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弁護士の就活がうまくいかない原因と対策|法律事務所への就職戦略ガイド

更新日: 公開日:

司法試験合格を目指し、法曹になる方にとって、今は法律事務所だけでなく、民間企業や官庁への就職もおよそ一般的な選択肢の1つとなりつつあります。

他方で、司法試験の受験者数は、年々減少の一途をたどており、「弁護士の就活は売り手市場だ」とも言われます。

しかし、実際には、ロースクール生、予備試験受験生、司法試験受験生、あるいは修習生の中で、「内定がもらえない」「20以上の事務所や企業にお祈りされた」という人も少なくないと思います。

「気づけばもう実務修習も最終クールだけど、1個も内定がなくて詰み…」という人もいるかもしれません。

この記事では、弁護士の就活がうまくいかない人のよくある悩みをご紹介しつつ、原因と対策について、様々な角度から解説していきます。
※なお、この記事は、裁判官や検察官向けの就活記事ではなく、あくまで弁護士を目指す人向けの記事になります。

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目次

弁護士の就活でよくある悩み5つ

弁護士を目指す人の就活のお悩みポイントを5つピックアップして、掘り下げていきます。

情報がない

1つは、そもそも、様々な面で情報不足であることが挙げられます。

これは、特に社会人の予備試験受験生であったり、予備校などに通っていないような小規模ロースクール生、あるいは学部卒業後の予備試浪人生に多くみられる悩みです。

法律事務所や、法務部の中で弁護士有資格者を募集している企業についての情報は、一般の企業就活と比べると、偏在している傾向にあります。トップロースクールや有名ロースクールのほか、大手の予備校では、説明会やセミナーなどの各種就活情報も集まりやすいです。

他方で、小規模ロースクール生や、予備校に所属していない人、あるいは予備試験受験生で、周囲に受験生が多くいる環境でなければ、非常に限られた情報源しかありません。

いつまたはいつまで、どこで、どのような事務所や企業などが、どのような条件で採用の募集をしているのかという情報収集は、死活的に重要な悩みです。

弁護士になって自分が何をしたいのか等を言語化できない

法律事務所等への就活も、一般の企業の就活と本質的に異なるところはありません。

まずもって、自分が弁護士として何をしたいのか、どのように働きたいのか、収入の具体的なイメージ、キャリアプランなどを、法律事務所や企業などに伝えられるようにする必要があります

なぜなら、結局、求職者と相手先のマッチングを図るためには、上記の点を伝えなければならないからです。そして、アウトプットするためには、その内容を自分自身で認識して、言語化して整理する必要があります。

もっとも、単純に思考するだけでは、なかなかうまくいきませんよね。そこで、一定のフレームワークが必要になります。ここにいうフレームワークのようなものを教えてくれる人が周りにいないというのも、悩みの1つといえます。

弁護士の働き方のイメージがつかない

上記2点目の悩みとも関連しますが、弁護士の働き方のイメージが具体的でないというのも、悩みですよね。主に、社会人の予備試験受験生や、学部や独学での予備試験受験生にあるような悩みかと思います。

弁護士になったとき、どのような働き方があるのか。法律事務所では、弁護士が実際にどのようにクライアントから相談を受け、事件を受任し、事案を処理していくのか。

法律事務所以外の選択肢として、例えばインハウスローヤーであればどのような業務をするのかなど、実際に知らないと自分の興味や適性も計りかねることでしょう。

良い法律事務所等の判断ポイントがわからない

何を基準に法律事務所などを選べばよいかという点も、当然にわかるものではありません。今はネット上に、先輩の合格者や弁護士の方々が様々な形で発信をされています。

しかし、自己分析をして判断ポイントを自分なりに抽出できたとしても、ある程度コンセンサスのある判断ポイントなのかどうかも、正直分からないという悩みはあります。

面接では好感触なのに結局お祈りされる

なぜか面接には順当に呼ばれるし、実際の面接でも良い雰囲気で会話が進んだのに、二次面接あたりでいつもお祈りされてしまうという方もいると思います。

何が原因なのか、分析しようにも思い当たらず、悶々とした悩みを抱える人も少なくないでしょう。

弁護士・法律事務所の就活がうまくいかない3つの原因

では、法律事務所等の就活がうまくいかない原因は、どのような点が考えられるでしょうか。3つご紹介します。

情報収集のやり方が適切でない

情報は、上記のように就活において根本的に重要なポイントです。そもそも何も情報収集をしないのは現実的にあまり考えにくいですが(誰でも何らかの意味で情報収集をしているが)、問題は、そのやり方です。

例えば、基本的に、情報収集の量を考えるべきは、採用情報に関するものです。逆に、就活の方法論で情報過多になっても、適切な手段選択を妨げます。

そうした情報の取捨選択を考える視点がずれている場合は、うまくいかない原因となります。

サマクラなどに参加できていない

サマクラは、大手事務所を中心に案内を出しています。

サマークラークとは、法曹志望の学部生やロースクール生、予備試験・司法試験合格者などを対象に、法律事務所が夏季休暇中の短期間に行う研修制度、または、研修に参加する研修生そのものを指します。

基本的にある程度規模が大きい法律事務所が行っており、その事務所への就職を目指す場合は参加必須。

また事務所に就職する気はなくとも、弁護士の仕事を身近で感じられる・体験できるので、法曹を目指す人なら参加して損はないといえます。
参考:https://no-limit.careers/guide/2627/

東大、京大、一橋、早慶などを中心とする大手・有名ロースクールが中心で、その中でもGPAなどの学力が重視されます。そのため、参加できる人は、限られます。

また、ロースクールでは、エクスターンシップというものがあります。法律事務所や法務部などに数日から数週間程度、実際に業務を体験できるカリキュラムです。

エクスターンシップは、ロースクールでは単位にもなるため、参加する人も少なくありません。しかし、ロースクール生でない人にとっては、そのような機会がありません。

一般的な就活の作法に関するアドバイザーがいない

結局、法律事務所等の就活においても、基本は、一般的な企業への就職を目指す場合と異なりません。そのため、法律事務所等の就活をする場合でも、就活における基本的な作法やコツを身に着ける必要があります。

説明会への参加の仕方、履歴書の書き方、自己PR文の書き方、ガクチカの構成の仕方、メールなどなど、多岐に渡ります。しかし、ロースクールなどでは、通常の大学のようにキャリアサポートをするところはないため、アドバイザーがいてくれる環境がありません。

弁護士の就活における情報収集の仕方

根本的に重要なポイントである情報収集において、どのようなやり方があるのでしょうか。5つご紹介していきます。

ロースクールや予備校の案内

まず、司法試験の受験勉強の過程では、ロースクールや予備校による情報発信があります。チラシやメルマガ、パンフレットなどが配布されることがありますので、逐一目を通すようにしましょう。

合格者とのつながり

先輩合格者である修習生や弁護士とのつながりを持つことも重要です。3つくらい上の先輩までであれば、およそ信憑性の高い就活市場を知ることが期待できるでしょう。

履歴書の書き方、自己分析の仕方、面接対策など、相談を投げかけてみるとよいでしょう。あるいは、一般企業に就職した友人がいれば、そういった友人にアドバイスを求めることも、効果的です。

同期との情報交換

同期との情報交換も重要です。

上の先輩からの情報では知りえない、リアルタイムの情報経路になります。コロナ禍では、従前の就活スタイルとの変化が激しく、必ずしも先輩のアドバイスが当てはまるものではありませんでした。

そうした場面では、同期との情報交換が重要になります。

弁護士のキャリアに関するサイト、SNS、文献等

現在は、SNSやネット記事もあふれているため、弁護士の就活について様々な情報があります。情報過多になりがちですが、様々な情報に触れながら、取捨選択していくことが重要です。

理想の法律事務所選びで注目すべきポイント5つ

事務所の選び方のポイントは、どのようなものでしょうか。筆者の経験も踏まえて、5つご紹介します。

ボス弁のビジョンとキャラクター

法律事務所のカラーや今後の方向性などは、良くも悪くも、ボス弁のビジョンとキャラクターによります。

ボス弁が事務所としてどのような方向性を考えているのか、新しいものを取り入れているのかどうか、事務員の人への敬意、勤務弁護士に対する態度などによって、職場の雰囲気がわかります。

所属弁護士の修習期

これは、若手の離職率を判断する1つの間接的な指標になります。

自分の修習期からみて、およそ5つ上までの修習期をみたときに、近い期の人が全くいないのは、不安要素ではあります。

さらに注意すべきなのは、すぐ上の先輩はいるが、その中間がいないようなケースです。これには、

  1. その間に採用活動を行っていなかったか
  2. 採用活動をしていたが最適な人材を採用するに至らなかった
  3. あるいは全員離職または移籍してしまったこと

の3つの可能性が考えられますが、③は何らか事務所で問題があった可能性があります。これらの点は、個別訪問の際や、事務所から食事会などに呼ばれた際に聞いておくとよいでしょう。

HP上での非公開情報を教えてくれるかどうか

法律事務所では、求人情報や個別の就業条件について、非公開情報が一般企業に比べて多いのが特徴です。また、勤務弁護士の採用において、年収・報酬の額について聞くことがタブーだとされる風潮もいまだあります。

そうした中で、HP等での公開情報にはない情報を教えてくれるかどうか、どの程度教えてくれるかどうかという点は、重要です。これは、事務所の中で、業務における様々な共有事項がオープンであるかどうかという点の判断基準にもなります。

メールのレスの速さ

メールのレスの速さも、事務所における弁護士の質を判断する要素でもあります。履歴書等のやり取りに関するメール、各種お礼メールなどにおいて、短文でも、素早く返信が来るような事務所は、相手を問わず丁寧な仕事をする事務所である可能性が高いです。

業務に余白があるかどうか

また、兄弁・姉弁のお話から、弁護士業務において余白があるかどうかは、ワークライフバランスのとり方を判断する要素となります。普段の業務の中で、書面の作成時間、土日出勤の頻度、出勤退勤時間の平均などを聞くのは重要です。

事務所の内定獲得を左右する要素6つ

法律事務所等の就活において、内定を左右する要素は、どのような点にあるのでしょうか。筆者の経験も踏まえて6つご紹介します。

予備試験の合否と順位

やはり予備試験の合否と順位は、大手法律事務所や外資系法律事務所への就職にあたり重要視されるファクターです。

合否は、もちろん合格しているという事実自体は前提として、合格した時期(年齢、あるいは受験年数)がポイントになります。

年齢は、低ければ低いほど良いというわけではなく、特に高校卒業後のいわゆる大学在学中合格は、高い評価を受けやすいです。受験年数は、合格率数%という難関をより早い年数で切り抜けたという点に、評価のポイントがあります。

順位は、やはり上位合格であればあるほど、優秀であると評価される傾向です。具体的には、2桁以上の順位であれば自己PRとして項目に入れる価値はあります。

サマクラ、ウィンクラ等への参加履歴

サマクラやウィンクラ等への参加履歴は、それを実施している事務所に就活する場合は、非常に重要な要素です。

大手ないし準大手の法律事務所、中規模企業法務事務所、外資系事務所、一部の小規模企業法務系事務所では、一般公募の案内を出した段階で、応募の際の記入項目の中に、サマクラ等への参加履歴の欄があります。

サマクラなどは、上記のように、一般企業で言えばインターンシップに等しい位置づけです。インターンシップを通じて、実際の業務の取り組み具合、成果から、将来における採用を検討しています。

そのため、サマクラなどに参加する中で業務や成果が評価された場合は、その段階でオファーを示唆することもあります。そして、公募の段階で、過去の参加履歴とその内容に関するデータと照合し、採否を判断することがあるようです。

もっとも、ここでのお話は、参加履歴があれば有利であるというだけで、参加していないことがマイナスであるというわけではありません。

司法試験の順位

司法試験の合格は前提として、司法試験の順位も、採否判断の際にポイントとなる要素です。上記の予備試験の合否に関することの延長として、合否の時期も重要ですが、試験の結果の内容として、司法試験の順位がみられます。

有利に働くような順位としては、やはり2桁合格、特に2桁前半以内であればかなり評価されます。

また、科目ごとの評価がみられることもあります。企業法務系事務所では、事務所によって、商法科目の評価を見ることがあります。これは、特にD以下の成績を取っている場合に、マイナスに評価されることがあるというものです。

もっとも、これも、大手を中心とした企業法務系事務所では重視されますが、必ずしも多数派ではありません。基本的には、高順位であれば一定の評価がされるという程度のもので、弁護士としての仕事の力量とは必ずしも相関しません。

出身ロースクールや成績

ロースクール卒であれば、出身ロースクールと、その成績が評価の要素になります。成績に関する点は、基本的には、GPAの数値です。どこまで細かく見ているかは、公開の情報がなく、事務所によって異なります。

筆者が様々な弁護士の方とお話をした中では、総合評価だけを見る場合もあれば、履修した科目(特に選択科目)とその成績から、興味関心のある法分野や適性を判断するということもあるようです。

その他の資格や特異な経験

他には、例えば外資系事務所であれば、英語系の資格(TOEICやTOEFL)、留学経験の有無などは1つのポイントです。

もっとも、点数や留学経験があることだけが評価のポイントではなく、TOEICなどは平凡かそれ以下の点数であった、あるいは留学経験がない場合でも、採用されているケースはあります。

他に、隣接の法律資格として、行政書士や司法書士、宅建士などの資格があることも、プラス要素となりえます。

また、企業法務を目指す場合に、実際に企業内でのインターン経験がある(実際に法務を担当したことがある)などの経験も、アピールのポイントになるでしょう。

ここでは、特に異質な経験をしていることが、やはり採用する側として「おもしろい人材だ!」と興味を持ってもらえることにつながります。

求職者のパーソナルな点がマッチングすること

最も重要な点ですが、求職者のパーソナルな点と事務所側が重要視している評価のポイントがマッチングすることです。

上記のような成績やサマクラ等への参加などは、客観的な指標としてわかりやすいことが大きな理由です、また、大手事務所を中心とした能力・スキル面を重視する採用は、決して多数派ではありません。

多くの中小事務所では、上記のようにボス弁との相性や、事務所のカルチャーやビジョンにフィットすること、そして求職者の描くキャリアプランが事務所の方向性と親和的で、あるいは相乗効果をもたらすようなものであるかどうかといった、将来性と共創の有無を何より重要視しています。

結局、そこに至れば、必然的に、自分にとって最適解となる事務所からオファーが来ることでしょう。

弁護士の就活に効果的な活動

最後に、就活の際に有益な活動について、厳選して3つご紹介していきます。

コミュニティへの参加

就活を目的としているかどうかは別として、様々弁護士のキャリアに関わる様々なコミュニティに参加することは、とても有益です。

弁護士が所属しているものであれば、ベターです。

キャリアコミュニティや、特定の分野に関わる人たちとの交流の中で、社会の中で、弁護士としてどのようなリーガルサービスが提供できるのか、思考を深める機会となります。

そうした活動の中で、自分の描くキャリアイメージが深まります。

ビジネスマッチングアプリの活用

YentaやLinkedinなどのビジネスマッチングアプリを活用し、弁護士業界以外の人とのお話を通じて、弁護士という資格をどのように活用することができるのか、客観的に見つめることができます。

キャリアイメージがある程度具体化している場合はもちろん、まったく白紙の状態であったとしても、考えていることや悩みをそのままぶつけてみると、良くも悪くも、弁護士という職業を考える機会となり、貴重です。

弁護士専門の就活エージェントに相談

就活に関するテクニカルなことは、エージェントに相談してみましょう。

その際も、やはり弁護士業界に精通したエージェントが最適です。なぜなら、弁護士業界そのものは、一般企業とは異なる業界文化も多々あり、就業条件などの面で一般企業と同様に考えることは困難であるからです。

エージェントを活用する際も、抽象的に、「就活の仕方」を教わるのではなく、積極的に活用することがポイントです。具体的な希望先を決定する前のこととして、自己分析のためのヒアリング、キャリアイメージのブレインストーミングの壁打ちなどがあります。

その上で、最適な事務所選びのポイントの把握、希望先として最適な候補の紹介を受けることができます。そして、具体的な希望先が決定した後の段階としては、履歴書等の就活用書面の書き方のアドバイス、面接対策もあります。

NO-LIMITは、弁護士業界に精通したエージェントが、弁護士の就活を徹底サポートします。上記の初期段階から面接対策、そして具体的な条件交渉までサポートしています。

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まとめ

弁護士として働く就活がうまくいかない人の悩みには、情報の不足や取捨選択、キャリアイメージの言語化が不十分といったものがあります。その原因としては、情報の探し方や重きを置くポイントに問題があったり、自分で考えていることのアウトプットを検証の不足が考えられます。

これらに対する対策は、社会に対して目を向けて、知らない人と会う、話をする、考えていることをアウトプットしてフィードバックを受ける、弁護士という業界から離れてリーガルサービスを見つめてみるといった方法があります。

ぜひ実践してみてください。

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