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法務のキャリアパスの種類と選び方|AIやDX時代に求められる法務とは

更新日: 公開日:

近年はグローバル化やデジタル化などの環境変化にともない、法務職が対応する法的な課題が複雑化・多様化し、求められる役割も変わってきています。キャリアパスも多様化しているため、どの選択肢が自分の成長やキャリアアップにつながるかどうかを見極めなければなりません。

そこでこの記事では法務のキャリアパスをテーマに、キャリアパスの種類や選ぶ際のポイント、希望のキャリアパスを実現するために必要なことについて解説します。

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法務のキャリアパスを考える上での将来性について

法務のキャリアパスを考える上で、まずは法務職の将来性について知っておく必要があります。特に、法務業務がAIに代替されるのか、DXによって求められるスキルがどう変化しするのかは、気になる方も多いでしょう。

法務の仕事はAIに代替されるのか?

近年、AIが法律分野にも進出し、法務の一部の業務を効率化することが期待されています。しかし、AIによって法務業務が完全に代替されることはないと考えられます。

理由は、法務業務は単純なルールベースではなく、複雑な判断や交渉が必要な場面が多いからです。

たとえば契約書の作成やチェックでは、相手方との関係や状況に応じて柔軟に条項を変更したり、リスクを回避したりする必要があります。紛争の解決では、法的な観点だけでなく、ビジネス的な観点や人間的な観点も考慮しなければなりません。

これらの業務は、AIではなく人間の知恵や経験が必要です。

また、法務職の業務は常に変化する法令や社会情勢に対応しなければならないことも理由です。

たとえば近年はテレワークやオンライン取引の急速な普及により、個人情報保護やセキュリティ対策などの法的課題が生じました。環境問題や人権問題などの社会的課題に対しても、企業は法令だけでなく社会的責任を果たすことが求められています。

これらの課題に対応するためには人間の判断力や倫理観が必要です。

DXの推進によって法務に求められるスキルの変化

これまでは法律知識や正確な契約作成スキルといったものが主に求められてきましたが、DXの推進により、法務に求められるスキルが変化しています。

具体的には、まずデジタル技術に関する知識と理解力が必要とされています。DXでは、AIやクラウド、ブロックチェーンといったデジタル技術の活用が不可欠です。これらの技術に関する法的なリスクや課題を把握し、適切な契約や対策を行うためには、法務がデジタル技術に関する知識と理解力をもつことが欠かせません。

また、ビジネスへの関与と提案力が必要です。DXにおいて法務は単に法的な問題を解決するだけでなく、ビジネスの変革に積極的に関与し、法的な観点からビジネスの価値を高める提案をすることが求められます。そのためには、自社のビジネスの目的や戦略を理解し、ビジネスパートナーとしてコミュニケーションや協働ができるスキルが必要です。

さらに、グローバルな視野と柔軟性も求められます。DXでは国境を越えたビジネスや取引が増えるため、グローバルな視野を持ち、異なる法域や文化に対応できる柔軟性が必要です。

このように、DXの推進により法務に求められるスキルは多様化かつ高度化しています。法務はこれらのスキルを身につけ、自社の成長に貢献できるように努めていく必要があります。

法務のキャリアパスの種類

ここからは、法務のキャリアパスの種類について解説します。

知的財産分野など特定分野で専門性を極める

法務で扱うさまざまな分野のうち、特定分野で専門性を極めていくキャリアパスです。専門性を極める過程で高度な知識が求められるため、法務としての市場価値が高くなります。自分の興味や関心に沿って深く学べることも魅力です。

たとえば知的財産分野で専門性を極める場合、グローバル企業では国際的な知的財産権の取得や紛争の解決に関する法務が重要であるため、国際的な知的財産法に精通した法務は高い評価や報酬を得ることができます。

法務部門で管理職を目指す

法務部門のリーダーやマネージャーを目指すキャリアパスです。管理職は組織の法的リスクを管理し、法務戦略を立案・実行します。部下の育成や評価も重要な役割です。

このキャリアパスを選ぶことで法務の専門性を高めるだけでなく組織の中で影響力を持つことができます。

管理部門を横断的に経験して管理部門の責任者や役員を目指す

法務だけでなく人事や経理などの管理部門の業務にも携わり、会社全体の経営に関わる知識やスキルを身につけていくキャリアパスです。

管理部門を横断的に経験することで他部門との連携や調整をスムーズに行うことができるようになり、最終的には管理部門の責任者や役員を目指すこともできます。

他企業の法務部門へ転職してキャリアを積む

転職して法務としてキャリアを積むのも選択肢のひとつです。ただし、同じ法務部門でも、業界や企業によって業務内容や求められる能力は異なります

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大企業への転職

大企業では、法務部門の規模が大きく、専門分野に分かれて業務を担当します。そのため応募先が求める特定分野での経験が豊富だとマッチする可能性があります。また大企業は国際的な取引や訴訟などに関わることが多く、高度な知識や経験が求められます

ベンチャー企業や中小企業への転職

ベンチャー企業では、法務部門はまだ存在しないか新設されたばかりの場合が多く、法務職はひとりですべてを担います。未知の分野に挑戦することが多いため、柔軟な発想や対応力が求められます。

中小企業では、法務部門は少数でひとりあたりの仕事の幅が広く、多岐にわたる業務をこなす必要があります。そのため、汎用的な法的知識やスキルが必要です。

外資系企業への転職

外資系企業では、法務職としての専門知識だけでなく、語学力やその地域独特のコミュニケーション能力も求められます。また、グローバルな視点や柔軟性が重視されるため、異なる文化や法制度に対応できる能力や変化に対応できる能力も必要です。

法律事務所やコンサル会社へ転職する

企業の法務部門ではなく、法律事務所やコンサル会社へ転職するキャリアもあります。このキャリアでは直接クライアントの相手をするため、企業に所属するときと比べて幅広い業界や案件に関われることができます。法律事務所やコンサル会社へ転職するには、高度な専門性やビジネススキル、語学力などが求められます。

弁護士などの国家資格を取得して専門職として働く

法律系の国家資格を取得し、専門職としてのキャリアを歩む方法です。弁護士のほかに司法書士や弁理士、社会保険労務士などの国家資格があります。事務所や企業に所属するだけでなく、自身で独立開業するというキャリアも展開可能です。

ただし仕事と並行してこれらの資格を取得するのは簡単ではないため、相応の覚悟が求められます。

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法務がキャリアパスを選ぶ際のポイント

法務がキャリアパスを選ぶ際には、以下の点を意識することが大切です。

自分の強みや興味を明確にする

法務業務は幅広いため、自分が得意な分野や興味がある分野を明確にすることが重要です。自分の強みや興味を見つけることで、自分に合ったキャリアパスを探すことができます

また強みや興味を明確にすることで、自己PRや面接の際にも自信をもってアピールできるでしょう。

自分のキャリアゴールやライフプランと照らし合わせて考える

自分のキャリアゴールやライフプランと照らし合わせて考えることも重要です。

たとえば管理職になると責任や報酬が増えますが、ワークライフバランスが崩れる可能性もあります。専門性を極めればその分野の需要がある限り市場価値は高まりますが、キャリアの幅が狭まる可能性があり、自身が望むキャリアゴールへ到達できないかもしれません。

キャリアや私生活に関する価値観や目標を明確にすることで、適切なキャリアパスを見つけやすくなります。

業界や企業の成長性や将来性を見極める

所属する業界や企業の動向も重要な要素です。業界や企業が成長していれば法務職の需要や役割も高まりますし、逆に衰退していれば法務職の価値やキャリアも低下する可能性があります。そのためキャリアパスを選ぶ際には、業界や企業の成長性や将来性を見極めることが必要です。

具体的には、業界の規模や市場シェア、競争環境などの基本的なデータを把握する必要があります。企業の売上や利益、財務状況、経営戦略などの経営指標も確認しましょう。

ほかにも業界や企業が直面している課題やリスク、法的な変化などの影響要因や成長機会などを考慮して自身のキャリアを選択しましょう。

法務のキャリアパスで必要なスキルや経験

法務職は、専門的な知識や経験を持っていることが前提ですが、それだけでは不十分です。キャリアアップするには法務として付加価値を提供できることが求められます。

ビジネスや経営に関する知識、視点

自分の専門分野だけでなく、会社のビジネスや経営に関する知識、視点を持つことが重要です。なぜなら、法務は自社の戦略や方針に沿って法的リスクを管理し、ビジネスチャンスを最大化する役割を担っているからです。法務は単に法律に詳しい人材ではなく、ビジネスパートナーとして会社の成長に貢献することが求められます。

ビジネスや経営に関する知識や視点を得るためには、経営層や他部署のメンバーと積極的にコミュニケーションを取り、ビジネスの課題やニーズを理解することが必要です。書籍やセミナーなどで自己学習を行うのもよいでしょう。

交渉力や対人関係スキル

法務の仕事ではさまざまなステークホルダーと協力して業務を進める必要があるため、交渉力や対人関係スキルも重要です。法務部門としての立場や要求を明確に伝えるとともに、相手のニーズや利益を理解し、双方にとって最善の解決策を見つける能力です。

コミュニケーションや協調性、信頼関係の構築など、人間関係を円滑にする能力も欠かせません。

最新の情報をキャッチアップする力

法務は常に変化する法律や社会情勢に対応しなければならないため、最新の情報をキャッチアップする力が必要です。そのためには、情報源を多様化する必要があります。法律専門の雑誌や書籍だけでなく、新聞やインターネットなどからも幅広く情報を収集することで、法律だけでなく社会や経済の動向も把握できます。

また、収集した情報をそのまま鵜呑みにせず、信頼性や妥当性を検証することで正確な知識を身につけることができます。こうして得た情報を業務に応用し、効果的な対策や提案を行うことで、法務としての価値を高めることができます。

自己分析力や自己改善の能力

法務は企業の成長や環境の変化に応じ自らの役割や責任を見直す必要があります。そのため、自己分析や自己改善の能力も必要です。

自己分析力とは、自分の強みや弱み、得意な分野や苦手な分野を客観的に把握する力です。自己改善の能力とは、自分の課題や問題点を見つけ出し、それらに対して効果的な対策を立てて実行する力です。

これらの能力を磨くことで、法務職として必要なスキルや知識を効率的に身につけることができます。また、自分の成長過程や成果を明確に示すことで、法務としての評価や信頼を高めることが可能です。

転職によるキャリアパスを実現するためのコツや注意点

最後に、転職を通じて希望のキャリアパスを実現するためのポイントを解説します。

転職理由を明確に伝えること

転職理由は、自分のキャリアパスや志向性を表すものであり、企業にとっても応募者の適性やモチベーションを判断する材料になります。そのため転職理由を明確に伝えることが大切です。

転職理由を伝える際には、自分の強みや成果、応募先のニーズやビジョンと関連付けて伝えるのが効果的です。

応募先のビジョンや企業文化に共感できるか確認すること

法務は企業の方針や戦略に沿って業務を行う必要があります。企業の理念や風土に合わない場合はパフォーマンスに影響が出る可能性があるため、応募先のビジョンや企業文化へ共感できるかは極めて重要です。

また自分の価値観やキャリアビジョンと合致する企業を選ぶことで、やりがいやモチベーションを高めることができます。

応募先の期待や評価の方法を確認すること

企業によっては、法務に対する期待や評価の仕方が異なることもあるため、事前に確認しておきましょう。応募先の企業がどのような法務職を求めているかを事前に知ることで、自分の強みや適性をアピールしやすくなります。転職後のキャリアパスや目標設定にも役立ちます。

たとえばある企業では法務がビジネスに積極的に関与し、契約交渉やリスク管理などを行うことが期待されます。一方で、ビジネスから一定の距離を置き、法令遵守やコンプライアンスなどを担当することが求められる企業もあります。

また、成果主義的な企業では法務職の業績を数値化して評価する場合がありますが、プロセス重視の企業では業務遂行方法やコミュニケーション能力などを評価する場合があるでしょう。

転職サービスなどを活用して情報収集を徹底すること

法務は少数の募集が基本なので、求人数が限られています。また企業風土や職場の雰囲気などの募集要項からは見えづらい情報もあります。

そのため転職エージェントやスカウト型転職サイト、転職口コミサイトなど複数のサービスを使って情報収集を行いましょう。

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まとめ

法務のキャリパスは紹介したようにさまざまな選択肢があります。自分に合ったキャリアパスを選択し、実現するためには、自身の強みや興味を明確にすることやキャリアゴールやライフプランと照らし合わせて考えることなどが必要です。

AIDX時代に合ったスキルや能力を身につけることも欠かせません。

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