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六法全書の選び方完全ガイド|法学部生・司法試験受験生が失敗しない選択のポイント

更新日: 公開日:

六法全書選びで迷っていませんか?法学部入学、司法試験の受験勉強開始時に必ず直面するこの問題。

本記事では、受験指導の現場で多くの合格者を見てきた弁護士が、あなたの目的に合った六法全書の選び方を徹底解説します。

主要な六法の比較から、司法試験での使用条件まで、失敗しない選択のポイントをお伝えします。

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六法全書とは

そもそも六法全書とは何か、とにかく分厚い辞書のようなものというイメージかもしれませんが、内容的な部分をお話します。

「六法」とは?

六法とは、日本の法体系の中で最も基本的で重要とされる6つの法律を指します。

具体的には、憲法・民法・刑法・商法(特に会社法)・民事訴訟法・刑事訴訟法の6つです。これらは明治時代の近代法制度確立期から「六法」と呼ばれ、法律学習の基礎として位置づけられてきました。

憲法は国の最高法規として国家の基本的な枠組みを定め、民法は私人間の権利義務関係を、刑法は犯罪と刑罰を規定します。商法は商取引に関する民法の特別法、そして民事訴訟法と刑事訴訟法は、それぞれ私人間の法的紛争あるいは犯罪の捜査・刑事公判などに関する手続のルールを定めています。

これら6つの法律は、相互に密接に関連しながら日本の法体系の根幹を形成しており、法学部での学習や司法試験においても中核的な科目として扱われています。法律を学ぶ者にとって、この六法を理解することは必須の出発点となります。

六法全書は「六法」だけなのか?

「六法全書」という名称から、6つの法律だけが収録されていると誤解されることがありますが、実際はまったく異なります。

基本的に、六法全書には、基本六法に加えて数十から数百の法令が収録されています。例えば、一般的な携帯用六法には約100から150の法令が掲載されており、大型の模範六法になると300を超える法令が収録されているものもあります。

収録される法令には、行政法分野の行政手続法や行政事件訴訟法、労働法分野の労働基準法や労働契約法、知的財産法分野の特許法や著作権法など、実務でも学習でも頻繁に参照される重要法令が含まれています。

また、法令本体だけでなく、重要な政令や省令、さらには憲法の付属文書として日本国憲法制定時の重要文書なども収録されていることがあります。

つまり、「六法全書」とは「基本六法を中心とした重要法令集」という意味で理解すべきです。単に6つの法律を収めた書籍ではなく、法律学習や実務に必要な法令を体系的に編纂した総合的な法令集なのです。

条文を読む重要性

法律学習において、条文を直接読むことは極めて重要です。これは法律学の基本中の基本ともいえる姿勢です。

多くの初学者は、教科書や予備校のテキストだけで学習を進めようとしますが、これは大きな誤りです。教科書は条文の解説であり、あくまで二次的な資料です。法律学習の出発点は常に条文そのものでなければなりません。

条文を直接読むことで、法律の正確な文言を確認でき、立法者の意図を直接理解することができます。教科書の説明だけでは、執筆者の解釈が混入したり、条文の本来の意味や文言から離れたりしてしまうリスクがあります。

また、司法試験の論文式試験では、条文の文言を正確に引用し、それを基に論理を展開することが求められます。条文を読み込んでいない受験生は、論述の根拠が曖昧になり、説得力のある答案を書くことができません。

さらに、条文を繰り返し読むことで、法律全体の構造や、条文間の関連性が見えてきます。例えば、民法の総則・物権・債権という体系的構造や、刑法の総論・各論の関係性は、条文を通読することで初めて実感として理解できるのです。

実務家になってからも、この習慣は不可欠です。弁護士は常に六法を手元に置き、条文を確認しながら法律意見を組み立てます。条文を読む習慣を学生時代から身につけることが、将来の法律家としての基礎を築くのです。

六法全書の種類

六法全書には、目的や用途に応じて様々な種類があります。自分に合った六法を選ぶために、まずはその種類を理解しましょう。

六法全書

「六法全書」という名称は、実は最も大型で網羅的な法令集を指す場合に使われることが多くあります。代表的なものとして、有斐閣の『六法全書』があります。

この種類の六法は、B5判やA5判といった大きなサイズで、2000ページを超えるような分厚さがあります。収録法令数は300を超え、各法令について詳細な附則や経過規定まで完全に掲載されています。

主に実務家や研究者が使用し、学生が日常的に持ち歩くには重すぎて不向きです。しかし、詳細な調査が必要な場合や、附則の経過規定を確認する必要がある場合には、この大型六法が必要になります。

価格も7000円から10000円程度と高額で、毎年の買い替えには経済的な負担も大きくなります。そのため、学生が最初に購入する六法としては推奨されません。

携帯用六法

法学部生や司法試験受験生が最も頻繁に使用するのが、この携帯用六法です。「ポケット六法」「デイリー六法」などがこのカテゴリーに入ります。

A6判やB6判といった持ち運びしやすいサイズで、重量も500グラムから1キログラム程度です。毎日の通学や自習室への持ち込みに適したサイズ感が最大の特徴です。

収録法令数は100から150程度で、法学部の学習や司法試験の受験勉強に必要な基本的な法令は十分にカバーされています。価格も3000円から4000円程度と比較的手頃で、毎年の買い替えも現実的です。

各出版社から毎年10月前後に新版が発行され、その年の主要な法改正が反映されています。法学部1年生から司法試験受験生まで、最も幅広く使用されている六法といえます。

模範六法

模範六法は、携帯用六法と大型六法の中間に位置づけられる六法です。三省堂の『模範六法』が代表的です。

B6判からA5判程度のサイズで、携帯用六法よりも詳しい解説や、より多くの法令が収録されています。特徴的なのは、条文ごとに簡潔な解説や参照条文が付記されている点です。

実務家志望の法科大学院生や、より深く法律を学びたい学部生に適しています。ただし、重量があるため毎日の持ち運びには不向きで、自宅や研究室での学習用として使用されることが多いです。

価格は5000円から7000円程度で、携帯用六法よりも高額ですが、その分充実した内容となっています。

領域特化型の六法

特定の法分野に特化した六法も存在します。例えば、「知的財産法六法」「労働法六法」「経済法六法」「環境法六法」などです。

これらは、その分野の法令を網羅的に収録し、一般の六法には掲載されないマイナーな法令や重要な政令・省令も含まれています。また、関連する条約や国際規範も掲載されることがあります。

専門的な研究や実務を行う際には必須ですが、法学部の基礎学習や司法試験の受験勉強では通常必要ありません。その分野を専攻するゼミに所属したり、専門的な論文を書く際に初めて購入を検討すれば十分です。

特定の法律資格学習用の六法

司法試験以外にも、行政書士試験、司法書士試験、ビジネス実務法務検定などの資格試験向けに編集された六法があります。

これらは、その試験の出題範囲に合わせて法令が選択され、試験対策に特化した編集がなされています。不要な法令は省かれ、頻出条文には印がついているなど、効率的な学習を支援する工夫が施されています。

ただし、司法試験の場合は、こうした特化型六法よりも標準的な携帯用六法を使用する受験生が圧倒的に多数です。理由は、司法試験の試験範囲が広範であることと、試験会場への持ち込み可能な六法の条件との関係です。

司法試験の受験勉強は、携帯用六法

司法試験の受験勉強において、最も推奨されるのは携帯用六法です。これには明確な理由があります。

第一に、司法試験の論文式試験では法文のみの六法の持ち込みが認められています。そのため、普段の学習で使用する六法と試験会場に持ち込む六法を同一のものにすることで、試験本番でもスムーズに条文を参照できます。

第二に、受験勉強期間中は毎日六法を持ち歩く必要があります。自宅、図書館、自習室、予備校など、様々な場所で学習するため、持ち運びやすさは極めて重要です。携帯用六法はこの点で最適です。

第三に、携帯用六法に収録されている法令で、司法試験の出題範囲はほぼ完全にカバーされています。より大型の六法を使う必要性は、受験勉強段階ではほとんどありません。

第四に、経済的な観点です。六法は法改正に対応するため毎年買い替えが推奨されます。携帯用六法なら3000円から4000円程度で、学生にも負担が少ない価格設定です。

携帯用六法の種類

携帯用六法の中でも、代表的な3種類について詳しく見ていきましょう。それぞれに特徴があり、学習段階や目的によって最適な選択が変わります。

ポケット六法

有斐閣から毎年10月頃に発行される『ポケット六法』は、多くの法学部生・受験生に使用されている六法です。

A6判サイズで約2400ページ、重量は約650グラムと、携帯性に優れています。収録法令数は約100で、憲法から始まり、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法の基本六法はもちろん、行政法、労働法、知的財産法などの重要法令も網羅されています。

特徴は、バランスの良い法令選択と、見やすいレイアウトです。条文の文字サイズは小さすぎず、長時間の学習でも目が疲れにくい工夫がされています。また、索引が充実しており、目的の条文を素早く見つけることができます。

価格は3200円程度で、コストパフォーマンスに優れています。多くの大学の法学部で教員が推奨し、学生の大半がこの六法を使用しているため、授業中の条文参照もスムーズです。

司法試験の受験生にも広く使用されており、試験会場で最も多く見かける六法がこのポケット六法です。迷ったらこれを選んでおけば間違いないという、定番中の定番といえます。

デイリー六法

三省堂から発行される『デイリー六法』は、ポケット六法の対抗馬的なもので、ポケット六法と並んでよく使用されている携帯用六法です。

サイズや重量はポケット六法とほぼ同等ですが、収録法令数は約120とやや多めです。特徴的なのは、附則や経過規定がポケット六法よりも詳しく掲載されている点です。

法改正があった場合、旧法から新法への移行期間中は経過規定が重要になります。デイリー六法はこの点で詳しく、より実務的な視点で編集されているといえます。

価格は3000円程度と、ポケット六法よりもわずかに安価です。この価格差を重視する学生もいます。

ただし、使用者の絶対数ではポケット六法に及ばないため、周囲の学生や先輩がポケット六法を使っている環境では、デイリー六法を選ぶとページ番号が異なり、授業中に条文を探すのに時間がかかる可能性があります。

とはいえ、内容的にはポケット六法と遜色なく、むしろ詳しい部分もあるため、価格面でのメリットや、附則を重視する学習スタイルの人には適した選択肢です。

判例六法

有斐閣から発行される『判例六法』は、携帯用六法の中でも特殊な位置づけの六法です。

最大の特徴は、各条文に関連する重要判例が要旨の形で掲載されている点です。例えば、民法第177条を見ると、その条文に関する重要な最高裁判例の要旨が複数掲載されており、条文と判例を同時に確認できます。

サイズはB6判とポケット六法よりやや大きく、重量も約1キログラムとかなり重くなります。価格も7500円程度と、携帯用六法の中では高額です。

判例六法が威力を発揮するのは、司法試験の受験勉強が本格化した段階です。論文式試験では、条文だけでなく判例の規範や結論を正確に理解し、答案に反映させることが求められます。判例六法を使えば、条文を引きながら同時に判例も確認でき、学習効率が上がります。

ただし、初学者には情報量が多すぎて混乱する可能性があります。また、重量があるため毎日持ち歩くのは負担です。そのため、学習の初期段階ではポケット六法やデイリー六法を使い、受験勉強が本格化した段階で判例六法に切り替える、あるいは併用するという戦略が有効です。

学習段階別の六法の選び方

法律学習の段階によって、最適な六法は変わります。自分の現在地を確認し、適切な六法を選びましょう。

初学者

法学部に入学したばかり、あるいは司法試験の勉強を始めたばかりの初学者には、ポケット六法またはデイリー六法を強く推奨します。

初学者にとって最も重要なのは、条文に親しむことです。まずは六法を毎日開き、授業で扱われる条文を自分の目で確認する習慣をつけることが第一歩です。

この段階では、判例六法は情報過多で混乱のもとになります。条文の文言そのものを理解することに集中すべきで、判例の詳細は教科書や判例集で学べば十分です。

また、初学者は毎日のように六法を持ち歩く必要があります。大学の講義、自習、サークル活動など、1日の中で様々な場所を移動するため、軽量なポケット六法やデイリー六法が最適です。

経済的な観点も重要です。初学者はまだ法律学習を続けるか確信が持てない場合もあります。3000円程度の携帯用六法なら、仮に法律の道を進まないことになっても大きな損失にはなりません。

中級者

法律の基礎知識が身につき、各科目の体系的理解が進んできた中級者の段階では、引き続き携帯用六法を中心に使用しつつ、必要に応じて判例六法の併用を検討する時期です。

中級者になると、条文の文言だけでなく、その解釈や判例法理を理解することが学習の中心になります。この段階で判例六法を導入すると、条文と判例を効率的に往復しながら学習できます。

ただし、判例六法は重いため、自宅学習用として使い、持ち運びにはポケット六法を使うという使い分けも有効です。あるいは、特定の科目(例えば民法や刑法)だけ判例六法で深く学び、他の科目はポケット六法で済ませるという戦略もあります。

また、この段階になると、特定の法分野に興味を持ち始めることがあります。例えば労働法や知的財産法に関心がある場合、その分野の専門六法を追加で購入することも検討できます。ただし、司法試験の受験を考えている場合は、まず基本六法の習熟を優先すべきです。

中級者は論文答練や演習問題に取り組む機会が増えます。この際、素早く正確に条文を引く技術が重要になります。自分の六法に付箋やインデックスを付けて、目的の条文に素早くアクセスできるようカスタマイズし始めるのもこの時期です。

司法試験受験生

司法試験の受験勉強に本格的に取り組む段階では、判例六法の使用を強く推奨します。ただし、ポケット六法との併用が現実的です。

司法試験の論文式試験では、単に条文を知っているだけでは不十分で、その条文に関する判例の規範や結論を正確に理解し、事案に適用する能力が問われます。判例六法を使えば、条文を確認しながら同時に判例の要旨も把握でき、知識の定着が格段に向上します。

ただし、判例六法は約1キログラムと重く、毎日の持ち運びには負担が大きいです。そこで、自宅や自習室での本格的な学習には判例六法を使い、移動中や予備校への持参にはポケット六法を使うという使い分けが有効です。

また、司法試験の論文式試験では法文のみの六法の持ち込みが認められています。「法文のみ」とは、判例や解説が付記されていない六法を意味する場合が多く、この点は試験実施機関の最新の規定を必ず確認してください。判例六法が持ち込み可能かどうかは年度や試験種別によって異なる可能性があるため、注意が必要です。

受験生は六法に様々な書き込みをします。重要条文へのマーカー、関連条文の参照番号、論証パターンのメモなど、自分だけのカスタマイズを施すことで、六法が強力な学習ツールになります。ただし、試験会場への持ち込み条件を確認し、許可される範囲内での書き込みにとどめてください。

実務家が使用するのは?

弁護士や裁判官、検察官といった実務家が日常的に使用するのは、実は大型の六法全書や模範六法です。

実務では、条文の詳細な文言、附則、経過規定まで正確に確認する必要があります。また、実務で扱う法令の範囲は司法試験よりもはるかに広く、マイナーな特別法や政令・省令まで参照する機会があります。

そのため、携帯用六法では収録されていない法令や、省略されている附則を確認できる大型六法が必須となります。多くの法律事務所や裁判所には、最新版の大型六法が常備されています。

ただし、法廷への持参や出張時には携帯用六法を使用することもあります。また、最近では電子版の法令データベース(例:e-Gov法令検索、判例データベース)を併用する実務家が増えており、紙の六法だけに依存しない傾向も見られます。

学生や受験生の段階では、実務家向けの大型六法を購入する必要はありません。実務家になってから、事務所や組織で使用する六法を揃えれば十分です。

六法全書を選ぶ時のポイント

自分に最適な六法を選ぶために、以下の3つのポイントを押さえましょう。

持ち運びのしやすさ

六法選びで最も重要な実用的要素が、持ち運びのしやすさです。

法学部生や受験生は、六法を毎日持ち歩く必要があります。大学の講義、図書館、自習室、予備校、カフェなど、様々な場所で学習するため、重い六法は大きな負担になります。

ポケット六法とデイリー六法は、教科書数冊と一緒にバッグに入れても重すぎず、1日中持ち歩いても苦になりません。

大型六法全書(2キログラム以上)は、持ち運びを前提としていません。自宅や研究室に据え置いて使用するものです。

自分の学習スタイルを考えてください。主に自宅で学習するなら重い六法でも問題ありませんが、外出先での学習が多いなら軽量な携帯用六法が必須です。

学習段階

前述の学習段階別の選び方とも関連しますが、自分の現在の学習段階を客観的に評価して六法を選ぶことが重要です。

初学者が判例六法から始めると、情報量の多さに圧倒され、本来集中すべき条文の理解が疎かになります。また、条文そのものを読まなくなる恐れがあり、条文を出発点に物事を考える癖をつけるためには有害にもなります。まずはシンプルな携帯用六法で条文に親しみ、法律の基本構造を理解することが先決です。

逆に、司法試験の受験勉強が本格化した段階で、まだポケット六法しか使っていないという場合、判例の要旨を効率的に確認できる判例六法の導入を検討すべきです。

また、学習段階が上がるにつれて、六法の使用頻度も変化します。初学者は主に授業中に条文を参照する程度ですが、受験生は1日に何十回も六法を引きます。この使用頻度の違いも、六法選びに影響します。

自分の学習段階を過大評価せず、着実にステップアップしていく姿勢が大切です。最初はポケット六法、中級段階で判例六法を追加、実務家になったら大型六法、という標準的な道筋を辿ることを推奨します。

収録法令や判例の網羅性

学習や研究の目的によって、必要な法令や判例の網羅性も六法選びの重要な基準になります。

司法試験の受験勉強であれば、ポケット六法やデイリー六法に収録されている約100から150の法令で十分です。試験で出題される法令はほぼ完全にカバーされています。

一方、特定の法分野を専門的に研究する場合や、ゼミで特殊な法令を扱う場合は、その分野の専門六法が必要になることがあります。例えば、国際法のゼミに所属している場合、一般の六法には収録されていない条約や国際規範が掲載された「国際条約集」が必要になります。

判例の網羅性については、判例六法が最も充実していますが、それでも掲載されるのは要旨のみです。判例の詳細な事実や理由付けを知るには、別途判例集や判例データベースを参照する必要があります。

自分が学習したい法分野、受験する試験の範囲、研究テーマなどを明確にし、それに必要な法令や判例が収録されている六法を選びましょう。迷った場合は、標準的な携帯用六法を選んでおけば、少なくとも基礎学習や司法試験対策では困ることはありません。

用途別の使い方

六法の使い方は、学習の目的や場面によって異なります。効果的な使い方を場面別に見ていきましょう。

基礎学習

法学部の講義や基本書を使った学習では、六法は条文の正確な文言を確認するツールとして使います。

講義で教員が条文に言及したら、すぐに六法を開いて該当条文を確認する習慣をつけましょう。教員の説明を聞きながら、自分の目で条文を読むことで、理解が格段に深まります。

基本書を読む際も同様です。基本書には条文の解説が書かれていますが、必ず自分で条文を引いて原文を確認してください。基本書の説明だけでは、条文の正確な文言を覚えられません。

この段階では、条文全体の構造を理解することも重要です。例えば民法を学ぶ際、総則(第1条から第174条)、物権(第175条から第398条の22)、債権(第399条から第724条の2)という大きな構造を把握し、各編がさらに章・節に分かれていることを理解します。

六法の目次や索引も積極的に活用しましょう。目的の条文を素早く見つける技術は、学習効率を大きく左右します。

基礎学習の段階では、六法に過度な書き込みをする必要はありません。重要条文に軽くマーカーを引く程度で十分です。

択一試験の練習

司法試験の短答式試験(択一試験)や予備試験の短答式試験の練習では、六法の使い方が変わります。

択一試験では、条文の正確な文言が問われます。「〜しなければならない」と「〜することができる」の違い、「又は」と「若しくは」の使い分け、数字(期間や人数)の正確性など、細かい部分が出題されます。

このため、択一試験の練習では、条文を一字一句正確に読む訓練が必要です。問題を解く際に、選択肢の文言と条文の文言を照合し、どこが正しく、どこが誤っているのかを確認します。

また、択一試験では複数の条文を組み合わせた問題や、条文の適用順序を問う問題も出題されます。このような問題に対応するため、関連条文を相互に参照しながら理解する練習が有効です。

六法に付箋やインデックスをつけて、頻出条文に素早くアクセスできるようにすることも、択一試験対策として有効です。試験本番では六法の持ち込みはできませんが、練習段階で条文の位置を体で覚えることが、本番での条文知識の想起につながります。

論文答練

司法試験の論文式試験の練習(論文答練)では、六法の使い方がさらに高度になります。

論文式試験では、事例問題が提示され、その事例に適用される条文を特定し、条文の要件を事実に当てはめ、結論を導くという思考過程が求められます。この過程で六法は不可欠なツールです。

まず、問題文を読んで法的論点を発見したら、該当する条文を六法で確認します。そして、その条文の文言を正確に引用しながら論述を組み立てます。

例えば、民法の事例問題で不法行為の成立が問題となる場合、民法第709条を引き、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」という条文を基に、故意・過失、権利侵害、因果関係、損害という各要件を検討します。

論文答練では、条文だけでなく判例の規範も重要です。判例六法を使っている場合、条文とともに判例の要旨も確認し、答案に反映させることができます。

また、複数の条文が関連する複雑な問題では、条文間の関係性を正確に理解する必要があります。六法で関連条文を行き来しながら、法律の体系的な理解を深めることが論文式試験の実力向上につながります。

六法全書のおすすめの使用方法

六法を単なる法令集として使うだけでなく、工夫次第で強力な学習ツールに変えることができます。

裁断して使用する

六法を裁断して分冊化するという方法があります。これは特に判例六法のような厚くて重い六法に有効です。

具体的には、六法を憲法・民法・刑法・商法・訴訟法・その他というように、いくつかのパートに分割します。専門の裁断サービスを利用するか、自分でカッターと定規を使って丁寧に切り分けます。

分冊化のメリットは、持ち運びの負担が大幅に軽減されることです。例えば、その日の授業が民法だけなら民法部分だけを持参すればよく、バッグが軽くなります。

また、各分冊をファイルやバインダーに入れることで、自分の学習メモやプリントを一緒に綴じ込むことができ、その科目の学習資料を一元化できます。

ただし、裁断すると複数の法分野にまたがる問題に対応しにくくなります。例えば、民法と商法の両方を参照する必要がある問題では、複数の分冊を持参しなければなりません。

また、裁断した六法は試験会場への持ち込みが認められない可能性があります。試験実施機関の規定を必ず確認してください。

裁断は不可逆的な加工なので、慎重に判断しましょう。受験勉強の後半段階で、六法の買い替えを前提に実施するのが賢明です。

付箋の付け外し

六法に付箋やインデックスシールを貼ることは、最も一般的で効果的なカスタマイズ方法です。

頻繁に参照する条文や、重要な法律の冒頭ページに付箋を貼っておくと、目的の条文に素早くアクセスできます。例えば、民法総則、物権、債権総論、各種契約、不法行為などの主要な部分に付箋を貼ります。

色分けも有効です。例えば、民法は青、刑法は赤、商法は緑、訴訟法は黄色というように、科目ごとに付箋の色を変えると、視覚的に識別しやすくなります。

ただし、付箋を貼りすぎると六法が分厚くなり、かえって使いにくくなります。本当に頻繁に参照する条文に絞って貼ることが重要です。目安として、各科目3から5箇所程度に留めるとよいでしょう。

付箋は取り外し可能なので、学習の進行に応じて貼る位置を変更できる柔軟性があります。

法律全体の構造や条文構造の理解を書き込む

六法に書き込みをすることで、自分だけのオリジナル六法を作ることができます。

まず、法律全体の構造理解のための書き込みです。例えば、民法の目次ページに、総則・物権・債権・親族・相続という五編構造を簡単な図で書き込んだり、各編の主要なテーマをメモしたりします。

次に、条文間の関連を書き込みます。ある条文が他の条文の特則である場合、「→○条の特則」と書き込んだり、関連条文の番号を欄外に記入したりします。これにより、条文を引いたときに関連条文も同時に確認できます。

重要判例の判決年や事案の簡単なメモを書き込むことも有効です。例えば、民法第177条の欄外に「94条2項類推適用(最判昭45.9.22)」というように主要判例をメモしておくと、条文と判例の知識が結びつきます。

論証パターンや答案の書き方のメモを書き込む受験生もいます。例えば、「要件①②③→効果」というように、条文の構造を図式化して書き込みます。

ただし、書き込みすぎると条文が読みにくくなります。本当に重要なものに絞ることが大切です。また、試験会場への持ち込み条件として、書き込みが制限される場合があります。「法文のみ」という条件の場合、判例や解説的な書き込みは不可とされることがあるので注意してください。

マーカーの使用もおすすめです。重要条文や頻出条文にマーカーを引くことで、視認性が高まります。ただし、マーカーの引きすぎは逆効果です。本当に重要な条文に絞って使用しましょう。

まとめ

六法全書の選び方について、詳しく解説してきました。最後に要点をまとめます。

初学者の方へ

法学部に入学したばかり、または法律の勉強を始めたばかりの段階では、ポケット六法またはデイリー六法を選んでください。持ち運びやすく、価格も手頃で、基本的な学習には十分です。まずは毎日六法を開く習慣をつけ、条文に親しむことから始めましょう。

司法試験受験生の方へ

受験勉強が本格化したら、判例六法の導入を検討してください。条文と判例を同時に確認でき、学習効率が格段に向上します。ただし重いので、ポケット六法との併用が現実的です。自宅学習では判例六法、持ち運びにはポケット六法という使い分けがおすすめです。

六法選びの3つのポイント

  1. 持ち運びやすさ:毎日持ち歩くことを考慮してサイズと重量をチェック
  2. 学習段階:自分の現在の段階に合った六法を選ぶ
  3. 収録法令の網羅性:自分の学習目的に必要な法令が収録されているか確認

効果的な使い方

  • 講義や学習で条文に言及されたら必ず自分で六法を引く
  • 付箋やマーカーで重要条文を目立たせる
  • 条文間の関連や重要判例をメモする
  • 試験会場持ち込み条件を確認してカスタマイズする

自分に合った六法を選び、毎日開く習慣をつけることが、法律学習の成功への第一歩です。迷ったら、まずはポケット六法から始めてみてください。多くの法律家がこの六法とともに学び、合格を勝ち取ってきました。

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