最近では、社外取締役として弁護士を選任して、会社経営に法務・コンプライアンスの視点をプラスしようとする取り組みが広がりつつあります。社外取締役として弁護士を招聘することにより、バランスの取れた経営の実現や、会社のコンプライアンス・ガバナンスの強化に繋がります

2021年3月から上場会社における社外取締役の設置が完全義務化されることもあり、今後社外取締役の重要性・注目度はますます高まっていくことでしょう。

上場会社・非上場会社を含めて、今後社外取締役の設置を検討中の企業は、ぜひ弁護士への就任依頼を検討してみてください。

この記事では、社外取締役への就任を弁護士に依頼するメリットについて、社外取締役の役割や要件などと併せて解説します。

社外取締役に求められる役割とは?

社外取締役には「よそ者」というイメージがあるせいか、いまだ導入に消極的な企業も多いのは事実です。しかし、社外取締役には特有の役割があり、社外取締役の導入は、企業経営にとって多くのメリットをもたらす可能性があります。

社外取締役に求められる主な役割は、以下のとおりです。

「生え抜き」にはない経営的視点による貢献

いわゆる「たたき上げ」「生え抜き」と呼ばれる取締役は、多かれ少なかれ、会社内部でしか通用しない常識などを無意識に内在化させているものです。そのため、社外取締役がいない状態では、気づかないうちに世間のニーズからずれた経営判断を行ってしまうおそれがあります。

社外取締役を導入すると、内向きになりがちな経営陣の価値観のバリエーションを増やし、バランスの取れた経営を実現することに繋がります。

他の取締役の業務執行に対する監視

取締役には、コンプライアンス・ガバナンス上の役割も大きく求められます。

特に他の取締役が横領・背任などの違法行為をしていないか、株主の利益を無視して私利私欲のための経営を行っていないかなどを、客観的な立場からチェックすることが大切です。

この点は、取締役会の権限として「取締役の職務の執行の監督」(会社法362条2項2号)が掲げられていることからもわかるでしょう。

(取締役会の権限等)
第三百六十二条 取締役会は、すべての取締役で組織する。
2 取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
引用元:会社法362条2項2号

社外取締役は「よそ者」であるがゆえに、他の取締役からの独立を保つことが比較的容易であり、上記の「取締役の職務の執行の監督」という役割をもっともよく果たすことができる存在といえます。

したがって、社外取締役を導入することは、企業のコンプライアンス・ガバナンスの観点から大きなメリットがあるといえるでしょう。

参考:法務省|会社法が改正されます

上場会社では2021年3月から社外取締役の設置が義務化

会社法改正により、上場会社では2021年3月から、社外取締役の設置が完全義務化されます(改正会社法327条の2)。

(社外取締役の設置義務)

第三百二十七条の二 監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第二十四条第一項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、社外取締役を置かなければならない。

引用元;改正会社法327条の2

(社外取締役を置いていない場合の理由の開示)
第三百二十七条の二
事業年度の末日において監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第二十四条第一項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものが社外取締役を置いていない場合には、取締役は、当該事業年度に関する定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならない
引用元;旧会社法327条の2

従来も東証のコーポレートガバナンスコードによって、上場会社については独立社外取締役2名以上の選任が原則とされていました(選任しない場合には合理的な理由説明が必要)。

コーポレートガバナンス・コード(抜粋)
【原則4-8.独立社外取締役の有効な活用】
独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきである。また、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記にかかわらず、十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。
参考:経済産業省|第17回CGS研究会(第2期)事務局説明資料

そのため、現状でもほとんどの上場会社において社外取締役が選任されていますが、未対応の上場会社では新規に社外取締役の選任を行うことが必要になります。

これに対して非上場会社の場合、会社法改正後も、社外取締役の設置は義務ではありません。

しかし、前述および後述するとおり、社外取締役の導入には多くのメリットがあります。そのため、ある程度会社の規模が大きくなったら、社外取締役の設置を積極的に検討してみましょう。

社外取締役の選任に必要な5つの要件

「社外取締役」の定義は、会社法2条15号において設けられています。同号の定義では、社外取締役の独立性を確保するため、以下の者については社外取締役になることができないとされています。

  1. ・当該株式会社または子会社の業務執行取締役、執行役または支配人その他の使用人(「業務執行取締役等」)
  2. ・就任前10年間に、当該株式会社または子会社の業務執行取締役等であった者
  3. ・就任前10年間に、当該会社またはその子会社の取締役、会計参与または監査役だったことがあり(業務執行取締役等だったことがある者を除く)、かつ当該取締役、会計参与または監査役への就任前10年間に、当該株式会社または子会社の業務執行取締役等であった者
  4. ・当該株式会社の親会社等(自然人に限る)または親会社等の取締役もしくは執行役もしくは支配人その他の使用人
  5. ・当該株式会社の親会社等の子会社等の業務執行取締役等
    当該株式会社の取締役もしくは執行役もしくは支配人その他の重要な使用人または親会社等(自然人に限る)の配偶者または二親等内の親族

参考:会社法

上記の定義を踏まえると、社外取締役としては、会社や役員などとの個人的な繋がりを持たない外部専門家が適任といえるでしょう。

社外取締役への就任を弁護士に依頼する4つのメリット

近年、弁護士が社外取締役として招聘されるケースが増えてきています。弁護士を社外取締役に選任するメリットは、おおむね以下のとおりです。

法務に関する専門的な視点を経営にもたらす

会社をトラブルのリスクから守るためには、法律の規制を踏まえた経営を行うことが必要不可欠です。弁護士を社外取締役として経営陣に加えることで、法的な裏付けをもった経営判断が可能となり、会社経営の安定感が増すメリットがあります。

コンプライアンス強化や危機管理対応を充実させることができる

弁護士に社外取締役として会社の中に入ってもらえば、オペレーションの隅々までコンプライアンス意識を浸透させるための主導役を任せることができます。また、会社にとって危機的な状況(不祥事)が発生した場合でも、社外取締役である弁護士が中心となって迅速な対応をとることが可能です。

他の取締役や管理職による違法行為に対する抑止力となる

社外取締役に弁護士が入ることによって、会社の業務全般にリーガルチェックが行き届き、内部の違法行為が摘発される可能性が高まります。特に、権限を持っている取締役や管理職による違法行為は、会社にとって重大な損失をもたらしかねません。

社外取締役に弁護士が就任することで、このような違法行為が看破される可能性が上がるため、社内から違法行為を撲滅するための抑止力として働きます。

コンプライアンス・ガバナンスに関する対外的なメッセージ

社外取締役として弁護士を招聘したという事実そのものが、「コンプライアンス・ガバナンス体制のしっかりした会社である」というメッセージを対外的に発信することに繋がります。

近年では「CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)」の重要性が強調されており、企業がコンプライアンス・ガバナンス意識を高めることがますます大切になっています。社外取締役として弁護士を選任することで、CSRを果たす企業としてのブランドイメージを高めることができる可能性があります。

【関連記事】コーポレート・ガバナンスとは|目的と注目の背景・強化する方法をわかりやすく解説

社外取締役として適任である弁護士の特徴・資質は?

社外取締役としての職責を果たす弁護士には、その役割の重要性に鑑み、一定以上の資質が求められます。

具体的には、以下の特徴・資質が必要です。

企業法務に関する経験が豊富

企業は日常的に様々な法律問題に直面するところ、社外取締役である弁護士には、それらを全般的にチェックできるだけの能力と経験が求められます。そのため、幅広く企業法務に関する経験を有していることは必須の資質でしょう。

会社の経営・ビジネスに対する理解が十分にある

社外取締役は、あくまでも経営者としての立場で会社に参画することになります。そのため、経営・ビジネスに対する理解を深く持っていることが重要です。

弁護士だからといって、法律についての知識や感覚しか備えていないというのでは、社外取締役は務まりません。

経営に関する基本的な感覚を備えている、会社のビジネスに関心を持ち積極的に情報を得ようとする姿勢を見せる弁護士こそが、社外取締役として適任といえるでしょう。

経営陣との間に個人的な癒着がない

社外取締役は独立した立場で、会社の経営が適正に行われるよう、他の取締役の業務を監視する必要があります。弁護士であれば「独立性」はもっとも基本的な資質のひとつですが、場合によっては他の取締役と旧知の仲であるなど、癒着を疑われてしまう背景を有している可能性もあります。

このような状態では、外部専門家として弁護士を招聘している意味が半減してしまいますし、対外的にもコンプライアンス・ガバナンスが脆弱である印象を与えてしまいかねません

社外取締役としての職責を安心して任せられる弁護士には、他の取締役と癒着することなく、公明正大に業務を行うという信条やバックグラウンドが強く求められます。

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まとめ

ある程度以上の規模に達した株式会社は、社外取締役を選任することによって、経営陣の価値観の多様化・相互監視による会社経営の安定化といったメリットを享受することができます

そのため、2021年3月から設置が義務化される上場会社だけでなく、成長中の非上場会社についても社外取締役の設置を検討する価値があるでしょう。

社外取締役としては、会社や経営陣と個人的な繋がりを持たない外部専門家に適性があります。特に弁護士を社外取締役として選任することは、会社全体のコンプライアンス・ガバナンス強化や、CSRを果たすための対外的なメッセージを発信するという観点から有効です。

特に企業法務に精通し、会社経営やビジネスに関して深い理解を持つ弁護士は、社外取締役としてもっとも適任といえます。これから新たに社外取締役の導入・選任を検討している企業は、ぜひ弁護士の選任をご検討ください。

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