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女性弁護士の年収は男性より低い?働き方別の年収と年収アップの方法

更新日: 公開日:

高年収職業の代表とも言われる弁護士ですが、男性弁護士よりも女性弁護士の年収が低い傾向があると言われています。

しかし、弁護士の転職市場においては、女性の弁護士だからという理由で男性弁護士よりも低い年収提示になるケースは今まで一度もありませんでした。

ただ、一般労働者の年収事情の統計を図っている国税庁の調査によれば、給与所得者のうち男性の平均給与は532万円、女性の平均給与は293万円という結果が出ており、日本の男女間賃金格差を是正する必要性が叫ばれて久しいですが、令和2年時点でもこれだけの差があるのが現実であるのは確かです。

下記は、統計の法務従事者と、公認会計士・税理士資格者の年収を抜粋したものになります。

区 分 企業規模計(10人以上)
年齢 勤続年数 所定内実労働時間数 超過実労働時間数 きまって支給する現金給与額 年間賞与その他特別給与額
時間 時間 千円 千円
法務従事者 47.8 8.3  165  3 755.1 1040.1
公認会計士,税理士 40.5 11.4  142  3 607.6 3016.7
法務従事者 41.3 7.0  160  6 368.2 916.3
公認会計士,税理士 39.6 8.4  152  6 459.3 1926.4

参考:国税庁|令和2年分 民間給与実態統計調査

確かに女性の方が年収は低い傾向が見て取れますが、年齢層が高めである点と、法務従事者(弁護士だけではなく・法務部員も含まれている)であるため誤差はあります。

他方、弁護士会による『近年の弁護士の活動実態について(「弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査2020」』によれば、性別で年収をわけてはおらず、2020年時点の弁護士年収は、平均2,462万円、中央値1,437万円となっています。

  2006年 2008年 2010年(※) 2014年 2018年 2020年
平均年収 3,620万円 3,389万円 3,304万円 2,402万円 2,143万円 2,462万円
中央値 2,400万円 2,200万円 2,112万円 1,430万円 1,200万円 1,437万円

※2010年の調査は弁護士活動以外の収入も含まれている
[参考]弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査2020

弁護士_事業所得

 

では、なぜ女性弁護士の年収が低いと言われているのでしょうか?

この記事では女性弁護士の年収について、働き方別の年収や他職種・男性弁護士との比較、年収を上げる方法などについて解説します。

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目次

女性弁護士を取り巻く近年の状況

最初に、近年における女性弁護士の割合や法律事務所における働き方改革など、女性弁護士を取り巻く状況について解説します。

女性弁護士の割合は増加している

弁護士白書によると、2000年に8.9%だった女性弁護士の割合は2020年には19.0%にまで上昇しました。毎年少しずつではありますが、着実にその割合を伸ばしています。

女性弁護士比率

※参考:弁護士白書 2020年版|弁護士数(1950年~2020年)

2割程度という現実はある

1950年、女性弁護士の割合はわずか0.1%でした。そのため長い年月をかけてようやく20%近くにまで到達したことは意義のあることでしょう。とはいえまだ弁護士5人に対して1人の割合であり、決して多いとはいえません。

社会の多様性が進んだことを受け、女性弁護士の確保を重要な課題と位置づけた国は、2003年に日弁連に対して「2020年までに女性割合が少なくとも30%になるよう期待する」と求めていました。

しかし、2020年時点の女性割合は19.0%と、30%には遠くおよばない現実があります。

諸外国と比べると女性弁護士比率は低い

日本における女性弁護士の割合は、諸外国と比べても低い水準です。

たとえばフランスでは2009年時点で50%を超えており、イギリスも2017年時点で48.8%と半数近くの水準で推移しています。また2008年には7.0%と日本の半分以下の割合だった韓国も、2017年時点では25.4%と近年大きく割合を伸ばしています。

※参考:弁護士白書 2018年版|諸外国における女性弁護士の割合

こうした各国の状況と比べると、毎年0.1%~0.2%しか上昇していない日本は、男女共同参画推進において遅れをとっていると言わざるを得ません。

女性弁護士のニーズは大きい

女性弁護士の割合がなかなか増えないのとは裏腹に、社会における女性弁護士のニーズは高まっています。昨今はDVやセクハラが法律問題であるとの社会的認識が浸透し、またもともと離婚案件などで女性弁護士に相談したいと考える人は多くいました。

刑事事件でも性犯罪はやはり女性弁護士のニーズが高いです。女性は共感性やコミュニケーション能力が高く、依頼者にとっては安心できる存在となるため、女性弁護士を求める声は多く聞かれます。

法律事務所でも働き方改革が進んでいる

女性弁護士がなかなか増えない要因のひとつとして、弁護士が激務であるとのイメージを持つ女性が多いことが挙げられます。家庭や出産・育児との両立を懸念して法曹界を敬遠する女性は少なくありません。

また、近い将来の育児・出産を考えて、司法試験に合格しても弁護士登録しない女性もいます。

確かに弁護士といえば激務の代表職業として取り上げられることが多いですが、働き方改革の動きは法曹界でも広がっています。若手弁護士を中心に近年は法律事務所のハードな仕事環境に疑問を感じる弁護士が増えており、法律事務所でも優秀な人材を確保するために新しい働き方への対応を進めることが急務となってきているのです。

たとえばリモートワークの導入やITツールの活用による業務効率化などによって、時間に制約がある弁護士でも働きやすい環境を整備しようとする動きが見られます。

女性弁護士の年収はいくら?

女性弁護士の働き方別に年収の相場を確認してみましょう。

政府統計窓口による女性弁護士の平均年収

令和元年賃金構造基本統計調査によると女性弁護士の平均年収は726万4,800円でした。

こちらは2019年のデータですが、弁護士区分が残っている時期のものでしたので、より正確な数字となります。

区 分 企業規模計(10人以上)
  勤続年数 所定内実労働時間数 超過実労働時間数 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
  時間 時間 千円 千円
弁護士(女)
~19歳 - - - - -
20~24歳 - - - - -
25~29歳 4.5  163  0 266.6 614.7
30~34歳 6.5  160  0 451.9 1791.7
35~39歳 7.3  158  0 385.5 1341.2
40~44歳 - - - - -
45~49歳 - - - - -
50~54歳 1.7  180  0 1117.1 5160.1
55~59歳 7.5  184  11 230.4 632.0
60~64歳 9.5  168  2 218.5 582.0
65~69歳 - - - - -
70歳~ - - - - -

※参考:令和元年賃金構造基本統計調査|職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額

インハウスとして働く女性弁護士の年収

インハウス(企業内弁護士)として働く女性の年収相場は、500万円~1,250万円です。500万円~750万円未満の層が35.1%、750万円~1,250万円未満の層が34.7%と、女性インハウスの約7割がこの層に収まっています。

日弁連|第2回「企業内弁護士キャリアパス調査」に関する調査結果 「性別」と「年収」のクロス集計

五大法律事務所で働く女性弁護士の年収

五大法律事務所とは、所属弁護士数が多い以下の5つの法律事務所のことです。

  • 西村あさひ法律事務所
  • アンダーソン・毛利・友常法律事務所
  • 長島・大野・常松法律事務所
  • 森・濱田松本法律事務所
  • TMI総合法律事務所

五大法律事務所で働く弁護士に男女の格差はありません。女性弁護士も男性弁護士と同様に入所1年目から1,000万円以上を稼ぐことができます。

勤務年数が5年を超えると年収は1,500万~2,000万円となり、パートナー弁護士になれば年収は数千万から数億円とも言われています。

なお、五大法律事務所では2022年における新任パートナーの女性比率が10%~30%でした。特に西村あさひ法律事務所は新任パートナーの女性比率が30%ともっとも高い比率となっています。

独立した女性弁護士の年収

弁護士が独立開業した場合の年収を示す統計はありませんが、1,000万円~1,500万円が平均的な値だと見られています

また開業すると年収に上限がなくなるため、一般には勤務弁護士よりも開業弁護士のほうが高収入になる傾向があります。この点も男女で違いはありません。

もっとも、開業弁護士の年収は個人差が非常に大きく、開業したばかりで年収300万円程度の弁護士から億を稼ぐ弁護士まで年収幅が広いのが特徴です。

男性弁護士との年収比較

賃金構造基本統計調査によると男性弁護士の平均年収は729万9,700円でした。女性弁護士の平均年収726万4,800円より若干高い数値ではあるものの、男女でほぼ変わらない結果となります。

区 分 企業規模計(10人以上)
  勤続年数 所定内実労働時間数 超過実労働時間数 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
  時間 時間 千円 千円
弁護士(男)
~19歳 - - - - -
20~24歳 - - - - -
25~29歳 0.9  156  0 521.3 238.6
30~34歳 3.1  153  1 477.1 983.6
35~39歳 6.5  155  0 544.0 1402.6
40~44歳 8.3  161  0 566.4 2740.4
45~49歳 7.3  155  0 810.7 624.3
50~54歳 11.5  150  0 1689.1 0.0
55~59歳 3.5  168  0 195.3 594.0
60~64歳 11.5  160  0 205.6 501.0
65~69歳 - - - - -
70歳~ - - - - -
弁護士(女)
~19歳 - - - - -
20~24歳 - - - - -
25~29歳 4.5  163  0 266.6 614.7
30~34歳 6.5  160  0 451.9 1791.7
35~39歳 7.3  158  0 385.5 1341.2
40~44歳 - - - - -
45~49歳 - - - - -
50~54歳 1.7  180  0 1117.1 5160.1
55~59歳 7.5  184  11 230.4 632.0
60~64歳 9.5  168  2 218.5 582.0
65~69歳 - - - - -
70歳~ - - - - -

※参考:令和元年賃金構造基本統計調査|職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額

一方で、日弁連が企業内弁護士の「性別」と「年収」のクロス集計を行ったところ、男性で1,250万円と答えた割合が27.3%であるのに対し、女性は18.0%にとどまりました。

また男性で500万円未満と答えた割合が5.3%であるのに対し、女性は12.2%となっています。女性弁護士よりも男性弁護士のほうが、所得が高い層に分布する傾向が見られました。

日弁連|第2回「企業内弁護士キャリアパス調査」に関する調査結果 「性別」と「年収」のクロス集計

女性弁護士の年収を他職種と比較

女性全体や弁護士以外の職種とも年収を比較してみましょう。

女性全体の年収との比較

民間給与実態統計調査によると、女性の給与所得者の平均給与は293万円でした。

給与所得者数は、5,245万人(対前年比0.2%減、10万人の減少)で、その平均給与は433万円(同0.8%減、33千円の減少)となっている。
 男女別にみると、給与所得者数は男性3,077万人(同1.5%増、44万人の増加)、女性2,168万人(同2.5%減、55万人の減少)で、平均給与は男性532万円(同1.4%減、75千円の減少)、女性293万円(同1.0%減、29千円の減少)となっている。

※参考:国税庁|令和2年分 民間給与実態統計調査

女性弁護士の平均年収は約726万円だったので、女性全体と比べて女性弁護士の年収は高いことが分かります。

ほかの専門職の女性との年収比較

先の賃金構造基本統計調査で公表されているほかの専門職の女性とも年収を比較してみましょう。

  • 医師:101万63500円
  • 薬剤師:535万6600
  • 公認会計士・税理士:509万2700円
  • 社会保険労務士:434万300円

※参考:令和元年賃金構造基本統計調査|職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額

女性専門職のうち、弁護士は医師に次ぐ高収入職業でした。

女性弁護士の年収が男性弁護士よりも低い理由

弁護士は高度な専門性をともなうため、医師などと同様にジェンダー格差が少ない職種として数えられます。性別によって業務内容が変わることはなく、評価にも違いはありません。

しかし実際には、女性弁護士のほうが男性弁護士と比べて年収は低い傾向にあると言われています。特に生涯年収(生涯賃金)で比べたときには差が大きいとされています。

育休・時短勤務の有無による違い

出産・育児を経験した女性弁護士が、育休や時短勤務を選択することによって一時的に職場を離脱したり、業務量を抑えたりすることが理由のひとつに挙げられています。

出産・育児による影響(全体)

女性では、収入が減った(80.6%)、業務量が減った・休業した(89.2%)という回答が大多数を占めたが、男性では収入が減ったのは 13.7%、業務量が減った・休業したのは 27.7%にとどまった。事務所を辞めた、昇給・昇進が遅れた、業務上の知見が広がった、新規分野に進出したと回答したのも女性の方が多かった。女性の方が、より出産・育児による影響を受けやすい状況にあると考えられる。

引用元:近年の弁護士の活動実態について

長期的に見た評価についても、一般に勤続年数が長いほどスキルが上がったとみなされるので、休業していた期間がある女性弁護士はその分不利になります。

家庭内の役割におけるジェンダー差

家庭内の役割におけるジェンダー差も影響していると考えられます。一般に女性は家事・育児をする場面で中心的な役割を担うケースが多く、弁護士も例外ではありません。

弁護士の場合は司法試験に合格する前も弁護士になった後も、人間関係が法曹界中心となるため、結婚相手も法曹関係者になりやすい傾向にあります。そのため女性弁護士の配偶者もまた弁護士であるケースが多く、専業主夫はほとんどいません。

一方、男性弁護士の配偶者は専業主婦であるケースも多く、家事・育児を任せることができる環境にあります。家庭内で主な役割を担う女性弁護士は労働時間を抑制せざるを得ず、必然的に年収も抑えられてしまうのでしょう。

独立の有無による違い

弁護士は独立すれば高年収を稼ぐことも可能な職業です。しかし女性弁護士は男性弁護士と比べると勤務弁護士・企業内弁護士の割合が高くなっているため※、結果的に年収にも違いが出ると考えられます。

弁護士の就業形態

※参考:弁護士白書 2018|弁護士の就業形態(男女別)

女性弁護士が年収をアップさせるには?

女性弁護士が今よりも年収を上げるにはどんな方法があるのでしょうか?

今いる職場でパートナーに

まずは今いる職場で出世を目指す方法があります。

法律事務所の弁護士は大きく「アソシエイト弁護士」と「パートナー弁護士」に分かれます。

アソシエイト弁護士が法律事務所に雇われている弁護士であるのに対してパートナー弁護士は共同経営者なので、両者の年収は大きく異なります。一般にアソシエイトのときは年収600万円~800万円としている法律事務所が多いようですが、パートナー弁護士になると数千万円以上稼ぐことができます。

インハウスの場合も、企業内で管理職になれば年収が上がる可能性があります。またインハウスで出世する方法のひとつとしてCLO(最高法務責任者)になるという道も考えられます。

もっとも、いずれの場合も出世できるのは一握りの人だけです。簡単に出世できるわけではない点は心得ておくべきでしょう。

個人受任の件数を増やす

勤務先によっては個人受任が認められている場合があり、特に法律事務所では申請すれば許可されるケースも多くなっています。稀ですが個人受任を自由に認める法律事務所もあるようです。個人受任には、たとえば刑事事件の国選弁護人や法テラスの相談業務といったものがあります。

個人受任では報酬の一部を所属先に納めるのが一般的ですが、件数を増やすことで弁護士個人の年収アップにつながります。また弁護士としてスキルアップできるので、結果的に年収も上がる可能性があります。

ただし個人受任が可能かどうかは勤務先によって異なります。トラブルにならないよう事前に確認しておいてください。特にインハウスの個人受任は禁止されているケースが多いので気を付けましょう。

専門領域を磨いてほかの弁護士との差別化を図る

自身が得意とする領域を磨き、ほかの弁護士との差別化を図ることで、ニーズの高い弁護士になることができます。たとえば知的所有権関連分野は専門性が高く、高収入になりやすい傾向があります。中国法務なども高い専門性が必要とされる分野です。

またリーガルテック領域に強くなれば、企業に対してリーガルテック事業の支援や必要な許認可の取得、当局対応などさまざまな法的サービスを提供できます。弁護士としての市場価値も高められるでしょう。

プラスαのスキルを身につける

法的知識・スキルのほかにプラスαのスキルを身につけることで年収アップにつながる可能性があります。

たとえば英語力です。社会や企業のグローバル化にともない海外案件を扱う法律事務所が増えていますので、海外クライアントとの交渉や英語契約書類の作成などをスムーズに行える弁護士のニーズは高いです。

ほかにもコミュニケーションスキルや交渉スキルを高めることで依頼者を増やす、マネジメントスキルや経営判断を行うスキルを磨いて昇進や独立を目指すといったことも考えられるでしょう。

年収水準の高い事務所・企業で働く

今よりも年収水準の高い法律事務所や企業で働くのも年収を上げる有効な方法です。

典型的には中小法律事務所から大手法律事務所へ転職する方法がありますが、年収水準は事務所によって異なるため、必ずしも中小法律事務所の年収が低いとは限りません。個別の応募先の年収については、転職エージェントなどを利用して確認するとよいでしょう。

また一般に法律事務所から企業への転職では年収が下がるケースが多いですが、年収水準が低い小規模の法律事務所から大手企業へ転職した場合は年収が上がる可能性も大いにあります。

大手から中小へ転職して役職アップを狙う

大手法律事務所から中小法律事務所への転職も、一般に年収が下がるケースが多いですが、役職アップを狙えば逆に年収が上がる可能性があります。たとえば大手法律事務所のアソシエイトが中小法律事務所のシニアアソシエイトになることで年収が上がるケースが考えられます。

企業法務を扱う法律事務所への転職

企業法務はM&Aや不動産取引などダイナミックな案件が多く、クライアントが個人ではなく企業なので、報酬が高くなりやすいのが特徴です。また企業法務を扱う法律事務所は大手・準大手や外資系が中心となるため、年収水準も高くなります。

ただし将来的に独立して年収を上げたいと考えている場合は、企業法務よりも一般民事のほうが独立のしやすさがあります。そのあたりも考慮してどの分野で経験を積むのかを決めるとよいでしょう。

女性弁護士がワークライフバランスを維持しながら稼ぎやすい働き方もある

ここまで女性弁護士が年収をアップさせるための方法を紹介しましたが、「年収も大事だけれどワークライフバランスも重視したい」と考える弁護士も多いでしょう。弁護士はワークライフバランスを維持しながらも高年収を得る方法があります。

インハウスローヤーとして働く

弁護士全体の中での女性比率は19%ですが、インハウスに限ると、女性比率はここ10年ほど40%前後で推移しています。

インハウスは毎日決まった時間に勤務でき、毎日深夜まで続くような過度な残業はありません。そのためワークライフバランスを取りやすい傾向があり、ワークライフバランスの実現を目指す弁護士から人気の高い勤務先となっています。

企業内弁護士に行ったアンケート調査でも、「あなたが現在の勤務先を選んだのはなぜですか」の問いに対して「ワークライフバランスを確保したかったから」と答えた人の割合が63.4%と最も多くなっています。

※参考:日本組織内弁護士協会|企業内弁護士に関する集計結果(2020年2月実施)

年収については、インハウスを置く企業は大手・上場企業が多いため、年収水準が高めです。大手法律事務所ほどではありませんが、年収を大きく下げない転職も可能でしょう。仮に年収が下がったとしても、法律事務所よりも残業が減ることを考慮すれば、効率的に稼げると言えます。

また法律事務所で働く弁護士は基本的に「労働者」ではないため育児休業が取れないケースがありますが、企業の場合は労働者なので育児休業が取れますし、育児休業中は給付金も出ます。そのため育児中の年収ダウンの幅を抑えることができます。

福利厚生が充実していれば結果的に手取りが増える

大手企業は法律事務所と比べて福利厚生が充実しています。たとえば住宅手当や扶養手当といった手当のほかに、ベビーシッターや保育施設利用の利用補助などを受けられる場合もあります。

インハウスになると年収では法律事務所で働く弁護士より下がるケースが多いですが、こうした福利厚生によって結果的に手取りが増える場合もあるのです。

一般般企業で役員や社外取締役になる

法律事務所から一般企業の役員や法務部長などの管理職、CLOポジションとして転職する方法もあります。一般社員と比べて年収が高いうえに裁量権を持って業務にあたれるため、ワークライフバランスを維持しやすくなります。

また令和3年3月施行の改正会社法により上場会社等で社外取締役を置くことが義務づけられたため、社外取締役になることも有効な方法のひとつです。コンプライアンス経営の必要性が叫ばれている中で、法律に精通した弁護士は社外取締役としての適性があり、ニーズも高いです。

企業経営への監視の目が厳しさを増す中で、必ずしも割のいい仕事ではありませんが、今よりも拘束時間を減らして収入を得ることも可能でしょう。

なお、社外取締役マッチングサイト『ExE(エグゼ)』では企業と弁護士を繋ぐ事業を行っており、女性弁護士を社外役員として登用してもらうよう後押ししています。

女性比率の高い法律事務所を選ぶ

女性比率の高い法律事務所を選べば、さまざまなライフイベントに柔軟な対応をしてもらえる可能性が高まるため働きやすいでしょう。女性弁護士が多い事務所であればパートナーになるための基準も他事務所と違う視点で考慮され、出世しやすくなる可能性があります。

まとめ

女性弁護士の平均年収は約726万円です。男性弁護士と同様の働き方をする場合には年収のジェンダー差はありませんが、出産・育児で育休や時短勤務を選択する女性弁護士はどうしても年収が下がってしまいます。

しかし時間的な制約のある女性弁護士でも、今よりも年収を上げたりワークライフバランスを保ちながら効率よく稼いだりする方法はあります。女性弁護士のニーズは非常に高いため、自分に合った働き方を探してみましょう。

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