弁護士が転職活動をする際にも書類選考がありますので、履歴書や職務経歴書の書き方対策は必須です。転職の選考で対策すべきことはたくさんありますが、その中でも特に大切なのが自己PRです。
転職においては自己PRが重要視されており、アピール次第で評価は大きく分かれます。自己PRでいかに採用メリットの高さを示せるかが、内定獲得のカギといっても過言ではありません。
しかし、志望動機や自己PRの部分で悩んでいる方も少なくないでしょう。
履歴書の経歴や住所・氏名・取得した資格などは、決まっていることを書くため、考えて書くことよりも事実を整理することが必要ですが、志望動機や自己PRは自分の言葉でアピールが必要となるため難しいものです。
今回は、自己PRをじっくり練り上げて、転職の成功に近づく書き方などをご紹介します。
目次
弁護士も転職で自己PRが重要視されるワケ
そもそもなぜ転職では自己PRが重要視されているのかですが、これは転職の採用基準にあります。転職の場合は、即戦力採用が基本であり、能力や実績などが重要視されています。
同じ採用するのであれば、少しでも能力が高く、すぐにでも活躍してくれる人を選びたいと考えるのは自然なことですし、即戦力の採用は企業によって大きなメリットです。
即戦力の人材を採用すれば、すぐに活躍してくれるだけではなく、教育にかかるコストも少ないですし、少ないコストで最大限の成果が得られます。
未経験での転職など、一部ポテンシャルが求められる例外もありますが、転職は基本的には即戦力重視の能力採用だと考えておきましょう。
弁護士転職ならではの自己PR方法|法律事務経験でアピールできるもの
転職を成功させるためには自己PRが重要ですが、そもそも自己PRでは何をアピールすればよいのかが分かっていない人も多いです。
自己PRは自分のスキルをアピールする項目ですが、何でもアピールできるわけではありません。どんなものがアピールできるかを知り、何を題材にするかを考えてみましょう。
前事務所での実績
転職の自己PRでは、前職での実績や培ったスキルなどがアピールできます。前職の実績を述べることで、仕事に対して真面目に取り組み、成果を出していることが伝わりますし、実績次第では高く評価される可能性もあります。
転職先事務所と関係のある業種であれば、実績は特に評価されますし、役職などが就いている場合は、好条件での転職も可能です。
仕事上で身につけたスキル
また実績だけではなく、スキルも評価の対象です。大きな実績がなかったとしても、仕事からスキルを身に付けられたのであれば評価される可能性はあります。
実績もスキルも仕事の結果として身に付いているものですので、上手にアピールすれば能力の高さを提示できます。
保有している資格
保有している資格も自己PRで使える題材のひとつです。これは前職での仕事に関係なくアピールができ、資格単体としてのアピールが可能です。
前職との関連性がない資格であっても、転職先で活かせるなら評価の対象ですし、場合によっては未経験でも即戦力を期待してもらえる可能性もあります。
- 弁理士資格
- 税理士資格 など
もちろん、前職との関連性があまりにもない場合は、なぜその資格を取得したのかをきちんと説明できなければなりません。資格を持っているのは素晴らしいことですが、目的もなく保有しているのでは評価されない場合もあります。
目的意識を持って資格取得に臨んだことを伝え、きちんと能力が身に付いていることをアピ―ルしましょう。
[例文あり]弁護士の自己PRを効果的にアピールできる書き方
自己PRは面接で問われることも多いですが、それだけではなく履歴書や職務経歴書の中でも記載しなければなりません。
応募書類でしっかりアピールできていなければ、書類選考の段階で落とされてしまいますし、最初の関門を突破するためにも念入りに考えて書きあげることが大切です。
転職の自己PRの書き方にはポイントがあり、同じ内容でも書き方次第で与える印象は違ってきます。上手な書き方を知り、自分の魅力を存分にアピールしましょう。
どんな能力・スキルがあるかをわかりやすく
自己PRはとにかく簡潔にまとめ、分かりやすく伝えることが大切です。長々とアピールしても、結局何を伝えたいのかが分からなければ意味はありません。分かりやすく伝えるためには、最初にどんな能力・スキルあるかを明確にしてしまうことがポイントです。
①高い連携・協働力
当事務所は、大規模訴訟、不祥事調査(第三者委員会を含む)、事業再生等の案件において、外部の弁護士・公認会計士・税理士等の専門家と頻繁に協働することがあります。このような案件の場合、外部の専門家と協議をして役割・担当を決めたり、案件のスケジュール管理をしたり等、案件のマネジメント自体を行うことが必須となります。また、所属事務所の弁護士とは、各案件で連携して業務遂行することはもとより、例えば、弁護士業務に役立つ各種書式・ひな形を所属弁護士から収集して分類した上で全体に共有する等して弁護士業務の生産性向上にも寄与する等してきました。このように、外部の専門家や事務所内の弁護士と、より良い業務を遂行するために、適切な連携・協働をする能力を培ってきました。
③高品質な同時並行処理・アウトプットの能力
先述のとおり、在籍する法律事務所では多種多様な業務を取り扱っております。これらの案件はいずれも内容・締切・所要時間が異なるものであり、また、ときには突発的に膨大な業務時間が必要となる案件(民事再生、不祥事調査、仮処分事件等の案件)が舞い込んでくることも頻繫にありました。私は、それぞれの案件処理の段取りを考え、いかに効率よく、かつ、より充実した成果物とするためには何が必要となるかを常に考えて、各種法律文書のファーストドラフト等をはじめとする様々なアウトプットを行ってきました。これにより、同時並行的に各案件について高い品質での対応をする能力やアウトプットをする能力を養ってきました。
何をアピールするのかを最初に明確にし、その後能力・スキルが本当に身に付いていることの根拠を述べていきます。
いかに即戦力として活躍できるかをアピール
転職において重要視されているのは、即戦力として活躍できるかどうかです。能力があっても戦力にならなければ意味はありませんので、企業面接同様、どのように働き、いかに活躍できるかを具体的に述べましょう。たとえば冒頭でマネジメント能力をアピールしたのであれば、
「マネジメント能力を活かして、御事務所が行っている海外の渉外法務のマネージャーとして働き、海外案件の獲得をすることで利益の最大化を目指せます」
など企業の仕事と自身の能力をリンクさせて伝えることが大切です。
関わった案件毎に強みをアピール[事例3つ]
他には、自己PRにフォーマットはありませんので、関わってきた案件をピックアップし、実績を公開するこで転職で大切なのは結果が出せるかどうかどうかを判断してもらう方法もあります。
◆訴訟対応
取締役の善管注意義務違反、フランチャイザーの説明義務違反、株式売買契約の無効確認、監査役解任の損害賠償、株主総会決議無効確認、契約締結上の過失、貸金返還請求その他一般民事家事事件(離婚・婚姻費用分担請求、交通事故等)
※企業法務を中心にしつつ、各種の訴訟対応を頻繫に行っている。敗色濃厚であった説明義務違反の事案(原告側)について入念な準備をして臨んだ証人尋問の結果勝訴的和解を勝ち取った事案、緻密なリサーチにより不正競争防止法2条1項1号の「周知表示混同惹起行為」の立証に成功して勝訴した事案(原告側)など、困難な訴訟事件にも数多く対応してきた。
◆危機管理(不祥事調査・内部通報制度)
・上場会社の第三者調査委員会及び特別調査委員会の補助(会計不正、自動車部品や化学素材の検査不正、従業員による横領、パワーハラスメント等)、社内調査の受託(パワーハラスメント)、等。
※ 多くの上場会社の第三者調査委員会・特別調査委員会の補助を経験している。限られた時間の中で、数多くの資料やメールの分析し、また、多くの関係者からのヒアリングを実施すること等により、調査遂行能力や事案分析力を養うとともに、企業のコンプライアンス体制・ガバナンス体制に関する洞察力を養ってきた。
・内部通報制度の外部窓口業務の受託(建設業、銀行業、製薬業、出版業)、内部通報制度の構築支援(人材紹介・派遣業)、社内研修の講師(窓口対応業務、調査業務等)、等。
※ 所内の「内部通報チーム」に所属し、内部通報制度認証や公益通報者保護法の改正対応等、内部通報制度に関する最新実務の研究・経験を積みつつ、企業向け研修やセミナー等を重ねるなど、同分野に関するクライアントの拡大・深化を図っている。
◆金融関連法務(保険業法・保険法、銀行業)
・保険業法や監督指針等の各種法令・規制への対応のアドバイス(保険募集・加入勧奨スキームの構築、広告宣伝や景品提供の法令適合性、商品に付随する保証サービス提供の法令適合性等)、各種訴訟・ADR等への対応(保険金支払請求、損失補填請求、保険会社・保険代理店の説明義務違反等)、保険契約管理・保全事務等に関する各種事故・トラブルに関する対応・アドバイス、各種法令に関する意見書作成、等
※ 各種企業(保険会社やその他の業種)から、新たなビジネススキームが保険業法等の各種法令・規制に適合するようにするための相談を複数受けており、これに関連して、監督官庁との折衝・意見交換の対応や意見書作成等も行ってきた。これらの経験により、法的意見を整理する能力や監督官庁等の関係当事者との折衝・交渉能力を培ってきた。
戦力になり結果が残せることを相手にイメージさせるためにも、どのように働くかを可能な限り具体的に提示する必要があります。
[通過率90%]職務経歴書の無料ダウンロード弁護士が転職面談で気をつけるべき自己PRの注意点
転職の自己PRでは注意点もあり、それが守れていないと評価を下げられる可能性もあります。
高評価を与えるためのポイントを意識することも大切ですが、それ以上にマイナスの要素をつくらないことが重要です。注意点を正しく把握して、評価を下げずにアピールしていきましょう。
転職先に関係ないものはアピールできない
転職で重要視されているのは実績やスキルですが、それらはどんな場合でも評価されるわけではありません。相手が求めているのは、活躍できる人材であり、能力そのものではありません。
能力があっても活躍できなければ意味がありませんし、そもそもどれだけ大きな実績や優れたスキルがあっても、それが転職先と関係なければ評価はされないので注意しましょう。
優れた能力をアピールするのではなく、転職先に合わせた内容でアピールして、即戦力として活躍できる人材である証拠を提示することが大切です。
アピールポイントは1つに絞る
能力はたくさん持っているほどよいですし、多くの実績・スキルを持っている方が企業から採用メリットが高いと感じてもらいやすいです。しかし、実際に自己PRをするにあたってが、複数の内容でアピールするのはNGです。
アピールポイントは一つに絞るのが基本であり、内容を広げすぎるとかえって伝わりづらくなり、評価を下げられてしまいます。
アピールポイントを増やしてしまうと、一つ一つの内容が薄くなりますし、アピールが長くなれば結局何を伝えたいのかが分からなくなります。複数を薄く伝えるよりも、一つを念入りに伝えた方が評価されますので、アピールポイントは必ず一つに絞りましょう。
応募先の企業が求めている人材を考える
自己PRを書く前に、自分がどんな事務所を志望しているのかをもう一度考えて見ましょう。
その弁護士事務所はどんな業務内容を行っているのか、どんな人たちが働いているのかなど、できるだけ多くの情報を集めておくのは、面接時の受け答えや、履歴書を書く際にも必要となる重要なポイントとなります。
企業が求めている人材像が理解できたら、それにあわせたアピールポイントを書くようにしましょう。
それぞれの業界や職種で求められる強みをしっかり理解して、自分がいかにその企業に向いている人材なのかということをアピールできるようにしておくことが大切です。
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まとめ
転職においては自己PRは非常に重要であり、実績やスキルを上手にアピールして、即戦力で活躍できることを伝えなければなりません。転職では能力が重視される傾向にありますし、自己PRは特に注意が必要なポイントです。
また、「アピールポイントと自慢はイコールではない」ということも意識すべきでしょう。つらつらと自分の成果や特技を自慢しているような文章は、相手に不快な思いをさせてしまう可能性もあります。
謙虚さ、誠実さをうまく伝えられるような文章作りを意識しましょう。
面接時に履歴書に記載している内容と話している内容に相違があるとかえって印象が悪くなってしまうため、自己PRでは言葉だけを並べるのではなく、自分自身の言葉で説明できるような内容にしておくことで、面接時には履歴書に記載されている内容と話している内容に相違が生まれることは無くなるでしょう。
自己PRは題材選びはもちろん、応募書類での書き方や伝え方も重要です。転職エージェントを利用して、自己PRをブラッシュアップし、自分の魅力を存分にアピールして転職を成功させましょう。