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弁護士の個人受任(副業)・経費負担を解説|取り扱いと事例や転職時に確認すべきポイントまで

更新日: 公開日:

事務所勤務弁護士にとって、事務所から配点される事件のほか、自分がどれだけ成長し、事務所の中で存在感を示していくためには、個人受任が重要になるケースがあります。

そして、将来的な独立を考えていく場合には、個人受任の実地は不可欠と言ってもいいでしょう。

中堅弁護士も他事務所への移籍を考えるとき、自分のクライアントを引き連れていきたい、個人受任事件を受けたいときには、個人受任に関する条件が気になるとことかと思います。

本記事では、弁護士にとって多くの悩みどころのある、個人受任について解説していきます。

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目次

弁護士業務における個人受任とは

個人受任は、弁護士がその所属する事務所または企業からの配点もしくは紹介等によらず、自己の名で個人的に事件を受けることです。

そのため、個人受任という言葉は、基本的に、インハウスロイヤー(企業)を含む勤務弁護士の働き方について使われます。

なお、インハウスロイヤーといっても、弁護士有資格者の公務員は、その公務員としての地位ゆえに、兼業禁止といった規制があることから、個人受任は通常認められていません。

個人受任案件の例

個人受任事件の案件には、どのような例があるでしょうか。

一般民事事件

まずは、一般民事事件です。種類は問わず、不動産明渡し、貸金返還、交通事故、離婚、相続、消費者紛争、近隣トラブル、労働事件など多岐にわたります。

また、個人の倒産処理案件(任意整理、破産管財、民事再生、小規模個人再生、給与所得者再生手続など)も考えられます。

刑事事件

次に、刑事事件もあります。これは、国選弁護事件が一般的ですが、私選弁護事件をとることも考えられるでしょう。

国選弁護事件は、単位弁護士会ごとに当番弁護士の配点があるため、案件を取る機会の確保には困らない制度になっています。当番弁護士としての業務から、国選弁護人としての選任を受けることにつながるからです。

私選弁護事件は、紹介など偶発的な案件によるところも少なくありません。Web広告などでマスマーケティングの手法を採用する場合はともかく、私選弁護事件を多く受けることは容易ではありません。

自己開拓の顧問先企業からの案件

顧問先企業を自己開拓し、顧問案件ないし個別の訴訟案件等を受任することも考えられます。

顧問案件であれば、中小企業を中心としたクライアントが考えられます。内容としては、契約書レビュー、作成のほか、従業員との間のトラブル案件、労働組合との折衝、事業スキームの審査、個別的な業務監査なども考えられます。

弁護士会や委員会活動からの相談業務

弁護士会の活動や委員会活動の中で関わった弁護士などから、案件を受ける場合も考えられます。コンフリクト(利益相反)のため受任できない案件を代わりに受ける形は、最たる例です。

自分から積極的に興味関心をもち、委員会活動に取り組んでいく中で、委員会活動に関連する案件を受任することも考えられます。

また、弁護士会からの相談業務から、受任をすることも考えられます。東京弁護士会では、一般相談が30分5,500円(税込み)で受けられる制度があり、この相談業務から個人受任をすることも考えられます

他方で、債務整理、交通事故相談は無料、労働相談は初回30分無料という形の設定になっています。

法テラスからの相談業務

法テラスからの相談業務から、受任をすることも考えられます。法テラスは、資金力が乏しい人向けの相談窓口です。そうした人たちを手助けしたいと考える弁護士にとっては、最適の窓口であるといえます。

他方、クライアント層も、懸念すべき点として、報酬を回収することができるかどうかという点と、相談に来る人も様々な人がいるため、受任しにくい点があります。

個人受任に関する悩みどころ違い

個人受任に関する課題は、経験年数によって違いがあります。ここでは、新人弁護士の場合、中堅弁護士が転職する場合、企業内弁護士の場合の3つを見ていきます。

新人弁護士の個人受任

新人弁護士の個人受任に関する悩みどころは、次の3つが考えられます。

  1. 1つは、就職の段階で、個人受任を認めてくれる事務所であるかどうかという点です。
  2. 2つ目は、個人受任できるとして、どの程度事務所に収める必要があるのかという点です。
  3. 3つ目は、どのように個人受任案件を取っていくのか、またそれをどのように事務所内での成果としての評価につなげていくかという点です。

中堅弁護士が転職する際の個人受任

弁護士が転職する場合の個人受任に関する悩みどころは、次の2つが考えられます。1つは、転職先事務所で、従前に受けてきた個人事件のクライアントを引き連れていけるかどうか、個人受任の可否です。

もう1つは、弁護士の個人クライアントと転職先での待遇面とのつながりです。

企業内弁護士の個人受任

企業内弁護士の個人受任に関する悩みどころは、次の3つが考えられます。

  1. 1つ目は、上記2つの場合と同様に、個人受任の可否です。
  2. 2つ目は、個人受任事件を行う場合、どのように通常業務との両立を図るかという点です。
  3. 3つ目は、経費あるいは実費の負担に関する取り決めです。

事務所の規模ごとにおけるスタンスの違い

個人受任に関し、特に法律事務所への就職・転職の場合、規模ごとにスタンスの違いがあります。3つにグルーピングしてみていきます。

大手・中規模の企業法務系事務所

大手や中規模の企業法務系事務所では、新人弁護士の場合、アソシエイトとしての業務が中心となります。最低額の報酬・給与の額が設定されている場合、事務所の案件を中心に処理することが予定され、それに基づいていることもあります。

そして、大規模なM&A案件などを扱う大手の事務所や、企業法務系事務所では、チームで案件を処理することが通常です。そこで分担する業務量も、片手間で個人受任案件を持つことが困難なものになっています。

それだけ、事務所の案件へのコミットが求められているということでもあります。

そのため、大手や中規模の企業法務系事務所では、特にアソシエイトの段階では、個人受任ができないことになっていることもあります。もっとも、中規模企業法務系事務所では、事務所によって、待遇の条件の中に個人受任も可としているところもあります。

他方で、経験弁護士の場合は、個人受任が認められないという前提はありません。転職の際に、個人受任が条件としての可される場合もあります。

もっとも、採用の際に、事務所内でのポジションや、従前のアソシエイト等の行っていた業務に関する穴を埋める意図などもあることから、事務所案件のタスクが優先となることも少なくありません。そのため、個人受任の可否は、交渉の必要があります。

中小規模の街弁事務所

いわゆる街弁の事務所では、事務所の規模を問わず、個人受任は許されている場合が多いです。

また、新人弁護士、中途採用のいずれの場合でも、許されているのが通常です。個人受任で成果が出ることで事務所としての信頼もあがり、マーケティング的にも一定の効果を得られることと、報酬の一部を経費等で上納させることで売り上げを得ることができるからです。

もっとも、事務所案件の処理を重視する事務所の場合は、個人受任が制限されていることもあるので、注意が必要です。

個人事務所

弁護士一人の個人事務所の場合、基本的に、個人受任が制限されることはありません。独立した弁護士として、それぞれ自分がとってきた案件に関しては、いい意味で干渉的でないからです。

経費負担(一部報酬の上納)について

個人受任が許される場合でも、報酬の一部を事務所に納めることが条件となっていることが多くあります。個人受任事件において、経費負担はどのように取り決めされるのでしょうか。

相場は2割から3割

上納する場合の相場は、2割から3割程度とされます。基本的には、個人受任の場合でも事務員の人件費が発生することから、その分を経費分+αとして負担することとする取り決めがされます。

報酬の上納の有無や仕組みは事務所によって異なる

報酬の上納の有無や、仕組みは、事務所のカラーによって異なります。

事務所として、個々人で取ってきた案件も事務所案件として皆で議論して検討しようというカルチャーの場合には、事務所案件として受任する処理をしたうえで、案件を取ってきた弁護士が主任となるといった配点をすることもあります。

他方で、弁護士は、事務所内で複数の弁護士がいても、それぞれ独立して一人の職人であるといった意識を重視していることもあります。そのような場合は、ほかの弁護士に干渉せず、それぞれの仕事によって得られた報酬は各々で自分の収益として処理してよいというカルチャーが浸透しています。

このように、法律事務所によって、個人受任における報酬の考え方も区々であることから、転職の際には必ず質問してチェックしてきたいポイントです。

戦略的に上納することで昇進の可能性もある

上納は、事務所に対する貢献度を示すことにもなることから、積極的に提案して、一定の割合を負担することで、昇進につながることも考えられます。

そのため、戦略的に、上納することも1つのキャリア戦略として合理的といえます。

個人受任事件の集客方法は主に3種類

個人受任事件は、どのように集客することが考えられるでしょうか。多くの弁護士の悩みどころかと思うので、整理してみます。

友人・知人あるいはその紹介

まずは、友人・知人の人脈の中で、案件を取っていくことが考えられます。また、その友人・知人から、さらに友人・知人に波及して紹介により集客していくことも典型的な集客方法ですよね。

新人弁護士であれば、まずは自分の友人や知人、親戚などから相談を受けることが多いです。新人の保険営業マンでも、似たようなものがありますよね。

顔が広い人であれば、ある程度案件を取れると考えられますが、友人・知人の中で法的な紛争がある場合がたくさんあるとは限りません。そして、友人・知人が、実際に相談に来る程度の信頼関係がある人も、そう多くないでしょう。

同業者や他士業からの紹介

同業者からの紹介で受任するケースも考えられます。弁護士になる場合、司法修習を経ることになりますが、司法修習の同期とのつながりの中で、お互いに顧客を紹介しあうことがあります。

例としては、上記で述べたように、コンフリクト(利益相反)のケースなどで、受任できない事件を紹介するケースです。また、上記で述べたように、弁護士会や委員会の活動の中で知り合った弁護士と懇意にする中で、仕事を紹介しあうこともあります。

そして、他士業からの紹介を受けることも考えられます。

会社の財務に関しては会計士、税務に関しては税理士、登記関係一般については司法書士、法人登記などについては行政書士など、隣接する他士業が多くあります。

どの領域の法律問題であるかが不明であるケースで、他士業の方が実際に相談を受けてから、弁護士業務の必要性がある場合には、弁護士に紹介が回ってくることもあります。

逆もしかりです。

ビジネスマッチングアプリ等の利用

さらに、ビジネスマッチングアプリの利用も考えられます。弁護士専用の顧客とのマッチングサービスとしては、弁護士ドットコムが代表的ですよね。ほかにも、最近ではココナラ法律相談のサービスもあります。

また、上記でご紹介したような他士業の人とのつながりを持つ際にも有用です。具体的には、Yenta、YouTrustが代表的です。

こうした手段を利用することで、個人受任の集客を行うことが考えられます。

個人受任のメリット

個人受任のメリットには、どのようなものがあるでしょうか。3つ紹介します。

自分の顧客にできる

新人弁護士であれば、自分の顧客を拡大していく手段であるとなるのが最大のメリットです。

勤務弁護士の中で、特にアソシエイトの地位にある場合は、特に事務所の業務の中で結果を出しつつ、自分のクライアントを獲得していくかが重要です。

事務所からの案件処理の中で成果を出していけば、事務所からの案件を単独で処理する機会が増えたり、先輩弁護士から紹介を受けて自分の顧客を得ていくこともあります。

しかし、独立開業を目指す場合であったり、パートナー弁護士など経営者を目指すのであれば、やはり営業スキルを磨くためにも、個人受任で案件や顧問を勝ち取っていくことが必要になります。

事務所案件とは別に稼ぎ口を増やせる

事務所案件から自分の顧客を作っていく場合でも、積極的に個人受任に挑戦することで、事務所とは別に稼ぎ口を増やすことができ、収益が格段にアップします。そうすることで、事務所に依存しないで業務をこなす力がつき、独立しやすくなります。

クロージングまで責任をもってやり通す力がつく

新人弁護士であれば特に、受任から事件の終結まですべての過程を自分の裁量と責任でやり通す力が身につくことも、メリットとして挙げられます。

いち早く弁護士として一人前になるためには、自分の判断力とその正確性、それに裏付けられる自信を経験の中で得ていくことが重要ですよね。そのためには、個人受任事件を通じて、自ら一通り案件をこなす経験を1つでも多く積むことが必要になります。

国選事件は、もっとも効果的であるといわれます。

個人受任のデメリット

他方で、個人受任のデメリットもあります。2つご紹介します。

事務所の仕事との両立ができなくなった場合のリスク

勤務弁護士であれば、事務所案件との両立ができなくなった場合に、事務所からの評価が下がるほか、顧客からの信頼が下がるリスクがあります。

自分の仕事を処理してればいいという点も一理ありますが、事務所としての仕事もある場合にはコミットメントが薄れると、やはり顧客の信頼関係も薄れます。

他弁護士との人間関係が悪くなる可能性も

また、事務所内の他の弁護士との人間関係も悪くなるおそれがあります。特に、チームでの仕事が重要になる企業法務系事務所では、チームの輪を乱したり、業務の遂行に支障をきたしてしまうと、人間関係が崩れるリスクがあるのです。

そして、そのように人間関係が崩れてくると、案件に関して困ったことや相談したいことが生じてきたときに、他の弁護士を頼ることができなくなることもありうるでしょう。

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弁護士が個人受任を行う際に注意すべきポイント3つ

上記で述べたポイントのほか、個人受任案件で注意すべきポイントは、3つあります。

インハウスで個人受任を許可しているケースは稀

企業内弁護士の場合、個人受任を許可しているケースは、あまり見られない点には注意する必要があります。

基本的に、インハウスの場合は、会社等の業務へのフルコミットが大原則です。また、給与も雇用契約によって、フルコミットを前提とする業務量に合わせて設定されています。そのため、片手間で個人受任事件をやることは、フルタイム勤務の場合だと難しいと考えられます。

場合によっては、副業として、就業規則上許される場合もあります。その場合でも、業務に支障がない範囲で行わなければなりません。

口頭弁論期日の調整、刑事事件の場合は接見、民事の場合は応接などがあるほか、ほかにも突発的に打ち合わせを入れる必要があるのが弁護士業務です。そのため、両立を図ることは、困難であるといえるでしょう。

弁護士業務に理解のある上司がいれば、建設的に調整し、個人受任を扱うことを許可してくれる場合もあります。

提示された想定年収に個人事件の売り上げが載っているか確認

待遇の条件の中に、多くの場合年収のみが書かれていますよね。特に、個人受任が可とされている場合でも、それが書かれている報酬に含まれているのか、別なのか、不明瞭であることがほとんどです。

そのため、転職の際に、個人受任が許されている場合でも、事務所からの報酬等と個人受任の報酬が別に定められているか、どのような取り扱いなのかを丁寧にチェックする必要があります。

断り方を用意しておく

逆説的ですが、個人受任をやろうとする場合には、断り方も準備しておくことが重要です。

特に、友人・知人の案件を受ける場合やその紹介によるクライアントの事件を受ける場合には、注意が必要です。

なぜなら、なれ合いの関係から、どうしても友人や知人、その紹介を受けた人の事件では、明らかに難しい案件や、見込みが立たない事件でも、情に流されて受けてしまうことがあります。受任した後でそのことに気づき辞めることができたとしても、信頼関係に傷がつき、かえって弁護士業務に支障が生じかねません。

そのため、仕事の断り方を準備しておくことは、重要です。

まとめ

個人受任も、様々な問題点や注意すべきポイントがあることがお分かりいただけたかと思います。また、弁護士としての経験年数や事務所の規模、カルチャーによっても個人受任に対する考え方・スタンスも異なります。

転職活動の際には、個人受任を1つのトピックとして、細かく条件の内容を逆質問するなどして確認するようにしましょう。

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