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コーポレートスタッフとは?9つの職種と仕事内容、求められる役割を徹底解説

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コーポレートスタッフとは?9つの職種と仕事内容、求められる役割を徹底解説

コーポレートスタッフとは、企業の経営基盤を支えるさまざまな部署・職種の総称です。たとえば、人事や経理・財務、総務や情報システム部などがコーポレートスタッフにあたります。

といっても、具体的にどんな仕事があるのか、イメージが湧かないという方もいるでしょう。

この記事では、コーポレートスタッフの定義やなる方法に触れたうえで、代表的な9つの職種をピックアップして仕事内容を紹介します。

これまでのコーポレートスタッフの役割と今の時代に求められる役割との違いや、キャリアパスについても解説します。

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コーポレートスタッフの仕事と管理部門との違いとは

最初に、コーポレートスタッフの定義や業務範囲、コーポレートスタッフになる方法などを解説します。

経営と社員を支える仕事

コーポレートスタッフとは、従業員の業務をさまざまな側面からサポートし、企業活動を支える人のことです。たとえば人事や総務、経理などの多様な部署・職種があります。

企業活動を「支える」仕事といっても、単なるサポート役にとどまりません。

経営者に代わって組織をマネジメントし、従業員がその能力をいかんなく発揮できる環境をつくります。

組織の根幹を担う重要な部門であるとともに、企業活動が大きな成果を上げて企業が成長していくのに欠かせない部門です。

「管理部門」や「バックオフィス」との違い

コーポレートスタッフのほかに「管理部門」や「バックオフィス」という呼び方もあります。

すなわちコーポレートスタッフと管理部門、バックオフィスはほとんど同じ意味で使われています。管理部門やバックオフィスは会社の売上に直接結びつかない業務を担当する部門を指します。

これに対し、「直接部門」や「フロントオフィス」などと呼ばれるのが会社の利益に直接結びつく業務を担当する部門のことです。営業や販売、生産などの部署・職種がこれにあたります。

企業規模で異なるコーポレートスタッフの業務範囲

コーポレートスタッフの業務範囲は企業の規模によって異なります。

たとえば大企業は分業化が徹底されているため業務範囲が狭く、中小企業は1人で何役もこなすことが求められるため業務範囲が広いです。

IPO準備企業はコンプライアンス対応や内部統制など、株式上場を見据えた業務を中心に担当するケースが多く見られます。

コーポレートスタッフになるには

コーポレートスタッフになるには、今いる会社で異動するか、他社のコーポレート部門へ異動するかの2つの方法があります。

異動の場合は会社の方針や決定に左右されるため、異動願いを出しても確実にコーポレートスタッフになれるわけではありません。

転職の場合はコーポレート部門の求人に応募して採用されれば確実ですが、コーポレート部門は求職者からの人気が高い点に注意が必要です。

どの職種も基本的に大量募集はしないため、競争倍率が高めです。転職を成功させるには、念入りに企業研究を行い、採用担当者の印象に残るアピールをする必要があります。

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コーポレートスタッフの仕事内容

コーポレート部門にはさまざまな部署がありますが、以下では9つの代表的な部署をピックアップして仕事内容を紹介します。

人事

企業のもっとも重要な資産である「ヒト」に関わる業務全般を担うのが人事です。

一般的には採用業務をイメージする方が多いかもしれませんが、人事の仕事内容は採用業務にとどまりません。

  • 研修・教育の企画立案や運営などを行う「人材育成
  • 評価制度の運用や人員配置、昇給・昇格の管理などを行う「人材評価
  • 人事制度の策定や仕組み作りを行う「人事戦略

などがあります。

経理・財務

経理・財務もコーポレートスタッフの代表的な仕事です。

経理と財務は会社のお金を管理するという点で共通していますが、管理する対象や業務内容は大きく違います。

経理は会社が使ったお金を管理し、財務は会社がこれから使うお金を管理します。

たとえば経理は日々の出入金管理や伝票・請求書の作成、決算表や財務諸表の作成などを行います。一方、財務は予算編成や資金調達などを行います。

総務

総務は円滑な企業経営と従業員が気持ちよく働けるための環境整備を行う仕事です。総務の仕事は多岐にわたります。

コーポレート部門の中でほかの部署ができない仕事はすべて行うと考えていいでしょう。

たとえば施設や機器の管理、備品の発注、福利厚生や社内イベントの企画といった仕事があります。

もっとも、総務の機能や役割は企業ごとに大きな違いがあり、総務の中に人事や労務が含まれていたり、総務が経理を兼任したりといったケースもあります。

法務・コンプライアンス

法務は企業の法律に関する業務を担当する部署です。

代表的な仕事としては契約書の作成とリーガルチェック、株主総会や取締役会などの適法な運営、社内規程の整備などがあります。

パワハラやセクハラなどの社内相談窓口対応やコンプライアンス研修の実施なども、法務の重要な仕事です。

業務内容や状況に応じて顧問弁護士やその他外部の専門家と協議、連携しながら業務を進めます。

広報・IR

社内外のさまざまなステークホルダーとの良好な関係性を構築するのが広報の仕事です。

たとえば自社の商品や取り組みを社外の人に知ってもらうためにプレスリリースの配信や取材対応、イベント企画などを行います。

部署間の相互理解のために社内報の作成などを行う場合もあります。IRは株主や投資家に対して会社の財務状況などの情報開示を行う仕事です。

企画

担当領域の課題を解決するために企画を立案し、実行するのが企画の仕事です。

企画とひとくちに言っても、「商品企画」「営業企画」「経営企画」「事業企画」などさまざまな領域があります。たとえば営業企画は販促イベントの開催や営業ツールの制作、営業コンテストの開催などの業務があります。

内部監査

不正や不祥事の防止、業務効率化チェックなどを目的として組織内部で行う監査が内部監査です。

内部監査の結果は取締役や経営幹部、監査対象部門に報告されます。監査結果をもとに経営層や対象部門の責任者に対して問題点の指摘や助言を行うのも内部監査の仕事です。

マーケティング

市場のニーズを把握し、ニーズを満たす商品やサービスを効率的に提供するための一連の活動をマーケティングといいます。

仕事内容は市場調査や分析、営業手法や販売促進方法の検討などが挙げられます。会社によっては企画部門や営業部門がマーケティングの機能を兼ねている場合もあります。

情報システム

企業内の情報システムを構築・管理するのが情報システム部の仕事です。

企業内にいるIT分野の専門家と考えればいいでしょう。企業活動にITの活用が欠かせなくなった昨今では、とくに重要性が増している部署です。

仕事内容は多岐にわたりますが、たとえばネットワーク・サーバー構築・運用・保守、パソコンやタブレットなどのIT資産管理、セキュリティ対策などがあります。

コーポレートスタッフと社会環境の変化とこれからの重要性

コーポレートスタッフは企業からどんな役割を求められているのでしょうか。これまでのコーポレートスタッフと今のコーポレートスタッフとでは、役割や価値が異なります。

コーポレートスタッフのこれまでの役割

これまでコーポレートスタッフに求められてきたのは、ミスをしない正確性や対応スピード、社内の模範であることなどです。企業にプラスとなる動きをしない代わりにマイナスに働かせないことが重要、そんなイメージでしょうか。

もちろん、正確性や対応スピードなどの必要性が失われたわけではありません。

しかし、これらの役割は自動化やシステムによるチェック機能の強化などによって、もはやコーポレートスタッフの価値ではなくなりつつあります。

コーポレートスタッフを取り巻く社会環境の変化

ここ10年で社会環境は大きく変化しました。コーポレートスタッフの業務内容からは定型業務や単純作業が減り、企業に求められる人材像も10年前とは大きく様変わりしています。

次項から社会環境の変化の具体的な内容を挙げていきます。

少子高齢化

少子高齢化にともない生産年齢人口が減少しており、今後もこの傾向に歯止めがかかる気配はありません。現役世代の働き手が減っているため人材不足はますます深刻化すると予測されており、人材不足の課題を解決するためにさまざまな施策を打ち出す必要があります。

終身雇用制度の崩壊

ジョブ型雇用や成果主義的人事評価が重要視されるようになり、日本型雇用の代表的なシステムである終身雇用制度は事実上崩壊したといわれています。

そのような中で人材の新陳代謝を促して組織変革に取り組む必要性が高まっており、コーポレートスタッフにはその音頭をとることが求められます。

働き方改革

働き方改革は、「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすること」を目指す取り組みです。

働く人のニーズの多様化や生産年齢人口の減少などの変化に対応するために、コーポレートスタッフには新たな人事制度や労務管理、ITシステムの導入などの取り組みが求められています。

※参考:働き方改革の実現に向けて|厚生労働省

デジタル化やDXの推進

デジタル化やDXは業務プロセスの変更をともなうため、これを嫌がる直接部門の理解や協力が得られないケースが多々あります。

コーポレートスタッフには社内のデジタル化やDX化を牽引することが求められるため、デジタル化・DX化がもたらすメリットや効果を丁寧に伝えて協力を得るという地道な活動が必要です。

単純作業しかできない人材は近い将来淘汰される

デジタル化やDX化の波は待ったなしにやってきています。その中で判断をともなわない単純作業しかできない人材は淘汰されていくでしょう。

そうした人材はITやAIが取って代わることができるからです。

企業が求めているのは、ITツールやシステムが自社にどんな影響をもたらすのかを判断し、業務効率化や生産性向上につなげられる人材です。

今の時代に求められるコーポレートスタッフの役割

人手不足や働き方の多様化への対応といった経営課題を解決するために、コーポレートスタッフには以下のような役割が求められています。

業務を改善し効率化する

業務を効率化するためには、業務の改善が必要です。

具体的には、不要な会議や朝礼をやめる、社内向けの資料を丁寧につくる風潮をなくすなど、無駄な業務を減らす方法があります。

無駄が減れば本来やるべき業務に専念でき、短い時間で成果を出すことが可能になるかもしれません。

コーポレート部門の中ではたとえば総務や人事なら、従業員の住所変更や結婚など身上異動があったときに書類で提出してもらうのをやめ、システムで入力してもらう仕組みをつくるのも方法です。

従業員が総務課に足を運んだり紙の書類を作ったりする時間と労力がなくなり負担が減るだけでなく、書類のチェックや入力を担当する人員の時間と労力も削減できます。

コーポレートスタッフは無駄の洗い出しや仕組みづくりを率先して行い、全社的な効率化を促進することが求められます。

社員の労働環境を整えて生産性を上げる

社員の労働環境を整えて生産性の向上につなげるのもコーポレートスタッフに求められる役割のひとつです。

たとえば労務管理をする際、長時間労働を抑制して従業員の心と体をケアするのは当然のことですが、短い労働時間の中でいかに生産性を向上させるのかが重要です。

見た目の労働時間だけを削減して業務内容や効率が変わらなければ、持ち帰り残業など見えない労働を増やすだけで何の意味もありません。従業員の心身の状況も把握できず、より深刻な問題を招くでしょう。

大切なのは、長時間労働を減らすとともに従業員満足度を上げることです。幸福度が上がればモチベーションが向上し、生産性アップやイノベーションの創出につながります。こうした視点で組織を改革していくことが、今のコーポレートスタッフには求められています。

経営視点をもち、全社的に業務品質を向上させる

コーポレートスタッフの定型業務は自動化やシステム化によって減っていきます。これまで定型業務に割いていた時間や労力は、人間にしかできない質の高い顧客対応やサービスの提供、イレギュラー対応などに割くことになるでしょう。

こうした業務でコーポレートスタッフに求められるのは、経営視点をもち、全社的に業務品質を向上させることです。

これまでは顧客との直接的な接点が少なく単なるコスト部門と捉えられてきたコーポレートスタッフですが、これからは事業部の働きを加速させて利益に貢献していく必要があります。そのためには事業部への理解が不可欠となるでしょう。

ITやデジタルを使いこなして組織を変革する

DXはデジタル技術を活用して新しいビジネスモデルの創出や組織の変革を実現することです。

単なる自動化やIT化にとどまらず、その先にある変革こそがDXの目的です。

そのためコーポレートスタッフには、ITやデジタルを使いこなすだけでなく、それによって組織の変革を推進するためのリーダー的な役割が求められています。

コーポレートスタッフのキャリアパス

最後に、コーポレートスタッフのキャリアパスについて解説します。

スペシャリストになる

スペシャリストとは、ある特定分野について深い専門性を有する人材のことです。

得意な分野を伸ばし、専門性を深めることで難易度の高い業務にも対応できるようになります。

たとえば経理や法務はコーポレート部門の中でもとくに専門性が高いため、スペシャリストを目指すキャリアパスが一般的です。法務の場合は弁護士や司法書士などの法律系資格を取得して専門性をさらに深める人もいます。

ゼネラリストになる

スペシャリストの対義語がゼネラリストです。ゼネラリストとは幅広い分野での知識や経験を有する人材のことです。

コーポレート部門では部門間の人事ローテーションが行われるケースがあるため、異動のたびにスキルを磨くことでゼネラリストになることができます。

また中小企業やベンチャー企業のコーポレートスタッフは1人で幅広い業務を担当するケースが多いため、ゼネラリストを目指しやすいでしょう。

管理職や経営幹部になる

管理職やマネージャー、経営幹部になるというキャリアパスもあります。たとえば財務は経営的な視点が必要な職種なので、経営幹部を目指しやすいといわれています。

管理職や経営幹部は各部門の機能や役割を俯瞰的に把握することが求められます。

そのため管理職や経営幹部になりたいのなら、まずはゼネラリストへのキャリアパスを目指すのがよいでしょう。

転職してキャリアアップを図る

自社でキャリアを歩むのではなく、転職してキャリアアップを図る方法もあります。

コーポレート部門はどの業界でも必要とされている職種が多く、スキルの汎用性が高いため、業界を横断しやすいという利点があります。たとえば経理がないという業界・企業はないので、これまで磨いてきた業務スキルは転職先で大いに活かせるでしょう。

また、コーポレートスタッフに必要なコミュニケーションスキルやヒューマンスキルは、どんな職種にも活かせます。そのためコーポレートスタッフが転職する場合のキャリアパスは多様です。

ただし、同じくコーポレート部門へ転職する場合、コーポレート部門は基本的に人気があるため採用のハードルは高いと考えておくべきです。

自力での応募ではなかなか採用に至らない可能性があるため、転職エージェントに相談しながら転職活動を進めるのがおすすめです。

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キャリアパスの実現に何が必要か

理想のキャリアパスを実現するためには、まずは明確なキャリアパスを描いておくことが大切です。

自分なりのゴールを設定し、逆算して考えることで、キャリアパスの実現に何が必要なのかが見えてきます。

キャリアパスを描くためには、業務に対する適性を知ることも重要です。日々の仕事の中でどんな点にやりがいを感じるのか、自分の強みは何なのかを分析することで適性を把握できます。

キャリアパスの実現に欠かせないのがスキルと知識の習得、メンタリティの強化です。方法としては資格の勉強やセミナーの参加のほか、会社で禁止されていないなら副業(複業)もスキルアップや知識向上につながります。

メンタリティの強化は難しいですが、書籍やセミナー、メンタルトレーニングなどを通じて考え方を変えたり心情を整えたりすることができます。

まとめ

コーポレートスタッフとはさまざまな業務を通じて、従業員が能力を十分に発揮できるようサポートする仕事のことです。

生産年齢人口の減少や働き方改革、DXの推進など企業経営を取り巻く環境は以前と比べて大きく変化しています。

コーポレートスタッフに求められる役割や期待値も変わってきているため、従来のイメージや常識を捨て、改めてコーポレートスタッフの価値や自身の適性について考える必要があります。

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BackOfficeDB編集部
この記事の執筆者
BackOfficeDB編集部
こんにちは。BackOfficeDB編集部です。 私たちは、管理部門に関する情報発信を専門にしています。 業務効率化や、各職種のキャリアプラン、スキルアップなど、管理部門の様々なお悩みにお答えします。