現在営業職で働いている方が「専門知識を使った仕事をしたい」と法務職への転職を考えることもあるでしょう。しかし、法務職は経験者や法学部卒業の方が採用されることが多く、未経験の場合はハードルが高いです。

  • 未経験でも営業職へ転職する方法はあるのか
  • また、営業経験が強みとしてアピールできる点はあるのか

弁護士・法務人材専門の転職支援サービス『NO-LIMIT』編集部が、具体的なキャリアプランや取得すると有利な資格を紹介します。

 

営業職から法務に転職することは可能か?

営業職として働いている人が法務職に転職したいと考えることもあるでしょうが、実際に転職することは可能なのでしょうか。

法学部出身なら実務未経験でも転職しやすい

大学の専攻が法学部だった場合には、法務職としての実務経験がなくても基本的な法律知識があると判断されて転職できる可能性はあります。実際の求人でも、「未経験不可、法学部出身者は応相談」という案件も見受けられます。

そのため、法学部出身者ならば営業しか経験がなくても比較的法務職へ転職しやすいといえるでしょう。人材紹介会社の営業経験のちに法務部への転職をされた方もいらっしゃいます。

未経験でも応募可能な場合はチャレンジできる場合も

未経験や法務部出身ではなくても応募可能な案件は稀にあります。ほとんどは小規模の企業で、実践しながら法務知識を蓄えていくことが期待されます。このような未経験での転職では、「新しい知識を覚えることに前向き」というアピールが大切です。

営業での実績が評価されて抜擢されるかもしれませんので、転職活動では営業での経験をどう法務職で活かせるかをアピールできるかが大切です。

法学部以外でも法務職を目指すことはできるか

基本的には法学部出身者が法務職に抜擢されることが多いので、法学部出身者以外が法務職を目指すのは非常に難しいです。しかし、母数としては少ないですが、未経験者でも法務職にエントリーできる企業も転職市場には存在します。

法務以外しか経験がない法務者は先ほどの調査では全体の37.3%ですので、法務に転職するかたの約6割は法務部以外での業務経験者と言うことになります。

そのため、可能性としては低いけれど絶対に無理とは言い切れないです。

社内のジョブローテーションで移動することも選択肢の一つ

転職だけではなく、社内公募などの制度があれば営業職から法務職へのジョブローテンションに挑戦できます。社内公募を採用している企業では、現在と全く異なる職種に挑戦する機会が設けられ、テストや面接などに受かることで自分が希望する職種に就くことができるのです。

将来的に法務職として転職を考える場合にも、一度法務職とておいた方が有利になるので、今所属している企業でもチャンスがあれば法務職を経験しておいた方がいいでしょう。

 

法務に転職した際の主な仕事内容5つ

まず、法務職の主な仕事内容について紹介します。

契約書の確認

会社経営では、契約書を結ぶ場面が非常に多いです。具体的には新しい商流が発生した時、融資を受ける時、不動産などを購入する時などです。このような場面で契約書を作成する場合もありますし、相手から提示された契約書を確認する場合もあります。

何か問題が発生した際には契約書の内容に従うことになるので、自社にとって不利な条件ではないことを確認することは法務職にとって非常に大切な仕事なのです。

社員のコンプライアンス対応

情報流出や偽装などの不祥事は、一人の社員のコンプライアンス意識の欠如によって引き起こされる可能性があります。たとえば、一人の社員が情報漏洩させてしまったとしても、企業イメージを大きく失墜させてしまいます。

そのため、法務職としては正社員からパートやアルバイトまで、企業で働く人全員のコンプライアンス意識の向上に努める必要があるのです。具体的には定期的な勉強会で禁止事項の確認をしたり、テストを実施して理解度を図ったりすることができます。

顧問弁護士とのやり取り

企業の場合、法務知識が必要な仕事については顧問弁護士に相談することになります。そのため、契約書の作成時はもちろんですが、規制対応などをする際にも顧問弁護士とのやり取りの仕事が増えるのです。

顧問弁護士のアドバイスに従い、法律に触れないような社内規定やマニュアル作りをしていきます。

海外展開・M&A準備

海外展開をする際には、進出国の法律を調べて、法律に抵触しないように事業を進めることが大切です。また、M&A案件においても弁護士と協働してデューデリジェンス対応などを行います。このような仕事は法務職の中でも難易度が高く、専門知識が必要な仕事なので、限られた人が任されるようです。

紛争・訴訟対応

取引先や顧客と紛争になってしまった場合には、法務職が仲介となり問題解決に努めます。万が一、訴訟に発展する場合には裁判の準備のために顧問弁護士と共に資料作成などをし、裁判に備えます。

営業職から法務職に転職する場合の強み

営業職から法務職へ転職する場合の強みについて紹介します。

基本は攻めの営業目線で法務を考えられる

企業は営利組織であり、利益を出せなくなれば運営できなくなります。そのため、法律に抵触することには気を付けながらも、いかに法律に抵触しないかを考えて攻める姿勢が大切です。

もともと営業をしていた人ならば、利益の出し方を理解しているのと攻めの姿勢が根本的にあるでしょう。その点では保守的になりがちな法務部出身者に比べて強みになるのではないでしょうか。

コミュニケーションスキル

営業職は顧客との接点が多く、商品やサービスを購入してもらえるようなコミュニケーションスキルを持っていることが多いです。法務職も社内外に接点はありますが、営業職に比べれば少ないです。

そのため、営業で鍛えたコミュニケーションスキルを活かすことができれば、対顧問弁護士、対投資家などで仕事をスムーズに進めることができるでしょう。

交渉力

営業職は顧客に対しても社内に対しても交渉することが多いです。そのため、交渉力を法務職として活かすことができれば、日程調整や条件など自社にとってメリットがある交渉がしやすくなります。

社内調整力

法務職は、社内の人に対して依頼することが多い仕事です。他の仕事で忙しい中、手を止めて対応してもらわなくてはいけないこともありますが、営業で身に付けたコミュニケーション能力や交渉力で社内調整力を発揮できると非常に重宝されるでしょう。

 

法務職と営業職のどちらが市場価値が高いか

基本的にどんなに小規模の企業にも営業職は存在するので、転職市場での求人数自体は営業職の方が多いといえます。営業職は商品などに対する専門知識は転職後に覚えることができるので、未経験であってもやる気さえあれば採用されますが、条件はさまざまです。

一方、法務職は法務知識という専門知識が必要なので、専門知識を有していると評価されれば好条件で転職しやすいです。人材サービス大手のパソナによると、管理部門全体の求人は、4月の緊急事態宣言の時点でコロナ禍前の60%程度に落ち込み2020年12月の段階で80%程度です。

しかし、法務職は横ばいに近い数字が続いているそうでコロナ禍で採用が控えられている中でも法務部の需要は高いといえるでしょう。

ただし、中小企業などでは独立した法務部を構えている企業は少なく、求人数自体は営業職に比べると少ない傾向にあります。

営業から法務に転職した際のキャリアプラン

営業職から法務職へ転職するにはどんなステップを踏めばいいかを紹介します。

未経験可能な企業の法務へ就職して経験を積む

法学部以外・未経験の場合は未経験可能な企業の法務へまず転職することで法務職のキャリアを築きましょう。企業規模が小さくなることにより、一旦は収入が落ちたり、待遇が悪くなったりするかもしれません。

しかし、数年間所属し法務職の経験を積むことができれば転職市場でも価値が高まり、次のキャリアにも進みやすくなります。

いったん法律事務所でパラリーガルとして経験を積む

パラリーガル経験者を法務職として採用する企業も増えています。そのため、遠回りにはなりますが、一旦法律事務所でパラリーガル経験を経て法務職へ転職するという道も考えられます。この場合、企業法務を取り扱う法律事務所で勤務した方が法務職としての市場価値は高まりますので、その点も考えてキャリア構築できるといいでしょう。

関連サイト:未経験からパラリーガルを目指せる講座『AG法律アカデミー』

転職を重ねてキャリアアップを目指す

法務職として経験を一度でも積めると、転職市場での価値は上がり、その後の転職はしやすくなります。自分が求める年収や労働条件を求めて転職を繰り返すことにより、キャリアアップできでしょう。

法務部員の年収は400万円~700万円

さまざまな転職サイトの法務求人をみるに、転職市場における大まかな年収相場は400万円~700万円くらいだといえそうです。

しかし、なかには年収1,000万円を超える求人もあれば、おそらく未経験または若年層を想定した年収300万円台のものも見受けられました。

【主要転職サイトにおける法務求人の想定年収額】

サイト名 最低想定年収額 最高想定年収額
doda 280万円 1,500万円
マイナビ転職 250万円 1,500万円
エン転職 270万円 1,000万円

もちろん相場の金額は絶対ではありません。年収は求職者の持つ経験やスキル、年齢、企業規模等のさまざまな要因によって大きく異なります。

仮に求人に記載された年収額が低くても、採用時に経験やスキル等を踏まえて、掲載金額以上で契約を結んでくれることもあるため、参考程度にとどめておくのが無難でしょう。

営業職から法務に転職する方法

営業職から法務職へ転職するにはどうすれば良いのでしょうか。

転職エージェントを活用する

転職エージェントとは、求人がある企業と転職希望者をキャリアアドバイザーがマッチングさせてくれます。キャリアアドバイザーとの面談で、希望条件や職種などを伝えるとキャリアアドバイザーが求人の中からマッチするものを提示してくれるので、その中から選考に進みたいも求人を選びます。

企業も面接をしたいとなれば面接に進みますが、キャリアアドバイザーは事前に転職希望者の情報を伝えたり、日程の調整をしたりしてくれるので、流れはスムーズです。

特に未経験の場合、自分自身で応募すれば書類審査で落ちてしまうこともありますが、転職エージェントを通すとキャリアアドバイザーの後押しで面接に進める可能性も高まります。

また、履歴書や職務経歴書についても魅力的に映るようにアドバイスをもらえることもあるでしょう。このような後押しをしてほしいと思うのであれば転職エージェントの利用がおすすめです。

求人サイトの利用

求人サイトでは求人中の企業を検索することができます。「法務」「未経験」などで絞ることで条件に合った求人を確認でき、企業間での比較もしやすいです。また、転職エージェントのように担当者が付くわけではないので自分のペースで転職活動ができるのもメリットといえます。

常に新しい求人が出てくるので、良い条件の求人を見逃すことがないようにこまめにチェックすることが大切といえます。

紹介

転職エージェントや求人サイトを利用すると求人企業としては仲介料や掲載料が取られてコストになります。しかし、紹介であればコストはかからないので、公には求人をしていなくても社内の信頼できる社員の紹介で採用するケースもあるでしょう。

自分が法務職として働きたいことを表明しておけばこのようなチャンスに巡り合える可能性も出てくるかもしれません。

企業に直接応募

ホームページ上で求人について掲載している企業の場合は、直接応募することもできます。通常は履歴書や職務経歴書を企業に送付し、書類審査を通過すると面接に進むことができます。直接のやり取りになるので、転職エージェントなどを通すよりも判断が早いのがメリットです。

営業から法務への転職を有利にするための資格

最後に営業職から法務職へ転職する際に有利になる資格について紹介します。

ビジネスコンプライアンス検定

企業がコンプライアンスを遵守できているかは企業イメージ繋がり非常に大切です。ビジネスコンプライアンス検定を取得していればビジネスシーンで求められる健全な価値判断基準と、ビジネスを推進するうえで必要となる法務知識を保有していることをアピールできます。

法務部に所属するとコンプライアンス研修や勉強会をする機会もあるでしょう。このような業務に生かすことができるので、ビジネスコンプライアンス検定の取得はメリットがあるといえます。

参考:ビジネスコンプライアンス検定

ビジネス実務法務検定

ビジネス実務法務検定は、社会人として理解しておきたい法律知識を正しく学習することを目的にした資格試験です。

試験は1級~3級があり、1級になると合格率も15%~20%という難易度です。特に営業職から法務職への転職では「法律知識があるのか」「法律知識を覚えるポテンシャルがあるのか」という目で面接官から見られるので、ビジネス実務法務検定を取得しておけば法務知識をアピールでき有利になるでしょう。

参考:ビジネス実務法務検定

パラリーガル認定資格

AG法律アカデミー

パラリーガル認定資格とは、パラリーガルとして仕事をするにあたり必要になる知識を学べる資格です。

認定資格講座を受講してからの試験になりますので、じっくりと知識を深めることができます。この資格を取得することで未経験でパラリーガルになれた方もいらっしゃるとのことです。営業からまずはパラリーガルとして法律事務所での勤務を考える場合に有利な資格といえます。

参考:AG法律アカデミー

まとめ

営業職から法務職に転職するのは、法学部出身ではない限り難しいですが可能性はゼロではありません。未経験でも採用してくれる企業を見つけ出し、営業職として培ったスキルをうまくアピールできれば採用される可能性もあるのです。

ただし、未経験の場合は年収や労働条件が営業時代より悪化する場合もあるでしょう。キャリアアップを意識して、実務経験を積めたタイミングで転職をしていくのも年収や条件を上げていく一つの方法です。

転職では転職エージェントや転職サイトを活用するのがおすすめです。また、特に未経験の場合は少しでも法務知識をアピールするためにもビジネスコンプライアンス検定やビジネス実務法務検定などの取得をしておくとアピールできるのではないでしょうか。

 

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