新卒でインハウスローヤー(企業内弁護士)を志望する人が増えてきました。インハウスローヤーは、特定の企業内で従業員や契約を通じて所属して、法的業務をおこないます。収入面で安定していて、ビジネスや経営に関する知識を学べるメリットがあります。

この記事では、新卒弁護士がインハウスローヤーになるために必要なスキルや資質、手段についてお伝えします。

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弁護士は新卒でインハウスローヤーにはなれるのか?

弁護士資格を取得したばかりの新卒弁護士であっても、インハウスローヤーになれるのか、という議論が交わされることがありますし、新卒でインハウスという選択肢をそもそも持っていない方も多いと思います。

私が修習生の頃は、そもそも新卒インハウスというような選択肢はないというか、修習生が 1,000 名いても、そういうことを考える人はごく少数だったと思います。私の中でも、そういう選択肢は全くなくて、当然のように法律事務所に入ったんですけれど、法律事務所に入っても、自分にどんな案件が一番合うのか、自分がどんな案件が好きなのかというのがわからなかったので、いろいろな案件を経験させてもらいました。

インハウスの方がそんなに多くない時代がずっと続いていたので、そのときはインハウスになろうという考えはなかったのですけれど、留学から帰ってきたら、自分の好きな案件の数が減ってしまっていました。

そこで、弁護士としてどう生きていこうかなと考えたときに、企業の中に入っちゃえば自分の好きな案件というのは結構あるんじゃないかと思うようになって、とはいってもいろいろ不安もあってなかなか決められなかったのですけれど、最終的には迷うんだったらやってみようと思って転職をした次第です。
引用元:日本弁護士会|シンポジウム「企業内弁護士の魅力と必要とされる人材」(2012年10月26日(金)開催) 

結論としては、商法や企業法、消費者契約法など、ビジネスに関連した法律に対する秀でたスキルがあれば新卒であってもインハウスローヤーになれるでしょう。

インハウスローヤー・企業内弁護士は増加傾向

なぜなら、近年インハウスローヤーは増加傾向にあるからです。インハウスローヤーが増加傾向の背景にある企業側のメリットとしては以下が挙げられます。

  • コスト削減
  • 早い対応ができる
  • リーガルニーズが増加している

法律事務所に委託するよりも直接雇用するほうが、コストが削減でき、いざというときに早い対応ができるでしょう。社内の弁護士(顧問弁護士)には相談しにくいことも、社内の弁護士(インハウスローヤー)であれば、普段から自社の背景や業務を把握しているので、すんなり理解してくれるのではないでしょうか。

日本組織内弁護士協会(JILA)によると、統計がはじまった2001年は66名だったのが、2018年時点で2,04名、約20倍にまで増加。毎年300名規模のペースで増えています。

引用元:http://www.moj.go.jp/content/001251768.pdf

臨床法務・コンプライアンス意識の高まり

また、会社法や証券取引法などの法改正や規制緩和による司法制度の改革などにより、臨床法務だけでなく、法的リスクに対応する必要性が出てきました。

他にも、組織内法務の整備・M&A・コンプライアンス構築・行政対策など、従来の法的業務以上のことが求められる傾向があり、法的な専門知識を持っている人材が必要とされています。

弁護士としても、ビジネス経験を身に付けたい・給料を安定させたい・休日を確保したい、などといった希望を叶えてくれる選択肢の一つがインハウスローヤーでしょう。

企業の需要と弁護士の供給は一致している

企業側の需要と弁護士側の供給が一致しているので、インハウスローヤーが増加しています。企業によっては若い人材を育てていきたいという考えを持つところもあり、新卒弁護士の就職先の一つとして言えるでしょう。

それでは、インハウスローヤーの仕事のイメージを具体的に持つために、実際の求人票の一部を見ていきましょう。

【日系サービス企業(業界首位)】
  • ポジション:業界首位の東証一部上場企業での法務スタッフ及び企業内弁護士
  • 勤務地:東京都
  • 給与:400万~800万円
  • 想定年齢:25歳~40歳
業務内容:
グループ再編やM&Aに対する支援・契約書作成等、ガバナンスに関する法的側面よりの支援
◇対外文書・契約書・社内規程等の作成支援及び審査
◇各種トラブルへの対応支援、法規制にかかる相談、訴訟の管理
◇人事労務に関する法的支援
【著名な大手輸送機器グローバルメーカー】
  • ポジション:著名大手グローバルメーカーの法務担当
  • 勤務地:静岡県磐田市
  • 給与:450万円~700万円
  • 想定年齢:26歳~35歳

業務内容:国内外の研究開発・製造・販売・提携等および会社設立・事業再編・企業買収・投資活動等、当社がグローバルに展開する活動全般に関わる各種取引や法令に関する法務対応、それらを踏まえた最適な事業・取引のストラクチャー構築と推進、関連する各種契約の作成・審査・交渉や訴訟係争の対応、法令遵守体制の推進と危機案件の対応等、当社活動を牽引する企業法務の実務担当

【東証一部上場の大手メーカー】
  • ポジション:日本の物作りを支える大手上場企業の法務スタッフポジション
  • 勤務地:東京都
  • 給与:420万円~600万円
  • 想定年齢:24歳~35歳

業務内容:契約書の審査・作成、各種法律相談、訴訟対応等

参考:弁護士転職.jp【71期】新卒も応募可能な【インハウスローヤー】弁護士募集の企業求人

求人票の中には、「司法修習中の方もご相談ください」との記載を見つけることもできます。企業によっては、弁護士資格を取得していれば、実務経験がなくても良いとしているところがあるので、新卒弁護士でもチャンスがあるといえるでしょう。

弁護士1年目でメーカー企業のインハウスローヤーに就職した体験談

~インハウスローヤーへ~就職活動について

編集部:就職活動を開始した時期はいつ頃でしたか?

K先生司法修習直前期、11月頃からです。実はサマクラも5回ほど参加していました(ロースクール卒業年に)。サマクラでは契約書レビューを含めていろいろなことを経験させていただいたのですが、結果としては法律事務所の雰囲気や業務内容が自分には合わないかもという印象を強めることになりました。

もちろんここに関しては向き不向きのところが強く、あくまで私の場合は、ですが。

編集部:なるほど。ではK先生の場合は法律事務所への就活はされなかったんですね。企業へは何社くらい応募されたのでしょうか? 

K先生そうですね、法律事務所へはエントリーしませんでした。企業には20社ほどエントリーしました。面接に至ったのは5社です。

人事部の方との面接と法務部の方との面接が各別に行われることが多かったですね。 企業によっては、一般的なSPIや英語力を測るオリジナルのペーパーテスト、その場で英文契約書をレビューさせるような実務能力を測るテストなどが行われることもあります。

英語系のペーパーテストはいずれもとても難しく、冷や汗が出たのを覚えています笑。

▼取材の全てはこちら▼

弁護士1年目から某メーカー企業のインハウスローヤーに|新卒から企業法務弁護士への道を開いた経緯とは

新卒弁護士がインハウスローヤーになる際に求められるスキルや素質5つ

新卒であるかどうかに関わらず、インハウスローヤー求められるスキルや資質をご紹介します。新卒ですべてを備えている人材はごくわずかですが、将来このようなスキルや資質が求められるのだな、と感じていただければと思います。

グローバル化やIT化などのビジネス変化への対応力

近年、弁護士に求められるのは「柔軟さ」かもしれません。グローバル化やIT化に加え、頻繁な法改正といった変化に柔軟に対応できる人材が求められています。法律の専門家であるインハウスローヤーに限った話ではありませんが、頭の固い弁護士は敬遠されがちというわけです。

社内の人と協働できるコミュニケーション能力

特定の企業に所属するということは、社内の権力関係や社内システム、社内ルールに馴染む必要性が出てきます。インハウスローヤーは、法律と向き合えば良いわけではなく、法律を使って多くの社内の人と向き合うことになります。そこに不自由さを感じる弁護士も少なからずいるので、向き不向きがあるといえるでしょう。

英語や中国語といった語学力

インハウスローヤーなら、今後国内取引(日本法)のみでやっていこうというのは無理があるかもしれません。先ほども少し触れましたが、グローバル化の波はしっかりと押し寄せています。海外の動向も理解していないと、市場競争に勝てない状況です。

とはいえ、何か国語も操るのは至極難しい話なので、自分が志望する業界・企業がどこを主戦場としているか敏感に察知するアンテナをはりましょう。海外進出企業にとってはアジアが中心となっていますが、今後は南米やアフリカが注目されるのではないかという情報もあります。どこにターゲティングするかが重要です。

マネジメント能力

新卒だと難しいかもしれませんが、マネジメント能力を持った弁護士は高いニーズがあります。法律の専門知識はもちろんのこと、実務経験に加えて、マネジメント能力を身に付けていくことを意識すると良いでしょう。即戦力として採用されるのではないでしょうか。

企業法務以外の実務経験

新卒であれば実務経験がないわけですが、M&A・IT・通信・知的財産分野などの知識がある人は重宝されるので、そのことを意識して就職すると良いでしょう。中には、企業での勤務経験を必須としているところもあるので、インハウスローヤーとしてステップアップするときのために意識しておいてください。

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新卒からインハウスローヤーになるための5つの手段

新卒からインハウスローヤーになるための方法をご紹介します。最近では、インハウスローヤーを率先して雇用する動きが多くの企業で見られています。法科大学院を修了する新卒の学生を対象にした求人情報の提示があるので、新卒弁護士にとってもチャンスは少なくありません。

司法修習時代から企業へのアプローチ

司法修習時代から企業へアプローチ方法が挙げられます。実際、「司法修習中の方もご相談ください」という一言を添えて、求人を募集しているところがあります。司法修習生のときは、今後のキャリアをどう築くか悩む時期ですが、ビジネス事業に携わりたかったり、ワークライフバランスを重視したかったりする人に選ばれています。

弁護士専門の就職/転職サイトを使う

弁護士専門の就職/転職サイトを使うのは有効です。NO-LIMITでも、インハウスローヤーの仕事は多くご紹介させていただきます。

求人票には、以下のような業務内容が記載されています。

  • 契約書作成、チェック、審査のサポート
  • M&A関連業務
  • 社内、グループ会社からの法律相談対応
  • 知財(商標関連)管理のサポート
  • 訴訟対応、契約書(英文を含む)の作成・確認、苦情対応

学んできた法律専門知識を十分に活かせる内容となっています。

弁護士・管理部門特化のエージェントの利用

弁護士・管理部門特化のエージェントを利用する人も少なくありません。例えば、「MS-Japan」は、管理部門・士業特化型エージェントで、登録率や転職相談率がNo.1の実績を誇っています。もちろん、弁護士のキャリアパスとして、インハウスローヤーという選択を提示しています。

エージェントを利用すると、セミナーや個別相談会に参加できるので、就職/転職ノウハウを学べます。職務経歴書の書き方のコツを知っていると、選考通過率が変わります。

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OB・OG訪問を積極的に利用する

OB・OG訪問の機会を積極的に活用して、インハウスローヤーになる新卒弁護士もいます。ざっくばらんにインハウスローヤーのメリット・デメリットを聞けるので、OB・OG訪問をする必要性があるでしょう。「なぜ企業で働くのか」という自分の仕事観の具体的なイメージを抱くのが大事です。

渉外系法律事務所に入り、まずは顧問契約からスタートする

新卒で渉外性法律事務所に入ってまずは顧問弁護士として活躍してから、のちにインハウスローヤーに転職する弁護士がいます。渉外系法律事務所は、主な業務分野が渉外性(国際性)のあるビジネス法務なので、インハウスローヤーになる基礎を学べます。

渉外弁護士になるためには、英語力やサマー・クラークへの参加が重要になっています。サマー・クラークとは、各法律事務所が法科大学院生に向けて実施する就業体験です。参加すると、1万円程度の日当が支給されるほか、遠方の学生に対しては交通費と宿泊費が支給されることもあります。

ここで優秀だと認められれば、翌年の司法試験が終了してから、個別訪問(面接)に来るように事務所から連絡があるようです。将来的にインハウスローヤーになりたいと思っていても、渉外弁護士の経験を積むのは良いかもしれません。

まとめ

新卒弁護士がインハウスローヤーになるために求められるスキルや資質、適切なアプローチ方法をご紹介しました。就活は短期決戦になってくるので、とにかく忙しくなるでしょう。

収入面で安定した待遇が得られ、ビジネス感覚を養えるインハウスローヤーに憧れを抱くのなら、積極的に行動していきましょう。

       

 

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ある程度の期間を経て仕事に慣れてくると、現状に疑問や悩みを感じる方は多くいらっしゃいます。特に初めて転職される方へは、転職時に気になる企業内でのポジション、在籍弁護士数など、紹介先の内部情報もしっかりとお伝えします。


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