集合修習は、原則的に、司法研修所に通い、講義、演習、グループワークなどを行う修習です。およそ2か月間にわたって行われます。以下、詳しく述べていきます。

なお、この体験レポートは、東京修習のものになります。そのため、東京修習以外では、内容が異なることがあります。

【執筆者】かわしょー吉
NO-LIMITのインターンを経験。令和2年司法試験合格。
令和元年司法試験予備試験最終合格。平成30年度司法試験予備試験では、口述試験落ちを経験。
趣味は釣り。カラオケも好き。宇宙系のyoutubeを見ることがマイブーム。
Twitter:https://twitter.com/kshokichi_law

 

集合修習の目的と概要

集合修習は、実務修習の補完を行い、法曹実務の能力を深化させることを目的として行われます。

実務修習の体験を補完して,体系的,汎用的な実務教育を行い,法律実務のスタンダードを指導する課程で,司法研修所において2か月間実施されます。

出典:新司法修習について|裁判所

カリキュラムの種類は、講義、演習、模擬裁判、グループワークなどです。これらは、すべて組(クラス)ごとに行われます。

科目は、導入修習と同様に、民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護の5科目です。科目のすべてについて上記カリキュラムの種類のすべてがあるわけではなく、講義や演習のみの科目や、いずれもない科目もあります。

また、民事と刑事の区分による共通の演習科目もあります。そして、メインは、二回試験に向けた即日起案です。

ほかには、課外講座として、特定のテーマのもと講師を招聘した講演もあります。

2回の即日起案

メインである即日起案は、2回行われます。

時間は6時間45分で、昼食時間が含まれています。昼食時間が開始しても、会場でおにぎりなど軽食を取りながら起案をします。実際の二回試験と同様の要領です。

参照できる資料は、六法のみです。実務修習中に行われる即日起案では判例付きの論法の参照も許されている場合もありますが、集合修習では、六法のみです。

六法を忘れた場合の貸与は、一切受け付けられません。そのため、万が一六法を忘れた場合は、非常に悲惨です(筆者は、一回民裁起案の日に六法を忘れましたが、幸運にも六法を参照しなくても解答可能な論点で、救われましたが、二回試験に向けた教訓となりました)。

もっとも、検察起案では、検察講義案の参照が許されています。起案のスケジュールは、飛び飛びの場合もありますが、二日以上連続で起案する日もあります。非常にタフな内容です。

民事共通演習

民事共通演習は、民裁と民弁のコラボ科目です。主張書面作成から、依頼者との打ち合わせ、提出証拠の検討、争点整理、証人尋問、和解期日まで、フェーズごとにグループワークを行っていくカリキュラムです。

参照できる資料も、役割や期日の段階に応じて異なり、あるいは積み重なっていく形なので、訴訟のプロセスを追体験することができます。

特に、弁護修習中に一部の場面しか関われなかった場合には、その補完が図られるようになっています。

また、役割も、代理人弁護士あるいは裁判所のいずれかに固定されることなく、フェーズごとで切り替わることもあり、様々な視点から、訴訟関係者としての活動を学ぶことができます。

当事者として、聴取や尋問を受ける立場になる場合もあります。そうした立場を経験することも、思い出になる上、実務でも打ち合わせや尋問を行う際の視点を得る機会にもなります。

グループワークは、基本的に同じメンバーで進行していくため、メンバーとの仲も深まります。

刑事共通演習

刑事共通演習は、刑裁、検察、刑弁の3科目のコラボ科目です。模擬裁判と量刑に関する演習があります。

模擬裁判は、裁判官、検察官、弁護人、証人、被告人の配役に分かれ、実際の刑事手続に沿って記録を検討し、ディスカッションを行います。

公判前整理手続の対象事件となっている前提で、同手続の段階からの設定で進行していきます。

公判前整理手続に関しては、全員が検察官あるいは弁護人の立場に立って、争点の絞り込みや証拠開示や証拠意見の定立に関する活動を検討します。

その上で、公判のフェーズでは、配役ごとに分かれて、ディスカッションを行います。そして、配役ごととはいえ、クラスごとでのカリキュラムであることから、特に検察官と弁護人の配役は、手続ごとに異なります。

具体的には、冒陳役、証人尋問役、論告役、弁論役といった具合です。裁判官役は、最後に、書証と尋問の結果を踏まえて評議を行い、主文と理由の骨子を述べるところまで行います。

こちらも、特に弁護人役は、弁護修習では部分的にしか体験できなかったフェーズの訴訟活動について学ぶ機会があります。

各科目の演習または講義

各科目の演習又は講義は、次のような内容です。

民裁

民裁は、既済記録を使った主張整理に関する講義と、争点整理の演習がありました。

講義では、民裁起案の記憶喚起的に、事前の検討課題として、民裁起案の形式で訴訟物、要件事実、証拠構造と事実認定の判断枠組みなどを検討する問題に取り組みました。その上で、グループティスカッションや教官からの講評を受けました。

争点整理の演習では、訴訟の段階ごとに、裁判所が争点整理のために行う訴訟指揮に関する検討をしました。グループでのディスカッションなどはありませんでしたが、各自が設問を検討して臨む形式でした。

内容は、要件事実をはじめとした主張整理のほか、書証の位置づけの整理、求釈明事項の検討などです。

また、撤回を促す主張あるいは法的な観点から主張や証拠の補充の有無を投げかけるなどのテクニカルな訴訟指揮についても、思考過程を学びました。これは、民裁起案で出題される類型の1つである撤回問に関連する思考でもあるため、有益な内容でした。

そして、最終的な訴訟の落としどころや和解の可能性を見据えた流動的な分析の方法について学ぶことができ、有意義な内容でした。

刑裁

刑裁では、量刑に関する演習がありました。

もっとも、刑裁科目ではありつつも、検察と刑弁の視点も織り交ぜた内容でした。まず、事案に最適な量刑を考える上での一般的な検討フローについて学びました。それを踏まえて量刑を左右するポイントとなる要素を抽出し、適切な量刑分布グラフを導き出すことが基盤となることを学びました。

検察官、弁護側、裁判所の三者に分かれて、模擬論告・弁論と評議を行いました。刑事共通演習のものと比べて簡易で、量刑というポイントに絞った内容でしたが、量刑を争う事案でも、様々な量刑事情の有無や法的な評価について悩みどころがあることを身をもって感じました。

弁護科目

民事弁護は、訴状起案等と、契約書チェック演習と法律相談演習の3つがありました。訴状起案は、オンラインでの起案形式で行われ、通常の民弁起案と同様に、小問検討を含む内容でした。

二回試験との関係では、本番では最終準備書面起案が一般的ではありますが、訴状起案の出題もないとはいえません。そのため、訴訟物の選択や必要な書証の検討、関連事実の抽出と提出書証の説明などを学ぶ機会として重要です。

契約書チェック演習は、筆者自身、集合修習の中で最も楽しかったカリキュラムでした。筆者自身が企業法務、ビジネス法務に取り組むことを志向していることもありましたが、ほかの科目と比べて、試験的な視点なく純粋に、実務家になりきって取り組むことができたからです。

具体的には、二種類の契約書チェックを行いました。

刑事弁護では、証拠開示手続に関する演習をしました。公判前整理手続での類型証拠開示請求をする際の視点やポイントを学びました。

共通科目として、弁護士倫理に関する演習がありました。

民弁と刑弁いずれも、二回試験で弁護士倫理に関する出題可能性があるため、ケーススタディを通じて弁護士職務基本規程を勉強しておく重要性を認識しました。

検察

検察は、被害者保護に関するカリキュラムがあります。

被害者保護に関する諸制度の一般的な説明のみならず、実際の事案類型ごとの被害者の手続関与の方法や実務家としての留意点を学びました。具体的には、被害者保護活動に携わる弁護士の人と検察官の対談形式のDVD視聴とともに、教官による解説がされました。

また、捜査段階での被害者の関わり方、公判段階での関わり方というように、段階ごとの内容を学びました。

その他

国際人権保護に関する講義や、課外講座もあり、非常に充実した内容になっています。

まとめ

集合修習は、導入修習に始まり、実務修習を経て、自分自身の成長・成果を実感する機会になります。

筆者は、実務修習に取り組んできて、ほかの修習生と比べて優秀であったとは言い難い自己評価です。

しかし、実務修習中の起案や、お世話になった弁護士、裁判官、検察官の方々から受けた指導で「なるほど!」とか「実践してみよう!」と思って深く刻まれた学びは、確実に修得していることを実感しました

起案の勉強はほとんどしていませんでしたが、導入修習では太刀打ちできなかった起案も、ある程度形になるようなものになりました。

集合修習からさらに発展して、二回試験に臨んでいきましょう!

NO-LIMIT運営事務局

本サイトの内容は、弁護士業界に精通したNO-LIMITのキャリアアドバイザーと編集部によって企画・構成。私たちは弁護士の方ひとりひとりに合った理想の転職支援、キャリアの限界を超えるための方法を包み隠さずご紹介します。▶︎【登録無料】転職支援サービスに登録する