弁護士専門の転職・求人情報サイトならNO-LIMIT

弁護士の大変なことは何がある?現役弁護士が語る仕事のリアルとやりがい

更新日: 公開日:

「弁護士=高収入・高ステータス」というイメージは、今も根強く残っています。しかし、司法試験という難関を突破し、いざ弁護士として働き始めると、そのイメージと現実の間に大きなギャップを感じる人は少なくありません。

弁護士人口の増加による競争激化、AIをはじめとするリーガルテックの台頭、依頼者の多様化と複雑化する社会問題など、弁護士を取り巻く環境は、かつてとは大きく変わりつつあります。

この記事では、弁護士という職業の「大変なこと」を、精神的負荷・実務スキル・対人ストレスの3つの観点から整理し、さらに弁護士の種別による大変さの違い、それでも弁護士を続けられるやりがい、そして大変さを乗り越えるための実践的なアドバイスまでを、現役弁護士の視点からお伝えします。

弁護士を目指している方、弁護士へのキャリアチェンジを検討している方、そして現在の働き方に悩んでいる現役弁護士の方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。

PROGRESS PROGRESS

修習生・予備試験合格者向け求人サイト
PROGRESS α版始動
公式:https://progress.no-limit.careers/

弁護士の大変なこと

弁護士の仕事において大変なことについて、少し抽象度は高いですが、3つの観点で紹介していきます。

精神的・心身的な負荷が多い

弁護士が取り扱う案件は、依頼者の財産・自由・家族・生命に直結するものが少なくありません。

離婚・相続・刑事事件・企業の倒産といった案件では、依頼者の人生が文字どおり弁護士の判断にかかっているといっても過言ではなく、その責任の重さが日常的なプレッシャーとなります。「負けられない」という意識が常にのしかかり、心身ともに消耗しやすい職業的特性があります。

また、弁護士の業務は本質的に労働集約型です。法律文書の作成・証拠の精査・法令調査・依頼者との面談・期日への出頭など、これらは高度な集中力と膨大な時間を要し、案件が複数重なると休日返上・深夜作業が常態化します。デスクワークの多い職種でありながら、心身への負担は極めて大きいといえます。

さらに、最善を尽くしても望む結果が得られないことがあるのが法律実務の厳しさです。

裁判所の判断は弁護士がコントロールできるものではなく、たとえ論理的に正しい主張をしても相手方の証拠が有利であれば敗訴することもあります。その際に依頼者から批判や非難を受けることも珍しくなく、精神的な消耗は避けられません。

そして弁護士は、多くの場面で最終的な判断を一人で下さなければなりません。担当案件の方針決定・交渉戦略の選択・和解の受諾判断、いずれも孤独な意思決定の連続であり、その重さが長期的なバーンアウトにつながるリスクを孕んでいます。

実務スキルのハードルが高い

弁護士の業務は締め切りとの戦いでもあります。準備書面や答弁書の提出期限、交渉の回答期限、登記や届出の法定期限など、これらが複数案件で同時進行し、タスク管理の精度が求められます。

30件以上の案件を常時手持ちで抱えることも珍しいことではなく、弁護士として年次を重ねクライアントを多く抱えていけば、常時50件を抱えている状況もあります。

一方で、期日を一日でも誤ると依頼者に取り返しのつかない不利益をもたらし、懲戒されれば弁護士資格自体が無くなってしまうことへのリスクもあり、緊張感は途切れることがありません。

さらに、法律は「生き物」であり、法改正・新判例・行政通達の変化は絶え間なく続きます。自身の専門分野だけでなく、関連分野の動向も継続的にキャッチアップしなければ、実務に支障をきたす可能性があります。司法試験で学んだ知識は合格後の出発点にすぎず、現場では常に最新の法的知識が求められます。

司法試験に合格した直後の弁護士は、「法的知識はある」が「実務経験はゼロ」という状態でキャリアをスタートします。事務所に入所した初日から依頼者の案件を担当し、期日に出頭し、書面を書くことが求められます。司法修習で基礎は学びますが、実際の訴訟や交渉の場での即戦力としてのプレッシャーは相当なものです。

加えて、独立開業を選択した場合には、弁護士業務に加えて事務所の経営者としての役割も担うことになります。集客・マーケティング・採用・資金繰り・事務管理といった経営業務は、法律の勉強では習得できないスキルであり、独立後に多くの弁護士がその壁に直面します。

対人・環境のストレスがある

弁護士の仕事における対人ストレスは、一般的な職場の人間関係とは質的に異なります。依頼者・相手方・裁判所・相手方代理人弁護士——この四者が複雑に絡み合う場では、剥き出しの感情と利害が正面からぶつかり合います。

依頼者は多くの場合、人生の危機的状況に置かれており、心理的に追い詰められた状態で弁護士と向き合います。

感情的になる・過大な要求をする・弁護士の説明を受け入れられない——といった状況は日常的であり、「法的に正しいこと」と「依頼者が望むこと」の間で板挟みになるケースも少なくありません。相手方が弁護士をつけていない場合(本人申立)には、法的知識のない相手と直接交渉しなければならず、感情的な言葉を浴びせられることもあります。

さらに、事務所内では先輩弁護士や経営パートナーとの関係、勝訴・敗訴を巡る評価プレッシャーがあり、裁判所とのやり取りでは裁判官の訴訟指揮や補充尋問への対応が求められます。

これらすべての関係において、弁護士は常にプロフェッショナルとして冷静かつ論理的に振る舞うことを求められます。日常のビジネスとは比較にならないほど、感情と利害が剥き出しになる場面を毎日経験するという点が、弁護士という職業の対人ストレスの本質です。

弁護士の仕事が「大変」と言われる3つの背景

次に、弁護士の仕事が大変であると言われるさらなる背景的部分について、3つの観点で解説していきます。

弁護士人口の増加に伴う競争の激化

2004年の司法制度改革により法科大学院制度が導入され、司法試験合格者数は大幅に増加しました。2000年代初頭には年間1,000人程度だった合格者数が、改革後には2,000人超となり、登録弁護士数は急増しました。

日本弁護士連合会の統計によれば、2024年時点の登録弁護士数は45,000人を超えており、20年前と比較して約2倍以上に膨らんでいます(出典:日本弁護士連合会「弁護士白書」)。

この増加は法的サービスへのアクセス向上という側面がある一方で、弁護士間の競争を著しく激化させました。地方では弁護士過疎が解消されつつある一方、都市部では顧客獲得競争が激しく、特に独立・開業の弁護士にとっては集客が死活問題となっています。

なお、近年では司法試験の受験資格として予備試験ルートの人気が高まっており、実力主義の競争はさらに激しくなっています。

激務の割には稼げないことも

かつての弁護士は「高収入」の代名詞でしたが、現在はその実態が大きく変わりつつあります。

日本弁護士連合会の調査では、弁護士の収入分布には大きなばらつきがあり、年収300万円台の弁護士が一定数存在することも明らかになっています。

大規模事務所や外資系事務所に所属するパートナー弁護士は依然として高収入を得ていますが、独立間もない弁護士や地方の小規模事務所所属の弁護士では、業務量の多さに対して収入が見合わないケースも少なくありません。法律相談の費用相場が下がり、法律サービスの「コモディティ化」が進む中、弁護士の付加価値をどう示すかが問われる時代になっています。

対人関係のあらゆるストレスを集約している

弁護士の職業は、社会が生み出すあらゆる紛争・葛藤・利害対立の最前線に立つ仕事です。家族間の憎悪・企業間の深刻な利害対立・刑事事件における生死を分ける局面など、こうした社会の「負の側面」を日常的に扱うことは、弁護士のメンタルヘルスに蓄積的な影響を与えます。

また、守秘義務の性質上、担当案件の内容を外部に打ち明けることができず、孤独にストレスを抱えやすい環境でもあります。

社会インフラとして機能する弁護士という職業は、その性質上、対人ストレスを集約しやすい構造を持っているといえます。

弁護士の種別による「大変さ」の違いとは

弁護士の仕事も様々な職種やプラクティスがあり、扱う案件の種類や内容によってその「大変さ」も様々です。主な種別ごとに、弁護士の仕事における大変なことを解説していきます。

四大・外資系などのアソシエイト弁護士

四大法律事務所や外資系ローファームのアソシエイトは、高水準の報酬を得る反面、激務であることで知られています。

深夜・休日を問わず案件に向き合い、国際的な取引や複雑な企業法務案件を担当します。英語でのやり取り、タイトなデューデリジェンス期間、クライアントからの高い要求水準があります。

これらが重なり、精神的・肉体的な消耗は極めて大きいものがあります。一方で、専門性を急速に高められる環境でもあり、数年間の経験がキャリアの強力な基盤となります。

街弁

一般民事・刑事・家事事件など幅広い案件を扱う街弁(街の法律事務所の弁護士)は、業務の多様性ゆえに専門特化が難しく、常に守備範囲を広くキープする必要があります。

依頼者との距離が近く感情的な巻き込まれやすさがある一方で、地域の問題に直接貢献できるやりがいも大きい環境です。収入の安定は事務所の規模や地域によって大きく異なります。

インハウスローヤー

企業内弁護士(インハウスローヤー)は、ワークライフバランスの面では改善しやすい環境にある一方、独自の大変さがあります。

社内では唯一の法務専門家として孤立した判断を迫られることが多く、経営判断と法的リスクのバランスをとりながら事業部門の要望に応える必要があります。法律的には「ノー」と言うべき場面でも、事業推進のプレッシャーから妥協を求められる局面も生じます。

また、訴訟代理などの弁護士固有業務から遠ざかることで、実務スキルが鈍化するリスクもあります。

なお、筆者は、街弁とインハウスを「二足のわらじ」で経験するキャリアパスです。訴訟・交渉の最前線を経験した街弁としての視点と、経営・ビジネスの文脈で法的リスクを評価するインハウスの視点の両方を持つ弁護士は、クライアントに対して格段に実践的なアドバイスを提供できます。

たとえば、契約交渉では「この条項が将来訴訟になったときにどう解釈されるか」という訴訟弁護士的な読みを持ちながら、同時に「この取引をビジネス的に成立させるには何を優先すべきか」というインハウス的な思考も持ち合わせることができます。二つの大変さを経験しているからこそ得られる複眼的な視点は、現代のビジネス法務において大きな競争優位となります。

独立開業した弁護士

独立開業した弁護士は、弁護士業務と経営業務を同時に担う必要があり、その負担は二重になります。

集客・ウェブマーケティング・スタッフ管理・資金繰りを弁護士一人でこなしながら依頼者の案件に向き合う日々は、体力的にも精神的にも過酷です。しかし、事務所のブランドを自ら築き、自分の価値観に沿った案件を選べる自律性の高さは、独立ならではの醍醐味でもあります。

大変でも弁護士を続けられる「やりがい」とは

このように、弁護士の仕事の中で大変なことが様々ある中でも、やりがいを見出せる時も多々あります。そのポイントはどのようなところにあるのか、3つ解説していきます。

依頼者の人生を変える瞬間の充実感

弁護士として最も深い充実感を得られる瞬間の一つが、依頼者の人生の転換点に立ち会う瞬間です。

長年の紛争が解決した瞬間の安堵の表情、不当解雇から回復した依頼者の感謝の言葉、冤罪の疑いが晴れた瞬間の涙もあります。こうした場面は、業務の大変さを超えてこの職業を選んでよかったと思える核心的な体験です。

単なる法律サービスの提供者ではなく、人生の危機に伴走するパートナーとしての役割を担えることが、弁護士という職業の本質的な価値といえます。

知的刺激と成長の継続性

弁護士の業務において同一の案件は存在しません。似たような事案であっても、当事者・事実関係・証拠・裁判官の判断傾向は常に異なります。

毎案件が新しい法的課題との格闘であり、解決のたびに思考が深まります。法律・経済・社会・人間心理といった多面的な知識を統合して問題解決にあたるこの職業は、知的に停滞することが少なく、生涯にわたって成長し続けられる環境にあります。

自律性(裁量)や独立性の高さ

弁護士という職業は、他の多くの専門職と比較しても、高い自律性と独立性を持ちます。

自分の専門分野を自ら定め、依頼する案件を選択し、業務の進め方を自分で設計できます。特に独立開業後は、働く時間・場所・依頼者の種類まで自分でコントロールできる側面があります。

この裁量の大きさは、大変さの裏返しでもありますが、自分の価値観に沿ったキャリアを実現できるという点で、弁護士を選ぶ本質的な理由の一つです。

弁護士の大変さを乗り越えるためのアドバイス

最後に、弁護士の仕事の大変さを乗り越えていくためのワンポイントアドバイスをいくつかご紹介していきます。

専門分野を早めに確立して集中する

「なんでもできる弁護士」は現代においてはポジショニングとしての弱さになり得ます。競争が激化した市場では、特定の分野に集中してブランドを構築することが、集客・収入・業務効率のすべてにおいて有利に働きます。

たとえば、IT・スタートアップ法務、医療分野、建設・不動産、エンタメ・クリエイター向け法務など、自分の興味・経験・ネットワークに合致した専門領域を早期に見極めて投資することが、長期的なキャリアの安定につながります。

専門分野の確立とはいっても、それを見出していく過程では様々な案件を雑多に経験することになります、その際に重要なのは、経験を重ねていく中で、リーガルサービスとして自分の背景や興味関心とも接合する共通点を見出していくことです。

メンタルを病まないよう自分なりの対策を練る

弁護士がバーンアウトを避けるためには、案件との適切な「心理的距離」を保つことが重要です。

依頼者の感情に過度に巻き込まれず、プロフェッショナルとして冷静に問題を解析する姿勢を維持することが求められます。

そのためには、弁護士同士のコミュニティ・ピアサポートの活用、定期的な運動や趣味などのオフタイムの確保、メンタルヘルス専門家へのアクセスを躊躇わないことが大切です。

また、街弁とインハウスの経験を持つ弁護士であれば、訴訟の最前線から少し距離を置いたインハウス業務を組み合わせることで、精神的な負荷のバランスをとるという戦略的なキャリア設計も可能です。

業務効率化ツールやリーガルテックを活用する

現代の弁護士にとって、AIをはじめとするリーガルテックの活用は、単なる業務効率化の手段を超えた、新しいキャリアのあり方を切り開くものです。

契約書レビューのAI自動化・法律調査の効率化・書面ドラフト支援・証拠整理の自動化といったツールを使いこなすことで、弁護士一人当たりの処理能力を大幅に高め、より複雑・高付加価値な業務に集中する時間を生み出すことができます。

さらに、AIを積極的に活用できる弁護士は、リーガルテック企業のアドバイザー、企業のAI導入支援における法務専門家、オンライン法律サービスの設計者といった、従来の弁護士像にはなかった新しいキャリアを切り開くことができます。

街弁として現場の法務実務を深く知り、インハウスとして企業の事業視点を持つ弁護士が、AIを使いこなすスキルを加えることで、「実務×経営×テクノロジー」を橋渡しできる希少な専門家として市場での価値を高めることができます。

弁護士の大変さの一因は「時間と労力の労働集約型構造」にありますが、AIとリーガルテックはその構造そのものを変革しつつあります。この変化を脅威ではなくレバレッジとして捉えられる弁護士が、次世代のキャリアを切り拓いていくでしょう。

まとめ

弁護士という職業の大変さは、精神的・肉体的負荷、高い実務スキルのハードル、剥き出しの感情と利害が交錯する対人環境という3つの軸に整理できます。そしてその大変さの背景には、弁護士人口の増加・収入環境の変化・職業の構造的特性があります。

一方で、弁護士の大変さは決して一律ではなく、四大事務所・街弁・インハウス・独立開業という働き方によって、その内容と質は大きく異なります。特に、街弁とインハウスを経験した「二足のわらじ型」弁護士は、訴訟視点とビジネス視点の双方を持つ実践的な専門家として、現代の法律市場において独自の価値を発揮できます。

そして、AIとリーガルテックを使いこなす弁護士は、旧来の「時間と労力を売る」モデルから「判断力・専門性・設計力を売る」モデルへとシフトし、新しいキャリアの地平を開きつつあります。

弁護士という職業の大変さは変わらない部分もありますが、その大変さを戦略的に乗り越えるための選択肢は、今まさに広がっています。弁護士を目指す方も、キャリアの転換を考えている方も、現在の働き方に悩んでいる方も、ぜひこの変化をチャンスとして捉えていただければ幸いです。

監修者
川村 将輝

旭合同法律事務所/愛知県弁護士会所属

司法試験受験後、人材系ベンチャー企業でインターンを経験。2020年司法試験合格。現在は、家事・育児代行等のマッチングサービスを手掛ける企業において、規制対応・ルールメイキング、コーポレート、内部統制改善、危機管理対応などの法務に従事。

事務所Webサイト
CONSULTATION WINDOW

転職のお悩み相談窓口