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弁理士の将来性が高いといえる5つの要素と価値の高い弁理士になる方法

更新日: 公開日:

弁理士は知財分野に関して特許庁への出願代行などを行える唯一の専門家です。高度な専門知識やスキルを武器に企業や個人の権利、日本の経営資源を守れる社会的意義の大きな職業ですが、近年はその将来性を疑問視する声も少なくないようです。

  • 弁理士は将来性に期待できない職業なのでしょうか?
  • また弁理士として長く活躍するためにはどうすればよいのでしょうか?

このコラムでは弁理士の将来性が高いといえる要素や将来性を不安視されている理由、価値の高い弁理士になるために必要な努力などについて解説します。


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目次

弁理士の将来性は「高い」といえる5つの要素

弁理士は将来性が高い職種のひとつです。なぜそういえるのか、理由を解説します。

世界的に見ると弁理士が果たす役割は増大している

世界に目を向けると、弁理士が果たす役割の重大性は増しており、将来性が高い職種だといえることが分かります。

2011年から2019年までのPCT国際出願件数は、若干の上下はあるものの増加傾向を示しています。企業のグローバル化が進み、国外での知財戦略に力を入れる企業が増えていることの表れでしょう。

また2010年には199.7万件だった世界の特許出願件数は2019年に322.4万件に達しており、特に中国の特許出願件数の増加が顕著です。さらに世界の特許関連訴訟、とりわけ中国の提起件数は右肩上がりに増加しており、知的財産権を武器に産業競争力の強化を図ろうとする意図が見てとれます。

日本国内における模倣品被害も拡大傾向にある中で、訴訟手続きによらず柔軟な紛争解決を図るためには、弁理士がより積極的に関与することの必要性が高まっています。

参考:特許庁|特許行政年次報告書2021年版 1-1-2図 1-1-9図

高度な専門性が必要とされるため異業種からの参入が困難

特許や実用新案などに関する特許庁への申請代行業務は弁理士だけに認められた独占業務です。弁理士資格のない者がこれらの業務を行うことはできません。

そうでなくても、弁理士の花形業務である明細書作成はその技術分野における深い専門知識と論理的な思考力・文章力が必要です。知識に加えて実務経験がなければできない専門性が高い業務なので、弁理士以外の一般の人が的確に明細書を作成するのは困難でしょう。

こうした理由から弁理士業務は異業種からの参入が困難なので、弁理士の価値が下がることは考えにくく、今後も弁理士のニーズはあるでしょう。

スタートアップ企業の支援が拡大中

スタートアップ企業・ベンチャー企業はこれまでにないアイデアや技術を売りに成長を目指す企業なので、知財戦略の重要性は高いです。しかし特許出願を自社の知財部に担当させられる大企業と異なり、人材やコストに余裕のないスタートアップ・ベンチャーには知財部がありません。

外部の弁理士が貢献できる部分が大きく、弁理士のニーズが非常に高いためスタートアップ・ベンチャーの支援に力を入れている特許事務所も出てきています。平成30年には特許庁が特許審査に関するベンチャー支援策として「面接活用早期審査」「スーパー早期審査」の2つの運用を開始するなど支援が拡大しており、今後さらに注目を集めると予想されます。

※参考:特許庁|特許審査に関する新たなベンチャー企業支援策を開始します

一般企業で有資格者のニーズが増加している

近年は企業の知財部で弁理士資格保有者を求めるケースが増えています。すでにいる知財部員にはない専門的な知識や経験を活かしてほしいと考える企業も多く、企業内弁理士のニーズは増加しています。

弁理士の勤務先といえばこれまでは特許事務所が主流でしたが、企業にまで活躍の場が広がったことは将来性に期待できる要素といえます。

長く働けるのも強み

特許事務所の定年は60歳~65歳が主流ですが、人材不足の影響で嘱託雇用や再雇用されるケースが増えています。特許事務所はハードワークな場合も多いですが、嘱託雇用や再雇用の場合は自分のペースで仕事量を調整することもできるでしょう。

また弁理士は独立開業が可能な資格職なので自身が代表になれば定年は関係ありません。このように弁理士は長く働きやすい職種であることも強みだといえるでしょう。

弁理士の将来性を不安視される主な理由

弁理士は将来性が高い職種ですが、他方では将来性を不安視する声も多く上がっています。どのような点が不安要素なのでしょうか?

AIに代替される可能性が92.1%とのデータも

2015年、イギリスのオックスフォード大学と野村総合研究所が共同研究を行い、AIに代替されかねない職業のデータを発表して話題になりました。AIに代替されかねない職業には複数の士業も含まれていましたが、中でも代替可能性が92.1%という高い数値で示されたのが弁理士です。

この驚くべき数値を見て弁理士の将来性を不安視した方は少なくないでしょう。弁理士は明細書作成をはじめとする書類作成業務が多い職種なので、上記の研究では単純作業にあたると判断された可能性があります。

しかし実際には弁理士の業務内容に対する理解がないとの声が大きく、日本弁理士会も92.1%という数字を算定したことに「根拠がない」と反論しています。弁理士業務は発明者や経営層からのヒアリングをはじめとして人と人とのコミュニケーションが極めて重要な業務なので、AIが代替するのは難しいと考えられています。

弁理士試験志願者・合格者数が減っている

弁理士試験志願者数は平成20年には約1万人でしたが、その頃をピークに年々下がり続け、令和元年度は3862人となっています。合格者数もピーク時には約800人でしたが減少が続き、令和元年は284人でした。

参考:特許庁|令和元年度弁理士試験の結果について

特に志願者数の減少について弁理士人気が低下しているとの見方があり、将来性に期待できない職種というイメージにつながっています。

国内の特許出願件数は頭打ち

日本国内の特許出願件数は2011年には34万2610件でしたが、ここ10年は減少傾向が続き、2020年には28万8472件と30万件を下回りました。大幅な減少こそないものの、国内の出願件数はほぼ頭打ち状態にあり、今後の回復見込みについても不透明です。特許出願業務は弁理士のメイン業務のひとつですから、弁理士の将来性についても疑問を抱く要因となっています。

弁理士報酬の単価が下がっている

コスト削減の観点から特許出願にかける費用を減らしたいと考える企業が増えたことにより、弁理士ではなく自社で特許出願するケースが増加しています。自社の知財部で出願すればコストをかけて外部の弁理士に依頼する必要がなく、知財部員の人件費のみで済ますことができるからです。

そのような状況の中で弁理士が企業から依頼を受けるには、報酬単価を下げざるを得ない場合があります。企業側から報酬の割引を要求してくるケースもあるでしょう。報酬単価が下がれば、これまでと同じ年収を得るには数をこなさなければなりません。ただでさえハードワークになりがちな弁理士業務はますますハードになるため、将来性を悲観視する人が増えても不思議ではありません。

弁理士の平均年収

特許事務所で働く弁理士の年収は700万~800万円とする見方が多数です。一方、近年は企業の知財部で働く弁理士も増えており、企業内弁理士の年収は400万~600万円が一般的です。これは、企業内弁理士はほかの従業員と同じ給与体系が適用されるため、弁理士資格の保有が給与に直接反映されるわけではないからです。もっとも、大企業の場合は給与水準が高いため相場よりも高い年収になるケースもあるでしょう。

弁理士の高齢化

日本弁理士会が公表した会員の分布状況によると、2021年12月31日現在、弁理士の平均年齢は52.51歳です。弁理士の年齢でもっとも多いのは45歳以上50歳未満の20.3%で、40歳以上45歳未満が16.2%、50歳以上55歳未満の15.7%と続きます。20代・30代の弁理士は全体の11.2%にとどまっており、弁理士は若手が少なく中高年以上が多い職業であることが分かります。

参考:日本弁理士会|日本弁理士会会員の分布状況

このような状況は「若手が育ちにくい」「高齢化により廃業する特許事務所が増える」といった懸念につながり、弁理士の将来性を不安視する要素となっています。

特許事務所での働き方=時代に合わない?

弁理士業務は多くの場合に期限が設定されているため、期限に間に合わせるために残業や休日出勤を余儀なくされるケースが少なくありません。また弁理士業務は個人プレーが基本なので弁理士個人にかかる責任は重大で、クライアントに損害を与えないようにとのプレッシャーが重くのしかかります。

残業や休日出勤が多く責任も重い働き方は、ワークライフバランスやストレスの少ない環境が望ましいとされる現代社会に合わないとの見方もあります。一部の特許事務所では弁理士の働き方を見直す動きがありますが、これまで通りの働き方を余儀なくされる特許事務所は新しい人材の確保に苦労し、淘汰されていく可能性があるでしょう。

弁理士は難関資格|苦労してまで取得する資格・職業なのか?

弁理士の将来性を不安視する声がある中で、弁理士資格は本当に取得するべき資格なのかと疑問に感じる方もいるはずです。ここで弁理士試験の難易度を確認してみましょう。

弁理士試験の合格率

令和元年度弁理士試験の合格率は8.1%でした。例年の合格率も6%~8%台で推移しています。弁理士試験は難関資格であることが分かります。

参考:特許庁|令和元年度弁理士試験の結果につい

弁理士資格取得までにかかる年数

弁理士資格取得までにかかる年数は3年~4年が一般的と言われています。令和元年度合格者の平均受験回数も4.1回です。弁理士試験は一般に3000時間の学習が必要とされています。弁理士試験の受験者は多くが社会人なので働きながら3000時間を確保するのは難しく、数年かけて合格を目指す人が多いようです。

弁理士資格取得までに必要な費用

弁理士資格の取得までにかかる費用としては、予備校または通信講座の費用があります。予備校は1年で30万~40万円、通信講座は7万~10万円が目安です。また弁理士試験受験手数料が1回受験につき1万2000円かかるため、合格までに何年もかかれば受験回数分の費用がかかります。

そのほかに資格合格を目指すと模擬試験の費用や交通費、予備校や通信講座以外のテキストや問題集など意外と費用がかかるものです。資格取得までに50万円近くはかかると考えておくべきでしょう。

将来性を不安視して資格取得を悩む人が少なくないのは事実

難易度が高い弁理士資格は取得までに3年~4年、さらに何十万円という費用がかかります。そのため資格を取得するべきかと悩む人は少なくありません。特に若手人材は将来性を不安視して資格取得に踏み切れない人も多いでしょうが、実は若手人材にとって弁理士は非常におすすめできる職種です。

弁理士は将来性が高いから若手人材も検討の余地あり

なぜ若手人材に弁理士がおすすめなのか、その理由を解説します。

若手の弁理士人材は引く手あまた

中高年以上の世代が多数を占める弁理士業界では、若手の弁理士を渇望する声が多く上がっています。弁理士試験に合格する人の多くは30代半ば以上ということもあり、20代・30代前半の若手人材は転職市場で引く手あまたです。求人を選べる範囲も広いため自分が希望する条件にフィットする求人にも出会いやすいでしょう。好待遇での転職にも期待できます。

若手のうちから高収入も可能

特許事務所では出来高制や成果報酬制を採用するケースが多いため、実力次第では若手のうちから高収入を得ることが可能です。一般企業によく見られる年功序列型の賃金体系では、いくら優秀でも若手のうちは賃金が低く抑えられています。それと比べると若手のうちから稼ぎやすい弁理士は魅力的な職種だと考えることができます。

フレキシブルな働き方ができる

弁理士業務は弁理士の裁量に委ねられる部分が大きいため、フレキシブルな働き方を可能とする特許事務所が多く存在します。テレワークや在宅勤務、フレックスタイム制など多彩な制度がある事務所もあるので、自身が働きやすい方法を選択することができます。古い慣習に縛られた働き方を好まない若手人材にとってはメリットが大きいでしょう。

さらに、特許事務所ではなく企業で働きたい場合は企業内弁理士という選択も可能です。もちろん資格職ですから将来的には独立開業もでき、キャリアの選択肢は非常に幅広いといえます。

日本の経営資源を守れる社会的意義の大きな仕事

若手人材は今後何十年という長期にわたり仕事を続ける必要があるため、やりがいや社会貢献度といった点も気になるでしょう。

日本は天然資源に乏しくそのほとんどを海外からの輸入に頼っています。また総人口および生産年齢人口の減少が続いており、投資先としての魅力低下にともなう国際競争力の低下は避けられないでしょう。

そのような状況下において知的財産は日本の重要な経営資源と位置づけられており、諸外国による日本製品や技術の模倣を防ぐことは重要な課題です。弁理士は専門的な知識を活かして経営資源を守れる社会的意義の大きな仕事であり、やりがいも感じることができます。

将来さらに必要とされる弁理士になるためには

すでに弁理士として活躍している方や、これから弁理士になろうと考えている方が将来さらに必要とされる弁理士になるにはどうすればよいのでしょうか?弁理士としての価値を高める方法を紹介します。

特定の技術分野での専門性を磨く

特定の技術分野での専門性を磨くことで弁理士としての希少性を高めることにつながります。今後の成長が見込まれるのはAIやバイオ・再生医療などの分野ですが、アンテナを張り最新の技術分野に関する情報を集めることが大切です。この分野なら誰にも負けないという専門性が身につけば、弁理士としての価値が高まります。

企業の経営戦略に対する理解を深める

弁理士のクライアントである企業が特許を出願するのはビジネスにつなげるためであって、特許を取得すること自体が目的ではありません。企業の経営戦略を理解しないビジネス感覚のない弁理士では経営につながる的確なアドバイスができず、企業の信頼を勝ち取ることは難しいでしょう。企業の経営戦略を理解するには、開発者や経営層と質の高い対話を行い、企業の要望や考え方を聞き出すことが大切です。

世界を相手にできる語学力を身につける

弁理士のメイン業務である特許出願は日本国内では減少傾向が続いているため、将来にわたって活躍するには国際出願・外国出願に目を向けることが大切です。そのためには世界と渡り合える語学力を身につける必要があります。

語学力がないために国際出願を苦手とする弁理士は少なくありません。そのため語学力を磨き国際出願に強くなれば、企業からビジネスパートナーとして信頼されるようになり、弁理士としてのニーズがますます高まるでしょう。英語力はもちろんですが、中国語ができる人材も希少価値が高いです。

AIには難しいコミュニケーションスキルを磨く

AIの普及が拡大している現代社会では、AIに代替できない能力としてコミュニケーションスキルが注目されています。

弁理士業務で必要なコミュニケーションスキルとは、的確な質問力や事業部の技術に対する理解力、審査官と適切に意思疎通を図る能力などを指します。国際出願・外国出願においては現地の代理人とのやり取りの中で予想外の対応が必要となるケースもあるため、コミュニケーションスキルを駆使して臨機応変に対応することも求められるでしょう

また特許事務所で仕事を取ってこれる人材になるという意味では、営業マンとしてのコミュニケーションスキルも必要です。開発・研究畑出身者が多く、書類と向き合う時間が長い弁理士は、コミュニケーションスキルが高くない人もいます。そのためコミュニケーションスキルが高い弁理士はほかの弁理士との差をつけやすいといえます。

知財コンサルに力を入れる

知財コンサルとは、事業展開や知財分野に関して企業が抱える課題の抽出や解決策の提案、戦略立案支援などを行うことをいいます。

企業にとって自社の製品や技術を守ることはもちろん大切ですが、知財をビジネスにどう活かすのかをアドバイス・サポートしてくれる存在がいれば心強いはずです。またコミュニケーションが不可欠なコンサル業務はAIに代替されにくい業務のひとつでもあります。

日本国内の出願件数が頭打ち状態にある今、知財コンサルは将来性に期待できる分野ですが、知財コンサルを有料のサービスとして提供している特許事務所は多くありません。知財コンサルができる弁理士は今後のニーズがさらに高まると予想されるため、力を入れておくとよいでしょう。

まとめ

弁理士は将来性が豊かな職種ですが、一方では弁理士の将来性を不安視する声もあります。確かに社会全体や弁理士を取り巻く環境は変化を続けており、弁理士資格さえあれば安泰という時代ではありません。弁理士業務のすべてが代替される可能性は低いものの、AIの台頭も脅威と呼んでよいでしょう。

しかし国際出願や知財コンサルへの展開など成長が見込まれる業務もあり、新たな注目分野が出てくる可能性は十分にあります。こうした業務・分野にも目を向けて努力を続けることで、長く活躍できる弁理士になれるでしょう。

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