法務は法律・司法に基づいた業務を担うため、専門性や持続的な学習が求められます。企業ごとに担当業務が細分化されているケースも多く、たとえ経験者でも転職難易度が高いといわれる職種です。転職活動を成功させるには、入念な計画と準備が必要となるでしょう。
今回は、法務の転職が厳しい理由とあわせて、求められるスキルや転職活動のコツを解説します。法務の転職を検討している方は参考にしてみてください。
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法務へ転職するのが難しい5つの理由
法務への転職は「難易度が高い」と言われ、たとえ経験者でもスムーズな採用は見込めません。その理由を5つ挙げて解説します。
求職者の競争が激しいため
法務部は少数精鋭のためそもそもの求人数が少なく、求職者内での競争が激しい傾向にあります。人材に対する需要はあるため募集はかけられていますが、1社につき1~2人の定員が設けてあるケースも少なくありません。
法務部への転職を検討する場合、多くの応募者のなかで目立つスキルや経験がなければ採用に至らない可能性があるため、難易度が高いと言われるのでしょう。
求められる経験・スキルのレベルが高いため
法務部の業務は細分化されているケースが多く、個々の業務範囲が狭いのはよくあることです。担当分野が限られる面では特化性のある仕事といえますが、任せられた業務の知識に限定されていると、未経験者と同じ扱いをされる可能性もあります。
法務部のなかでも経験・知識の乏しい分野へ応募する際は、スキル不足を感じさせない対策をしなければ、選考通過は厳しいかもしれません。
性格・能力面も見られるため
法務部の業務はルーティンワークではなく、法改正やビジネスの傾向に応じた変化が求められます。以前は認められていたことが、状況の変化で承認されないケースもよくあります。
そのため、経験から培った知識やスキルのアピールに限らず、適応力や堅実さを示すような工夫が必要といえるでしょう。
英語力の要件が高いため
特に大手企業や外資系企業の法務部では、高度な英語力が求められることも多いです。国際契約や海外とのやり取りが増加している現代では、英語での法務文書の作成・確認能力は必須とされることも多く、これがハードルとなっています。
業界特有の法務知識が必要なため
各業界には固有の法規制や慣行があり、その業界での法務経験が重視されます。例えば、製造業であれば製造物責任法、金融業であれば金融商品取引法などの専門知識が必要となります。
異業界からの転職の場合、たとえ法務経験者であっても業界特有の知識の習得に時間がかかることは課題となります。
法務への転職を成功させたい方はこちら法務の転職で求められるスキルとは?
法務へ転職したい場合、どのようなスキルがあると評価してもらえるのでしょうか。業務に求められるスキルを整理しておきましょう。
法務の業務内容は、基本的に法律が関与するものばかりです。たとえ業務経験がなくても、法律知識が備わっていると採用に近づけるかもしれません。もちろん、はじめから完璧に身につける必要はなく、学ぶ意欲をもつことが大切です。
コミュニケーション能力
法務は経営陣や他部署のマネジメント層・弁護士など、社内外のさまざまな人と関わるため、コミュニケーション能力が求められます。業務を円滑に進めるには、周囲に耳を傾けたり相手を説得したりするシーンもあるでしょう。相手がどのような立場の人でも臆しない対話力があれば、転職活動でもアピールできるはずです。
ビジネス感覚
法務に求められるのは法律知識だけでなく、自社と取引先の利害関係を調整するビジネス感覚も必要です。契約締結によって企業にどのようなメリットが生じるのか、物事を多角的に見て考える力があると、評価されやすくなります。
ビジネス文書作成スキル
法務で働くなら、契約書や社内規定など、ビジネス文書の作成スキルが必要です。誤字脱字がないのは当然、誰が読んでも誤解を生まない、明確な表現を用いた文書が作れると業務でも活かせるでしょう。転職活動で過去作成してきた文書を実績にする際は、どのような点に留意したかまで示せるとよいかもしれません。
他にも法務への転職で重要視されるスキルは数多くあり、もちろん求められる内容は企業によってもさまざまです。自分が持っているスキルの棚卸しや、法務への転職に適正があるかどうかは、専門のキャリアアドバイザーに相談してみるのがオススメです。
【完全無料】法務への転職適正を相談する法務への転職を成功させる5つのコツ
難易度の高い法務へ転職するには、以下で説明する5つのコツを意識して転職活動を進めるのがおすすめです。
キャリアの棚卸しをおこなう
転職活動をスタートするなら過去の法務部で得たスキル・キャリアを振り返り、自身がどのような分野に特化しているのか確認しましょう。たとえば、下記の業務は転職先の法務部でも活かせる可能性があります。
- 契約書作成の実績
- クレーム対応の実績
- 法令遵守に関する実績
など
これらの実績は、応募先の企業規模や行政機関との関係に応じて、求められるものが異なります。自身を効果的にアピールするためにも、募集要項の「求める人物像」などをもとに、企業ニーズを満たしたスキルを全面的に打ち出すのがよいでしょう。
どのスキルが法務部に活かせるかどうかは、企業によっても変わります。キャリアの棚卸しをおこなう際は、法務部の内情を熟知した専任の転職エージェントに相談すると、より解像度が深まります。
【完全無料】キャリアの棚卸しを相談したい方はこちら転職の目的を明確にする
法務経験者が他企業の法務へエントリーする場合、転職の目的を明確にしておくのが大切です。とくに面接では、面接官から「転職理由」を聞かれる可能性があり、ぼんやりした考えだとマイナスな印象を与えてしまうかもしれません。
転職の目的を考える際は「応募企業で何をかなえたいのか」をイメージすると、明確にしやすくなります。「法務の仕事幅を広げ、将来マネジメントを目指したい」「過去の法務業務を活かせるフィールドで、専門性に磨きをかけたい」など、前向きな表現で伝えられると選考通過の可能性が高まるでしょう。
企業分析をおこなう
法務の転職を成功させるには、部門業務だけでなく企業自体を分析しておくのが大切です。企業の事業内容はもちろん、業界内での立ち位置や競合、将来の展望まで調査しておけると、自身がその企業でどのように貢献できそうかが見えてきます。
法務の求人をかける企業なら、ある程度の規模であるケースが多いと思われます。選考には応募が殺到している可能性もあるため、分析した情報に基づいた志望動機や自己PRをおこない、他応募者との差別化を図れるようにしましょう。
ロジカルな考え方を意識する
法務職は感情ではなくロジカルな思考が必要のため、普段から意識しておくと業務に役立てられる可能性があります。また、面接でも順序立てた受け答えができれば、「この人の説明はわかりやすい」と高評価を得られるかもしれません。
転職エージェントを活用する
法務の転職では、転職エージェントを活用すると選考を効率よく進められる可能性が高まります。とくに法務に特化したエージェントなら、紹介先の内情や転職活動に活かせるノウハウも教えてくれます。
転職エージェントサービス登録しておくと、一般的には公表されていない「非公開求人」の紹介も受けられる可能性があるため、転職先の広がりを感じられるはずです。法務の転職活動を有利に進めるためにも、特化型の転職エージェントに登録しておいて損はないでしょう。
法務特化の転職エージェントおすすめ3社
ここでは、法務の転職活動をより成功に導いてくれる可能性のある、特化型の転職エージェントを3社挙げて紹介します。
NO-LIMIT
「NO-LIMIT(ノーリミット)」は、法曹業界特化の転職エージェントです。
アドバイザーは法務人材の転職支援に特化しているため、求職者の要望やスキル・経験をヒアリングしたうえで、より希望に適した求人を紹介します。
応募書類の無料添削サービスもおこなっており、書類選考通過率90%という実績と信頼を誇ります。どんなに難易度の高い法務の転職活動でも、経験に基づいたノウハウで求職者をフルサポートしています。
公式サイト:https://no-limit.careers/
BEET-AGENT
「BEET-AGENT(ビートエージェント)」は、法務など管理部門人材に特化した転職エージェントです。
一人のアドバイザーが企業側と応募者のどちらも担当する両面型を導入しているため、ミスマッチのない転職を目指せます。
また担当アドバイザーとの綿密な面談により、求職者は専門性に磨きをかけたキャリア形成が可能です。面接調整や給与交渉などもサポートしてくれるため、忙しいなかでも納得のいく転職を実現できるでしょう。
公式サイト:https://beet-agent.com/
MS-Japan
「MS-Japan」は、管理部門・士業に特化した転職エージェントです。業界で30年以上の実績をもち、ノウハウを生かした転職支援サービスを提供してくれます。
また、取り扱う求人の90%が非公開案件のため、登録すれば多くの選択肢からマッチング度の高い求人を探せるはずです。2023年5月におこなわれたブランドイメージ調査では、「管理部門・士業におすすめしたい転職サービス」で第1位を獲得するなど、信頼のおける転職エージェントといえるでしょう。
公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/
法務の面接で高評価を得るための対策ポイント
転職活動において、面接対策をしていなければ人柄をアピールできず、通過するのは難しいでしょう。ここでは、多数の応募者のなかで高評価を獲得する、ポイントを押さえた面接対策を解説します。
自己PRは法務関連の実績を伝える
面接で自己PRを求められたら法務関連の実績を交えて伝え、自身が即戦力になる人材とアピールしましょう。
そもそも面接は、企業が応募者とのマッチング度を確かめる場です。単に自身の魅力を述べるだけでは自慢話になるおそれがあり、おすすめではありません。どのような経験があり、何ができて、企業でどのように貢献していきたいかを盛り込めるよう、あらかじめ考えておきましょう。
転職理由はポジティブに話す
たとえ転職理由が人間関係のトラブルや前職の待遇不満などのネガティブなことであっても、面接でそのまま伝えると印象低下につながりかねません。どのような内容でも、ポジティブに言い換えられるよう対策しておきましょう。
逆質問を考えておく
面接の終盤になると、面接官から「何か質問はありますか」と言われるケースがあります。このようなシーンに対応できるよう、逆質問をいくつか考えておきましょう。
ただし、有給休暇の取得率や残業などの待遇面ばかり気にするような質問は、おすすめではありません。面接官は、応募者の入社意欲や企業に対する興味関心度をうかがっている可能性があるため、適切に返せるよう対策しておきましょう。
企業ごとの対策ポイントをさらに知りたい方はこちら法務で聞いておきたい逆質問項目
納得のいく転職先を選択するには、応募企業の内情をきちんと確認することも大切です。ここでは、面接で採用担当者に直接聞いて把握したい内容を解説します。
管理部門・法務部の人数
たとえ転職意欲があっても、人事方針に納得できなければ業務負荷がかかるおそれがあります。そのため、企業法務をどのくらいの人数で担当しているのか、また今回の採用予定人数も確認しておけると、部門の規模感や自身の業務担当量をイメージできるでしょう。
日々の業務内容・事業への関わり
採用後「思っていた業務と違う」と後悔しないためにも、担当予定の業務や事業への関わり方を確認しておくのがおすすめです。契約書レビューがメインなのか、顧問弁護士とのやりとりも可能かなどの把握は、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。
管理部の評価体制
企業の人事評価制度を確認するのは意外に重要で、どのような評価基準をクリアすればキャリア形成を図れるのかを把握できます。また評価体制に関する質問は、面接官から自身の成長意欲を感じてもらえるかもしれません。
給与の上がり方
給与制度に関する質問はしにくいかもしれませんが、適切な人材評価がおこなわれているかを把握するポイントになります。昇給の頻度やボーナスの有無など、給与に関することをまとめて確認できると、将来的に目指せる年収レベルまで把握できるかもしれません。
人材育成・教育体制の有無
たとえ法務経験者でも、働くフィールドが変われば業務をキャッチアップするのに多少時間がかかります。また細かなルールは企業ごとに異なるため、教育体制が整っているのか確認できると業務に対して不安視せずに済むでしょう。
なお、逆質問すべき内容は選考のステップ(1次選考、2次選考、最終選考)や面接官の立場、さらには応募者自身のキャリアによっても変わります。どのような逆質問をするのが適切かどうかは、専門のキャリアアドバイザーに相談するのがオススメです。
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法務は専門性が求められる職種のため転職の難易度も高く、経験者でもスムーズに内定を獲得できるとは限りません。企業の募集枠も少ないため、転職を成功させるにはポイントを押さえた転職活動が大切といえます。
もし他企業法務への転職や未経験からの挑戦を考えているなら、弁護士や法務人材の転職に特化した転職エージェントを利用して、転職活動を賢く進めましょう。
法務への転職活動を賢く進めたい方はこちら