことです。
ただし、「いつ何を受講するか」という自己管理が必要となるため、エクセルで管理表などを作り予備試験や司法試験までに間に合うような学習計画を作る必要があります。そのスケジュールに沿って、疲れている日でも気合いを入れて勉強を続けることが大切なのです。
スマホのSNSやゲームなど気が散りそうなものについてはアンインストールしておくなど気が逸れないような環境作りも大切なのです。また、働きながら勉強する場合、体力・精神共に無理しすぎると続きません。
勉強時間が3年〜5年はかかることを念頭におき、睡眠時間は大幅に減らさず、平日は3時間と土曜日だけにするなど、ストレスをかけすぎない時間配分にすることも大切です。
まとめ
社会人が弁護士になるためには、法科大学院に通うか予備試験に受かることにより司法試験の受験資格を得る必要があります。一度仕事を辞めて勉強に集中するのが理想ですが、合格まで何年かかるかわからない中で収入を失うのを怖いと感じる方も多いでしょう。
法科大学院の中には夜間コースを開講しているところもあるので、職場の理解があるならば通うこともできます。また、予備試験に合格するための専門学校も増えていますので、夜間や土日に学校を活用したり、好きな時間に勉強できるオンライン予備校を利用したりするのもおすすめです。
いずれにしても膨大な勉強時間が数年に渡り必要となるので、働きながら司法試験合格を目指すのは大変なことです。
「絶対に合格する。」という強いメンタルを持ち、誘惑に負けないように勉強時間や勉強範囲について自己管理することが大切といえます。