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選択型修習[前半]リポート|HG修習・個別プログラム・全国プログラム・自己開拓プログラム

更新日: 公開日:

司法修習のリアルな実情をお伝えするリポート、今回は、選択型修習についてお伝えしていきます。

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選択型修習の目的と概要

選択型実務修習は、修習生自身が進路や興味・関心などに応じて自らプログラムを選択し、計画を立てて、分野別実務修習の成果を深め補完することを目的とするものです。

分野別実務修習は、2か月半程度の限られた期間であるため、体験できない事件があります。そうした実情に鑑み、分野別実務修習では体験できない領域の実務について、修習生が主体的に学ぶ機会を確保する趣旨であるといえます。

選択型実務修習は,司法修習生が,分野別実務修習の4分野を一通り修習した後に,自らの進路や興味,関心に応じて,主体的に選択,設計することにより,分野別実務修習の成果の深化と補完を図り,又は分野別実務修習の過程では体験できない領域における実務修習をするための課程です。

出典:新司法修習|裁判所HP

上記のように、選択型修習は、民事裁判、刑事裁判、検察、弁護の4分野の修習を一通り終えた後に行われます。

平成18年度からの「新司法修習」で初めて取り入れられた制度です。

選択型修習は、大きく4つの修習内容があります。

それぞれ、

  1. 弁護修習をした弁護士事務所を拠点として行う修習(いわゆるホームグラウンド修習(以下、HG修習))
  2. 配属地の各地方裁判所、地方検察庁、あるいは弁護士会が提供する個別修習プログラム
  3. 全国の司法修習生を対象とする全国プログラム
  4. 修習生自身がアポを取るなどして行う自己開拓プログラム

です。

選択型実務修習では,分野別実務修習において弁護修習をした弁護士事務所を拠点(ホームグラウンド)とした上で,各地方裁判所,地方検察庁,弁護士会で多様な個別修習プログラムが提供されるほか,全国の司法修習生を対象とする修習プログラムも提供されます。また,司法修習生が,法曹の活動と密接な関係を有する分野について,自ら修習先を開拓して修習することもできます。

出典:新司法修習|裁判所HP

以下、①のHG修習から順番に、詳しく解説していきます。

HG修習

HG修習は、いわば後で述べる②から④のプログラムに参加しない日に、弁護修習でお世話になったところで修習をするというものです。

修習の内容は、司法研修所から弁護士会、ないし各受入先の法律事務所に対し個別の指示があるわけではなく、事務所によって異なります。一例として、筆者が体験した修習内容をご紹介します。

弁護修習中に体験できなかった事件

筆者は、少年事件に漠然とした興味がありました。しかし、国選の付添人事件を含め、弁護修習中に遭遇することがありませんでした。

選択型修習では、ちょうど1件、私選の捜査弁護事件として、少年事件がありました。せっかくの機会であると思い、接見への同行や発問、示談交渉について担当弁護士の人と議論を交わすなど、修習をしました。

特に、示談交渉に関しては、弁護修習中の事件の中でも体験することがなかったので、その意味でも、貴重な機会となりました。

刑裁修習でも少年部修習で体験しましたが、弁護士(付添人)側で、少年に対する適正な処分や、身柄解放に向けた活動のやり方を学んだことは、大変有意義でした。

例えば、全件家裁送致という制度の特殊性を踏まえつつ、少年を取り巻く人々(両親など家族、学校、少年の友人、友人の親など)に対して、どのような立ち回りで事件を処理していくかといった点の悩みどころなど、非常にリアルな実情を知ることができました。

弁護修習中に関わった事件の続き

弁護修習中に関わった事件について、指導担当の弁護士の先生にアフターストーリーを聞きました。

感動のラストを迎えた事件、結末に至るまで自分が思い描いていたものとは180度違った上に二転三転したカオスな事件、無事に事が進んだかと思いきや別の火種が生まれた事件など、どれも一様でなく、非常に面白い内容でした。

また、現在進行形の事件もありました。経過報告書の起案や、準備書面の骨子のみ起案するものを自主的にやりました。

二回試験に向けた勉強

特にやることがない時間は、二回試験に向けた勉強をしました。

具体的には、集合修習における起案の講評動画を見て、教官が言っていたポイントを書き起こしてワードにまとめていました。意外と聞きそびれていたり、無意識に聞いていたものもあったりしたことから、この書き起こしは非常に役立ったと思います。

また、小問がある科目(特に民事弁護)は、間違えたものをピックアップして復習し、白表紙の該当箇所を読みつつ体系的な理解に落とし込む勉強をしました。

個別プログラム

個別プログラムは、上で述べた通り、裁判所、検察庁、弁護士会が提供しているプログラムに参加するというものです。

期間は1日のものから、平日5日、ひいては2週間あるものまで様々です。また、募集定員があるので、抽選が発生する場合もあります。

以下、それぞれの個別プログラムの一例をご紹介します。※ここでの個別プログラムは、74期東京修習のものです。

裁判所提供

通常部で、より丁寧な指導を受けたい人向けのプログラムです。裁判官志望の人には、最適です。裁判官以外の人でも有意義なのは、やはり専門部での修習です。

民事では、行政部、破産・再生部、執行・保全部、交通部、労働部、商事部、建築調停部、医療集中部があります。家裁にもプログラムがあり、家事部、少年部があります。

刑事では、同じく通常部のほか、脱税事件などを扱う租税部があります。

検察庁提供

3週間あるいは1か月みっちりと捜査検事の実務を学ぶコースがあります。公判実務を学ぶコースも、2週間のプログラムがあります。また、東京修習では、特に交通事件に特化したコースもあります。

検察庁提供のものは、かなり検察官向きです。

弁護士会提供

弁護士会提供のものは、東京では、三弁護士会ごとのもののほか、多摩支部でのプログラムもあります。内容の分類としては、まず事件類型ごとに特化したものがあります。

  • 子どもの人権
  • セクハラ、LGBT、DV事件
  • 外国人
  • 公害、環境
  • 知財
  • 消費者事件

などがあります。また、制度的なものとしては、ADR、コーポレートガバナンス関係などがあります。東弁、一弁、二弁は、三者の中で他の会のプログラムを受けることができない仕組みとなっているので、注意が必要です。

三庁会提供プログラム

これは、裁判所、検察庁、そして弁護士会の合同プログラムです。74期では、刑事の模擬裁判プログラムがありました。集合修習などよりも、嚙み応えのある内容になっているそうです。

全国プログラム

全国プログラムは、法曹三者を含め、それ以外の多様な機関によるプログラムがあります。

募集定員がありますが、個別プログラムのような抽選ではなく、プログラムによって志望理由書などを作成することがあり、厳密な審査がある場合もあります。

筆者の独断の偏見ですが、ユニークだと思われるものを3つほどご紹介しましょう。

行政機関、立法機関での修習

行政機関は、法務省、厚労省の中央労働委員会、国税不服審判所、地方自治体、児童相談所があります。

立法機関としては、参議院法制局での修習があります。内容は、議員立法の立案等の事案の検討などを行い、関係資料の作成も体験できるそうです。

国際機関での修習

難民・移民支援に関わる国際移住機関駐日事務所での修習、日弁連の国際課における海外弁護士会との連携の業務に関する修習があります。

民間企業

民間企業での修習は、大手IT企業、鉄道会社、外資系メーカー等での法務部の実務を学ぶという内容です。

自己開拓プログラム

自己開拓プログラムは、その名の通り、修習生自身が個人的な伝手や知り合いの弁護士などの紹介で、受入先機関と交渉するなどして承諾をもらって修習を行うというものです。

手続的な決まりは特にありません。期間や募集人数の決まりも、ありません(偶然他の修習生と被るなどしなければ)。修習生自身が決めます。

あえて言えば、自己開拓プログラムの申請期限までに受入先となる機関からの承諾を取り付けて、申請の書面を期限までに配属庁会に提出することです。

もっとも、自己開拓プログラムの修習の内容は、「法曹の活動と密接な関係を有する分野」であることという条件があります。

また,司法修習生が,法曹の活動と密接な関係を有する分野について,自ら修習先を開拓して修習することもできます。

出典:新司法修習|裁判所HP

そもそも、筆者は、受入先機関の候補を自らピックアップし、特に知り合いの伝手もありませんでした。そのため、自分でアポ入れから交渉、そして承諾の取り付けまで行いました。

そして、自己開拓プログラムの申請にあたっても、弁護士会や司法研修所での審査を経る際に、上記の「法曹の活動と密接な関係を有する分野」であることについて詳細な追加書面の提出を求められました。

そのため、法律論とは関係なく、人の説得(意思決定にアプローチすること)を意識した文書の作成の重要性を、身をもって学びました。

このように、筆者にとっての自己開拓プログラムは、非常にチャレンジングではありましたが、法律の勉強では学べない交渉術などを、自分の頭で考えながら、トライ&エラーの実践を通じて学ぶことができました。

自己開拓プログラムは、一面において、まさにプログラムを設定するまでの過程そのものにも、法曹として必要な資質を身に着けることができる貴重な機会であると思います。

そのため、最終的にプログラムを設定し、あるいは受けることができたか否かに関わらず、多くの修習生にチャレンジしてほしいと思います。

特に、何も伝手がないところからすべて自分の頭で考えてやることは、本当に得られるものが多いと思うので、トライしてみてください!

筆者が体験した自己開拓プログラムの詳細は、次回の最終編にてリポートします!

まとめ

いかがでしたか?

選択型修習は、自分次第で、無限に、法曹の世界の仕事の広がり・可能性を体験することができます。ぜひ積極的に、様々なプログラムに参加されることをおすすめします!

二回試験も迫っている時期なのでそこまで意欲が湧かない人でも、見たことがない世界に踏み出してみてはいかがでしょうか。

個人的に、自己開拓プログラムは、激推しです!!!

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