安定した環境で働く企業内弁護士(インハウスロイヤー)。しかし、その一方で「このままでいいのだろうか」「弁護士としての専門性や市場価値を高められているだろうか」といった、漠然とした不安を抱えている方も少なくありません。
特に、より専門的な実務経験を求めて法律事務所への転職を考えたとき、「インハウスでの経験はどう評価されるのか」「ワークライフバランスは保てるのか」といった新たな疑問も生まれます。
この記事では、現職に大きな不満はないものの、将来のキャリアに悩む一人のインハウス弁護士が、法曹専門のキャリアアドバイザーとの面談に臨む様子をレポートします。
リアルな対話を通じて、漠然とした悩みが「納得できるキャリア選択」への具体的な一歩に変わるまでを、ぜひご覧ください。
目次
インハウスから法律事務所へ──法曹専門エージェントとの転職相談、リアルレポート
今回キャリア面談を受けるのは、下記の方です。
今回の相談者
項目 | 内容 |
---|---|
名前 | K先生(仮名) |
経歴 | 東京のインフラ企業で約2年間、インハウスロイヤーとして勤務 |
現職の業務 | 契約書レビュー、下請法・景表法対応など、基本的な企業法務 |
希望 | 東京都内の法律事務所で、より専門的でグローバルな案件に挑戦したい |
面談スタート - 不安と期待を胸に
K先生談
「複数のエージェントに登録したものの、まだ情報収集の段階。何から話せばいいか、少し緊張していました。」
面談は、キャリアアドバイザーの柚木さんの自己紹介から始まりました。柚木さんは、K先生が事前に伝えていたコメントに目を通しており、和やかな雰囲気で現在の状況について尋ねます。
【担当キャリアアドバイザー:柚木 瑛里那さん】
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弁護士特化エージェント『NO-LIMIT』の立ち上げメンバーであり、HR事業部の副統括責任者。 「5年後、10年後のキャリアを考え、相談して良かったと思っていただける」ことを信条に、一人ひとりに寄り添った支援を強みとしています。 |
柚木さん(CA):「本日はありがとうございます。今、他社さんのエージェントもいくつかご活用されていらっしゃる状況でしたよね?どこか選考予定のものとか、これから応募予定のところはございますか?」
K先生:「いえ、まだそこまで決めてなくて、今、情報収集の段階です。」
柚木さん(CA):「かしこまりました。では、現職についてもいろいろお話を伺いながら、弊社からご紹介できればと思っております。」
具体的な応募先が決まっていなくても、まずは「情報収集」という段階から親身に相談に乗ってくれるようです。K先生も少し安心した表情で、現職の話へと移ります。
「想い」の棚卸し - なぜ今、転職なのか
K先生談
「キャリアのプロに質問してもらうことで、自分の中で漠然としていた転職理由が、どんどん言葉になっていきました。」
柚木さんは、K先生が新卒で現在のインハウスロイヤーの道を選んだ理由から、丁寧にヒアリングを始めます。
柚木さん(CA):「(現職を)選ばれた当時のきっかけとか決め手って、どういった点だったんですか?」
K先生:「元々地元が東京で、インハウス弁護士が身近にいたので、最初はインハウスで働こうかなと。ファーストキャリアということもあって、基盤がしっかりしてるインフラ企業を選びました。」
柚木さん(CA):「なるほど。実際に入られてみてから、やりたかった業務や働き方とのギャップはありましたか?」
K先生:「そうですね…働いてみて、正直『これは弁護士じゃなくてもできるな』という仕事ばかりで。せっかく資格を取ったのに、思った通りの仕事ができていないと感じています。その割に、資格を持っているからと案件は多く、給料もそこまで高くない。それなら、法律事務所でもっと弁護士としての専門性を高めたい、という気持ちが強くなりました。」
現職への感謝や義理を感じつつも、専門家として成長したいという強い想い。キャリアアドバイザーとの対話を通じて、K先生の中で転職理由がより明確になっていきます。
希望の明確化 - 東京で描く、理想の働き方
K先生談
「『わがままかな?』と思っていた希望も正直に伝えたら、プロの視点で整理してくれて、実現可能な働き方が見えてきました。」
転職理由が明確になったところで、話は「これからどうしたいか」という未来のキャリアプランへ。K先生は、自身の希望を具体的に伝えます。
- 勤務地:学生時代を過ごした東京で、グローバルな仕事に挑戦したい。
- 活かしたいスキル:TOEIC800点以上、学習中の中国語といった語学力を活かしたい。
- キャリアプラン:まずは法律事務所で幅広く企業法務の経験を積み、専門性を高めたい。
- 働き方:ワークライフバランスを重視。激務は避け、土日祝日は休み、テレワークも可能な環境が理想。
- 事務所の規模:小さすぎず、5名〜15名程度の中規模事務所を希望。
柚木さん(CA):「インハウスから事務所となると働き方が大きく変わると思いますが、ワークライフバランスについてはいかがですか?」
K先生:「元々体が弱いこともあり、激務に耐えられるかは少し厳しいかなと…。東京の企業法務で難しいのは分かっているのですが、できれば土日祝日はお休みで、平日も19時頃までには退社できるのが理想です。テレワークがあると嬉しいですね。」
「難しいのはわかっているけれど…」と前置きしつつも、正直な希望を伝えるK先生。専門アドバイザーは、こうした一見すると両立が難しそうな希望条件を丁寧に整理し、現実的な選択肢を探っていきます。
具体的な求人でイメージを掴む
K先生談
「具体的な求人を見せてもらったことで、ぼんやりしていた転職のイメージが一気に具体的になりました。自分の希望が叶う職場って本当にあるんだ!と。」
ヒアリングが一通り終わると、柚木さんは「イメージに近いか伺いたいので」と、一つの求人情報を画面に映し出しました。
提示された求人:◯◯法律事務所(仮)
- 規模: 全体で15名弱。
- 特徴: 企業法務に強い事務所と、国内案件に強い事務所が統合してできたファーム。クロスボーダー、M&A、スタートアップ支援など、幅広く手掛けている。
- 働き方: リモートワークは業務に慣れれば週5日も可能。突発的な対応はあるものの、深夜まで働くような事務所ではない。
柚木さん(CA):「働き方の部分で特におすすめなのが、リモートも慣れてきたら週5日OKという点です。もちろん最初は出社が必要ですが、働き方はすごく柔軟性があるのでご安心いただきやすいのかなと。」
K先生:「すごい!そうですね、こういう感じの働き方の事務所の方が嬉しいです。」
具体的な求人例を見ることで、「専門性を高めたい」と「ワークライフバランスを保ちたい」という二つの希望が両立できる可能性が見えてきました。K先生の表情も、より一層明るくなります。
成功へのロードマップ - 今後の進め方とスケジュール
K先生談
「転職活動の全体像が見えました。いつまでに何をするべきかがクリアになり、不安なく第一歩を踏み出せそうです。」
最後に、今後の具体的な進め方について確認します。
柚木さん(CA):「お気持ちとしては、良い求人があったらどのぐらいまでに動きたい、といったスケジュールのご希望はありますか?」
K先生:「そうですね、今月中に履歴書などを書いて、できれば面接まで進みたいです。急いではないですが、年内には転職できたらいいな、と。」
柚木さん(CA):「承知しました。書類選考から内定まで、早いと1ヶ月半、余裕を見て2ヶ月半ぐらいが一般的です。年内に円満に退社されるなら、10月頃には動き出せるとスムーズですね。」
柚木さんは、履歴書・職務経歴書の雛形を送付することを約束し、次回の連絡日を具体的に設定。わずか20分ほどの面談でしたが、K先生の転職活動は、確かな一歩を踏み出しました。
面談を終えて - 専門家と話す価値
今回の面談で明らかになったのは、転職活動は一人で悩むよりも、専門家と対話することで道筋が見えてくるということです。
- 思考の整理:プロからの質問に答えることで、自分のキャリアや価値観が整理される。
- 現実的な選択肢の発見:市場を熟知したプロだからこそ、希望を叶える具体的な求人を見つけてくれる。
- 明確なアクションプラン:次に何をすべきかが明確になり、不安なく活動を進められる。
もしあなたがK先生と同じように、キャリアに関する漠然とした不安や希望を抱えているなら、一度、専門のキャリアアドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか。きっと、未来への解像度を上げる、大きなきっかけになるはずです。