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弁護士が債権回収業務を経験できる転職先や必要なスキル・やりがい・転職成功ポイントまで

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債権回収は、個人や法人の事業主が取引先や顧客などに対して有する未払の代金・報酬の請求権に係る債権の支払を実現することです。債権回収業務は、債権の取立業者のことをいいます。

弁護士は、まさに個人や会社が、何らか相手方に対して求める権利を有する場合に、裁判などの法的手続を代理するなどしてその権利の実現を行う業務を行う事業者ですよね。弁護士が有する債権回収業務に関するノウハウは、1つの専門領域です。

法律や裁判手続きの知識が必要なのはもちろんのこと、相手方の事情や性格などさまざまな要素を考慮した対応が必要なので、弁護士としての「人を見る目」も求められるでしょう。

また、債権回収は弁護士のニーズが高い分野でもあります。

話し合いによる解決から裁判手続き、強制執行まで、債権回収分野で弁護士が代行できることは多岐にわたります。加えて、債権回収可能な業者が限られているのも理由です。

今回は、債権回収に強い弁護士が転職するに際して、債権回収に関する業務と、債権回収に係るノウハウを活かせる転職先は何か、法律事務所と債権回収業にかかる企業を比較しつつ解説していきます。

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目次

弁護士として関わる債権回収業務とは

債権回収に関する業務について、どのようなものがあるか5つに整理していきます。

債権に関する所在・財産調査

まずは債権に関する調査です。債権の発生原因あるいは取得の原因となる事実関係やそれを裏付ける書類などの関係資料を調査します。

この時点で、債権の発生・取得の原因事実を裏付けるような証拠資料がなければ、債権回収は困難である可能性が高いと考えられます。

そのため、債権調査は、債権回収における起点となる業務であるといえます。

もし債務者が住所を変更するなどして行方が分からなくなってしまった場合は、請求書や督促状を送付できないため、所在調査を行います。弁護士はほかの職業にはない一定の調査権限を持っているため(弁護士法第23条の2など)、現在の住所を調べることが可能な場合があります。

参考:e-Gov法令検索|弁護士法

また、債務者に財産や仕事がなければ債権回収できませんし、裁判で勝訴しても強制執行できません。そのため相手方に支払い能力があるかについて、財産調査を行います。

相手方(債務者)の資産に関する調査

債権の発生・取得原因について相応の裏付けが取れたとしても、相手方から債権を実現する能力、資力がなければ、債権回収は画餅に帰することになります。

そのため、資産調査は欠かせません(債権の発生原因などに係る調査と併せてデューデリジェンス業務と呼ばれる場合もあります)。

資産調査は、まず回収対象の債権について、担保が付着していないかどうかがカギです。また、担保が付されているとしても、その担保状況、担保できる範囲などについて、資産評価にかかる調査が必要となります。

また、担保の対象となっている財産の種類や性質によって、担保実行による回収確保の可能性の程度も異なるため、その区別も重要です。

また、担保がついていない資産もどの程度あるのかを調査するとともに、他の債権者がどの程度いるのか、債権者の数や債権規模についても調査の対象となります。

回収可能性に関する分析検討

上記の債権調査や資産調査の結果をもとに、債権の回収可能性について分析検討を行います。

担保などにより確実に回収可能と考えられる部分と、不確実性が伴う部分に分けて検討すること、弁済期が未到来のものとすでに遅延が発生しているものとに区別しつつ遅延利息の回収可能性も踏まえた分析検討を行うことになります。

資産調査の結果どの程度他の債権者と競合しているのか、現状の債務者の資産状況でどの程度回収できるのか、債務超過が生じている場合どのようなシナリオが想定されるか、任意に応じる可能性や訴訟などの法的手続に移行した場合も含めた多角的な検討を行います。

このような検討を経て、債権の評価を行い、顧客との間で債権回収に係る業務の受託あるいは債権の譲受けによる業務にかかる代金や報酬の額を決定していきます。

内容証明郵便の送付

配達証明付きの内容証明郵便を用いて請求書などの文書を送付します。

弁護士名で送ることで相手方に心理的なプレッシャーを与え、早期に回収できる可能性が高まります。文書には支払いがない場合に法的措置を講じる旨を記載するため、相手方には法的措置を回避したいとの心理がはたらきます。

交渉・取立て業務

実際に取立てに移行する方向性となった場合は、取立て委任や債権の譲受けを経て、取立て業務を行います。

まずは電話や対面で相手方と交渉。自社(自分)ではいくら交渉しても支払われなかった場合でも、弁護士が交渉の場に登場することで本気度が伝わり、回収できるケースは多々あります。

特に、弁護士または弁護士法人以外の者が行う、債権管理回収業に関する特別措置法(以下、サービサー法)上の債権管理回収業務において、業者が債権を取引先から譲り受けて行う場合は、取立て業務以前に、債権売買の契約が行われます。

取立て業務は、メールや郵送により書面上で支払いを促すことのほか、電話による支払交渉を行うことが中心です。

また、必要に応じて対面での交渉を行うことも考えられます。

法的手続を伴う取立て業務

上記のような支払いの要求や交渉に応じず、任意の支払いが期待できない場合には、法的手続による取立て業務を行うことが考えられます。

債権額やその回収可能性などの要因により手段は様々考えられます。

例えば、少額の債権であれば、支払督促や少額裁判手続の利用が考えられます。また、ADRで第三者を間に挟みつつ、簡易迅速に落としどころをつける形の方法もあります。

債権額が数百万・数千万円を超えるような場合には、判例なども踏まえて裁判所での手続を通じた回収可能性を想定しつつ、和解あるいは判決を得るといった様々なシナリオで取立てを行っていくことが考えられます。

また、判決後は、任意の支払を待ちつつも、強制執行の手続も準備することもあるでしょう。

他方で、破産・再生などの倒産に直面し、債権回収が困難な事情が生じた場合は、適宜手続に参加したり、裁判所による債権調査に対応する業務があります。

支払督促

債権者が裁判所に申し立てて裁判所から支払いの督促をしてもらい、反論がなければ債権が公的に求められる制度です。仮執行宣言付の支払督促が発せられると、それを債務名義として強制執行の申立てができます。

民事調停

裁判所が任命した調停委員の仲介のもとで、債権者と債務者が話し合いによって問題解決を図る手続きです。合意すれば債権回収が可能なので訴訟よりも早期に回収できる場合があります。

また調停調書には確定判決と同じ効力があるため、相手方が支払わない場合には強制執行の申立てが可能です。

少額訴訟・通常訴訟

債権が60万円以下なら少額訴訟を提起する場合があります。少額訴訟であれば原則として審理が1回で終結して判決が行われるため、早期の解決に期待できます。

ただし、ここまでの手段で支払いに応じない相手方の場合は少額訴訟に応じない可能性があるため、最初から通常訴訟を選択するケースも多くあります。債権額が多額の場合も通常訴訟を提起します。

強制執行手続

判決の確定や和解の成立があっても相手方が支払いに応じない場合、裁判所に対して強制執行を求めます。債権回収の最後の手段ですが、回収するためには有効な制度です。

取引先が破綻した場合の対応

取引先が破綻すると債権回収できる可能性が大きく下がってしまいます。しかし相殺や担保権の実行などの方法により、回収できる可能性が残されています。どんな対応が可能なのか、法的にどんな点に留意するべきかについて、弁護士の法的知識や経験が問われる場面です。

弁護士は数少ない債権回収可能な業者

債権を回収したい場合、それが自社(自分)の債権であれば自社で対応できます。しかし人的コストや労力、回収可能性といった観点から外部に依頼するメリットが大きい場合は多々あります。

債権回収を外部に依頼する場合、依頼先の選択肢は3つしかありません。そのうち弁護士は制限なく債権回収業務を代行できる唯一の業者です。

債権回収可能な業者は3種類

日本で他人の債権回収業務を代行できるのは「弁護士」「司法書士」「サービサー」の3種類です。しかし業務範囲は同じではなく、このうち司法書士とサービサーについては一定の制限が設けられています。

債権回収分野における弁護士と司法書士の違い

司法書士は登記分野を中心とした法律の専門家として、法務局や裁判所へ提出する書類の作成や申請代行などを行います。弁護士と同様に非常に難易度の高い資格であり、債権回収業務の代行も可能です。

ただし司法書士が債権回収業務を行うには、「認定司法書士」であることが必要です。認定司法書士とは特別な研修を受け、考査により認定を受けた司法書士のことです。また、認定司法書士が扱えるのは総額が140万円以下の債権に限られます

訴訟に発展した場合も、認定司法書士が代理人になれるのは簡易裁判所に係属する事件(140万円以下の事件)のみです。

一方、弁護士は扱う債権の額に制限はなく、すべての裁判の代理人になれます。

弁護士とサービサーの違い

サービサーとは、法務大臣の許可を受けて金銭の管理回収を行う民間の専門業者のことです。債権回収業務は「債権管理回収業に関する特別措置法」(通称:サービサー法)の第3条で「法務大臣の許可を受けた株式会社でなければ、営むことができない」とされており、参入するには法務大臣の許可が必要です。
参考:債権管理回収業に関する特別措置法

許可の要件として「5億円の最低資本金」「暴力団員等の関与がないこと」「常務に従事する取締役の1名以上に弁護士が含まれていること」などが含まれています。
参考:法務省|債権管理回収業に関する特別措置法の仕組み

サービサー法は弁護士法の例外として債権回収を認める特例なので、そもそも弁護士は債権を回収するために特別な許可は必要ありません。

また、サービサーの場合、「特定金銭債権しか回収できない」「一般個人の債権は扱えない」などの制限があります。これに対して弁護士は、すべての債権を扱うことができます。

債権回収業務はきつい?難しいと言われる理由

債権回収業務は多岐にわたるものがあり、取立て業務などはきつい・難しいと言われることがあります。その理由はどのような点にあるのでしょうか。

金融、不動産の専門知識

特に資産調査において、金融や不動産に関する専門知識が求められることが難しさの理由の1つとして考えられます。

債権評価を行う上で、資産価値の評価手法や債権回収にあたっての期待値の分析などは、様々な計算手法に関する知識が必要です。

債権の有無を判断することから始める

また、債権の有無の判断は、業務の起点となる重要性があるほか、困難な点もあります。債権の発生・取得原因となる事実を裏付ける資料の分析において、様々なシナリオを検討しながら分析していく必要があるからです。

何か書類の不備があった可能性、顧客が相手方と取引した際のコミュニケーションにおけるトラブル、支払期限に遅れた理由の所在など、様々な視点で分析検討をしていくことが求められます。責任やプレッシャーも大きいと考えられるため、きつい・難しいと感じる業務の1つといえるでしょう。

債務者とのやりとりが難航しがち

調査や分析検討を綿密に尽くしたとしても、債務者とのやり取りにおいて思うようにいかず交渉が難航し、ストレスを感じたりすることも考えられます。

相手は人間ですから、相手の状況によっても苦しい状況から感情的になったり、平穏な交渉を望んでいても逆行する場合もあります。

メールや郵送での回収業務は、文字情報のやり取りだけであるため比較的負担は少ないですが、電話や対面での交渉は、ストレスを感じることも多いといえるでしょう

特に債権回収企業では、回収スタッフにはノルマが課されることもあるため、それがさらにプレッシャーとなり、きついと感じさせる要因になると考えられます。

債権回収分野における弁護士の役割・ニーズが高い理由

債権回収は弁護士のニーズが高い分野です。その理由を解説します。

債権回収業務の弁護士求人は豊富

業務内容に「債権回収業務」を含む弁護士求人は多数あります。とくに企業間は与信取引が多いため、どうしても未回収リスクが発生します。コロナ禍で取引先から売掛金が支払われないケースも多いでしょう。

加えて弁護士は債権回収業務を制限なく行える唯一の業者であり、法律や裁判手続きの専門家です。弁護士のニーズがなくなることは現在のところ考えにくいでしょう。

未回収リスクの重大性

企業にとって債権を適切に回収することは生命線ともいえる重要事項です。未回収の債権があれば収益性が低下し、自社の支払いも滞るなどして企業の信用が低下します。金融機関からの信用を失えば融資も受けられなくなるおそれがあります。

従業員が努力して取った契約も未回収債権となれば評価や給与・賞与に反映されず、モチベーションが低下します。生産性の低下や離職者の増加にもつながるでしょう。こうした負の連鎖が最終的には自社の倒産にもつながってしまいます。

弁護士による心理的プレッシャーの効果

自社で債権回収を行う場合、なかなか応じてもらえないケースも多いでしょう。これでは債権回収業務に携わる社員が本来業務に専念できません。早期に回収しないと自社の資金繰りの悪化にもつながります。

一方、弁護士の存在が相手方に与える心理的プレッシャーは絶大です。裁判手続きを行うまでもなく、弁護士名義での督促状や電話での交渉で支払いに応じる取引先も少なくありません。

「裁判沙汰になったらどうしよう」「相手は本気で債権回収しようとしている」というプレッシャーをかけられるためです。弁護士による心理的プレッシャーの効果により、早期の債権回収につながります。

最適な法的手段を選択できる

債権回収分野で弁護士が求められている大きな理由は、穏便な話し合いから法的手段まで、クライアントの意向にそった最適な手段を選択できるからです。

サービサーはサービサー法の規定により回収手段や方法について制限があり、司法書士は140万円以下の債権回収に限られています。弁護士はこうした制限がないため、いくつもの選択肢の中から最適な手段を選択できます。

スピーディーな回収が可能

債権回収はスピードが求められます。

取引先が債務整理の手続きを開始すれば回収不能に陥る可能性があるため、そうなる前に回収しなければなりません。また、売掛金は原則5年で消滅時効にかかるため(民法第166条)、売掛金の支払い期限から5年以内に回収するか、請求等の行動により時効を止める必要があります。

(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

引用元:民法

スピーディーに手続きするには、法的な知識があり、状況に応じて最適な方法を選択できる弁護士が必要です。

債務者破産による損失を回避できる可能性

債権回収で恐いのは債務者が破産してしまうことです。そうなれば債権を回収できずに損失を被り、連鎖倒産になりかねません。

損失を回避するために債権譲渡(取引先が他社に対して有する債権を譲り受けて他社に債権を行使する)などの方法がありますが、効果や手段等について高度な法的知識が必要です。

正攻法で債権を回収できるのが一番ですが、回収の見込みがなくても弁護士がこうした方法を提案して損失を回避できる場合があります。

債権回収業務に注力する法律事務所・サービサーの例

債権回収業務に強い法律事務所やサービサー企業について、いくつか例をご紹介していきます。

法律事務所

虎ノ門法律経済事務所

虎ノ門法律経済事務所は、弁護士総勢92名、税理士・司法書士などその他関連士業17名合計109名を擁する事務所です。

債権回収の弁護士チームは、所長を含む13名の弁護士によって構成されています。いずれも、債権回収以外に、不動産、遺産相続、企業法務、事業再生などの分野を手掛けている方方々です。

債権回収について、専門家集団であると同時に、関連分野の知見を活かしたより良質なサービス提供をしていると考えられます。

公式サイト:https://www.t-leo.com/lawyer/claims/

G&C債権回収法律事務所

事務所名にも掲げられている通り、債権回収に関する法務を専門とする法律事務所としてブランディングを図っています。債権回収を専門とする事務所を志向する弁護士は、G&C債権回収法律事務所が最適であると考えられます。

同事務所は、サービス内容を大きく8つに分けています。法律相談から、契約書や内容証明郵便などの書面チェックや作成のほか、予防的な観点から貸付などの際における相手方の返済能力チェックなどのサービスもあります。

実際の債権回収にかかる業務として、交渉、裁判、そして財産調査や強制執行にいたるまでトータルサポートで債権回収分野の案件を取扱う事務所です。

公式サイト:https://grandciel-law.jp/corporation

第一中央法律事務所

第一中央法律事務所は、弁護士歴20年、合計2000件以上の債権回収にかかる案件実績を有する弁護士がいます。

解決事例として、ゴルフ会員権預託金を5年かけて全額回収を実現したケースや、台所用品の問屋の膨大な数の小口債権回収を実現したケースなどがあります。

様々回収困難であった案件における解決事例があり、債権回収に強い事務所として十分な実績があると考えられます。

公式サイト:https://www.1ch-law-saikenkaisyu.com/

主なサービサー企業

日本債権回収株式会社

日本債権回収株式会社は、株式会社オリエントコーポレーションを完全親会社とする債権回収の大手です。従業員数は400名を超えています。

後述のとおり社内弁護士の採用を拡大しているなど、社内における法務人材にも重きを置いていることがわかります。

企業において債権回収業務をしたいという弁護士にとっては、最適な転職先候補の1つと言えるでしょう。

アビリオ債権回収株式会社

アビリオ債権回収株式会社は、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社を完全親会社とする会社で、社員数は457名におよびます。三井住友系列でありネーミングバリューもあるほか、資金力や債権回収業務についてのコンプライアンス体制などは充実しています。

エー・シー・エス債権管理回収株式会社

エー・シー・エス債権管理回収株式会社は、債権回収業務にかかるDXを掲げたブランディングを強みとするサービサーです。AIやデータアナリティクス技術やオートメーション技術を活用した事業で、債権管理回収業者の中でも先進性を備えています。

主要株主はイオンフィナンシャルサービス株式会社で、イオン系列のファイナンスグループ企業の一端です。

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法律事務所と企業の場合の債権回収業務に関する比較

 

法律事務所

企業

案件への関わり方

弁護士個人の力量を活かせる。案件の全体に関わることができる

組織的でチームプレイ要素が高い。分業的な側面もある。

コミットメント

法的手続の遂行までトータルで行うことができる

取立委任だけだと、法的手続まで関わることができない場合もある。債権の譲受けによる場合であれば、当事者の地位で裁判上の業務など法的手続も。

案件の種類

債権回収以外の業務もある

債権管理回収業務のみが通常。

収入

少人数で案件の収入を分け合って、多額のものを得られる可能性がある。反面、案件がなければ別の業務でカバーする必要が生じる場合もある。

債権管理回収業務での収入は、基本安定的。給与収入であるため、担当業務によって成果(歩合制)による収入などはないこともある。

法律事務所の場合

法律事務所の場合、債権回収業務において、個々の弁護士の力量で、裁量をもって案件処理に取り組むことができます。また、案件全体に関わることも期待できます。

そして、法律事務所であれば、任意の支払交渉でまとまらなかった場合でも、さらに裁判や執行などの強制的な債権回収手続にも主導的に関わることができます。

他方で、債権回収に強い事務所であっても、すべての事務所が債権回収に関する案件だけで収入のすべてをカバーしているわけではありません。そのため、債権回収に関する案件以外にも事件に取り組む必要が生じることもあります。

債権回収事件だけをやりたい人にとっては、必ずしも期待に沿わない場合があると考えられます。

収入面では、職位・地位にもよりますが、基本的に少人数で1つの案件を処理することになるため、売上や成果が自分の報酬として還元される可能性が高いです。パートナーであれば、売上が収入に直結する可能性も高くなります。

企業の場合

企業の場合、債権回収業務も、規模感が大きいほど分業で処理することになり、担当業務の範囲で業務を行うのが通常です。そのため、裁量を持って取り組むことができる場面は限られる場合があります。

もっとも、様々な部署との連携を通じて案件処理を達成するため、チームワークの中で仕事をすることができ、そうしたカルチャーを志向する人にとっては最適といえます。

法律事務所とは異なり、企業の場合は、基本的に債権管理回収業務のみを行うことになるため、スペシャリストを目指して専門性高く債権管理回収業務に注力したい場合には適していると考えられます

収入面は、インハウスローヤーという形になりますが、就業形態による差異もありえますが、基本的には給与収入になると考えられます。そのため、安定的な収入が期待できます。

担当する業務によっては、歩合やボーナスへの反映によって、成果が収入に結び付く可能性も十分にあります。

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弁護士が感じる債権回収業務のやりがい

弁護士が債権回収業務に携わる場合、以下のようなやりがいがあります。

クライアントの不利益を防ぐ

債権を回収できなかった場合のクライアントの不利益は計り知れません。

売り上げるための努力が水の泡となり、損失だけを被ることになってしまいます。また、債権回収業務は取引先が支払ってくれさえすれば発生しなかった業務であり、本来業務ではありません。

債権回収を自社で行うことで貴重な人材を債権回収業務に充てることになり、自社の発展に欠かせない本来業務に専念できないこともリスクです。

弁護士が債権回収を代行することで、クライアントの不利益を防げるのは大きなやりがいです。

法的知識をいかんなく発揮できる

債権回収業務は弁護士の基本業務であり、法的知識をいかんなく発揮できる分野です。

民事や裁判手続きに関する知識はもちろん、場合によっては横領罪や窃盗罪などの刑事の知識が必要になります。また、法的知識をもとにした相手方との交渉や調査等、弁護士としての知見をフルに活用できます。

ルーティンがなく、弁護士としての力量が問われる

債権回収事案では、相手方の支払えない事情や考え、性格はさまざまです。単に返済を求めるだけで、それぞれの事情を踏まえた適切な解決案を提案できなければ、返済に至らないでしょう。

法的知識はもちろんのこと、弁護士としての経験値や力量が問われる業務です。ルーティンになり得ない業務だからこその面白さややりがいがあります。

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債権回収分野への転職で必要なスキル・知識5つ

弁護士が債権回収分野への転職を希望する場合に、どんなスキルや知識が必要なのかについて解説します。

支払わない理由に合わせられる対応力や交渉力

債権回収で重要なのは、実際に回収できるかどうかです。

対応方法を誤り相手方が倒産や夜逃げ等して回収できなくなれば、元も子もありません。したがって、弁護士には法律知識があるというだけでなく、交渉力や相手の性格に合った対応が求められます

また、債権を回収する相手は取引先や顧客なので、できるだけ穏便に済ませたいというのが債権者の心情でしょう。強い態度に出るだけでなく、相手方の事情にも配慮しつつ慎重に対応できるスキルが必要です。

債権回収分野における法的手続きの知識

民法や民事訴訟法、民事執行法、刑法等さまざまな法的知識と手続きのスキルが必要です。

2020年には民事執行法と民法の法改正が行われており、債権回収業務にも影響があります。債権回収に関わる法改正についても常にチェックしておく必要があるでしょう。

スピーディーな実行力

債権回収では相手の財産があるうちに回収する必要があるため、スピーディーな判断と実行力が求められます。

しかし、感情的にただ催促すれば済む問題ではありません。まずは商品の瑕疵や請求手続きの不備など債権者側に問題がないかを確認したうえで、迅速かつ任意での支払いを促すスキルが必要です。

ほかの社員のマネジメント経験

弁護士はプレイヤーであると同時に事務員や回収業務担当社員の監督や教育、マネジメントも行うケースが多いため、ほかの社員のマネジメント経験があると転職で有利にはたらきます。

とくに企業への転職を希望する場合はマネジメント経験があるほうがよいでしょう。

泥臭い現場仕事もいとわない責任感も必要

資金があるのに返済しない、理不尽なクレームをつけて返済を拒むなど不誠実な相手もいます。

その場合は弁護士が相手の会社へ直接出向いて交渉したり、最終的には強制執行の現場に立ち会ったりと泥臭い現場仕事も発生します。書類仕事だけでなく現場仕事もいとわない責任感が必要です。

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弁護士が債権回収業務に携わりたい場合の転職先

弁護士が債権回収業務に関わりたい場合は、法律事務所やサービサー、事業会社が主な選択肢となります。転職先ごとの特徴や年収などを解説します。

法律事務所の場合

法律事務所では外部の専門家として債権回収を代行することになります。

企業法務

企業法務を扱う法律事務所では、クライアント先の事業で発生する債権について、法的なアドバイスや回収業務を行います。

もっとも、債権回収業務のみを行うことはなく、契約書チェックや労務管理などリーガルサポートなども含めて幅広い業務を行うのが一般的です。

企業法務をメインで扱う法律事務所は大手が多いため年収は1年目から1,000万円以上など高くなりやすい傾向があります。その分ハードワークが求められるでしょう。

一般民事

一般民事法律事務所でも債権回収業務を扱います。

大手法律事務所と異なり、知人が貸した金を返してくれない等の個人や中小企業・個人事業主の債権回収も行います。事務所の方針により離婚や交通事故、相続など、債権回収業務以外にも何でもやるため幅広い業務経験を積みたい弁護士に適しています。

年収は400万~1,000万円以上と幅広いです。

債権回収業務特化

債権回収に強い法律事務所もあります。民間企業や公立病院、自治体などからの委託を受けて債権回収をメインで行っている事務所です。債権回収はほかの事件とは異なるノウハウが必要なので、債権回収に強い法律事務所のほうが債権回収業務のスキルを磨けます。

ただし、今後のキャリアパスが限定される点には注意が必要です。また、現時点の主業務が債権回収でも、いずれは分野を広げたいと考えている新しい事務所もあります。そのため、事務所の設立年数や実績等も参考にすると業務のミスマッチが起こりにくいでしょう。

年収は一般民事法律事務所と同じく幅があります。債権回収だから年収が高いということはありません。

サービサーの場合

サービサーも債権回収業務に関わるなら選択肢のひとつです。

インハウスとしての募集のほかに債権回収業務にあたる社員の教育を求められる場合があります。サービサーの場合、大手金融機関の子会社や関連会社であるケースが多く、経営基盤が安定しています。

ただし、法律事務所と比べて年収は下がる可能性があります。400万~600万円がひとつの目安です。

事業会社

事業会社のインハウスとして、自社の債権回収業務に関与する形です。

通常の対応(電話や督促状の送付等)であれば、営業部や経理などほかの社員でもできるため、弁護士は債権回収が難しい案件対応やトラブルに発展しそうな場合の法的なアドバイスなどで必要とされるケースが多いでしょう。

インハウスの業務内容は多岐にわたり、想定されるさまざまな法的リスクの予防や対応、経営課題の解決を期待して採用しているはずです。そのため弁護士に債権回収業務のみを担当させたいと考える企業は少ないと考えられます。

年収は役職にもよりますが、500万~750万円が目安です。法律事務所より下がるケースが多く見られます。

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債権回収分野への転職は弁護士に強い転職エージェントに相談

債権回収分野へ転職したい場合、まずは転職エージェントに相談するのがおすすめです。

専門特化しているため業務内容に詳しい

転職エージェントには幅広い職種を対象とした総合型と、特定の業界・職種を専門とした特化型があります。弁護士が相談するべきは後者の特化型です。弁護士業界や職種事情、業務内容に精通しているため的確なアドバイスを受けられます。

希望を叶えるキャリアプランの提案

債権回収といっても転職先によって関わり方や関わる頻度・密度が異なるため、ご自身の希望に合った転職先がどこなのかを知る必要があります。

弁護士特化型の転職エージェントなら希望を叶えるキャリアプランを提案してくれるため、自分では思いつかなかったようなキャリアを展開できる可能性があります。

忙しい弁護士の転職を徹底サポート

転職活動は応募先の選定から情報収集、日程調整や応募書類作成とやるべきことが多数あります。

そのため現職が忙しくて転職活動に時間を割けられない弁護士は適切なタイミングで転職できない可能性があります。

転職エージェントに相談すれば求人紹介から情報提供、日程調整の代行など幅広いサポートを受けられます。

まとめ

債権回収に強い・特化した弁護士は、債権回収分野のブティック系事務所がいくつかあるほか、サービサー企業への転職が適しています。求人の内容も、一般社員に比べれば収入面含め相当程度好条件の案件であると考えられます。

選び方の軸は様々ありますが、案件の全体を通じてサポートするのか分業制で単位的な業務に集中するのか、収入を安定的にするか成果報酬につながる形にするかなど、自分の志向にあった形のものを探していくことがよいでしょう。

債権回収分野に強い弁護士の転職にあたっても、上記のような様々な情報や業界の最新事情をもとにしたエージェントのサポートを受けることが最適です。

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