司法試験_独学

文系最難関といわれる司法試験ですが、独学で勉強して合格することは可能なのでしょうか。

予備校は、基礎講座から論文式試験の答練、そして直前期の模試までのフォローアップ全部含めれば、数百万円にも及びます。

また、今般、制度改革により法曹コースが設置されました。大学から法科大学院までワンストップの仕組みですが、その学費は合計で、やはり数百万円を下らないものになります。

「法曹になりたい!けれども、自分には数百万円もお金を払える余力はない。バイトをいくつか掛け持ちしたりしながらであれば、費用はなんとかなるかもしれないが、勉強と両立できる自信はない・・・。」

そんな学生の方もいると思います。

そして、こんな社会人の方もいるのではないでしょうか。

「一念発起して、弁護士を目指そう!けれど、予備校の講座受講に注力する時間もないし、かといって今ロースクールを受験して勉強だけに時間を割いては、生活が成り立たない・・・。」

そうなったとき、司法試験に独学で合格する勉強法はないのかと思うことってありますよね?

今回は、司法試験に独学で挑んで合格することができるのか、もし独学で勉強するとしたらどうすれば合格できるのかについて

  • ・司法試験における独学の意義
  • ・独学で司法試験に合格するための道筋
  • ・独学のメリットとデメリット
  • ・独学をする場合のテキストや注意点

などを中心に解説します。

【執筆者】かわしょー吉
NO-LIMIT運営会社、株式会社trientのインターン。令和2年司法試験合格発表待ち。
令和元年司法試験予備試験最終合格。平成30年度司法試験予備試験では、口述試験落ちを経験。
趣味は釣り。カラオケも好き。宇宙系のyoutubeを見ることがマイブーム。
Twitter:https://twitter.com/kshokichi_law

目次

司法試験における独学とは

前提として、「独学」の意味を確認しておきましょう。

独学を定義する

「独学」とは、文字通りにいえば、独りで学習することです。独りとは、もう少し具体化すれば、ほかに誰の力も借りることがない状態を意味します。

「誰の力も借りない」というのは、司法試験の勉強に置き換えれば、予備校や法科大学院等のほか他人から教わることがないことを意味すると考えられます。

もっと極端の話をすれば、基本書やテキストでさえ、誰が著名な学者の先生や予備校の講師の方によって書かれた本ですから、これらを使わずに、自分で条文や判例を調べ、勉強することが独学であるということになります。

しかし、そんなことは、到底できないのです。

条文と判例を読んでいるだけで司法試験に合格することができたなら、こんな簡単なことはありません。少なくとも、膨大なお金をかけることはないはずです。

そのため、司法試験に限らず、勉強は、形はどうあれ、誰かから教わることを避けることはできません。

そこで、司法試験における「独学」を再度定義してみます。

予備校や法科大学院に通うことなく自分のみで勉強すること

独学で司法試験に挑戦したいと思う人たちの悩みは、より限定すれば、講座の受講や法科大学院に通うことに伴う費用と時間の拘束にあります。あくまで、自分が知識・スキルをつけるためのテキストに対してコストをかけることは、当然の前提であるはずです。

そうすると、司法試験における「独学」は、

  • ・予備校や法科大学院に通うことなく、基本書等を自分で読み深め
  • ・自分の生活等と両立しつつ勉強すること(自分のペースで勉強すること)

であると定義できるのではないでしょうか。以下、この「独学」の定義を前提に、お話を進めていきます。

独学による司法試験や予備試験の合格は可能か?

結論からいえば、可能です。実例は、いくつもあります。

司法試験予備試験に独学・1年で合格しちゃったブログの人気記事BEST10

弁護士のWEB書斎|【合格体験記】独学で司法試験・予備試験に挑む ~普段の勉強方針~

さらに、最近では、こんなノウハウ本まであります。

鬼頭政人『新・司法試験予備試験に独学合格する方法』2019中央経済社

実例からもわかるように、独学で司法試験に合格することは、可能です。もっとも、それは、「正しい方向で勉強すれば」、という留保がつきます。

この「正しい方向での勉強」とは何か、自分がそれを実行できているかをいかに正確にチェックしながら勉強していくことができるかが、独学する際の一番のテーマになります。

合格者の方々も、ほぼ全員が、その点で悩んでいるといっても過言ではないでしょう。

独学で司法試験合格を目指す場合の道筋

司法試験・予備試験に合格すること

独学の場合、法科大学院を利用しないルートであることから、司法試験に合格するには、受験資格を得るため、司法試験予備試験に合格する必要があります。

司法試験予備試験は、受験資格に制限がなく、いつでもチャレンジできます。そして、短答式試験、論文式試験、そして口述式試験の3つのステージに分かれます。

論文式試験と口述式試験は、それぞれ短答式試験および論文式試験の合格者が受験できるという形で、いわばサバイバルです。

司法試験予備試験のより詳細な概要は、こちらの記事をご参照ください。

司法試験に合格すること

司法試験予備試験に合格し、翌年の司法試験の受験資格を得た後は、その翌年5月の司法試験を受験することになります。司法試験予備試験の合格発表は、例年、11月上旬ですから、半年間で司法試験の合格を目指すことになります。

以上が、独学で司法試験合格を目指す場合の道筋です。

司法試験に独学で挑むメリット

独学のメリット

相対的に費用を抑えられる

前述したように、独学をするにも、最低限、基本書やテキストにかかる費用は避けられません。しかし、独学であれば、当然、プラスアルファ講座を受講したりすることや、法科大学院に行くための費用はかかりません。

その意味で、相対的にコストを低く抑えることができます。そのため、金銭的に困難がある人は、独学で司法試験合格を目指すという選択になります。

自分のペースで勉強できる

特に、社会人受験生にとって、独学を考える理由は、自分のライフスタイルに合った形で時間をつくりながら勉強できることにあります。

なぜなら、予備校等に通って講座を受けるにも、法科大学院に通うにも、いずれにしろ自分の思い通りにのみ時間を使って勉強することは非常に困難であるからです。

直接講座を受講したり、法科大学院を卒業するために必要な授業を受けたりするなど、自分がコントロールできない形で、時間をとられることは、耐えがたいでしょう。

他方で、最近の予備校では、LINEなどのSNSを使った受講相談のほか、オンライン受講が非常にフレキシブルになり、受講者の時間の使い方に合わせたサービスも増えています。最近CMでもおなじみの『アガルート』は、オンラインでの講座のほか、添削指導などのフォローアップまで手厚いので、おすすめです。

なお、こちらの記事では、最新の予備校比較による情報をお届けしております。

とはいえ、オンライン講座の受講は、往々にして費用が高くなることもあります。

そのため、自分の日々の生活のために費用も最小限に抑えたいというニーズからすれば、オンライン講座の受講も、容易にとりうる手段であるとも言い難い側面があります

結果として、独学に落ち着くことで、自分の思い通りにスケジューリングして勉強するという判断に至るのでしょう。

司法試験を独学で勉強するデメリット|独学が難しい3つの理由

勉強自体の難しさ

法律の勉強には、様々な難しさがあります。特に独学する場合に直面する難しさの1つとして、用語が多岐にわたること・概念の区別の困難さがあります。

法律家は、社会的な事実関係を法的な思考により分析しつつ、様々な法律用語を正確に用いてコミュニケーションをとるスキルが求められます。

法律用語は、多岐にわたり、似たようなものでも細かく意味が区別されます。中には、日常的に使う言葉と一緒であるにもかかわらず、法律的には全く異なる意味をもつものもあります。

そのため、非常に紛らわしく、用語を暗記したとしても、中身の理解が追い付かず応用できない知識になるおそれもあります。

もちろん、基本書等のテキストを読むだけで、頭の中で論理を追って把握しやすいものもあります。しかし、わかりやすく書かれた文章であればあるほど、その字面の意味のままでインプットしてしまう恐れがあります。

そして、無自覚にその理解が正しいと思いこんでしまうため、正確な理解を妨げることになります。

そのため、他者との議論を通じた客観的な理解を意識していくことが必要になります。独学の場合、そのような意識が薄れがちなので、難しさがあるといえます。

勉強の方向性を誤ってしまうおそれ

司法試験で最も恐れるべきは、自分自身の勉強の正しさを客観的に検証できない、あるいはしない状態に置かれることです。

司法試験に合格するための勉強方法は、絶対の正解がありません。その分、勉強方法として、合格に結び付くものであるかどうか、自分だけで理解するには限界があります。

なぜなら、受験生の視点のみから合格レベルの知識やスキルとしてどこまでの量と質が求められるのかを把握することは、およそ不可能であるからです。

独学で司法試験に合格した受験生も、いずれかのタイミングで合格者の思考に触れる機会があり、そのフィルターを通して自分自身の実力や勉強の方向性を把握するタイミングがあります。

そのため、独学での司法試験の勉強は、知らぬ間に勉強の方向性がそれていく危険があります。

モチベーションを保ちにくい

周囲に同じように司法試験を目指す仲間がいない場合、勉強に対する意欲・空気感を共有する機会がありません。そのため、勉強に対するモチベーションは、自分自身で作り、維持するほかはありません。

他方で、人間は楽を求め、周囲の環境・身の回りの出来事に左右されがちです。ゆえに、様々勉強に向く気持ちを妨げる要因があります。

司法試験合格に至るまで少なくとも2年以上集中的に勉強する期間が必要になる中で、日々勉強を頑張ろうとする気持ちを保つことは、至難の業といえるでしょう。

そのときにモチベーションを保つきっかけになるのが、環境です。その環境は、受験生仲間や先輩合格者とのつながりのなかでこそ得られます。

それでも独学で司法試験に挑む場合

基本書・テキストの選び方のポイント3つ

多くの受験生に使われていること

繰り返しお話ししているように、基本的知識の面では、一般的に通説と呼ばれる考え方を押さえる必要があります。なぜなら、議論の出発点、法解釈論の前提となるような概念について共通認識がなければ、平行線の議論で単なる水掛け論で終わってしまうからです。

基本的知識を前提として発展する議論、応用的な論点では、様々な解釈論が対立しうるところです。応用論点に対する法的思考にこそ、法律実務家として、法律を「知っている」だけではなく、「使える」素養をもつ人物であるかが試されます。

司法試験は相対評価の試験であることから、基礎的な知識はあくまで必須的な部分として問われているのであって、真にふるいにかけられているのは、このような基礎的な知識の応用力です。

そのため、基礎的な知識は、一般的な受験生と知識の平準化を図ることが重要です。その平準化のためには、知識の源泉となるテキストをなるべく皆が使っているものと合わせることがポイントになります。

仮に、受験生シェアの高いテキストを使用しないとしても、解釈上争いのない知識の側面で無難な説明をしているテキストを選択することが重要です。

以下、司法試験受験生のシェアの高い基本書を、いくつかご紹介します。

通読用です。特に、刑法はシェアが高いです。

行政法は、数年前まで、あとでご紹介するいわゆる「サクハシ」が一般的でしたが、現在は内容の網羅性と図表のわかりやすさなどから、シェアが急上昇しています。

憲法は、受験新報で連載されていた『憲法の流儀』でおなじみの伊藤建先生が、共著者として執筆されています。後半の事例問題のところが中心ですが、判例の射程の論じ方など実践的な憲法答案の書き方が、受験生目線で解説されています。

刑事訴訟法は、最近リリースされたものです。あとでご紹介する京大の酒巻先生の基本書ではレベルが高すぎるかも、という方におすすめです。

通読用です。特に、会社法、民訴法、刑訴法のシェアが高いです。民訴は、ページ数が多いため、通読できなそうと感じる人は、辞書的な使い方もありです。

演習書や副読本・雑誌などは、別途記事にして解説します。

自分にとって通読可能であること

独学による場合、自分自身の力で、各法律について体系的に全体像を把握できるようになる必要があります。分野ごとの区別はさておき、1つのテキストでは、基本的に条文の体系的な仕組みを踏まえて構成されています

そのため、1冊すべてを読むことによって、体系的な理解をすることができます。そうすると、いかに詳細なテキストでも、自分が一人で読み切ることができるような読みやすさ、厚さでなければ、法律の体系的な理解の妨げになるおそれがあります。

自分の文章読解力などをふまえ、通読可能なものを少なくとも1冊準備して、繰り返し、通読用のテキストを読むことが重要です。

具体的にどのテキストがよいかは、すでにご紹介した一例などから選択するとよいでしょう。

文体が自分の理解力に合っていること

上記で述べた、テキストを通読することの重要性にも関連しますが、文体が自分の理解力に適していることも、判断要素になります。

特に基本書は、それぞれの著者によって文体、文章構成などにバリエーションがあります。そのため、文章が自分で読んで理解しやすいものであるかどうかを吟味検討しないと、インプットに時間がかかってしまい、非効率的です。

どの科目から勉強すればいいの?

法律のエッセンスが凝縮されている科目は『民法』

法律の勉強をする場合、法的三段論法という思考回路を身に着けるための科目として、最初に勉強すべき科目があります。

それは、民法です。

民法は、法律要件→法律効果,原則―例外という法律の基本的な構造、あるいはその連鎖的な構造によって成り立っています。そのため、法律の枠組み、法的思考の基礎を修得するには、民法が最適です。

司法試験に向けた学習を開始するにあたって、独学でまず何からやればいいかわからないという悩みがあるのであれば、とりあえず民法の学習から始めれば、失敗はまずありません

勉強する順番

民法の学習をはじめたら、次にとっつきやすい科目として、刑法の学習をしましょう。

刑法も、犯罪の構成要件を検討(場合によって正当防衛などの犯罪成立を否定する事由の成否を検討し)→犯罪の成否というフローで思考することは、民法での法律要件→法律効果と構造が一致します。そのため、民法の次は刑法の学習がおすすめです。

また、一般的には、民法および刑法と並ぶいわゆる上三法として、憲法を学習します。

憲法を勉強する際に重要なポイント

ここで重要なポイントが、憲法を学習する際に、併せて行政法の分野のうち行政救済法(特に行政事件訴訟法)と行政裁量について学習することをおすすめします

国家行為による制約の形式・態様を学習する際に、行政処分の枠組み・争訟形式などの理解があると、議論の所在を意識しながら勉強することができるからです。

特に行政裁量は、頻出ですので、判例の判断枠組みについて、いわゆる社会観念審査と呼ばれるものや判断過程審査などの裁量統制の枠組みに関する領域を学習するとよいです。

 

そして、いわゆる下四法のはじめに、会社法を学習していきます。

なぜなら、会社法の特質として、取引をする過程で、機関設計や権限分配、株主を基礎とする意思決定のための手続などが憲法の統治分野の思考と関連するからです。

会社同士の法律関係、会社内部の法律関係、実体的な法律関係と手続的な要素をそれぞれ区別して勉強していきます。

民訴と刑訴は、民法と刑法の学習が進んでいくことに伴い、それぞれの実体法とリンクさせつつ学習していきます。なぜなら、民訴は要件事実論の理解が根本的に重要であり、刑訴は行為を切り出して適法違法の検討をする思考回路とともに構成要件に該当する具体的な事実をどのようにとらえるかなど、それぞれ実体法の理解が軸となるからです。

逆に言えば、民訴も刑訴も、実体法を理解できていなければ、手続法ならではの理論や知識をインプットしようとしても、表面的なものにとどまってしまいます。

まとめると、このような順番がおすすめです。

民法→刑法・憲法(行政救済法・行政裁量含む)→会社法→民訴・刑訴→行政法

なお、この→は、1つの科目すべてのインプットあるいはアウトプットが終了してから次にいくという意味ではありません。あくまで、着手していく順番ですから、ある程度同時並行的に勉強していくことが効率的です。

もっとも、憲民刑の上三法と商民訴刑訴行政の下四法は、前者が一回りしてから、後者の勉強を開始することをおすすめします。同時にすべての科目の勉強を並行すると、処理のキャパを超えてしまうおそれがあるからです。

司法試験の独学勉強ををより効率性を高める方法

短文事例問題を繰り返す

法律の学習を開始して、科目ごとで、1冊基本書などを1周して法律の全体像を把握した段階で、短文の事例問題を解いてみましょう。

ここにいう事例問題は、あくまで論文検討です。

目的は3つです。

  1. ①簡易な事実関係を数多く分析して、どのような事実関係の中に典型的な法的な問題点が存在するのかを発見する力をつける。
  2. ②発見した問題点を解決するための論証の流れをつかむ(問題点に至る前提の整理、原則例外の論証、規範定率→あてはめなど)
  3. ③法的三段論法での基本的な論述の型をつける。

素材は、予備校が作成している問題集のほか、旧司法試験の過去問を使用するのがおすすめです。

最初に手に付けるのであれば、答案例がついているものを強くおすすめします。法律答案の作法、おおよその文章の型を学ぶ上では、参考答案例がついているものが合理的だからです。

もっとも、答案例は、批判的に検討しましょう。ただ書き写すという作業ではなく、なぜそのような文章、構成になるのかを考えながら学習しなければ、自分の文章作成の型を作ることはできないからです。

ちなみに、旧司法試験などが含まれているものとしては、こちらがおすすめです。

演習書を論点収集・整理ツールとしても使う

演習書の中でも、特に問題数が豊富で論点の網羅性が高いものは、論点収集・整理ツールとして有用です。科目にもよりますが、例えば民事系科目でいえば、それぞれ次の演習書は、短文事例問題演習あるいは論点収集・整理ツールとして有用です。

  1. 民法:民法演習サブノート210問
  2. 商法:事例で考える会社法第2版
  3. 民訴法:ロープラクティス

こういったものを活用し、自分なりに基本書等の知識を一元化することは、体系的な理解に役立つ1つの方法です。

途中で司法試験の勉強に挫折しないためにできる継続方法

自分自身で自律的に勉強を継続する3つのポイントをご紹介します。

目標を設定する

まずは、自分がいつまでに、試験までどの程度の実力に至っているかという目標を設定することが重要です。例えば、予備試験の短答式試験の成績を指標としたとき、次のような目標設定が考えられます。

 

憲法

行政

民法

商法

民訴

刑法

刑訴

般教

合計

2020.8

8

12

15

7

9

16

10

15

92

2020.10

15

10

16

9

11

15

16

20

112

2020.12

20

15

20

15

15

20

20

25

150

2021.3

21

20

22

20

20

24

21

25

178

2021.5

24

21

24

21

24

24

24

20

182

上記のような段階的な目標設定により、現実的なステップアップが望めます。点数のアップ・ダウンを細かく検証することで、PDCAサイクルが緻密になり、軌道修正の正確性が高まるからです。

どの程度細分化するかは、実行している学習の効果が表れているかどうかをチェックするために最適な期間であることが重要です。

それは、合格までにどの程度の期間を設定するかどうかにもよるところはありますが、1~3ヶ月ごとの目標設定が妥当です。

自分に合ったスパンでスケジューリングする

目標を設定したら、月単位あるいは週単位での計画を立てます。スケジューリングの仕方は、個々人のライフスタイルや時間の使い方によると思われます。

もっとも,教材の内容やページ数に至るまで細かく設定しすぎると、柔軟なスケジューリングができなくなり、過度なプレッシャーとなりかえってモチベーションを低くしてしまう要因になりかねません。

そのため、月単位や週単位での計画が最もバランスがよいと考えられます。

また、そのような時間軸でのスケジューリングと同時に、自分自身の知識量・スキルアップの程度を計画することも重要です。例えば、短答式試験でいえば、次のような手順でスケジューリングします。

  1. ①現時点で自分が時間内に問題を解いたときの、各科目の正解数を記録する
  2. ②合格点に至るまでどの程度正解数を増やす必要があるのかを計算する

ここで、①と②をまとめる表の一例は、このようになります(一般教養除く、以下同じ。)。

 

憲法

行政法

民法

商法

民訴法

刑法

刑訴法

現状

10

9

14

8

10

15

10

合格

イメージ

24

21

24

18

21

24

23

点数

ギャップ

14

12

10

10

11

9

13

増やすべき正解数

6~7

6

5

5

5~6

5

7

 

  1. ③不正解となった問題のうち、どの程度正確に肢をきることができているか、間違えている部分は科目のどの分野のどのような知識であるかを把握する
  2. ④②の正解数に至るために、これからどの分野・知識をインプットするかを見定める

ここで、③④部分のまとめ方の表の一例としては、このようになります。

 

間違えやすい分野

間違えやすい知識領域

憲法

人権:平等原則、労働基本権、学問の自由

統治等:国会、司法権の限界、9条の学説論理パズル

人権:判例→原文読み

統治:条文、学説理解、論理パズル→択一六法に書き込み

行政法

原告適格、処分性、行政手続法、情報公開法等、行政不服審査法

原告適格、処分性:判例→判例六法に書き込み

行手法など:条文知識→条文素読

民法

債権総論(保証債務、弁済による代位)

親族相続(親子、具体的相続分)

保証債務、弁済による代位→条文素読・百選読み親子関係、具体的相続分→条文素読

商法

株式(種類株式)、機関設計、手形

・種類株式と内容まとめ→マトリックスを作る

・機関設計と権限まとめ

→基本書参照

・手形→予備校がまとめてるやつに書き込み

民訴法

既判力、弁論準備手続、民訴規則

・既判力に関する議論のバリエーションをまとめる

・条文素読

刑法

過失犯、正当防衛、未遂犯

・予備校がまとめてるやつに何を間違えたか書き込み

刑訴法

勾留、保釈、公判前整理手続

・予備校がまとめてるやつに何を間違えたか書き込み

 

  1. ⑤④を踏まえたやるべき勉強の内容を確定→勉強時間確保

表のまとめかたの一例は、このようになります。

  勉強内容 実行チェック
憲法 ・国籍法判決原文読み
・空知太判決百選読み
・国会の条文素読+基本書で補充
・司法権の限界に関する判例一覧表探し
・9条の学説論理パズル
☑→関連判例
☑→関連判例
行政 ・過去問で出た判例の結論と事案、判旨を表にまとめる
・行手法等の条文素読
・行審法の条文素読→行訴法とも対比
民法 保証債務、弁済による代位→条文素読
・百選読み親子関係、具体的相続分→条文素読
商法 ・種類株式と内容まとめ→マトリックスを作る
・機関設計と権限まとめ→基本書参照
・手形→予備校がまとめてるやつに書き込み
民訴 ・既判力に関する議論のバリエーションをまとめる
・条文素読
刑法 ・予備校がまとめてるやつに何を間違えたか書き込み
刑訴 ・予備校がまとめてるやつに何を間違えたか書き込み

あくまで一例ですが、このように細かな分析を繰り返すことが重要です。

スケジュールの実行|アプリなどを使い、勉強の進捗を管理するのも良い

スケジューリングしたら、その通りに実行していきます。スケジュールを実行するときは、可視化のため、勉強管理のアプリを利用するのがオススメです。

StudyPlusは、特におすすめです。教材管理、勉強時間管理が詳細にできるほか、過去の勉強記録を見返す際に、分野ごとの勉強のバランスなどがチャートなどでわかりやすく把握できます。

ぜひ活用してみてください!

学習総合サイト Studyplus(スタディプラス)

https://www.studyplus.jp/about

うまくいかなかったら合格者に相談する

勉強計画の進捗がうまくコントロールできない、計画通りに勉強しているが結果につながらない、そういった場合には、自分一人で解決するのではなく、合格者に相談しましょう。

ポイントは、合格者に相談するということです。なぜなら、勉強法として、合格との距離感を客観的に把握するための視点を得るには、やはり合格者の視点から、自分自身の現状を見つめなおすことが最も適合的であるからです。

また、日常生活での悩みごとやトラブルなどが影響している場合でも、司法試験に合格するうえでどのようにトラブルに対処し、悩みに向き合ったかは、合格者も少なからず対処法をもっています。そういったものも、積極的に合格者の視点を得るとよいです。

もっとも、独学の場合、そのような人脈がないというのが根本的な悩みであるという方もいると思います。このような段階に至ると、やはり誰の力も頼らず独学でというわけにはいきません

では、どのように相談先を見つければいいのでしょうか。その方法論は、後述します。

完全な独学になる(孤立する)ことを避ける

司法試験は、相対評価の試験ですから、周囲との間で自分がどのようなレベルにあるのかというのを把握することは、必須です。そのような試験の仕組みからしても、周囲の受験生との情報共有をシャットアウトすることは、危険です。

そして、合格のノウハウは、合格者の思考から学ぶことが最も合理的です。そのため、合格者による指導を受けないことは、視野狭窄と司法試験合格までの正しい距離間を知るうえで非常に困難を伴います。特に、自分に合った勉強法を知るには、より多くの合格者とつながり、話を聞いてみることが重要です。

合格レベルとの距離感を知ることができなければ、自分に何が欠けていて、どこをどのように修正するべきかを正確に把握し修正することができません。

そのため、主として時間の使い方を自分のコントロールの範囲内におくとしても、一緒に勉強できるあるいは合格した立場にある人との交流を断つことは、基本的に避けましょう。

完全な独学にならないためにすべきこと

独学をしようとする人が司法試験勉強の上で孤立しないためには、どのような方法があるのでしょうか。

ここでは、3つご紹介します。

Twitter上での情報収集

SNSが普及してからは、予備校講師や司法試験合格者が、様々な形で情報を発信するようになりました。特に、司法試験受験界隈では、Twitterの利用者が多いです。

 

このように、予備校講師、合格者、そして他の受験生など多くの人をフォローすれば、多角的に有益な情報を収集することができます。

ちなみに、筆者の周りで、Twitter上の受験生でタイムライン上によく現れる人ほど、段違いに優秀な方々ばかりだと感じております。そのような環境に身を置くと、勉強のモチベーションアップにもつながります。

ご参考までに、最近有名な、司法試験受験生がフォローすべきツイッタラーをご紹介します。

SNSで合格者や気の合う受験生と交流する

Twitterに限らず、先ほどご紹介したStudyPlusなどのSNSには、司法試験受験生や合格者が少なくありません。

積極的にフォローしていくことで、様々な情報交換のきっかけになります。

合格者のツイッタラーの中には、無料で答案添削を募っている人や、有料ではあるものの予備校に比して格安で答案添削などを行っている方もいます。

 

 

 

さらに、最近は、コレクチャという、受験生と添削者のマッチングを提供するサービスもあります。

コレクチャ

https://correctcha.com/

様々なデジタルのプラットフォームを活用すれば、独学でも様々な人とつながりながら、勉強の幅を広げることができます。

まとめ

いかがでしたか?今回のポイントは、次の通りです。

今回のポイントまとめ

司法試験に独学で挑むことは、可能
独学には様々なリスクがあり、非常に困難である。特に、勉強の方向性が正しいかどうか客観的にチェックすることができない点は非常に恐ろしいことである。
・リスクを踏まえたうえで、独学に挑戦する場合は、基本書等のテキストの選択、勉強計画の立て方など、他の受験生や合格者との情報共有の機会を持つ。
・自分の知識や思考力を客観的に把握し続け、常に軌道修正を怠らなければ、勉強することそのものは「独学」でも、司法試験に合格することは十分可能

 

まずはやってみることが一番です。うまくいかなければ、方向性を修正すればよいのです。

大切なのは、うまくいかないことを自分で認識できているかどうかです。

実践してみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

       

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