弁護士専門の転職・求人情報サイトならNO-LIMIT

「町弁」から成長企業のインハウスへ。事業に伴走する法務の在り方

更新日: 公開日:

セーフィー株式会社の法務部で、グローバル展開や機関法務の最前線に立つ平川真澄氏。

かつて「町の弁護士」としてキャリアをスタートさせた彼女は、なぜインハウスローヤーへの道を選び、どのようにして組織に不可欠な存在へと成長したのか。その軌跡と、同社が提供する挑戦の場について聞いた。

「町弁」での経験を糧に、未経験の企業法務へ挑戦した理由

セーフィー株式会社「町弁」での経験を糧に、未経験の企業法務へ挑戦した理由

日本国内、そして海外に設置されたカメラ映像をクラウド化する映像プラットフォームを提供し、データの活用を生活における利便性向上やセキュアな社会環境構築に役立てる。そんな価値ある事業を展開しているのが、2014年設立のセーフィー株式会社だ。

今回インタビューしたのは、同社の法務部に在籍し、インハウスローヤーとして活躍する平川真澄氏。

沖縄県出身の平川氏は、中央大学法科大学院を経て司法試験に合格した。司法修習71期として弁護士としての活動を始めた彼女が最初に選んだ職場は、立川市にある法律事務所だったという。

キャリアをスタートさせた当時の状況について、平川氏に振り返ってもらった。

当時は、将来的に地元の沖縄に帰って独立したいという思いがありました。だからこそ、債務整理や離婚などの一般民事や、私選の刑事事件など、市民の生活に密着したいわゆる『町の弁護士(町弁)』として、あらゆる案件に触れられる環境を選びました。

平川氏のファーストキャリアの環境となった法律事務所では、入所から間もない平川氏も多くの案件を任され、裁量を持って動くことができたという。その後、ライフイベントを経験する中で、平川氏の心境に変化が生じた。

町弁として中小企業の顧問を経験するうちに、問題が発生した後にこじれた『最後のところ』に介入するのではなく、もっと前の段階で『法的な観点からビジネスを共に構築する』サポートをしたい。トラブルを防ぐ予防法務、つまり事業のより上流に関わる働き方をしたいという考えを持ちはじめました。これらがきっかけで、元々大学院時代から興味を持っていたインハウスローヤーという働き方に目を向けてみたんです。

30歳という年齢を節目に、未経験のインハウスローヤーへの道を模索し始めた平川氏。数ある企業の中でセーフィーを選んだ理由は、非常に戦略的かつ直感的だった。

上場して間もなく、キャッシュも潤沢で成長基盤がしっかりしていることを公開情報などで確認しました。お金が理由で成長が止まる心配がなさそうだ、というのは大きな安心材料でした。また、AIカメラを使った業務の効率化など、人材不足が叫ばれる今の時代に求められるサービスを展開している点にも魅力を感じました。

ベトナム進出で見せた「泥臭い伴走」とアワード受賞の裏側

セーフィー株式会社|ベトナム進出で見せた「泥臭い伴走」とアワード受賞の裏側

同時に、専門領域を縦割りすることによって特化させることなく、業務分野を狭めない同社の法務部の体制にも魅力を感じたという平川氏。初めてインハウスローヤーになる身として、自分の可能性をどこまでも広げられる場所だと感じたことが、入社の決め手にもなったということだ。

入社直後からベトナム・タイ進出という巨大プロジェクトの最前線に立った平川氏。カオスな状況下で法的なルートを切り拓き、わずか半年後には現地子会社・駐在事務所の設立というミッションを完遂させた。

「英語が好きではなく、海外案件もやるつもりがなく入社を決めたのですが(笑)」と笑う平川氏だが、彼女の活躍が大規模プロジェクトの成功の大きな一助となったのである。

そこには、町弁として数々の案件を担当する中で平川氏が身につけた対応力が、大きな武器となったということだ。

特にベトナムでの現地子会社設立においては、サービスの根幹を揺るがす「データローカライゼーション(データの現地保存義務)」という法規制の壁が立ちはだかった。サーバーを現地に置くには数億円の初期投資が必要となり、プロジェクトが頓挫しかねない状況だったのだ。

法律は破れませんが、諦めたくもありませんでした。そこで、現地の法律事務所や会計事務所、コンサル業者など10社以上にコンタクトを取り、さらに先行して進出している企業の方をつないでもらってヒアリングを重ねました。まさに泥臭く、一次情報を求めて走り回る日々でしたね。そんな地道な仕事を積み重ねた結果、データを日本に置くことが認められる法的なスキームを見つけました。これだ!と思い、商流を組み立て、法的要件をクリアしつつ巨額の投資を回避できました。このように、事業部と一緒に悩み、解決策を組み立てていく。それが私の考える『伴走』のイメージです。

この功績が評価され、平川氏は日本組織内弁護士協会(JILA)の『第2回インハウス・リーガル・アワード』で「パートナー機能賞」を受賞した。大手法律事務所出身者が並ぶ中で、町弁出身の彼女が受賞したことは、多くの法律家に勇気を与える出来事となったはずである。

「町弁」の素養が活きた、カオスを整理する力

セーフィー株式会社「町弁」の素養が活きた、カオスを整理する力

入社当初は、企業法務未経験であることに強いコンプレックスを感じていた平川氏だが、実務を通じてその不安は、ある確信へと変化していったという。

私のような町弁出身者には、目の前の依頼者のために全力で動き続けるタフさ、そして一緒に寄り添って最後まで伴走する気持ちの強さがあると思います。これは、ベンチャー企業の新規事業のような、正解のないカオスな状況において非常に強力な武器になるのではないでしょうか。

現在は、取締役会や株主総会の対応、有価証券報告書の作成といった機関法務にも軸足を置いている平川氏。関わるレイヤーが一段上がったとも言える今は、現場の実行部隊にミッションが課される前に『今はこういう状態にすべきだ』という逆算の動きができるようになったという。

また、平川氏はAI時代のインハウスローヤーの価値についても独自の視点を持っている。

法律的な回答だけならAIでも出せる時代です。でも、寄せられた依頼に対して目の前にある事柄だけではなく、背景にある文脈を読み取って先回りして声をかける。そんな、社内にいて事業の体温を感じている人間にしかできない価値提供が、これからますます重要になるはずです。

外部の弁護士が「止める」役割を担うことが多い中で、彼女は「どうすれば進められるか」を伴走しながら考えるアクセル役でありたいと語る。

もちろん、法令遵守の観点から、ブレーキを踏まなければならない局面は必ずあります。でも、普段から一緒に汗をかいて伴走している私が『それはやめたほうがいい』と言うからこそ、事業部も納得して耳を傾けてくれる。そういう信頼関係こそが法務の基盤なのではないでしょうか。

プロが集う温かな法務部で、次世代のロールモデルを目指して

セーフィー株式会社|プロが集う温かな法務部で、次世代のロールモデルを目指して

セーフィーの魅力について尋ねると、平川氏は即座に「働いている人の良さです」と答えた。

ベンチャーということで、野心を露わにするメンバーが多いとか緊張感ある雰囲気をイメージしていたのですが(笑)、実際は真逆でした。公認会計士や元銀行員、コンサル出身など、多様なスペシャリストが集まっていて、お互いの立場を深くリスペクトし合っています。みんな胸に熱い野心を秘めつつも、仕事は非常に丁寧で、人に対して温かいんです。

子育て世代も多く、リモートワークやフレックス勤務を駆使して互いにフォローし合う文化があることも、彼女の活躍を後押ししている。法務部は現在、部長を含めて8名体制(知財担当、兼務含む)だが、事業の成長スピードを考えるとまだまだ仲間が必要だと平川氏は語る。

だからこそ、今後は個人の力だけでなくチームとして強くなれる組織づくり、オンボーディングの仕組み化などにも注力していきたいというのが、現在の平川氏の考えだ。

最後に、キャリアに迷う法務担当者や弁護士に向けて、彼女らしい言葉でメッセージを送ってくれた。

『企業法務をやったことがない』と足踏みする必要はありません。目の前の依頼者のために全力で向き合ってきた経験は、絶対にどこかでつながります。セーフィーには活躍する機会が豊富にあるので、ご自身の力を発揮するチャンスにあふれています。私自身の理想像は、『平川さんと一緒にやれてよかった』と信頼される法務パーソンになることです。ですが、未知の領域を切り拓き、前例のない挑戦が次々と生まれる今のセーフィーにおいて、一人でカバーできる範囲には限界があります。リスクを適切にコントロールしながら、事業の飛躍を支え続けるためには、リスクから逃げずに伴走できるチームが必要不可欠です。皆さんの経験を活かすチャンスは必ずあるので、この場所で一緒に仕事を楽しめる人にぜひ参加してほしいですね。

 

プロフィール
セーフィー株式会社・平川真澄平川 真澄
経営管理本部 法務部 法務第2グループ グループリーダー
沖縄県生まれ。中央大学法科大学院卒業、司法修習修了(71期)。2018年に弁護士としてのキャリアをスタートし、結婚・出産を機に転職。2023年6月にセーフィー株式会社に入社し、インハウスローヤーとして活躍を続ける。

 

事務所・企業情報
セーフィー株式会社
東京都品川区西品川1-1-1 住友不動産大崎ガーデンタワー
https://safie.co.jp/
CONSULTATION WINDOW

転職のお悩み相談窓口