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法務の職務経歴書の書き方|採用担当に刺さる例文・サンプル付き完全ガイド

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法務の職務経歴書は、書き方ひとつで選考結果が大きく変わります。


採用担当者が見ているのは、華やかな経歴かどうかではありません。「この人はうちの法務部で何ができるのか」が伝わるかどうかです。契約審査の件数、対応した法域の幅、社内でどんな役割を果たしてきたか。そうした情報を、限られた紙面の中でどれだけ的確に表現できるかが勝負になります。


この記事では、法務の職務経歴書を構成する各項目について、書き方のコツと具体的な例文を交えながら解説していきます。「何を、どの順番で、どこまで書くか」がわからない方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

法務の職務経歴書の基本構成と全体像


まずは法務の職務経歴書の基本構成と全体像を紹介します。

職務経歴書を構成する5つの項目とその役割

 

法務の職務経歴書は、次の5つの項目で構成するのが基本です。

  • 職務要約
  • 職務経歴
  • 資格・スキル
  • 自己PR
  • 志望動機

1つ目は「職務要約」です。これは経歴全体のダイジェストにあたる部分で、採用担当者が最初に目を通す箇所になります。3〜5行で、自分がどんな法務人材なのかを端的に伝えます。

2つ目は「職務経歴」です。勤務先ごとに、会社概要や在籍期間、担当業務の内容を記載します。法務の場合、契約法務・商事法務・コンプライアンスといった業務カテゴリごとに整理すると、採用担当者が読みやすくなります。

3つ目は「資格・スキル」です。法務関連の資格や語学力、使用できるリーガルテックツールなどを記載します。

4つ目は「自己PR」です。自分の強みや仕事への姿勢を、具体的なエピソードを交えて書きます。職務経歴の部分だけでは伝わりにくい「人となり」や「仕事の進め方」をアピールできる項目です。

5つ目は「志望動機」です。ただし、これは必須ではありません。応募先から指定がある場合や、経歴と応募先の接点を補足したい場合に加えます。詳しくは後述します。

 

ハローワークが公開している「職務経歴書の作り方」パンフレットでも、職務経歴のほかに「活かせる能力」「自己PR」「志望動機」を盛り込むことが推奨されています。法務に限った話ではありませんが、この基本構成を押さえたうえで、法務ならではの書き方を工夫していくのが正しい順序です。

 

【参照】職務経歴書の作り方(ハローワークインターネットサービス)

編年体とキャリア式、法務にはどちらが適している

 

職務経歴書の記載形式には、大きく分けて「編年体」と「キャリア式」の2種類があります。

 

編年体は、職歴を時系列で古い順に書いていくスタイルです。経歴の流れやキャリアの積み上がりが伝わりやすく、転職回数が少ない方や、一社で幅広い業務を経験してきた方に向いています。

 

キャリア式は、業務分野ごとに経歴をまとめるスタイルです。「契約法務で何年、コンプライアンスで何年」といった形で書くため、特定分野の専門性や経験の深さをアピールしやすくなります。

 

法務の場合、どちらが正解とは一概に言えませんが、業務カテゴリが明確に分かれている職種だからこそ、キャリア式のほうが書きやすいケースは多いです。とくに複数の会社で法務を経験してきた方は、勤務先ごとに同じような業務内容を繰り返し書くことになりがちなので、キャリア式で分野横断的に整理したほうがすっきりします。

 

一方、法律事務所から企業法務へ転向するケースや、法務未経験から法務へのキャリアチェンジを目指すケースでは、編年体のほうが適しています。経歴の転換点がはっきり見えるため、採用担当者にキャリアの文脈を理解してもらいやすくなります。

 

迷ったら、応募先の求人票をよく読んでください。求人票に書かれている業務内容と自分の経験がどう対応するか、それが伝わりやすいほうの形式を選ぶのが鉄則です。

適切な枚数・分量の目安


法務の職務経歴書は、A4で2〜3枚が適切です。

 

1枚だと情報量が不足しますし、4枚以上になると採用担当者が読むのに負担を感じます。法務は業務の幅が広いため、つい長くなりがちですが、「全部書く」のではなく「応募先に関係のある経験を厚く書く」という発想で分量をコントロールしてください。

 

経験年数が3年以内であれば2枚、5年以上であれば3枚が目安になります。10年以上のキャリアがある方でも、3枚に収める意識を持ったほうがいいです。古い経歴は要点だけにとどめ、直近5年の業務を中心に書くと、読みやすさと情報量のバランスが取れます。

職務要約の書き方と例文


職務要約の書き方と例文を紹介します。

職務要約に盛り込むべき3つの要素


職務要約は、職務経歴書の冒頭に置く「自分の経歴のダイジェスト」です。採用担当者はここを読んで「この先を詳しく読むかどうか」を判断します。つまり、職務要約の出来が書類選考の通過率に直結します。

 

盛り込むべき要素は次の3つです。

 

  • 法務の経験年数と在籍企業の業種・規模
  • 主な担当業務の領域
  • 実績や強みの要約

 

1つ目は、法務の経験年数と在籍企業の業種・規模です。「IT企業で5年」「上場メーカーで8年」といった情報があるだけで、採用担当者は候補者の大まかな経験値を把握できます。

 

2つ目は、主な担当業務の領域です。契約法務が中心なのか、コンプライアンスに軸足を置いてきたのか、商事法務やM&Aの経験があるのか。自分のキャリアの中核がどこにあるかを短く伝えます。

 

3つ目は、実績や強みの要約です。「年間500件超の契約審査を担当」「全社コンプライアンス研修を企画・運営」など、数字や具体的な取り組みをひとつ入れるだけで説得力が増します。

 

この3つの要素を3〜5行でまとめましょう。長々と書く必要はありません。むしろ短いほうが印象に残ります。

経験年数・業種・専門領域を端的に伝える例文


以下に、職務要約の例文を2パターン掲載します。

 

【例文1(契約法務中心の場合)】

東証プライム上場のIT企業にて、約6年間にわたり法務業務に従事してまいりました。契約書の審査・作成を中心に、年間約600件の契約書対応を担当しております。SaaS関連の利用規約や業務委託契約を得意としており、直近2年間は法務チームのリーダーとして後輩2名の育成にも携わっています。

 

【例文2(幅広い法務経験の場合)】

従業員約3,000名の製造業にて8年間、法務・コンプライアンス業務全般を担当してまいりました。契約審査に加え、株主総会の運営、内部通報制度の整備、海外子会社との英文契約対応など幅広く経験しております。2022年からは法務課長として、部門の業務改善や外部弁護士との連携体制の構築にも注力してまいりました。

 

どちらの例文も、業種・経験年数・担当業務・数字や役職による裏付けを短い文章の中に収めています。自分の経歴に合わせて、この構成を参考にしてみてください。

NG例→改善例のビフォーアフター


職務要約でやりがちな失敗は、抽象的な言い回しに終始してしまうことです。

 

【NG例】

法務部門にて幅広い業務を経験し、社内外の関係者と連携しながら、会社の事業成長を法務面からサポートしてまいりました。法的リスクの管理やコンプライアンスの推進にも取り組み、組織全体の法務意識向上に貢献しております。

 

この文章を読んでも、採用担当者は「具体的に何ができる人なのか」がわかりません。「幅広い業務」も「法的リスクの管理」も、法務担当者であれば誰でも書ける表現です。

 

【OK例】

食品メーカー(従業員約1,500名)にて5年間、法務担当として契約審査・商事法務・コンプライアンスを幅広く経験してまいりました。契約審査は年間約400件を担当し、うち英文契約が約2割を占めます。2023年には全社向けコンプライアンス研修を企画し、全12拠点・約1,200名を対象に実施しました。

 

OK例では業種、従業員数、経験年数、契約審査件数、英文契約の割合、研修の規模といった具体的な情報が入ったことで、読み手の頭の中にイメージが浮かぶ文章になっています。

職務経歴の書き方と例文


職務経歴の書き方と例文を紹介します。

契約法務(契約書審査・作成)の書き方と件数の示し方


契約法務は、法務の職務経歴書で最も重視される項目です。多くの企業が法務人材に求める中核業務であり、ここをどう書くかが選考結果を左右します。

 

書くべき内容は、対応した契約類型、年間の審査件数、作成とレビューの比率です。

 

契約類型は「業務委託契約」「秘密保持契約」「売買契約」「ライセンス契約」のように具体的に列挙してください。「各種契約書」とだけ書くのは避けたほうがいいです。どんな契約に強いのかが伝わりません。

 

件数の示し方には2つのパターンがあります。1つは「年間約○件」という形式、もう1つは「月間約○件」という形式です。年間で300件以上あるなら年間表記のほうがインパクトがあります。逆に月間10〜20件程度であれば月間表記のほうが実態に近い印象を与えます。件数を正確に覚えていない場合は「約」をつけて概数で構いません。

 

【例文】

契約書の審査・作成業務を主担当として遂行。年間約500件の契約書を取り扱い、うち約7割がレビュー、約3割が新規作成。対応した契約類型は、業務委託契約、秘密保持契約、SaaS利用契約、OEM契約、代理店契約、共同開発契約など。自社のひな型整備にも携わり、主要5類型のひな型を改訂。

 

商事法務(株主総会・取締役会運営)の書き方


商事法務の経験は、上場企業やIPO準備企業への転職で特に評価されます。

 

株主総会については、「招集通知の作成」「想定問答の作成」「当日の事務局運営」など、どの工程を担当したかを明記してください。一連の業務を通しで経験しているのか、一部の工程だけを担当したのかで評価が変わるため、曖昧にしないほうが得策です。

 

取締役会については、「議案書の作成」「議事録の作成」「付議基準の策定」といった業務内容に加え、開催頻度も記載するとよいでしょう。「月1回開催の取締役会に関する議事録作成」と書くだけで、業務のボリューム感が伝わります。

 

【例文】

株主総会の運営事務局として、招集通知の作成、想定問答の作成および当日運営を3年連続で担当。取締役会(月1回開催)では議案書・議事録を作成し、2023年度には付議基準の見直しを主導。有価証券報告書・コーポレートガバナンス報告書のうち、法務関連記載部分の作成にも従事。

 

コンプライアンス・内部統制の書き方


コンプライアンス業務を書く際に陥りがちなのは、「コンプライアンス推進業務を担当」とだけ書いて終わってしまうことです。これでは何をやったのかがまったく見えません。

 

コンプライアンスは業務内容の幅が広いので、できるだけ具体的に書いてください。社内規程の整備なのか、研修の企画・実施なのか、内部通報制度の運用なのか、反社チェックの体制構築なのか。それぞれ必要なスキルが異なるため、採用担当者は「うちで求めている業務と合っているか」を細かく見ています。

 

研修を実施した経験があれば、対象人数、実施回数、テーマを記載します。規程の整備に関わった場合は、新規策定か改訂かの区別と、対象となった規程の名称を書くと具体性が増します。

 

【例文】

全社コンプライアンス推進担当として、以下の業務を遂行。社内規程の整備として、内部通報規程・情報管理規程・反社会的勢力対応規程の新規策定および贈収賄防止規程の改訂を実施。年2回の全社コンプライアンス研修(対象:全従業員約2,000名)の企画・講師を担当。内部通報窓口の運用責任者として、年間約30件の通報対応を処理。

 

訴訟・紛争対応の書き方


訴訟や紛争対応の経験は、法務人材としての対応力を示す材料になります。ただし、守秘義務の観点から詳細を書けないケースも多いため、書き方には工夫が必要です。

 

ポイントは、個別案件の中身には踏み込まず、対応した件数、紛争の類型、自分の役割を書くことです。「原告側として製品責任に関する訴訟2件を担当」「外部弁護士と連携し、労働紛争の和解交渉に従事」といった粒度であれば、守秘義務に抵触するリスクは低いです。

 

外部弁護士との連携経験がある場合は、その旨を明記してください。「訴訟を全部自分で対応した」のか「外部弁護士のマネジメントが中心だった」のかは、採用側にとって重要な情報です。

 

【例文】

訴訟対応として、労務関連訴訟2件、取引先との契約紛争3件、知的財産権侵害に関する紛争1件に関与。いずれも外部弁護士と連携し、社内窓口として事実関係の調査、証拠の整理、経営層への報告を担当。うち4件は和解により解決。

 

知的財産・特許関連業務の書き方


知的財産関連の業務は、メーカーやIT企業への転職で加点ポイントになります。特許出願や商標管理の実務経験がある方は、積極的に記載してください。

 

書くべき内容は、出願件数、管理している商標や特許の件数、弁理士や特許事務所との連携の有無です。知財部門と別に法務部にも知財業務がある企業は少なくないため、「法務の立場から知財に関与した」のか「知財部門で専任だった」のか、自分のポジションを明確にすると誤解を防げます。

 

【例文】

知的財産関連業務として、特許出願の社内審査(年間約20件)および商標の出願・更新管理(国内約100件、海外約30件)を担当。弁理士事務所との窓口を務め、出願戦略の策定にも参加。著作権や不正競争防止法に関する社内相談にも対応。

 

国際法務・英文契約・海外拠点対応の書き方


国際法務の経験は、グローバル展開する企業への転職で高く評価されます。経済産業省が2019年に公表した「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書」でも、法務部門が海外ビジネスの「パートナー」として機能することの重要性が指摘されています。こうした流れを受けて、英文契約対応や海外子会社のガバナンスに関与できる法務人材の需要は高まり続けています。

 

記載する際は、英文契約の取り扱い件数、対応言語、関与した国や地域を書いてください。加えて、「自分で英文契約のドラフトを書いていたのか」「英語で相手方弁護士と交渉していたのか」「日本語で国内弁護士に指示して翻訳・レビューを依頼していたのか」を区別できるように書くことも大切です。同じ「英文契約対応」でも、実際にやっていた中身は人によって大きく異なります。

 

【例文】

海外取引先との英文契約(NDA、License Agreement、Distribution Agreement等)の審査・交渉を年間約60件担当。米国・英国・東南アジアの取引先が中心で、現地弁護士との英語でのやり取りも自ら対応。海外子会社(タイ・ベトナム)の設立に際し、現地法務DDの窓口を担当した経験あり。

 

【参照】国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書(経済産業省)

戦略法務(M&A・新規事業支援)の書き方


戦略法務は、経済産業省の前述の報告書で「クリエーション機能」と呼ばれている領域に近い業務です。M&Aにおける法務デューデリジェンス、新規事業の法的スキームの検討、規制対応のための当局折衝など、守りだけでなく攻めの法務経験を示せる項目になります。

 

こうした業務は、案件の規模と自分の関与度合いがポイントです。「M&Aの法務DDを担当」と書くだけでなく、対象企業の規模感、DD期間、自分がレビューした領域(契約、労務、許認可など)を明記してください。

 

新規事業の法的検討については、「どの法令が問題になったか」「検討の結果どうなったか(事業化に至ったのか、スキーム変更になったのか)」まで書けると、採用担当者に実務のリアリティが伝わります。

 

【例文】

M&A関連業務として、国内企業2社の買収に係る法務デューデリジェンスを主担当として遂行。対象範囲は契約関係、労務、許認可、訴訟リスクの4領域。DD報告書の作成および経営会議での報告を担当。新規事業では、フィンテック関連サービスの立ち上げにおいて、資金決済法・貸金業法の適用関係を整理し、金融庁への事前相談に同行。

 

自己PRの書き方と例文


自己PRの書き方と例文を紹介します。

法務の自己PRで評価される4つの能力


自己PRでは、法務担当者として何が強みなのかを明確に伝える必要があります。漠然と「法律知識があります」「コミュニケーション能力に自信があります」と書いても、他の候補者との違いが見えません。

 

法務の採用現場で評価されやすい能力は、大きく4つあります。

 

  • 調整力・折衝力
  • 文書作成力(ドキュメンテーション能力)
  • 情報収集・分析力
  • 業務改善・仕組みづくりの経験

 

1つ目は「調整力・折衝力」です。法務は社内の事業部門、経営層、外部弁護士など、立場の異なる関係者の間に立つ場面が多い職種です。利害が対立する場面でどう合意形成してきたか、その経験は強いアピール材料になります。

 

2つ目は「文書作成力・ドキュメンテーション能力」です。契約書やリーガルメモ、取締役会議事録など、法務は日々の業務が文書のアウトプットに直結しています。正確で読みやすい文書を作れる力は、実はそのまま職務経歴書の品質にも表れます。

 

3つ目は「情報収集・分析力」です。法改正や判例の動向を継続的にキャッチアップし、自社のビジネスへの影響を分析できる力は、とくに規制業種の企業から重宝されます。

 

4つ目は「業務改善・仕組みづくりの経験」です。契約書のひな型整備、審査フローの効率化、リーガルテックツールの導入推進など、法務部門の業務そのものを改善した経験は、マネジメント志向の強い企業から評価されます。

 

自己PRを書くときは、この4つのうち自分が最もアピールできるものを1〜2つ選び、具体的なエピソードとセットで書いてください。

具体的なエピソードの選び方と書き方のフレームワーク


自己PRのエピソードは「課題→行動→成果」の3点セットで構成するのが基本です。

 

まず「どんな課題があったか」を示します。次に「自分がどう動いたか」を具体的に書きます。最後に「その結果どうなったか」を、できれば数字を交えて伝えます。

 

ここで注意したいのは、課題の設定です。「法務部の人手が足りなかった」「業務が属人化していた」といった、多くの法務部が抱えていそうな課題を選んでください。読む側が「うちも同じ状況だ」と感じれば、エピソードへの共感度が上がります。

 

行動の部分では、「自分が」何をしたかを明確にしてください。チームで取り組んだ案件でも、自分の役割や判断を書かないと、誰がやったのかわからない文章になってしまいます。

 

成果は、数字で示せるなら数字で示します。「審査のリードタイムを平均5営業日から3営業日に短縮」「契約書のひな型化により、営業部門からの差し戻し率を40%削減」など。数字がない場合は、「経営会議で採用された」「他部署に横展開された」といった定性的な成果でも構いません。

自己PR例文3パターン(契約法務特化型・ゼネラリスト型・マネジメント型)


ここでは、3つのパターンにわけて、自己PRの例文を紹介します。

 

【契約法務特化型】

私の強みは、大量の契約書を正確かつ迅速に処理する実務力です。現職では年間600件超の契約審査を1名で主担当として対応しており、平均レビュー日数は2営業日以内を維持しています。2023年には、審査依頼のたびに事業部と個別にやり取りしていた運用を見直し、契約審査の依頼フォームと進捗管理シートを導入しました。この結果、事業部との確認にかかる工数が約3割削減され、月末に集中しがちだった審査依頼も平準化されました。スピードを保ちながらもリスク判断の精度を落とさないことを常に意識しています。

 

【ゼネラリスト型】

法務部門3名体制の企業で5年間勤務し、契約審査からコンプライアンス、株主総会運営、訴訟対応まで一通りの法務業務を経験してまいりました。特定の領域だけでなく、法務部に来るあらゆる相談を自分で対応する環境で鍛えられたことが、私の財産です。たとえば、2022年に個人情報保護法の改正対応を主導した際には、社内規程の改訂、プライバシーポリシーの見直し、全社向け研修の企画・実施までを一貫して担当しました。幅広い業務を横断的にカバーできる対応力が、私の強みだと考えています。

 

【マネジメント型】

法務課長として3名のチームを率い、部門の業務品質と効率の両立に取り組んでまいりました。就任当初、契約審査の品質がメンバーごとにばらついていたため、チェックリストの標準化とレビュー結果のクロスチェック体制を導入しました。あわせて、メンバーの業務負荷を可視化する仕組みを作り、繁忙期の業務配分を調整できるようにしました。この取り組みの結果、事業部からの法務部への満足度アンケートのスコアが、前年比で15ポイント向上しました。個人のスキルだけでなく、チームとしての法務品質を底上げすることに注力してきた経験を、次の職場でも活かしたいと考えています。

 

自己PRのNG例と改善ポイント


自己PRでありがちなNG例を1つ紹介します。

 

【NG例】

法務担当者として、常に正確かつ迅速な業務遂行を心がけてまいりました。社内外の関係者と良好なコミュニケーションを取り、法的リスクの低減に貢献してまいりました。今後も法務のプロフェッショナルとして、企業価値の向上に寄与していきたいと考えております。

 

この文章の問題は、誰にでも当てはまる内容であることです。「正確かつ迅速」「良好なコミュニケーション」「企業価値の向上」は、どれも抽象的で、この人だけの強みが見えません。採用担当者がこの自己PRを読んで思うのは、「それで、具体的に何をやったの?」です。

 

改善のポイントは3つあります。

 

1つ目は、自分の強みをひとつに絞ること。「あれもこれもできます」と書くと、結局何が得意なのか伝わりません。

 

2つ目は、具体的なエピソードを入れること。前述の「課題→行動→成果」の構成に沿って、ひとつの経験を掘り下げてください。

 

3つ目は、心がけではなく成果で語ること。「心がけてまいりました」は行動でも成果でもありません。実際に何をして、結果どうなったかを書きましょう。

資格・スキルの記載方法


資格の記載方法としては、正式名称で、取得年月を添えて書くのが基本です。「ビジネス実務法務検定試験(R) 2級(2021年7月取得)」のように書きましょう。

 

勉強中で未取得の資格は「○○を学習中」と書くこともできますが、あくまで補足情報として扱ってください。メインのアピールにはならないので、書かないのが一般的です。

法務で評価される資格一覧


法務の転職で評価される資格は、大きく3つのカテゴリに分けられます。

 

まず、法律系の国家資格です。弁護士資格、司法書士、行政書士、弁理士がここに該当します。弁護士資格を持っていれば、法務の書類選考ではほぼ間違いなくプラスに働きます。司法書士や行政書士は、登記業務やコンプライアンス分野で評価されるケースがあります。弁理士は、知財部門との兼任や知財関連業務が含まれるポジションで加点材料になります。

 

次に、民間資格・検定です。法務の転職で最もよく見るのは「ビジネス実務法務検定」です。東京商工会議所が実施する検定で、2級の合格率はおよそ30〜40%台で推移しています。2級以上を持っていると、法務の基礎知識を体系的に学んでいることの証明になります。個人情報保護士、知的財産管理技能検定なども、担当業務との関連があれば記載する価値があります。

 

最後に、語学関連の資格です。TOEICは法務の転職でよく問われるスキルで、800点以上が一つの目安になります。英文契約を扱うポジションでは860点以上を求められることもあります。TOEFLやIELTSのスコアがある場合も併記してください。

志望動機は職務経歴書に書くべき?


職務経歴書に志望動機を書くべきかどうかは「応募先の指定」と「経歴との接点の有無」で判断してください。書くべきケースは2つあります。

 

1つは、応募先企業が「職務経歴書に志望動機を含めてください」と明記している場合です。指定があるのに書かないのは、それだけで印象を落とします。

 

もう1つは、自分の経歴と応募先の事業内容に、職務経歴だけでは伝わりにくい接点がある場合です。たとえば、メーカーの法務からIT企業の法務に移る場合、「なぜ業界を変えるのか」を補足する意味で志望動機が有効に機能します。

 

一方、転職エージェント経由で応募する場合は、志望動機はエージェントの推薦状やカバーレターで伝えるのが一般的なので、職務経歴書への記載は不要です。また、同業種・同規模の企業間の転職で、経歴を見れば応募の動機が自明な場合は、無理に志望動機を書く必要はありません。職務経歴書の分量が増えすぎるデメリットのほうが大きいです。

 

【例文1(事業会社間の転職)】

現職では国内取引を中心とした契約法務に従事しておりますが、今後は海外事業に関わる法務業務にも携わりたいと考えております。貴社は東南アジアを中心に事業拡大を進めておられると認識しており、現職で培った契約審査の実務力に加え、TOEICスコア870点の英語力を活かして、海外取引に関する法務対応に貢献できると考えております。

 

【例文1(法律事務所から法務への転職)】

法律事務所にて4年間、企業法務案件を中心に担当してまいりましたが、クライアントの事業を外側から支援する立場から、社内の法務担当として事業に深く関わる立場へ移りたいと考え、転職を決意いたしました。貴社が注力されているヘルスケア領域は、薬機法をはじめとする規制対応が不可欠な分野です。法律事務所で培った薬事関連の法的知見を、貴社の新規事業推進においてお役に立てると考えております。

 

不利な経歴をプラスに変える書き方


不利な経歴をプラスに変える書き方について紹介します。

短期離職・転職回数が多い場合


法務に限らず、短期離職や転職回数の多さは採用担当者が気にするポイントです。ただし、法務の場合は「短期離職=即マイナス」とは限りません。企業の法務体制が想定と異なっていたケースや、M&Aによる組織再編でポジションがなくなったケースなど、法務特有の事情が理解されることもあります。

 

書き方のポイントは、言い訳ではなく「何を得たか」に焦点を当てることです。各社での在籍期間が短くても、それぞれの職場で何を担当し、どんなスキルを身につけたのかが明確に書かれていれば、読む側の印象は大きく変わります。

 

また、職務経歴書の冒頭の「職務要約」で、キャリア全体を通じた一貫性を示すのも有効です。「契約法務を軸に、規模の異なる3社で経験を積んでまいりました」のように書けば、転職回数の多さが「多様な環境への適応力」として読めるようになります。

ブランク(離職期間)がある場合


離職期間がある場合、職務経歴書に何も書かないのが一番よくありません。空白の期間があると、採用担当者は「何をしていたのだろう」と不安を感じます。

 

ブランクの理由が家庭の事情、資格試験の勉強、体調の回復などであれば、1〜2行でさらりと触れておくのが得策です。「家族の介護に専念するため一時離職。現在は介護体制が整い、フルタイム勤務可能。」「司法試験受験に専念するため退職。試験終了後、企業法務へのキャリアを志望。」といった形です。

 

大事なのは、ブランク期間中に法務に関連する学習や活動をしていたなら、それを書くことです。法改正のキャッチアップを続けていた、ビジネス実務法務検定を取得した、オンラインの法務セミナーに参加していた。こうした情報があれば、「ブランク期間中もスキルを維持・向上させていた」ことが伝わります。

一人法務・少人数体制で業務範囲が広い場合


一人法務や少人数体制の法務は、業務範囲が広い反面、「深い専門性がないのでは」と見られるリスクがあります。

 

これを逆転させるには、「広い業務範囲を一人で回していた」という事実そのものを強みとして打ち出す書き方が有効です。契約審査からコンプライアンス、株主総会、訴訟対応まで、どれだけ幅広い業務を少人数で処理していたかを明確にしてください。

 

コツは、業務カテゴリごとの対応件数や時間配分を書くことです。「契約審査が業務全体の約5割、コンプライアンス関連が約3割、商事法務が約2割」のように割合を示すと、業務のポートフォリオが一目でわかります。

 

加えて、外部弁護士との連携の仕方にも触れてください。一人法務の場合、すべてを自分で判断するわけにはいきませんから、どのタイミングで外部弁護士に相談し、どのように社内にフィードバックしていたか。こうした判断の仕方が書かれていると、採用担当者は「この人は自分の守備範囲と限界を理解したうえで動ける」と安心します。

法務以外の業務(総務・庶務)の割合が多かった場合


中小企業やスタートアップでは、法務と総務を兼任しているケースが珍しくありません。「法務の仕事をしていました」と言いたいけれど、実際には総務や庶務の比率が高かった。そんな場合の書き方です。

 

職務経歴書では、法務業務と総務業務を明確に分けて記載してください。「法務関連業務」と「総務関連業務」でセクションを分け、それぞれの業務内容と時間配分を示します。法務特化の求人に応募するなら、法務関連業務を先に書き、分量も法務のほうを厚くします。

 

ここで大事なのは、「総務もやっていた」ことを隠さないことです。隠すと面接で発覚したときに信用を落とします。むしろ「法務と総務を兼任する中で、限られた時間をどう法務業務に充てていたか」を書いたほうが、タイムマネジメント能力の証明になります。

 

加えて、総務業務の中にも法務と接点のある仕事はあるはずです。社内規程の管理、文書管理、株式事務など。これらは総務の名目でやっていたとしても、法務スキルを活かしていた業務として記載できます。

法務の職務経歴書に関するよくある質問


法務の職務経歴書に関するよくある質問についてまとめました。

職務経歴書は何枚が適切ですか?


A4で2〜3枚が適切です。経験年数が3年以内であれば2枚に収まるケースがほとんどです。

5年以上のキャリアがある場合は3枚を目安にしてください。4枚以上になると読む負担が増えるため、情報を取捨選択して3枚以内に収めることをおすすめします。

守秘義務がある業務はどこまで書けますか?


個別案件の当事者名、具体的な紛争の内容、未公開の取引条件などは書いてはいけません。

一方で、「労務紛争の企業側代理人として3件対応」「M&Aの法務DDを2案件担当」といった、業務の類型と件数レベルの情報であれば記載して問題ありません。

 

迷った場合は、「新聞報道に出ている情報の範囲かどうか」を判断基準にしてください。それでも不安がある場合は、前職の守秘義務規定を確認するか、応募先に「守秘義務の範囲で記載しております」と一言添えるとよいでしょう。

複数の応募先への使い回しはしてもよいですか?


原則として、応募先ごとに職務経歴書はカスタマイズしたほうがいいです。

同じ経歴でも、応募先が求める人材像によって強調すべきポイントは変わります。たとえば、契約法務の実務力を重視する企業に応募するなら契約関連の記載を厚くすべきですし、コンプライアンス体制の構築を担える人材を探している企業なら、コンプライアンスの経験を前面に出すべきです。

 

とはいえ、応募のたびにゼロから書き直すのは現実的ではありません。ベースとなる職務経歴書を1通作成し、応募先ごとに「職務要約」と「自己PR」を中心に微調整する運用が効率的です。職務経歴の事実関係は変えようがないので、見せ方を変えるイメージで取り組んでください。

まとめ


法務の職務経歴書は、「自分が何をやってきたか」を正確に伝えるだけでは足りません。「この人はうちの法務部で何ができるのか」を、採用担当者にイメージさせることが目的です。

 

そのために押さえるべきポイントを振り返ります。職務要約では経験年数・業種・専門領域と実績を3〜5行に凝縮しましょう。職務経歴では業務カテゴリごとに具体的な件数や取り組みを記載しましょう。自己PRでは「課題→行動→成果」の構成で、自分だけのエピソードを入れ、応募先に合わせて見せ方を調整しましょう。

 

完璧な職務経歴書を一発で書き上げる必要はありません。まず手を動かして書いてみて、翌日に読み返してみてください。「採用担当者がこれを読んだら何を質問するだろう」と想像しながら修正を重ねることで、精度は着実に上がります。

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