人々の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物の財産的価値・利益を守るために活動するのが弁理士です。弁護士や司法書士などとともに八士業のひとつに数えられる専門性の高い職種なので、その年収はどれくらいか気になる方は多いのではないでしょうか?
弁理士会の求人情報を見ても『出来高制』『当所規定による』『経験・能力を考慮』などの記載が多く、平均年収や上位層の年収帯も判断しにくいのが現状です。2023年現在、弁理士の年収幅は600万円〜1000万円の間とされており、中央値を取ると約700万円程度と言われています。
またすでに弁理士として活躍されている方の中にも、年収を上げたいと考えている方がいることでしょう。本記事では弁理士の年収をテーマに、勤務先別・年齢別・経験別などケースに応じた年収相場を紹介します。あわせて、弁理士が年収を上げる効果的な方法は何かについても解説しましょう。
目次
弁理士の平均年収は700万円
まずは弁理士の年収相場について解説します。弁理士の年収を示す公的なデータはありません。しかし、一般に弁理士の平均年収は700万円~1000万円と言われています。特許事務所の経営者になると2000万円以上稼ぐ人もいるようです。
特許事務所における弁理士の年収
特許事務所では、特許や商標といった知的財産権について特許庁などの公的機関への手続き業務を行います。弁理士白書によれば、弁理士の約半数が特許事務所で、特許業務法人を含めると8割近くの弁理士が特許事務所等で働いています(勤務・経営含む)。
特許事務所の年収は一般企業の社員にあたるアソシエイト弁理士の場合は初年度で約500万が目安です。経験を積めば1000万円以上稼ぐことも可能ですが、平均的には約700万円と言われています。
一方、特許事務所でも経営者の年収は1000万円以上、場合によっては2000万円に届くとも言われています。経営・開業の場合は人脈や営業力がどれくらいあるのかによっても異なるでしょう。士業や技術系の職種の人は営業力に乏しい場合も珍しくないため、営業力を磨くと依頼が増える可能性が高まります。
一般的な会社員との比較
国税庁の民間給与実態統計調査によると、給与所得者全体の平均給与は433万円でした。弁理士の年収相場が約700万円~ですから、弁理士の年収は一般的な会社員と比較してかなり高い水準にあることが分かります。
参考:国税庁|令和2年分 民間給与実態統計調査 6ページ目
事業会社における知財担当の弁理士年収
次に、事業会社における特許・知財担当者の年収を見てみます。弁理士に限った年収ではありませんが、事業会社は資格の有無よりも実績や経験、なんの業務を担当するかによってかわりますので、概ね正だと思って頂いて良いと思います。
年収帯 | 決定者・決定求人内容の特徴(定性情報) |
---|---|
1000~ | ・特許・知的財産、法務などの責任者、部課長、課長候補。規模は問わず製造業が多い。 ・事業会社での法務経験(特に知的財産)5~10年程度。同業界での責任者やマネジメント経験、弁護士資格を持っているなど。 ・40代~50代、同職種からの転職がほとんど。理系大卒や大学院卒が多い。 |
800~999 | ・国内及び海外の法務業務のマネージャー、エキスパート、担当者。規模は問わず製造業が多い。 ・弁護士資格を持っている例もある。中級~上級レベルの英語力が求められる場合もある。 ・30代~50代、同職種からの転職が多い。大学院卒が多い。 |
600~799 | ・知的財産、法務、監査室などの管理職、担当者。規模は問わずサービス業がやや多い。 ・同業界の法務・知的財産業務経験3年以上、マネジメント経験、英語力が求められる場合もある。 ・30代~40代、同職種からの転職が多い。大学院卒が多い。 |
400~599 | ・法務、コンプライアンス、知的財産、特許の担当者、リーダー候補。 ・半数以上は法務実務経験者で、事業会社での5年以上の経験が多い。英語力が求められる場合もある。 ・20代~40代で30代が中心。他職種からの転職も多い。 |
300~399 | ・役職なしの担当者レベル。 ・法務経験。未経験者も多い。法学部卒・院卒。 ・20代~30代前半、他職種からの転職が多い。 |
事業会社の規模による年収の違い
一般企業の知財部や特許部、法務部などで働く弁理士もいます。この場合は企業の給与テーブルが適用されるため、弁理士だからという理由でいきなり年収が高くなるわけではありません。
年収相場は500万~700万円と幅があり、企業規模によっても変わってきます。また弁理士に対して資格手当2万~10万円が与えられる場合もあるため、資格手当の有無によっても変動があるでしょう。
中小企業では500万~600万円が目安ですが、大手企業なら800万円以上稼ぐ人も少なくありません。管理職に昇進したケースなど、場合によっては900万円以上もあります。企業の資力や、企業が弁理士の価値をどう捉えているのかによっても年収は変わってきます。
ほかの士業との比較
弁理士の年収をほかの士業の年収とも比較してみましょう。開業か事務所所属かによって大きく異なるため個人差が大きいですが、一般に以下が目安となります。
- 弁護士:800万~1200万円
- 税理士:600万~800万円
- 司法書士:600万~700万円
- 行政書士:500万~600万円
- 社会保険労務士:400万~500万円
弁理士は士業の中では弁護士に次ぐ高年収の職種ということが分かります。
年齢ごとの弁理士年収
年代別の違いもあります。転職エージェントMS-Japanが運営するLEGAL NETの調査によると、弁理士の年収を年代別に見ると以下のようになっています。
特許事務所勤務の場合
- 20代:500万円
- 30代:650万円
- 40代:850万円
- 50代:950万円
企業内弁理士の場合
- 20代:500万円
- 30代:650万円
- 40代:820万円
- 50代:1100万円
特許事務所と企業内弁理士で多少の違いはありますが、いずれも年代が上がるごとに年収も上がっています。弁理士は経験を積むほど年収も上がりやすい職種だといえるでしょう。
弁理士の年収が高い理由
弁理士は国家資格なので試験に合格しなければ弁理士を名乗ることができません。その弁理士試験ですが、合格率は令和元年度で8.1%と非常に難易度が高く、専門性も高い職種です。また全国の弁理士数は令和3年10月末時点で1万1696人と、弁護士の約4万3000人、税理士の約7万9000人などほかの士業と比べて少なくなっています。
士業 | 人数 |
---|---|
弁理士数 | 11,696人 |
弁護士数 | 42,991人 |
税理士数 | 80,052人 |
これらの事情を考慮すると、弁理士資格自体の価値が高いことが分かります。さらに弁理士は実力が収入に直結する職種なので実力次第では高年収を得やすいといえます。
弁理士の年収は働く場所によって異なる
どこで働くのかによっても年収は異なります。弁理士が働く場所別の年収相場も確認しましょう。
弁理士が働く場所は大きく「特許事務所」「一般企業」「特許庁」「法律事務所」の4つに分けられます。さらに特許事務所や法律事務所は勤務か経営か、法人かといった違いもあります。
特許事務所は成果主義が多い
特許事務所は成果主義を採用しているケースが多く、実際の年収は個人差が大きいのが実情です。
特許事務所における弁理士のメイン業務は出願書類の作成であり、出願を何件担当したのかによって報酬を算定することが可能です。一般に出願手数料(弁理士報酬)の○%という形で弁理士の収入が決定します。そのためより多くの出願を担当できる弁理士の年収が上がりやすくなるわけですが、スピーディーに仕上げるにはやはり経験や実力が物をいうでしょう。
もっとも、一般企業でよく見られるような年功序列型の報酬体系を採用している事務所もあります。年功序列型の報酬体系の場合は年齢や勤続年数などに応じて年収が上がっていく仕組みなので実力と年収は必ずしも比例しませんが、安定した収入を得やすい点はメリットです。特許事務所へ転職する際は報酬体系も確認しておくようにしましょう。
弁理士報酬の目安
参考までに出願手数料の金額は扱う権利によって以下のように異なります。
- 特許出願手数料(明細書15頁、請求頁5、図面5枚、要約書1枚の場合):平均約30万、もっとも多いゾーンは25万~35万です。
- 実用新案登録出願手数料(同上):平均約26万5000円、もっとも多いゾーンは20万~30万です。
- 意匠出願(図面2枚、特徴記載あり、物品の説明ありの場合):平均約10万4000円、もっとも多いゾーンは5万~10万円です。
- 商標出願料(1区分指定の場合):平均約6万6000円、もっとも多いゾーンは5万~8万円です。
※参考:日本弁理士会|特許事務報酬(弁理士手数料)に関するアンケート結果
特許庁で働いた場合の年収
特許庁で働いた場合の年収も確認しましょう。特許庁は工業所有権関連の事務を所管する行政機関です。特許庁の職員は国家公務員ですが、弁理士が任期付き職員として働くケースもあります。
任期付き審査官の年収相場は700万円~1000万円、審査官補助として働く場合は500万~600万円が目安です。
法律事務所で働いた場合の年収
弁理士が法律事務所で働くケースもあります。たとえば五大法律事務所のひとつであるTMI総合法律事務所では84名もの弁理士が所属しており、知財分野に力を入れていることでも知られています。
法律事務所で働く弁理士は弁護士とともに知財に関する訴訟に携わるケースが多いため特許事務所と業務内容には違いがあります。ただし年収相場としてはそれほど変わらず、700万円~が目安となっています。
もっとも弁理士の年収が高いのはどこ?
ここまで見ると、弁理士の年収は勤務先によって大きく異なるわけではありません。しかし高年収を稼げる可能性がもっとも高いのは特許事務所になるでしょう。特許事務所では年齢や勤続年数ではなく成果が重視されるからです。
特許事務所の歩合率は一般に売上の30%~40%程度であるケースが多く、多くの出願を担当した場合や報酬の高い案件を担当した場合には年収が上がる可能性が大きいでしょう。
特許事務所・出来高制による想定年収シミュレーション
下記の計算式のもと、おおよそではありますが、1人あたりの年収を算出します。
弁理士による 平均出願手数料 | × | 弁理士による 年間出願件数 | ÷ | 事務所数 | = | 1人あたりの年収 |
特許出願手続きの報酬
1つ目は、特許出願手続きに注目します。
弁理士による 平均出願手数料 | × | 弁理士による 年間出願件数 | ÷ | 事務所数 | = | 1人あたりの年収 |
25万9,961円 | × | 30万7,969件 | ÷ | 4,249事務所 | = | 約1,884万円 |
約1,884万円という結果が出ました。
意匠出願手続きの報酬
2つ目は、意匠出願手続きに注目します。
弁理士による 平均出願手数料 | × | 弁理士による 年間出願件数 | ÷ | 事務所数 | = | 1人あたりの年収 |
11万3,854円 | × | 30万7,969件 | ÷ | 4,249事務所 | = | 約825万円 |
約825万円という結果が出ました。
商標出願手続きの報酬
3つ目は、意匠出願手続きに注目します。
弁理士による 平均出願手数料 | × | 弁理士による 年間出願件数 | ÷ | 事務所数 | = | 1人あたりの年収 |
6万9,536円 | × | 30万7,969件 | ÷ | 4,249事務所 | = | 約503万円 |
約503万円という結果が出ました。
案件合算した場合の想定年収
上記の結果をまとめてみます。
特許 | 約1,884万円 |
意匠 | 約825万円 |
商標 | 約503万円 |
合計 | 約3,212万円 |
合算したのが年収と仮定すると、3,212万円になります。加えて、特許侵害の裁判もあるので、さらに高くなる可能性もあるでしょう。もちろん、事務所を経営するとなると、経費もかかりますし、営業も必要不可決です。
また、特許庁や法律事務所は特許事務所と比べて弁理士の求人自体が少なく転職できる可能性が低いため、人によっては現実的な選択肢とはいえないかもしれません。
特許:弁理士による平均出願手数料 | 日本弁理士会│特許事務報酬に関するアンケート結果 |
全体における弁理士による年間出願件数 | 特許庁│特許出願件数の推移 |
全体における事務所数 | 日本弁理士会│弁理士白書 |
年収だけでなく働きやすさの違いも知っておくべき
転職先を決める際、年収は多くの方にとって重要な考慮事項でしょう。しかし年収だけで転職先を決めてしまうと早期離職につながるなど結局は転職が失敗に終わってしまう可能性があります。
たとえば一般企業の場合、特に大企業では労務管理がしっかりしているケースが多いため長時間労働が避けやすい傾向にあります。結果的に長く働きやすく、勤続年数による退職金の上乗せといったことも考えると生涯年収では変わる可能性があります。年収以外の点も含めて検討することが大切です。
弁理士の年収を上げるには経験・スキルを伸ばすこと
弁理士は専門職であり経験が問われる職種なので、経験値によっても年収が変わってきます。
弁理士は実力主義の世界なので経験が必須
弁理士はただ資格を持っていれば価値があるのではなく、実力やスキルが重視される職種です。弁理士資格があっても弁理士業務が未経験の場合はここまで紹介した年収は得られない可能性が高いでしょう。
未経験弁理士の年収相場は?
未経験弁理士の年収相場は400万~500万円と言われています。弁理士資格のない、一般的な会社員と大きな違いがありません。
年収帯 | 決定者・決定求人内容の特徴(定性情報) |
---|---|
400~599 | ・法務、コンプライアンス、知的財産、特許の担当者、リーダー候補。 ・半数以上は法務実務経験者で、事業会社での5年以上の経験が多い。英語力が求められる場合もある。 ・20代~40代で30代が中心。他職種からの転職も多い。 |
300~399 | ・役職なしの担当者レベル。 ・法務経験。未経験者も多い。法学部卒・院卒。 ・20代~30代前半、他職種からの転職が多い。 |
将来性豊かな職種なので年収が上がる余地は十分にある
弁理士のメイン業務である特許出願件数は近年頭打ち傾向にある一方、企業のグローバル化を背景に国際出願件数は上昇を続けています。IT分野のほかに医療分野などでも技術開発が活発化しており、総合すると弁理士は将来性が豊かな職種だといえるでしょう。そのため弁理士の年収は今後上がる可能性が十分にあります。
高年収を稼ぎたいならまずは経験を積むことが大事
弁理士未経験の場合はすぐに高年収を稼ぐことは難しいですが、弁理士の将来性を踏まえると経験を積むことで将来的に年収が上がっていく可能性が大いにあります。
今よりも年収アップを望む場合は特許事務所での経験は不可欠となるため、まずは特許事務所で地道に経験を積むことから始めましょう。また国際出願も視野に語学力を身に付ける、営業力などを磨くなどの努力をすれば評価され年収アップにつながる可能性があります。
年収の高い弁理士に共通している点
高年収を稼げる弁理士になるにはどんなスキルを磨けばよいのでしょうか?年収が高い弁理士の共通点から探ります。
業務スキルが高い
当然ながら、年収が高い弁理士は業務スキルも高いです。弁理士の業務スキルとは書類作成能力や専門分野への深い知識・知見等を含みます。
コミュニケーション能力が高い
弁理士業務は顧客の意図・要望をくみ取ったり、審査官と意思疎通を図ったりする場面が多々あるためコミュニケーション能力が不可欠です。営業力という点でもコミュニケーション能力が高い人のほうが売上に貢献できるため、年収が高い傾向にあります。
戦略的な思考を持っている
弁理士は高度な専門性が求められる職種ですが、単に明細書を作成・出願して終わりではなく、ビジネスに活かせなければ意味がありません。そのため、その権利がどのように企業利益に貢献するのかを理解・提案できる能力が必要です。年収が高く依頼が絶えない弁理士はこのような戦略的思考力に長けています。
特許事務所と企業のどちらも勤務経験もある
特許事務所での経験があれば弁理士としての底力が身につき、企業経験があれば企業側の立場に立って物事を見ることができます。そのためどちらの経験もある弁理士の年収が上がりやすい傾向にあります。パートナー弁理士になると年収は大きく上がりますが、一般にパートナー弁理士になる人は両方の経験を持っているケースが多い傾向にあります。
弁理士が年収をアップさせる方法
ここまでの内容も踏まえ、弁理士が年収を上げるための方法を整理します。
事務処理能力を上げる
弁理士はどのようなポジションであっても必ず事務処理が発生する職種なので、年収を上げるには事務処理能力を上げる必要があります。もちろん事務処理能力だけで年収が決まるわけではありませんが、最低限必要な要素といえるでしょう。転職の際には出願書類をどれくらいのペースで仕上げる能力があるのかをチェックされています。
語学力を磨く
語学力を磨くことで国際出願にも業務の幅を広げやすくなります。国際出願ができるようになると弁理士としての価値が上がり、比例して年収も上がる可能性が高まります。
また、国際出願を扱う特許事務所は国内出願だけを扱う事務所よりも報酬が高いケースが多く、語学力があればそのような事務所に転職することも可能になります。
今の職場で昇進・昇格を目指す
今の職場が特許事務所ならパートナーになると年収が大幅に上がる可能性があります。一般企業勤務なら知財部長や法務部長などの役職になると年収アップにつながるでしょう。いずれも狭き門なので簡単ではありませんが、昇進・昇格できれば転職しなくても年収を上げることは可能です。
独立開業する
勤務弁理士の年収相場が約700万円なのに対し、独立開業した場合の年収は1000万~2000万円と言われているため、年収を上げるには独立開業するのもひとつの方法です。
とはいえ独立開業するには資金が必要ですし、リスクもともないます。資格を取得したからといっていきなり独立開業しても経験不足は否めないため、まずは特許事務所で経験を積み、実力がついて人脈も広がったタイミングで独立開業を目指すのがよいでしょう。
弁理士資格を活かしてほかの職種として働く方法もある
特許事務所や企業以外にも、コンサルティングファームや大学・研究機関など弁理士の知見を必要としている場所はあります。直接的に弁理士を活かす働き方とは少し異なるかもしれませんが、職場によっては弁理士として働くよりも高年収となる可能性もあります。
転職する[最も年収アップの可能性が高い]
どれくらいの依頼があるのか、売上の何%が弁理士の年収になるのか等は特許事務所ごとに異なります。企業で働く場合も給与テーブルは業界や企業規模等によって大きく差がつく場合があります。そのため転職するだけで今よりも年収が上がるケースは少なくありません。
転職するならどのパターンが年収アップしやすい?
転職パターン別に年収が上がりやすいケースを見てみましょう。
企業から特許事務所へ転職する
特許事務所で働く弁理士と企業内弁理士の年収相場は大きくは変わらないものの、特許事務所では成果に応じた報酬体系になりやすい分、企業内弁理士よりも年収が上がる可能性があります。
一方、企業で働きながら弁理士資格を取得し、経験を積むために特許事務所へ転職する方は、弁理士経験はないため年収相場は500万円前後となります。どの規模の企業で働いていたのかにもよりますが、一時的に年収はダウンする可能性があります。
特許事務所から企業へ転職する
特許事務所から企業への転職では、年収は維持または下がる可能性があります。
また特許事務所と企業では求められる役割や業務内容に違いがあるため、このパターンの転職は一般に難しいと言われています。中小の特許事務所から大企業への転職なら年収が上がる可能性はありますが、転職のハードルはさらに高いでしょう。
中小企業から大企業へ転職する
企業から企業の転職は企業勤務経験を活かせるため、特許事務所からの転職よりはチャンスがあります。特に中小企業から大企業への転職では年収が上がる可能性が高いでしょう。大企業は中小企業と比べて給与相場が高く、資格手当やその他の手当があるなど福利厚生も恵まれているからです。
もっとも、大企業への転職は企業勤務経験者にとってもハードルが高いため、経験や知識を活かせる業界を選ぶなど工夫が必要です。
中小特許事務所から大手特許事務所へ転職する
中小の特許事務所から大手の特許事務所への転職は年収が上がる可能性が高いでしょう。中小よりも大手のほうが企業からの依頼件数が多いため、結果的に弁理士の報酬にも反映されやすいからです。大手でなくても、今よりも規模の大きな事務所への転職であれば年収が上がりやすいでしょう。
弁理士が年収を上げたいなら転職エージェントに相談を
弁理士のニーズは高いのですが、求人件数自体は決して多いとはいえないのが現状です。専門性が高い職種ということもあり、一般的な転職サイトにはあまり求人が掲載されないため転職エージェントを使った転職活動をおすすめします。
特に知財業界・弁理士業界に特化した転職エージェントであれば業界や職種の特性を踏まえた専門的なアドバイスが受けられ、特許事務所・企業の詳細な情報も提供してもらえます。求職者に代わって年収交渉もしてくれるため今よりも年収が上がる可能性が高まるでしょう。
NO-LIMIT弁理士転職
1つ目は、「NO-LIMIT弁理士転職」です。
公式サイト:https://no-limit.careers/
社名 | 株式会社アシロ(英名:ASIRO,inc) |
本社所在地 | 東京都新宿区西新宿7-7-6トーワ西新宿ビル3F |
事業内容 | 弁護士・法務人材の転職支援 弁理士・特許事務所・知財の転職 |
設立 | 2016年4月 |
「NO-LIMIT弁理士転職」は、弁理士・特許事務所・知財の転職に特化した業界専門転職サービスです。弁護士・法務人材に特化した転職支援からスタートし、法律特許事務所などを含む、弁理士の転職を得意としています。知財業界における紹介実績はまだ多くありませんが、弁理士ひとりひとりにマッチした求人紹介を強みにしています。
一貫して弁護士・法務領域・知財に特化しているため、専門的な経験を活かしていきたい方のキャリアを全力で応援してきました。転職者の希望を無視したしつこい連絡や無理強いは一切しません。転職者が納得できる形で転職活動を進められることを第一に考えています。
公式サイト:https://no-limit.careers/
REX弁理士キャリア
2つ目は、「REX弁理士キャリア」です。
社名 | 株式会社レックスアドバイザーズ |
本社所在地 | 東京都千代田区永田町2-14-3 東急プラザ赤坂9階 |
事業内容 | 人材紹介事業 |
設立 | 2002年10月 |
「REX弁理士キャリア」は、弁理士・特許事務所・知財に関する求人サイトです。弁理士・特許技術者に特化したコンサルタントが在籍しているため、信頼できます。経験豊富なコンサルタントのため、スキルや経験の棚卸からしっかりサポートしてくれるでしょう。
知財キャリアセンター
3つ目は、「知財キャリアセンター」です。
社名 | 株式会社アドバンスフューチャー |
本社所在地 | 東京都新宿区西新宿6-12-7 ストーク新宿1F |
事業内容 | 業界特化型人材紹介事業経営支援事業障害者雇用促進 |
設立 | 2011年9月 |
「知財キャリアセンター」では、知財業界における効果的なアピール方法のアドバイスや応募書類添削、面接対策などのサポートを特許事務所や企業知財部に精通している専門のコンサルタントから受けられます。
まとめ
弁理士の年収は700万円前後ですが、どこで働くか、どのような経験があるのかなどによっても異なります。転職で年収が上がる可能性は十分にあるため、年収を上げたいと考えている方はまずは転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。
参考文献
日本弁理士会
日本弁理士会会員の分布状況
弁理士白書|就業形態別弁理士数
日本弁護士連合会
弁護士会別会員数
弁護士白書
日本税理士連合会
税理士登録者数
JHR 一般社団法人人材サービス産業協議会
JHR 一般社団法人人材サービス産業協議会|転職賃金相場2022