弁護士を目指す法学部生やロースクール生、司法修習生にとって、「弁護士業務はどれくらい激務なのか」は大きな関心を持たれている事項の一つではないでしょうか。

弁護士は法律専門家であり、行政書士や司法書士等と比べても携わることのできる分野は幅広く、多種多様な分野で活躍します。このため、一概には言えない部分もありますが、多くの弁護士が共通している部分もあるはずです。

ここでは、一般的な弁護士の仕事内容や働き方、また弁護士の中でもかなり激務と言われる5大法律事務所の働き方、さらにスキルアップに向いている法律事務所の特徴などを解説していきます。

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弁護士の業務は激務なのか?

弁護士と一言にいっても、様々な専門に分かれています。ここでは、弁護士一般の業務内容について解説していきます。

弁護士の仕事内容

弁護士は社会で起こる様々な問題をクライアントの立場に立って解決していく法律の専門家です。具体的な職務内容としては、離婚や相続、不動産関連、交通事故、消費者関連、医療過誤等などの民事分野をはじめ、弁護人として刑事手続きに関わったり、法制度改革に関わったりするなど、法律に関するあらゆる分野で活躍します。

また活動の場として代表的なのは弁護士事務所ですが、企業や行政庁の職員・役員、大学・ロースクールで教授や講師を務める方も多く、幅広い現場で目にするでしょう。

忙しい時期はある?

前述のように弁護士は幅広い分野で活動しているため、一概に言えない部分もあります。共通していえることは、弁護士のスケジュールは基本的にタイトなことが多く、複数の事件を並行して進めていかなければなりません。よって日常的に忙しいといえるでしょう。

大きな依頼が思わぬ所から舞い込んでくることが当たり前なので、時期に関わりなく忙しいというのが一般的です。

しかし、例えばいわゆる「マチベン」と呼ばれる弁護士であれば、年度末や年末年始などは裁判期日が入りません。そこで比較的スケジュールに余裕が出るなど、忙しくない時期を一定程度示せる場合もあります。

残業時間はどの程度か?

日本弁護士連合会(日弁連)が公表している弁護士白書(2018年版)によると、最近6ヵ月の1週間の平均労働時間(会務活動や通常の弁護士業務以外を含む)は、「41~50時間」という回答が27.9%と最も多く、次いで「51~60時間」という回答が23.7%となっています。
参考:「近年の弁護士の実勢について」28頁)

 時期や、事務所、個人の考え等によって、残業をするかどうかは異なります。基本的に大手の事務所でない限りは、残業が強制されることは少ないと考えられます。近年は働き方改革が推進されていることもあって、残業しない事務所も増えてきています。

土日も働いてる?

弁護士業務は基本的に自由業であるため、休日は変則的といえます。

裁判所は平日しか開いていないので、多くの事務所が土日を休日としていますが、クライアントによっては土日の方が都合のよいこともあるので、土日祝日にも対応している事務所も増えてきています。

また早朝から遠方の裁判所へ向かったり、突然の接見要望を受けたりすることもあるので、一般的なサラリーマンと全く同じ時間帯に出勤・帰宅するという弁護士はそれほど多くないといえるでしょう。

給与に見合った働き方?

かつて弁護士は高級取りの代表格と呼ばれるほど高収入であると知られていました。これは今でも一部の弁護士については同様のことが言え、数千万、中には億単位で稼ぐ者もいるのは確かです。

しかし、近年は司法制度改革によって弁護士の数が増加しています。これらを背景に、弁護士の平均年収は減少の一途をたどり、年収が500万円を下回る弁護士も少なくありません弁護士白書(2018年版)「近年の弁護士の実勢」31頁等参照)。

継続して仕事を得られている弁護士であれば、激務ではありますが、それなりに稼げており、その点では給与に見合った(またはそれ以上の)働き方ができている弁護士もいます。

しかし、継続的に仕事が得られず、手持ち無沙汰な時間が多い弁護士だと、年間で数百万円しか稼げない者もいます。最近はこのような低収入の弁護士の数が増えてきています。

5大法律事務所は激務労働?実態と見合う働き方なのか?

日本全国に弁護士事務所は数多くありますが、その中でも、所属弁護士数が多い上位5事務所のことを「5大法律事務所」と呼ぶことがあります。日本における5大法律事務所は、「西村あさひ法律事務所」、「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」、「長島・大野・常松法律事務所」、「TMI総合法律事務所」、「森・濱田松本法律事務所」の5事務所を指します。

日本を代表するこれらの事務所は、待遇がよい反面、日常的に激務に追われているとされています。弁護士志望であれば、一度は5大法律事務所を目指すとされているため、関心がある方も多いのではないでしょうか。

ここでは5大法律事務所の実態について解説していきます。

5大法律事務所が激務と言われる理由

5大法律事務所は、日本だけでなく世界各地に拠点を置いてグローバル企業を顧客に持っています。

そこで国際取引に関わる渉外案件(いわゆるクロスボーダー案件など)を数多く取り扱っています。海外と時間を合わせるため、会議の開始時間が深夜になることも多く、終電で帰宅できないことも少なくないとのこと

また、全国各地から志のある優秀な弁護士が集まるため、求められる成果の水準も高く、厳しい競争が待ち受けています。このようなハードなスケジュールの合間に最新かつ専門性の高い法知識を仕入れる必要があります。また、外国の方にも通じるような高度な語学力を身につけなければなりません。

 実際の経験談を基にした口コミサイトでは、5大事務所のワークライフバランスについて下記のような意見がありました。

事務所名 内容
A事務所 そんなもの重視してる人間は必要とされていないのでは。
A事務所 仕事に人生の大部分を捧げる覚悟が必要。
B事務所 残業時間にならすと、月100時間を超えない月はありませんでした
C事務所 ワークライフバランスは調整しにくい会社だと思う。
D事務所 調整は難しいと思われる。仕事優先の生活を強要される。

(参考元:vorkers)

よって、5大法律事務所はかなりの激務であるといえます。

5大法律事務所の主な業務

5大法律事務所が扱っている主な案件は、基本的にM&Aや銀行・金融、キャピタルマーケット、知的財産分野、外国法等に関するコンサルティングなど、企業向けのものが多いとされています。それぞれの分野に特化した専門の弁護士が在籍しているので、幅広い案件に対応しているといえるでしょう。

また、前述のようにクロスボーダー案件なども数多く取り扱っています。よって、所属する弁護士には一定水準以上の英語力が求められます。

年収に見合った働き方?

5大法律事務所で働けば、勤務1年目から年収1,000万円を超すことも可能で、給与水準が高く、福利厚生は充実しているといえます。しかし、繰り返しになりますが、その業務はかなりの激務であり、午前9時から翌朝まで働くケースも実態としてあります。

忙しい時期では数日連続で徹夜ということもまれにあります。特に若手のうちは、慣れない中で大量の仕事を並行してこなす必要があるため、体調を崩してしまう方も珍しくありません。

 実際の経験談を基にした口コミサイトでは、5大事務所の年収について下記のような意見がありました。

事務所名 内容
A事務所 新卒1000万弱。毎年昇給あり。
A事務所 中途で1000万強 給与制度の特徴:典型的な日本企業です。
B事務所 福利厚生は一切ありませんが、年俸は十分高いと思います。
C事務所 初年度から1000万円を超えるため、給与はかなり高水準である
E事務所 各年度の給与は業績に左右されるところが多いかと思います。

(参考元:vorkers)

5大法律事務所の業務は前述の通り激務のようですが、その分高収入を得ることができるようです。

激務でも新卒弁護士が一度は5大を目指す理由

このように5大法律事務所では激務であると広く知られていますが、それでも新卒弁護士が一度は目指すと言われるほど、かなり人気のある事務所です。これは、福利厚生が充実しているだけでなく、5大法律事務所に所属する様々なメリットがあるためです。

業務分野が幅広い

様々な案件に取り組むことができるという点です。自分の得意分野を活かしたり、新しい分野へ挑戦したりすることも可能で、大企業のM&Aなど、スケールの大きい案件にも携わることができます

また、小規模事務所では弁護士自らが事務作業に追われることになりますが、5大法律事務所はバックオフィスが充実しています。よって5大法律事務所の弁護士は本来の業務に専念できるという点も魅力的でしょう。

優秀な弁護士が集まるため、多くの刺激を受けられる

さらに、5大法律事務所には全国各地から志のある優秀な弁護士が集まるため、多くの刺激を受けることになるでしょう。ひとりでは対応が難しい案件にも挑戦できるため、小規模事務所ではなかなかできないキャリアを積むことができます。

頻繁に行われる勉強会を通じて最新の知識にアップデートできます。また留学などの研修制度も充実しているため、スキルアップを図るにはこの上ない環境といえるでしょう。

このため、多忙ながらも充実した職務という声が多く寄せられています。これが多くの弁護士を引きつける所以といえます。

仕事は激務でもスキルアップに向いている法律事務所とは

このように5大法律事務所はスキルアップを図るには良い環境であるといえますが、それ以外の法律事務所でも、5大法律事務所と同様にスキルアップを期待できる事務所はたくさんあります。そこで、以下では「仕事は激務だが、スキルアップに向いている法律事務所」の特徴をご紹介します。

企業法務案件が多い事務所

企業法務案件を多く取り扱っている法律事務所では、スキルアップに向いているといえます。

企業法務を取り扱うということは、その業界の法令・裁判例や、慣行、その企業内部の状況等に精通していなければなりません。またM&Aや、ファイナンス(金融法務)、事業再生、知的財産、倒産、企業不祥事対応、労働案件、独占禁止法案件など、専門性の高い知識が求められます。

企業法務に対応していくためには、企業経営などに関する専門書などを読み込む必要があり、必然的にスキルアップにつながることになります。

渉外案件を多く扱っている

同様のことは、渉外案件でもいえます。

特に外国企業との取引等に関わる場合は、英語をはじめとした外国語や、当事国の法令等に対応しておかなければならないなど、様々な素養が求められるため、スキルアップを図るにはもってこいの環境といえるでしょう。

一般民事でも案件が豊富

一般民事には、離婚や相続、不動産関連、交通事故などがあります。個人によって意見が異なる場合がありますが、基本的には一度扱った分野は、その分野の専門家という立場で活動できます。扱った案件が豊富であればあるほど、多分野でのキャリアを積むことができます

事務所規模がそれなりに大きい

上記のような特徴を有している事務所は、5大法律事務所には劣るものの、事業規模が比較的大きい場合が多いといえます。案件が多いということは、対応する弁護士が多くなければならず、すなわち、所属する弁護士の数が多くなければなりません

そのため、スキルアップが期待できる事務所を調べる際は、事務所の規模も一つの目安にしてもよいでしょう。

ただし、知名度があり、事務所規模が大きい事務所でも、研修等の事務所側のサポートがあまりなく、期待していたほどスキルアップが図れないこともあります。そのため、転職先を探す際は、上記のような特徴の他に口コミサイトや他の弁護士から、情報を仕入れて十分なキャリアを積むことができるかどうか判断する必要があります。

五大事務所ではない事務所について、その規模とどのような人材育成制度が用意されているのかをまとめてみました。

事務所名(規模) 人材育成制度
A法律事務所(158名) ・スーパーローテーションシステム(SRS)・メンター制度・業務グループ制度/勉強会・英語研修・留学・出向
B法律事務所(140名) ・指導担当パートナーとtのパートナーの連携による事件の配転・メンター制度・事務所研究会・署外での研究会出席等への補助
C法律事務所(170名) ・クオリティマネジメント委員会における人材育成の方向性決定・育成専門家で構成された人材管理チームによる多様な教育プログラム・英語教育、外国ロースクールへの留学支援

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まとめ

以上、弁護士がどれくらい激務なのかについて解説しました。

やはり世間一般に思われている弁護士は忙しいという考えは正しいです。特に5大法律事務所はさらに大変といえます。しかし、待遇もよく様々な経験を積むことができることからも、新人弁護士が目指すことが多いです。

また、5大事務所ではなくてもスキルアップに向いている法律事務所の特徴も紹介しました。今回の記事を参考に志望等を考えていきましょう。

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